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ニコンの新機能やハードウェアの改良はAFP通信から提案されたものが多い

PhototrendがSalon de la Photo 2024におけるニコンへのインタビュー記事を公開。F1.4レンズの立ち位置やZ 7II後継モデル、RED買収、オリンピック関連、AFP通信社とのパートナーシップなど。

Phototrend:Interview Nikon au Salon de la Photo 2024 : « Le Z6 III est plutôt le petit frère du Z8 qu’un successeur direct du Z6 II »

フランスの写真市場におけるニコンの現在のポジションは?

  • 残念ながら数字は言えない。しかし、特にフルサイズ市場でのポジションには満足している。
  • 最も重要なことはニコンフランスが毎月設定する販売目標を達成することだ。それはとても順調である。
  • 全体的に見ると、フルサイズ市場は年初にやや後退した。ここ数ヶ月は安定しているが、市場は新製品の発売によってその時々の市場規模が変化する。Z6IIIやZ 8を発売すると、明らかに市場は構造的に膨らむ。
  • GFK(マーケティングリサーチ企業)が必ずしもカバーしていない写真専門店に市場が集中しているため、市場調査が難しくなってきている。

過去12ヶ月で最大の成功は?

  • 12ヶ月間で見ると、Z 8は我々のポートフォリオの中でナンバーワンだ。 Z fは2位となる。
  • Z6IIIも非常に好調だ。発売からまだ2~3ヶ月しか経っていないが、非常に自信を持っている。

Z6IIIの部分積層型CMOSセンサーについて

  • Z 8とZ 9に搭載された積層型センサーの派生である半積層型センサーで新境地を開拓した。
  • アーキテクチャは積層型センサーよりもシンプルで、開発コストが低くなる。しかし、その性能は積層型センサーと同様で、従来のCMOSセンサーよりもはるかに高いリフレッシュレートを実現。
  • 価格と性能の間の一種の妥協点で、従来品よりも遥かに新しいセンサーを搭載できた。
  • Z6IIIはZ 6IIの後継機というよりも、Z 8の弟分のようなもの。
  • この技術により、これまでのZ 6シリーズよりも高級なセグメントに位置づけられる。
  • 大きなボディではないが、Z 8/Z 9シリーズのように-10℃で動作する、より耐性の高いボディであるため、少し厚みがある。
  • 内部で放熱できるように設計されており、2時間連続稼働できるカメラになっている。これらは今までこのシリーズにはなかったものだ。

Zマウントの発表以来、ニコンはZ 6とZ 7を一緒に発表していたが?

  • Z 7IIとZ 6IIは、Z6IIIの登場と並行して存続している。
  • すべての人がZ6IIIが提供する技術的性能を必要としているわけではない。
  • 今のところ、Z 7IIに後継機はない。それ以上のことは言えない。

欧州のUSB-C統一法について

  • 影響を受けている。
  • 消費者に充電器を買うことを強制するのを止めなければならない。
  • 規定では、USB-C充電式でなければならず、消費者は充電器を購入する必要はないと定められている。
  • そのため、例えば(USB-C充電対応の)Z6IIIには充電器が付属していない。
  • 一方、すでに発売されているボディについては対策に遅れが生じる。

プロ用APS-Cミラーレスの可能性について

  • もちろん、その質問には答えられない。

F1.4は登場がこれほど遅く、S-Lineレンズより下位のレンジで発表したのか

  • 直接の答えにはならないが、よりエントリーレベルのF2.8ズームレンジもこのアプローチの一部である。
  • 光学的な構造に寛容なこのZマウントでレンズを開発することで、より多くのことができるようになっている。
  • F1.8 S-Lineは光学的に優れており、プロ向けレンズを代表するものだった。しかし、これを消費者にスペックシートで説明するのは難しい。
  • 写真史を振り返ると、F1.4の絞りがプロレンズというイメージが定着している。
  • F1.4の明るいレンズは、より大きなボケやより多くの光を得ることを優先する特定の写真家のニーズに応えている。解像度や構造は、必ずしも主な関心事ではない。
  • 35mm F1.4と50mm F1.4は、既存の固定観念を打ち破ることでレンズの幅を広げている。
  • 我々はすでに50mm F1.2や85mm F1.2のような製品でF1.2のレンジを提供しているが、これらは非常に特殊な需要だ。
  • もしS-LineでF1.4を選んだとしたら、重量と価格が大幅に増加していただろう。
  • 体積と価格の点でS-Lineと同じような製品を、異なるポジショニングで提供することを目指した。このアプローチは好評を得ている。

