DPReviewがソニー「α7 IV」と「α7 III」の違いについて紹介しています。ほぼ全ての点でアップグレードしているものの、そのぶん価格差もあり、使いこなせないのであれば差額でレンズを購入するのもアリと言及しています。
DPReview:Should you upgrade? New Sony α7 IV vs α7 III
はじめに
ソニー α7 IVは、フルサイズミラーレスのコアラインを継承。一連のアップグレードが含まれているが、同時に価格も上昇している。ソニーのα7 IIIがいかに優れていたかを考えると、我々は2つの質問に答えたいと思う。どちらのカメラが良い買い物か、そしてアップグレードする意味があるのか。
スペック比較
- α7 IVは、α7 IIIやいくつかのライバル機で採用されている2400万画素のチップではなく、3300万画素のチップに進化している。しかし、これは大きな違いでは無い。
- フォトグラファーやビデオグラファーにとっての重要な違いは、BIONZ Xプロセッサーが「BIONZ XR」と呼ばれるものに変更されたことだ。
- どちらのカメラも最高で毎秒10コマの撮影が可能だが、α7 IVは12bit読み出しによる破壊的な損失を伴うRAW出力に限定されている。
(訳注:ロスレスRAW・非圧縮RAW使用時は連写速度上限が低下)- α7 IIIでは、非圧縮RAWで10コマ秒の連続撮影が可能だ。
- 10コマ秒の連写速度が必要無い場合、α7 IVはロスレスRAW出力に対応している。圧縮RAWによる情報損失を回避しつつ、非圧縮RAWのファイルサイズを圧縮することが可能だ。
オートフォーカス
- 最大の違いの1つは、オートフォーカスだ。α7 IIIは、かなり古いバージョンのソニーのAFシステムを搭載している。他のAF設定よりも優先される別のモードを使用して、フレーム内の瞳を検出して自動的に追従することが出来る。しかし、その他の被写体については、ソニーの古い、より洗練されていないトラッキングシステムに依存している。
- α7 IVでは、パターン認識、被写体の色・明るさ、顔・瞳の検出、距離情報を組み合わせた新しい被写体追尾システムを導入し、より確実な追尾が可能となっている。
- そのため、α7 IIIでは、最初の被写体が瞳をそらしてしまうと、別の顔の瞳にピントが移ってしまう。
α7 IVでは、被写体の瞳があったエリアから顔や頭を探すことができ、優先してフォーカスを維持することができる。- また、人物だけでなく、鳥や動物の認識も可能だ。
ユーザーインターフェース:メニュー
- どちらのカメラにも長くて複雑なメニューだ。これは、多くのモードを提供し、多くの人に多くのことを提供しようとするモデルに期待されるものである。
- しかし、α7 IVの改訂されたメニューは、より簡単に操作できるようになっている。
- α7 IIIのメニューは、横に並んだタブの中にいくつものサブセクションが含まれている。サブセクション(訳注:例えばAFや動画)には見出しがあるものの、サブセクションを表示するには関連するページまでスクロールする必要がある。
- α7 IVのタブは縦に並んでおり、各タブに入ると最初の7つのサブセクションの名前が画面に表示される。これにより、例えば「動画の設定」というサブセクションは、「サブセクション9」と覚えなくても、すぐに見つけることができるようになっている。
ユーザーインターフェース: タッチパネルとカスタマイズ
- α7 IVでは、タッチパネルをより有効に活用しており、タップでメニューを操作したり、Fnメニューで操作することができる。α7 IIIではこの機能がなく、タッチパネルはAFポイントの設定などに使われるだけだ。
- どちらのカメラもFnメニューをカスタマイズすることができ、素早くアクセスしたい12の機能を配置することができる。α7 IVでは、静止画と動画のFnメニューを別々に作成することも可能だ。
- α7 IVでは、ホワイトバランスやシャッタースピードなど、動画撮影時に引き継ぐ設定と引き継がない設定を指定することができるので、素早くモードを変更することが可能だ。
エルゴノミクス
- α7 IIIのエルゴノミクスは非常に優れており、カメラの上部にはフロントとリアのコントロールダイヤルがあり、ボディの背面には専用の露出補正ダイヤルと小さなホイールがある。また、シリーズの初期モデルにはなかったAFジョイスティックも搭載している。
