DPReviewがパナソニック「LUMIX S5」で改良されたDFD×コントラストAFについての所感を公開。静止画のAF性能はとても感心したと評価しつつ、動画ではまだ課題が残されていると言及しています。
静止画撮影で大きく改善
DPReview:Coming into focus: how Panasonic's DFD gamble may yet pay off
- パナソニックがLUMIX S5で導入したオートフォーカスの変更点は印象的だ。最新版ですべての癖が解消されたわけでは無いが、特に静止画のAFCはかなり改善されているように感じる。
- しかしそれ以上に、これらの改善がどのように実現されたのか教えてもらった詳細が興味深い。これは、同社のDepth-from-focusシステムの利点と課題の両方を浮き彫りにするのに役立つ。
- このシステムは、一部で評判の悪いシステムだが、ここ数年で大幅に改善され続けている。S5は、DFDがどれだけ進歩したかを示すと同時に、まだ何が必要かを示唆している。
DFDとは
- 基本的には、フォーカスは距離の問題だ。特定の距離にある被写体からの光線がセンサー面に収束するまでレンズ光学系を調整することを指す。
- カメラがオートフォーカスを行う際に使用するアプローチには、大きく分けて2つある
ーピントが合っているポイントを見つけるまでハンチングするAF方式
ーシーンの奥行きを把握して、ハンチングせずにピントを合わせるAF方式- DFDはパナソニックが開発した奥行きを解釈するためのシステムだ。わずかなピント調整を行い、その結果として画像がどのように変化したかを解析することで動作する。使用しているレンズのボケ特性を把握することで、その変化を判断し、シーンの深度マップを作成することが出来る。
- この課題は、シーン内の要素が動いている場合、カメラの深度マップを常に更新する必要があり、距離が変化しているため、より困難になる。
- そこで、被写体認識と被写体の動きを予測するアルゴリズムが活躍する。 カメラはシーンのどの深度で動きがあるのか、次に何が起こるのかを理解できるようにするからだ。
LUMIX S5で新しくなったこと
- パナソニックは、S5のオートフォーカスはいくつかの根本的な変更によって改善されたと述べている。その一部は、被写体認識の改善だ。
この機能はディープラーニングに基づいており、カメラが何に焦点を合わせればいいのか、そして何から離れてリフォーカスしてはいけないのかを知るのに役立つものだ。- 例えば、目をそらしているときに人間の頭を認識するアルゴリズムを教えることで、カメラは認識していた顔が突然「消えた」ときに、新しい被写体を見つけたり、フォーカスを変えたりする必要がないことを理解する。
- もう一つは、利用可能な処理能力をより有効に活用するため、AFコードを書き換えたことだ。
S5の開発中、パナソニックのエンジニアは被写体認識と追従動作の両方で機械学習アルゴリズムに頼る必要がないことを発見した。機械学習による認識と、既存の高速な距離と動きのアルゴリズムを組み合わせることで、処理能力が解放され、プロセスをより頻繁に実行できるようになった。- また、ソフトウェアの改良により、AFシステム全体の動作が高速化され、より多くの情報をプロセッサに提供できるようになった。
- これらの変更の結果、少なくとも静止画撮影者にとってオートフォーカスが大幅に改善し、コントラスト検出AFのハンチング依存度が少なくなっている。
- これにより、ファインダー内におけるフォーカスの乱れが減り、被写体を追従しやすくなった。フォーカス精度が向上するだけでなく、より良い体験が得られる。
動画
- しかし、このアプローチは主に静止画撮影の利点だ。撮影中の動画と同じような方法でセンサーを読み出さなければならないため、動画では処理速度の向上が難しい。
- 静止画モードでは、センサーフィードの解像度(空間解像度またはビット深度)を下げることで読み出し率を上げ、AFシステムが新情報を得る頻度を高めることができる。
そして、フォーカス中の低解像度フィードは、出力画質に影響を与えない。- 高解像度動画モードでは、ビット深度、ピクセル解像度、フレームレートでセンサーを動作させる必要がある。せいぜい、出力フレームレートの2倍でセンサーを読み取ることができるだけだ。
- 動画は通常、フレームレートの2倍のシャッタースピードを使用して撮影している。
- 問題は、フルサイズセンサーが大きく、読み出すのが遅いということだ。S5のセンサーは、通常12ビットモードで読み出すため、21ms以上かかるソニーa7 IIIのようなものと非常に似ている。
24pの動画で48fps駆動を実行するのに十分な読み出し速度ではない。- この課題があるにもかかわらず、パナソニックはこの最弱モードでもAFレスポンスを再調整し、不要なリフォーカスが起こりにくいようにしている。
輝かしい明日
- S5のアップデートは、いくつかのことを示している。第一に、パナソニックはカメラに対する批判を十分に認識しており、現在のハードウェアからできる限りのことを絞り出すために、ソフトウェアの微調整を続けている。
- しかしそれ以上に重要なことは、静止画撮影時、特に静止画の連写撮影時にAFCを使用した場合の改善点を見ると、これまでの欠点は必ずしもDFDのコンセプトに内在する欠点ではないことが分かった。
- センサー読み出し速度と処理能力向上によって改善できる側面だ。改善結果は見れば分かる。
- 長い目で見れば、ハードウェアが高速化するにつれて良くなるAF方式にコミットし続けることは、イメージセンサーに位相差センサーを埋め込むアプローチよりも良い選択であることが証明されるかもしれない。
- しかし、特に動画の分野でDFDはまだまだ改善の必要性が高い。フルサイズ購買層が他社のシステムを導入する前に、高速読み出しセンサーと強力なプロセッサを手に入れられるかどうかがパナソニックにとって鍵となるだろう。
とのこと。
実際に動画を確認してみると、確かにAFC時のハンチングが大きく軽減していることが分かります。従来のLUMIXユーザー(LUMIX G9など)からすると感動的なほどブレが無いように見えます。アルゴリズムなどを見直すことでここまで改善できるのは凄いですね。LUMIX G9で初導入した時は15fps駆動だったと思いますが、それが今では4倍の60fps駆動。数年でここまで改善できるとは…。
動画撮影でのAFCは位相差AFに分がありそうですが、センサーやプロセッサの進化で許容範囲内に収まる日が来るのかもしれません。
この改善点を導入したマイクロフォーサーズ機が登場するなら購入したいところですが、出ないのであればLUMIX S5も要検討か…(他の魅力的な機能も考慮)。
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