RED買収でシネレンズの登場は期待できるのか

  • 我々はREDを買収した。我々とは非常に補完的な関係にある。
  • プロセッサ、光学系、工業プロセスに特化した当社と、画像処理、RAW動画圧縮、動画関連技術に秀でたREDという、両社の専門分野に相乗効果を見出す。
  • 協力関係を発展させることが出来るが、これには当然時間がかかる。
  • 最初の具体的な成果の1つは、REDがニコンN-Log用に開発した新しいLUT(ルックアップテーブル)の作成である。これらのLUTは、REDのカラーサイエンスの専門知識によって作成され、N-Logで撮影できるすべてのニコンカメラに最適化されている。
  • これらのLUTによって、ニコンのユーザーはREDカメラと同様の美的感覚を得ることができる。
  • 残りの開発には時間がかかり、現時点では、ソフトウェア、マウント統合、その他のプロジェクトなど、進捗状況について共有できる具体的な詳細はない。

Z fやZ fcのような非常にビンテージなボディ用の絞りリングを備えたレンズは?

  • 機械式ではないが、すべてのレンズにカスタマイズ可能なコントロールリングを搭載することにしている。これには多くの利点があるが、デザイン的には少し調和が取れていないこともある。
  • とはいえ、我々はZ fとZ fc用にSEシリーズを開発した。

オリンピックについて

  • チームの何人かは、オリンピックの取材に深く関わっているフランスの2つのメディア、AFP通信とレキップとの協力のもと、準備のためにかなり前から動き始めた。
  • 約30台のMRMC SR1ロボットをさまざまな現場に配備した。カメラ本体だけでなく光学系も遠隔操作することができる。
  • 例えば、『L'Équipe』紙の一面に掲載された象徴的な画像は、SR1システムを使って撮影された。
  • 水中やセキュリティ上の理由で立ち入り禁止の場所など、カメラマンがアクセスしにくい場所に配備される。

他のオリンピックと比べて何が変わったのか?

  • 配備がより大規模になった。
  • すでに他の大会でもこの種の技術を導入していたが、今回は会場が多様で、認定カメラマンの数もはるかに多いため、規模がはるかに大きくなった。

個人的に印象に残った瞬間は?

  • 私はオリンピック競技の現場にいなかったが、
  • L'Équipeの表紙を飾った写真。Z 9をロボットに搭載して撮影したものだ。

プレイステーションのコントローラーでロボットを操作していた

  • そう、ロボットはNX Fieldを使用するとそのように操作できる。
  • iPadやApple Watchのような他のインターフェースもある。
  • 人間工学に基づいた非常に使いやすいもので、フォトグラファーの作業が大幅に軽減される。

この技術の開発にはニコン・フランスのチームが大きく関わっている?

  • 実はAFPが中心。
  • AFP通信社とのパートナーシップは、ハードウェアだけにとどまらず、新機能やファームウェアの開発にも及んでいる。
  • 現在のカメラの機能の多くはAFPから提案されたものであり、このフィードバックを受けて、新しいファームウェアやハードウェア部品など、ハードウェアを改良してきた。
  • このような共同作業は継続的に行われており、協力しながら未来のカメラを開発している。

現在のニコン製カメラにはAFP通信からのフィードバックや提案のあった新機能などが盛り込まれている模様。具体的にどのような機能を実装したのか言及していませんが、今後も何らかの形で新ファームウェアに関与しているかもしれませんね。ちなみに、ニコンは2021年の段階でAFPとのパートナーシップについて紹介するページを公開。
(参考:ニコン 報道の最前線、その先へ

最近登場した35mm F1.4や50mm F1.4は既存の固定観念を打ち破り、ラインアップの幅を広げるために登場した模様。Fマウントでは「F1.4 G」が上位の存在であったことを考えると面白い試みですね。どちらも10万円前後に抑えられているため、他社と比べるとレンズを揃えやすくなっているのもGood。大口径で高品位な製品が欲しいユーザー向けにF1.2 Sを用意しているからこそ可能なラインアップと言えそうです

部分的層型CMOSセンサーを搭載した「Z6III」がリリースされましたが、「Z7III」はまだ登場を期待できない模様。4500万画素であれば「Z 8」が既に存在しているので、可能性があるとしたら他社で使用している6000万画素クラスの高解像モデルでしょうか。

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