PhototrendがSalon de la photo 2023におけるパナソニックへのインタビュー記事を公開しています。LUMIXはフランスにて台数ベースで2番目に売れているブランド、G9 IIとGH6について、S5Rについてなど。
2023年のフランスの写真・ビデオ市場の状況をどのように見ているか?
- 一眼レフとミラーレスのバランスについてこれまで語ってきたが、ミラーレスが市場を非常に力強く押し上げており、これによって市場は成長へと戻りつつある。
- 市場は数量ベースで微減(約5%減)だが、金額ベースでは増加(6%増)している。
- フルサイズ市場は20%増、ノンフルサイズ市場は24%増である(GFKデータ)。
- ちなみに、販売されたカメラの3台に1台はミラーレスである(全ブランド合計)。
- フルサイズミラーレス市場では、パナソニックはすでに2,500ユーロ未満のカメラ市場で22%のシェアを獲得。フランスでは12%の売上を占めている。
- 全体で、LUMIXはフランスで2番目に売れているブランド(台数ベース)であり、ヨーロッパで前年比成長率が最も高いブランドだ(LUMIX S5IIとLUMIX S5IIXのおかげでフルサイズセグメントで144%増)。
- すべての製品セグメント(コンパクト、ブリッジ、マイクロフォーサーズ、フルサイズ)アマチュアからエキスパートまで展開しているからだ。
- しかし、3,000ユーロ以上のカメラ市場はまだターゲットにしていない。つまり、現時点では市場の半分をターゲットにしているに過ぎないが、そこで立ち止まるつもりはない。
- この数字が今後数年間、よりハイエンドの製品で繰り返されるなら、良いトレンドが期待できる。
- エキスパートコンパクト、特にマイクロフォーサーズでの高い評価は、フルサイズでも大いに役立っている。
- 我々はフルサイズに対して非常に大きな野心を持っている。フランスはパナソニックにとって優先市場だ。
LUMIX Sシリーズはこれで完成か?
- 未完成だ。
- パナソニックのエンジニアは、フルサイズとマイクロフォーサーズの両方でボディとレンズの開発を続けている。
- 我々の目標は、新しい機材を提供するだけでなく、新しいアップデートも行い、既存の技術に常に対応できるようにすることだ。
- 現在の優先順位は、現在の需要に沿ったよりコンパクトなS5シリーズだ。
市場トップへの道のりは?
- 長い間、LUMIX GH4やGH5のような製品は、特に動画の面で革命的なカメラだった。
- 以前は非常にプロフェッショナルで閉ざされたシネマの世界だけのものだった技術的な機能に、人々がアクセスできるようにすることは重要だ。
- 当社の製品は、マイクロフォーサーズでもフルサイズでも、水、埃、熱に対する耐性が非常に高く、非常に頑丈だ。
- エルゴノミクスや使いやすさの点でも違いがある。LUMIXの場合、ボタンやレバーは完全にカスタマイズできる。撮影をよりスムーズにするものは、時間とお金の節約になる。
LUMIX G9 IIのフィードバックは?
- LUMIX G9 IIの反応はポジティブだった。
- LUMIX G9 IIで待ち望まれていたのは、LUMIX S5 IIとS5 IIXで初めて搭載されたハイブリッドオートフォーカス(位相差とコントラスト)である。
- 前モデルと同様、特に野生動物の撮影に非常に人気があり、60fpsのAFC連写と相まって、新しいオートフォーカスは大きなメリットをもたらす。
- マイクロフォーサーズの潜在的な顧客は、コンパクトさ、軽さ、使いやすさを求めている。そして何よりも、オールインワンの静止画・動画カメラを求めている。
- LUMIX S5 IIのオートフォーカスを進化させ、車両や動物の瞳検出機能を搭載。さらにパワフルで正確になっている。
- 初期のフィードバックによると、非常に信頼性の高いカメラである。
- 将来のフルサイズモデルにとって非常に良い兆候だ。
LUMIX G9 IIがLUMIX GH6と競合しないか?
- 特に動画において多くの共通点がある。
- しかし、LUMIX G9 IIは写真撮影に根ざしたDNAを保持している。
- LUMIX G9 IIはより写真志向だが高度な動画撮影も可能。LUMIX GH6は間違いなく動画志向だが、写真にも使える。
- 今日、ユーザーはGHシリーズをカメラ、さらには映画撮影と結び付けている。実際、GH6はHDMI出力によるRAW、内蔵ProRes、アクティブベンチレーションという独自性を保持している。これらはビデオグラファー向けの非常に特殊な機能であり、LUMIX G9 IIのユーザーは必ずしも求めていないだろう。
LUMIX GH6が位相差検出AF非対応で不利になるリスクは?
- それは使い方次第だ。
- 多くのビデオグラファーはMFを使い、内部収録のProResを好むだろう。
- オートフォーカスに長年不満を抱いているのであれば、LUMIX G9 IIを選ぶことになるだろう。
- ハイブリッドAFは非搭載だが、LUMIX GH6はコントラスト検出AFの非常に高度なDFDテクノロジーを搭載している。
- あなたのニーズに合ったカメラは必ずあるはずだ。
- LUMIX G9 IIで我々が目指したのは、写真と動画(フルサイズを除く)の究極のツールであり、両方の世界のベストを結集させることだった。
マイクロフォーサーズの将来は?
