DIgital Camera Worldがソニーの新型カメラ「α1」のレビューを公開。高性能・高機能で「カメラのレオナルド・ダ・ヴィンチ」と評価していますが、高い価格設定から「万人向けではない」と言及しています。
Digital Camera World:Sony A1 review
α1は、ソニーが言うとおりのカメラだ。これはテクノロジーの勝利であり、本当にすべてのことができるカメラだ。これまでのカメラは、スピード、解像度、動画機能のいずれかを提供しているが、α1はその3つすべてを兼ね備え、専用のスポーツカメラや動画カメラをも凌駕している。それでは、α1は完璧なカメラなのか?と言うとそうでもない。このカメラの魅力は、1つや2つの機能ではなく、すべての機能を必要とするフォトグラファーに限られるだろう。
カメラの紹介:
- 世界初の高解像でもなければ8K動画モデルでもないし、高速連写機でもない。しかし、これらを全て1台のカメラで実現したカメラは初めてだ。
- 技術的にα7S IIIやα9 IIよりも優れているが、非常に高価なカメラとなっている。この価格を正当化するためにはα1が持つ機能を活かすことが重要だ。
- LEICA SL2-Sや富士フイルムGFX 100Sよりも高価である。
ビルド・外観:
- 記載なし。
携帯性:
- α7シリーズよりも少し大きく、α9に匹敵するサイズだ。フルサイズミラーレスとしては非常にコンパクトである。
- 24-70mm F2.8と組み合わせるとフロントヘビーとなる。
グリップ:
- グリップはしっかりとしているが、平均的な手のサイズにはまだ小さく感じる。
操作性:
- 積層型5010万画素CMOSセンサーと従来の8倍強力なBIONZ XRプロセッサーを搭載している。これにより性能や画質の向上のみならず、カメラのレスポンスも向上している。
- ダイヤルは3カ所あり、どれも肯定的な感触を得られた。背面ホイールのみ少し小さく、親指で操作し辛い。
手ぶれ補正:
- 最大5.5段分のボディ内手ぶれ補正を搭載している。
- 補正効果はまちまちだ。静止画ではとても良好に機能する。動画で電子ISを有効にすると滑らかな動きが可能となる。しかし、アクティブモードを含めて撮り歩くスタイルの動画にはまったく対応できない。
- 動画撮影ではジンバルに勝るものは無い。しかしジンバル搭載時は軽いレンズを使いたいところだ。
ファインダー:
- 944万ドットのとても見事なファインダーを搭載している。
- もはやドットが目に見えないくらいだ。
- カメラを素早く動かしてもラグやかくつき、スミアは発生しない。
モニター:
- ファインダーと比べるとパッとしない。
- ライバルの多くが3.2型であるのに対し、このカメラは3.0型の144万ドットだ。
- 144万ドットは十分な解像度だが、それ以上ではない。
- 側面には動かないチルトシステムだ。
メニューシステム:
- 従来の複雑なメニューシステムから置き換わっている。
- タブ・メニュー・機能の3段階となっている。
オートフォーカス:
- フレームの92%をカバーする759点像面位相差AFシステムを搭載している。
- 動物瞳AFは改良され、鳥類用の瞳AFに対応している。
連写性能・ドライブ:
- α9では20コマ秒だった連写速度が30コマ秒まで向上している。そしてそれに見合うバッファを備えている。
- シャッターユニットの耐久回数は50万回だ。
- 1/400秒のフラッシュ同調速度に対応している。
- シャッターは従来と異なり短く静かな動作である。
- フォーカスモードとドライブダイヤルを左肩に搭載しているのは良いアイディアだ。
解像性能・画質:
- 5010万画素では物足りない場合、ピクセルシフトマルチショットで2億画素の合成結果を得ることが可能だ。
- 解像度はクラス最高ではないが、連写速度や動画仕様を考えると見事な解像性能だ。
- 実写での使用回数はまだ少ないが、静止画の画質は期待通りだ。露出は正確で解像度は非常に高い。BIONZ XRプロセッサにより色の深みと忠実さが向上している。
- 逆光では露出がオーバー気味となる。
- ラボテストでは4500万画素クラスのカメラよりも明らかに高解像であることが分かる。α9 IIと比べと遥かに高解像だ。
高感度ISOノイズ:
- 常用ISO感度は100-32000だ。拡張ISO感度で50-102400まで拡張可能である。