- さらにα7 IVは、これまでにソニーが行ってきたデザイン上の微調整や改良をすべて取り入れている。
- 最も分かりやすいのは、カメラの右肩上部にあるダイヤルが、露出補正だけでなく、機能をカスタマイズできるようになったことだ。
- 他にも多くの変更点がある。AF-ONボタンは大きくなり、配置も良くなり、背面のジョイスティックも大きく平らになり、正確な操作がしやすくなった。
- また、α7 IVのグリップにも少し手が加えられ、より快適なホールド感が得られるようになっている。
動画
- 動画は、α7 IVが旧モデルよりも頭一つ抜きんでているもう一つの分野だ。
- α7 IIIは4K動画を撮影できる最初のフルサイズカメラの一つで、動画に特化したα7S IIから多くの機能を獲得した。しかし、その後数年間で市場は進歩し、最新カメラはこれ以上の能力を備えている。
- α7 IIIは、センサーの6,000画素幅をフルに使った4K 24p、または1.2倍にクロップした領域からの4K 30pを、いずれも8bitで撮影可能だ。
- α7 IVは、センサーの7,000画素幅で最大30pの4K撮影、APS-Cクロップで4K 60pの撮影が可能で、すべてのモードで10bitを実現している。
- これにより、カラーグレーディングが可能なログ映像や、HDRディスプレイの性能を引き出すハイブリッドログガンマ映像の撮影が可能となっている。
- このほかにも、フォーカス位置や被写界深度を素早く確認できる「フォーカスマップ」や、前述のように静止画と動画の設定を分けて、モード間の行き来ができるようになっている。
- また、α7 IVには、一部のソニー製レンズで、フォーカスブリージングによるズームのような効果をキャンセルするために、その動画をクロップしてサイズを変更するモードがある。
動画のオートフォーカス
- 静止画のオートフォーカスについて述べたことは、動画ではさらに重要になる。
- α7 IIIでは、異なる距離にピントを合わせるためにドリフトしてしまう癖があるが、動画ではより大きな問題となり、意図した被写体に引き戻そうとするとクリップが台無しになってしまう。
- また、旧モデルでは不便な「センターロックオン」AFシステムに依存しているため、さらに悪化する。
- α7 IVでは、大幅に改善された距離認識・被写体認識(瞳・顔を含む)システムが動画撮影にも使用でき、それを使用するためのユーザーインターフェースははるかに一貫している。
- α7 IVでは、被写体をタップするだけでカメラが追尾するように設定可能だが、α7 IIIではシーンの中心にいる被写体しか追尾できない。
EVF/リアスクリーン
- α7 IVのファインダーは、α7 IIIの236万ドットから368万ドットの有機ELパネルに変更されている。1024×768の解像度から1280×960の解像度に変更され、直線的な解像度が各方向に25%増加している。
- しかし、どちらのカメラもファインダーパネルの前には同じ光学系を使用しているようで、両ファインダーのサイズ(倍率0.78倍)とアイポイント長は同じだ。
- 背面モニタについても、α7 IVはパネルの種類と可動方式が進化している。
- α7 IIIはアスペクト比4:3の92万ドット(640×480)の画面を採用しているが、α7 IVはよりワイドな3:2の形状で104万ドット(720×480)の画面を採用している。
- 実際の解像度はそれほど大きくないが、ワイドな画面は、カメラが撮影する画像の形状に適している。
- また、α7 IVのモニタはバリアングル式の可動方式だ。これは、動画やウエストレベルでの撮影に便利で、モニタを反転させることで、傷から守ることができる。
- α7 IIIのモニタは上下に傾くが、自撮りに使うことが出来ない。
Wi-Fi接続
- α7 IIIとIVの最後の大きな違いは、Bluetoothだ。
- α7 IIIでは、Bluetooth接続により、ペアリングしたスマートフォンから位置情報を取得することができたが、画像を転送するためのWi-Fiシステムは完全に分離していた。