- マイクロフォーサーズマウントは、システムとして小型軽量である利点に加え、非常に幅広いレンズラインナップを揃えている。
- オリンパスのラインアップを含めると、レンズの数は相当なもので、サイズ・重量・コストパフォーマンスが優れている。
マイクロフォーサーズとフルサイズはどのように補完し合うか?
- フルサイズは、大きなプリントサイズで撮影する必要がある人や、光量の少ない場所で作業する人のためのカメラだ。クリーミーなボケを得たい人も同様である。
- 一方、1つの装備であらゆるシチュエーションをカバーしたい非プロフェッショナルにとっては、マイクロフォーサーズは完璧だ。
- さらに、多くの人がブランドを完全に変えて、我々のフルサイズカメラにやってくる。2つの異なるマウント(マイクロフォーサーズとLマウント)を持つことは問題ではない。
- LUMIX S5 IIとG9 IIは同じエルゴノミクスであり、一方から他方への切り替えはとても簡単だ。
Lマウントアライアンスの次のステップは?
- Lマウント・アライアンスは常に進化している。
- 新しいプレーヤーの登場は、このアライアンスが理にかなっており、多くの技術的メリットがあることを証明している。
(訳注:新規加入したBlackmagicやSamyangのことを指しているのだと思います)- さらに、異なるメーカー間の互換性は大きな利点だ。例えば、Blackmagicのカメラを使用するビデオグラファーは、ライカレンズを使用することができる。これらすべてが、安定した画質とオートフォーカスで実現する。
- さらに、Lマウントアライアンスは単なる写真メーカーの提携ではなく、光学機器、シネマカメラ、ドローンなどを統合している。「マルチ・アクティビティ」で完全なエコシステムだ。
- パナソニックは、マクロレンズや望遠レンズなど、ラインアップの幅を広げるレンズの開発を続けている。
- 参入して4年しか経っていないフルサイズ市場で非常に急速に拡大することができた。
- LUMIX S5 IIとS5 IIXは素晴らしいスタートを切り、近年発売されたヒットモデルと同様に、非常に持続的な販売台数を達成している。
- レンズも同様で、Lマウントアライアンスの「オリジナル」だけを数えると、すでに66本のレンズが販売されている。
- また、LaowaやSamyangのような新しいプレーヤーの登場は、この環境が発展途上であり、持続可能なものであることを証明している。
(訳注:LAOWAはアライアンスではないと思うのですが、言い間違えたのか、先走ってしまったのかは不明)エキスパート向けコンパクトの未来は?
- 新製品の開発と販売は区別する必要がある。Covid19による部品不足の結果、コンパクト市場は世界的に崩壊した。その結果、コンパクト製品のライフサイクルは自然に停止した。
- その結果、パナソニックを含むすべてのブランドが、特定のモデルの更新を行わないことを決定した。
- しかし、パナソニックは依然としてコンパクトとブリッジのナンバーワンブランドであり、製品を提供することに成功している。
- 需要が鈍化したとはいえ、競合他社が姿を消したおかげで、これらの製品の販売は増加している。
- とはいえ、成長しているのはミラーレス市場だけだ。また、熟練したユーザーは、エキスパートなコンパクトよりも、レンズ交換可能な小型ボディを好む傾向がある。
- 訳注:少なくとも国内向けのレンズ固定式LUMIXは全て完了商品となっています。
S5IIよりも高解像センサーを搭載したS5Rを発表するつもりは?
- 先ほど申し上げたように、我々はフルサイズで非常に大きな野心を持っている。
- 我々はレンジを拡大する製品開発を続けている。必然的にフルサイズやマイクロフォーサーズの新製品が登場するだろう。
とのこと。
LUMIX S5IIやS5IIXの好評により、フランスではシェアが拡大しているようですね。この勢いを次に繋げることができるのか注目ですねえ。インタビュー内容が正しいとすると、今後もS5シリーズのようなコンパクト路線でフルサイズカメラを投入し続けるのでしょうか?となると、S1R IIではなく、S5Rが登場するのも自然な流れと言えそうです。
LUMIX G9 IIとGH6は「競合しない」と明言しておらず、志向性は違えど共通点が少なからず存在している模様。また、将来的に像面位相差AFを搭載した「GH7」の登場を意識せざるを得なく、GH6は難しい立場に立たされているように見えます。
Lマウントの話題でLAOWA(Venus Optics)について言及していたのが気になるところですが、Phototrendの誤記なのか、パナソニックの回答そのものなのか気になるところ。どちらかと言えば電子接点の無いMFレンズが多く、VILTROXやYONGNUOなどの中国メーカーと比べるとエレクトロニクスの分野に弱く、Lマウントアライアンスに加入するうま味が少ないようにも見えますが…。
パナソニック関連記事
- 2024年のカメラ・レンズの新製品を振り返る LUMIX編
- LUMIX DC-GH7 は動画撮影のためのプロ向けマイクロフォーサーズカメラ
- パナソニック LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3 レンズレビュー完全版
- パナソニック DCカプラー DMW-DCC17 生産完了
- LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3 旅行や日常使いに適したコンパクトズーム
- パナソニック LUMIX DC-G99M2 正式発表 & 予約販売開始
- パナソニックが未発表製品コードネーム「P2305A」を海外認証機関に登録
- パナソニック LUMIX DC-TZ99 正式発表
- パナソニックとOMデジタルが新製品を準備中?
- 来週発表のパナソニック新製品はLUMIX TZシリーズになるという信ぴょう性不明の情報