- α9 IIと比べると、α9 IIが大きな差を付けてリードしている。
- 高画素機EOS R5やZ 7IIと比べて大きな差は無い。
ダイナミックレンジ:
- ライバルカメラ(Z 7II・EOS R5・α9 II)と比べると苦戦している。ソニーは15EVを主張しているが、どのようにソニーがテストしたのか不明だ。
動画:
- EOS R5に次いで8K動画に対応した。さらに4K 120pの撮影も可能だ。
- CFexpress AやSD UHS-IIに4:2:0 10Bitの内部記録が可能だ。
- HDMI出力利用時は最大で16BitのRAW動画出力に対応している。
- パッシブ放熱システムにより8K 30pで最大30分の撮影を実現している。
- 4K動画はα7S IIIに匹敵し、さらに8Kでそれを凌駕している。5.8Kのオーバーサンプリング4K(Super35)で撮影が可能だ。
- 8K 30p 30分連続撮影と言われているが、我々のテストではそうならなかった。カメラは9分強でシャットダウンした。さらに悪いことに、温度が下がるまで再起動しなかった。
- カメラの保護機能を「標準」から「高」に設定を変更したところ、メモリーカードが一杯となる18分まで撮影を続けることが出来た。
総評
ソニーα1は、非常にパワフルで多機能なカメラだ。このため1回のレビューではその機能と可能性のすべてを網羅することができない。今後のアップデートでは、動画、連写、AFの性能についてより詳細なテストを行う予定だ。
しかし、これまでに試したすべての項目に感銘を受けている。これはデジタルカメラのレオナルド・ダ・ヴィンチのようなもので、すべてにおいて非常に優れている。
欠点があるとすれば、それはカメラではなく、ソニーの戦略にあるかもしれない。α1は素晴らしいカメラだが、そのぶん価格も高く、悪い意味で素晴らしいものとなっている。あまりにも高価なので、このカメラの機能をすべて必要としている人しか正当化することは出来ないだろう。最先端の4K動画や高速連写、高解像度の撮影が必要なだけなら、このカメラよりもずっと安いソニー製カメラがある。
ソニーはRX100からRX10、APS-Cのα6000シリーズ、そして今回のフルサイズミラーレスカメラまで、すべてのサブブランドで見てきた軌跡を辿っている。ますます高価となり、より多くのプロフェッショナルユーザー向けに多機能化している。これは確かにある種の進化だが、必ずしも一般のフォトグラファーや映像制作者が必要としている方向ではない。
長所:
- α7R IVに次ぐ高解像モデル
- 8K 30p
- 4K 120p
- 30コマ秒連写
- 世界一の電子ファインダー
短所:
- 非常に高価
- α1の全てが必要かどうか
とのこと。
カメラをレオナルドダヴィンチに例えるレビューサイトは初めて見ました。過去の偉人であり、様々な分野で歴史に残る業績を残した人物ですね。確かにダヴィンチに例えたくなる理由も分かります。5000万画素の高解像モデルで30コマ秒の連写速度に対応し、さらには8K 30pや4K 120pまで使うことができる万能モデルですね。
その反動で価格設定が跳ね上がっており、価格を正当化するのは難しいとDCWは指摘しています。高解像であれば6100万画素のα7R IVが30万円台で購入でき、AFや連写速度が必要であればα9 IIが存在します。動画が必要であればより適した仕様のα7S IIIを購入することも可能。「高解像・高速連写・動画」全てを必要とする人は少ないかもしれませんね。
とは言え、「高解像×高速連写」だけでも需要はあるのかなと思います。例えば野鳥シーンなどで高性能な連写・AFが必要とされるシーンで、さらに高解像まで加われば鬼に金棒のように感じます。もちろん高感度ISOやダイナミックレンジとの兼ね合いも重要ですが、それを差し引いてもインパクトのある解像性能なのかなと。
個人的に気になるのは今後のシリーズ展開。α1がこのスペックで登場した以上、R・S・無印シリーズをどのように差別化していくのか。Rシリーズがより高画素になるとしたら、適度な高解像センサーが無くなってしまうのか気になるところ(ぶっちゃけ4000万画素くらいが丁度いいと思うのです)。
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