DPReviewが富士フイルム「X-S20」のファーストインプレッションを公開。X-S10とよく似たデザインですが、高性能なAFや動画機能を備え、バッテリーライフは一眼レフ並みと高く評価しています。
DPReview:Fujifilm X-S20 initial review
動画のアップグレード
- X Processor 5へのアップグレードにより、新モデルでは動画機能が最も強化されている。
- 内部収録の4K 60p 4:2:2 10bitやオープンゲート(3:2アスペクト)6.2Kに対応している。
- F-Log2カラープロファイルを搭載しており、ベースISO1250で1段分のグレーディングの可能性を向上させた。
- 外部HDMIレコーダーを使用する場合、カメラは必要に応じてProRes RAWまたはBlackmagic RAWに出力できる。
- 「mini X-H2」のように思えてきたとお考えなら、それは正しい。背面には冷却ファン「FAN-001」との互換性があり、新たにヘッドホン端子が搭載され、USB-Cから3.5mmへの変換アダプターが不要になった。
- 連続記録時間は、カメラ単体では少し問題があり、富士フイルムが25℃でテストしたところ、過酷な6.2Kモードでは36分しか持たない。FAN-001を装着した場合、駆動時間は2倍以上の78分となる。
- 新しい「1080/60p LP」モードは、カメラでより簡単に長時間録画できるように設計されている。1.29倍のクロップで撮像面を小さくすることで、プロセッサーはビニングやラインスキップを行うことなく、40℃の暑さの中で32分、FAN-001を装着すると78分の記録が可能だ。
VlogモードとUACウェブカメラ
- モードダイヤルのVLOGモードは、富士フイルムのシステムに新しい動画撮影のインターフェイスをもたらした。
- これは、コンテンツクリエーターの仕事を簡単かつ身近にするために設計されている。
- タッチパネルのVlogボタンをタップすると、手ぶれ補正、セルフタイマー、瞳・顔検出、商品優先モード、ハイスピード動画、後ボケモードといった共通機能に素早くアクセスできる。
- 液晶プレビューの周囲に赤枠、ハイスピード撮影時には緑枠が表示され、撮影中であることがユーザーに伝わる。
- USB-Cポートを使えば、カメラから4K 60pのライブストリームを出力することができる。
- 富士フイルムの旧モデルとは異なり、X-S20はUAC規格に依存しているためX Webcamソフトウェアは必要ない。
オートフォーカスと被写体検出の改善
- 高速なX-Processor 5を搭載し、ハイエンドモデルX-H2S用に開発したAFアルゴリズムを改良。動く被写体や小さな被写体をより確実に捉えることができるようになった。
- X-H2シリーズの被写体検出モードを継承。「動物」「鳥」「自動車」「バイク&自転車」「飛行機」「電車」から選択可能だ。
- フルオートで撮影した場合、フレーム内の被写体をカメラが認識し、適切なモードを適用しようとする。
比較のポイント
- 価格的にはハイエンドだが、それに見合うだけの機能を備えており、全体として良い値打ちがあるように思える。
- 動画機能は、ミラーレスの競合機種をはるかに凌駕しており、強力なバッテリーと相まって、その効果は倍増。
- 例えば、キヤノン EOS R10は、連写性能でリードしているが、CIPA規格のバッテリーライフはX-S20の半分以下である。
- 安価なVlog中心のニコン Z 30は、1080pのニーズには良いかもしれないが、X-S20は全く違うクラスである。
ボディとハンドリング
- 見た目よりも機能性を重視した控えめなスタイル。
- コンパクトサイズ、デジタル一眼レフカメラ風のグリップ、デュアルコントロールダイヤルなど、親しみやすく、普通のカメラのような印象。
- 前モデルに比べ、多くの操作系が大型化され、ダイヤルが大きくなり、ボタンが強調されている。
- タッチパネルは解像度を少し上げ、電子ビューファインダーは小型の有機ELパネルで、X-S10と同じものだ。
- 背面液晶の裏側には、冷却ファンFAN-001を装着することができる。
- PD対応のUSB-C、micro HDMI、2.5mmマイク端子があり、有線レリーズも使用可能だ。
- グリップ部には、新たに3.5mmヘッドホン端子がある。X-S10ではUSB-C-3.5mm変換アダプターが必要だったが、X-S20では直接接続することが可能だ。