- α7 IVでは、Bluetooth LE規格(訳注:Low energy)を用いてスマートフォンと常時接続し、画像を転送したいときにカメラまたはスマートフォンのどちらかがWi-Fi接続を開始するという、他のほとんどのカメラメーカーが採用している方法を導入した。
- ただし、この機能をサポートするソニー「Imaging Edge」アプリのバージョンはまだ確認できていない。原理的には、α7 IVは画像の転送をより簡単かつ迅速に行うことができるはずだ。
- しかし、他の多くのメーカーとは異なり、どちらのカメラも転送前にボディ内RAW現像で最適なJPEGを生成することは出来ない。
その他旧モデルについて
- α7 II、高解像度のα7R IIとα7R IIIのボディは、古いからこそ競争力のある価格で入手できる。
- α7 IVは新たに上昇した定価で販売されているが、元々ハイエンドである旧モデルには明らかな魅力がある。
- 第二世代のα7は、ユーザーインターフェースや操作性が新型機に比べて大きく劣ることや、小型のNP-FW50バッテリーを採用していることなどから、最新のフルサイズカメラと比較すると残念な印象を受ける。
このため、現時点では一般的には敬遠されがちだ。その点、α7R IIIは検討に値する唯一のモデルだと思う。4200万画素のセンサーはα7 IVよりも解像度が高く、ベーシックなα7 IIIよりもエルゴノミクスが改良され、バッテリーも大きくなっている。- しかし、α7 IVのオートフォーカスシステムのパワーとシンプルさ、そして新しいカメラの動画機能には勝てない。
風景写真を撮る人で、被写体追尾AFに頼らず、細部の描写を重視するなら、α7R IIIはα7 IVよりも良い選択だと思う。しかし、それ以外の多くのユーザーにとっては、AF、動画、UIの改善により、α7 IVに軍配が上がる。結論
最終的には、お金の問題だ。α7 IVは、ほぼすべての点でα7 IIIよりも優れたカメラである。性能だけでなく、日常的な使い勝手の面でもだ。もしあなたが新しいEマウントカメラを買うつもりで、それを2、3年使うつもりであれば、追加費用ぶんの価値はあると思う。
しかし、すでにα7 IIIを持っている人がアップグレードする価値があるかどうかとは別の問題だ。繰り返しになるが、α7 IVは確かに良いカメラだし、過去3年間「III」を使ってきた人には、もっと良いものを手に入れる価値があるかもしれない。
「III」は依然として非常に高性能だ。しかし、動きの速い被写体(特に人間)を撮影する場合には、アップグレードすることで最大限の効果が期待できる。同様に、動画を多く撮影しているなら、α7 IVはその点で明らかなメリットがある。
しかし、どちらの面でもカメラを使いこなせていないのであれば、最新モデルにアップグレードするよりも、レンズを追加した方が写真撮影に役立つかもしれない。
とのこと。
ソニーの主力機ということもあり、気合の入った新型モデル。とは言え、「III」と比べて大幅な値上がり(海外では約500ドル)で少し手を出し辛くなっています。性能を考えれば妥当な値付けにも見えますが、エントリーのベーシックモデルと言うよりも、ハイアマチュアのベーシックモデルと言った印象。DPReviewが言及しているように、エントリーならばα7 IIIでも十分満足のいく性能と言えるかもしれません。今後も「III」と「IV」を併売するのか気になるところ。
ちなみに、今回の記事で言及されていませんが、「III」と異なり「LA-EA5」に完全対応している点も気になる人は気になるポイントと言えそうです。他にも、レンズ交換時のシャッター閉幕機能や、JPEG出力時の「クリエイティブルック」などにも注目ポイントと言えそう。
元α7 II/α7 IIIユーザーとしては気になるカメラ。センサー・プロセッサが一新されている他、第四世代としても最新のエルゴノミクス(バリアングル・Fnダイヤルなど)を実装しているので、新しい物好きとしては使ってみたい。なので購入予定。
ただし、国内では発売未定で、予約販売すら開始されていません。新型コロナウイルスや半導体不足の影響が関係していると思われ、先行して海外で販売を開始しています。日本国内でいつ頃発売となるのか、早く決まると良いですねえ。
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