- プロセッサーを除けば、内部的な最大の変更点は8.7Whバッテリー「NP-W126」から16Whバッテリー「NP-W235」に移行したことだ。これにより、1回の充電でCIPA規格の撮影枚数が325枚から750枚と、ほぼ倍増した。
- この大容量バッテリーを搭載するために、グリップが少し大きくなり、持ちやすさも向上している。
- バッテリースロットの隣には、バージョンアップしたUHS-II SDカードスロットがある。スロットは1つしかなく、しかもバッテリーと同じ場所だ。
- SD UHS-IIに対応したことで連続撮影に有利となった。富士フイルムによると、X-S20は、8fpsで1,000枚以上のJPEGまたは圧縮RAWファイルを撮影できるとしている。
ファーストインプレッション
- 一見するとX-S10とよく似ている。全体的な画質は、X-T4と非常に似ていて、X-S10に近いと思う。被写体検出AFは素晴らしい新機能だが、必要ない人には必要ない機能だ。
- とはいえ、アップグレードされたバッテリーだけでも、日常的でカジュアルな撮影には画期的だ。
- オリンピック国立公園で数時間のハイキングをしたが、バッテリーインジケーターにおける5本のバーのうち、1本しか消費しなかった。手頃な価格のミラーレスカメラとしては、デジタル一眼レフカメラに近い持続時間である。
- やや高解像度の背面モニタは素晴らしく、有機ELビューファインダーも問題ない。ファインダーは、好みよりも小さく感じられるが、この価格帯では十分だ。
- ボタンやダイヤルのレイアウトはシンプルで覚えやすいし、少し大きめのグリップは長時間の撮影でも快適だ。
- スキル向上に合わせて対応できる幅広い映像機能を備えている。必要に応じてF-Log2や10bitカラーを段階的にグレードアップ可能だ。
- RAW動画を撮影したい場合は、後からAtomos Ninjaを購入することができる。
- FAN-001を購入すれば、長時間録画が可能だ。
富士フイルムのスタイリッシュでレトロなモデルに比べると、X-S10のデザインはありきたりで、刺激的ではない。しかし、その概念を覆すような、非常にエキサイティングな機能を備えている。見た目はそれほどでもないが、大事なところをしっかり押さえている。
とのこと。
見た目やコントロールレイアウトこそ前モデル「X-S10」とよく似ていますが、内部的には大幅なアップグレードを遂げたカメラとなっているようですね。それなりに価格設定も上昇していますが、出来ることを考慮すると妥当な値上げのように見えます。(ここまで高機能で付加価値の高いX-S20を求めていなかった人もいるとは思いますが…)
注目すべきは圧倒的なバッテリー性能と大幅に向上した動画スペックでしょうか。ミラーレスで一眼レフ並みの撮影時間を実現しているのは凄いですね。特にX-S20のような小型カメラでこれを実現しているのが大きい。動画はCFexpressによる高ビットレートの内部収録こそできないものの、3:2 オープンゲートや4K 60p 4:2:2 10bitの内部収録に対応。必要に応じてHDMI出力でRAW動画も可能なのだから凄い。さらに追加アクセサリーで連続撮影時間を延長できるのも魅力的ですね。
3:2 オープンゲート撮影はX-H2やX-T5などX-Trans CMOS 5 HR搭載モデルは非対応で、X-S20のような価格帯で利用できるのは珍しい。高解像なアナモルフィック動画を撮影したい場合には面白い選択肢となりそうです(デスクイーズできないのが難点ですが)。
VLOGモードや動画機能に目が行きがちですが、静止画機能も大幅に向上。被写体検出AFにより被写体を捕捉しやすくなり、SD UHS-IIの対応と大容量バッファにより連続撮影枚数が大きく改善しています。プリ連写モードにおける撮影枚数も増加。APS-Cミラーレスとしては他社のハイエンドモデル並みの性能を実現しています。
前述しましたが、「ここまで高性能なX-S20を求めていない」人には厄介な選択肢。現状で第四世代のXシリーズは全てディスコンとなり、手ごろな価格のミラーレスを入手するのが困難となっています。性能や機能を絞ったX-T40やX-E5が登場するのか気になるところですねえ。
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