DPReviewがDxOの画像編集ソフト「DxO Photolab 6」のレビューを公開。Adobe製品と互角か、それ以上の優れた画質を備え、サブスク無しの買い切りタイプで入手できると評価しています。
DPReview:DxO PhotoLab 6 review: A powerful alternative to Adobe's editing suite
- DxOが長年の実績を誇る「Optics Pro Raw」を「DxO PhotoLab」という新しい名称でリニューアルして以来、5 年が経過した。WindowsとmacOSの両方で利用でき、レンズと露出の自動補正と強力な(おそらくクラス最高の)DeepPRIMEノイズ除去は我々のお気に入りだ。
- バージョン5では、富士フイルムのX-Trans CMOSセンサーに対応。さらに、DxOがGoogleのNik Collectionを買収したときに受け継いだ巧妙なU-Point部分編集技術を採用し、より優れた画像管理ツールを提供するようになった。
(参考:U point™)- このバージョン6では、DeepPRIMEエンジンのアップグレード、より強力なレタッチツール、DxO ViewPointのキーストーン機能の統合、DxO Wide Gamutという新しい内部カラースペース、プリント前のソフトプルーフィングツール、画像管理、クロッピングなどに関する多数のマイナーアップデートなどが含まれている。
- PhotoLabはRAW現像ソフトとして誕生したが、現在ではフォトライブラリの管理機能も備えている。画像の評価、カラーラベル、キーワード、メタデータの表示、プリントの作成が可能だ。
- 写真の一括取り込みはできないが(PhotoLabは既存のディレクトリ構造を参照するだけ)、画像のコレクションをプロジェクトやプロジェクトグループとしてグループ化し、複数の場所に保存している場合でも、それらをまとめて管理することが可能だ。
- 編集機能は包括的で、グローバルおよびローカルな調整ツールを幅広く提供している。これらのツールは6つのカテゴリーに論理的に分類されており、名前や機能から個々のツールを検索できるだけでなく、お気に入りや現在有効なツールかどうかでフィルタリングすることも可能だ。
- レンズ補正、露出補正、色補正など、最も重要なツールは完全に自動で適用されるため、ほとんど手間をかけずに良好な結果を得ることができる。また、プリセットも豊富に用意されており、それぞれサムネイルプレビューが表示されるので、どんな効果が得られるか一目瞭然だ。
Essential版はいくつか重要な機能がない
- PhotoLab 6の最も便利なツールのいくつかは、より高価なElite版にしか搭載されていない。
- Essential版や以前のバージョンのPhotoLabとの違いはDxOのホームページで確認できる。
(参考:DxO?PhotoLab?6?にアップグレードすべき理由)- Essential版には、DeepPRIME/DeepPRIME XDノイズ除去アルゴリズムとClearView Plusヘイズ補正の両方が含まれていない。また、X-Trans RAWに対応していないので多くの富士フイルムユーザーが残念と感じるだろう。
- また、PhotoLab 6 Eliteのキーストーン補正機能も非搭載だが、DxO ViewPointをお持ちの場合、Essential版と統合され、これらのツールやその他のツールを使用することができる。
- 他社製品との比較で最も顕著な欠点は、シングルショット写真しかサポートしていないことだ。パノラマ合成、深度合成、HDRといったマルチショットはPhotoLabは非対応である。
- ジオタグを付けた画像を地図上に表示したり、被写体に応じて自動的にキーワードを付与したり、スライドショーやウェブギャラリーを作成する機能もない。
DeepPRIME XDでより強力な(しかしまだ完璧ではない)ノイズリダクションを実現
- DxOのDeepPRIMEノイズリダクションはすでに最高レベルだが、PhotoLab 6 Eliteでは、新しいDeepPRIME XDとしてさらに強化された。
- 以前のアルゴリズムは、以前のHQとPRIMEノイズ除去アルゴリズムと同様に、特定の写真に使用することができる。
- 高性能なDeepPRIMEとDeepPRIME XDの差は、正直に言うと、すぐに判明するものではない。しかし、写真を拡大してみると、XDの方がディテールが良好で、ノイズが少ないことが分かる。特にボケ味や深いシャドウでは、その差が顕著だ。
- 時には不自然な描写を生成することがある。不具合を発見しやすいのは、繰り返しのパターンだ。それ以外の場合は、非常にノイズの多い画像であっても、驚くべき結果が得られる。
大幅に改善されたクローニング
- DxOはPhotoLab 6でクローニングツールを見直し、ReTouchツールはPhotoLab 5のRepairツールよりはるかに多機能になった。
- 従来通り、シーンから削除したいオブジェクトにブラシをかけると、PhotoLabは周囲と一致するように選択したデータでその穴を埋めようとする。しかし今回は、クローン元を選択するだけでなく、より多くのコントロールが可能だ。
- 例えば、選択範囲を後から変更することができる。シンプルなブラシストロークで選択範囲に追加したり、選択範囲から削除したり、フェザリングや不透明度を調整することができる。
- また、選択範囲を再スケール、回転、ミラーリングすることもできるので、目立つような繰り返しを残さずに穴を埋めることがより簡単だ。少し工夫をすれば、もっともっと複雑なクローン処理も可能だ。
Eliteユーザー向けにキーストーン補正を内蔵、ViewPointもうまく統合している
- キーストーン補正のためのツールが内蔵され、Elite 版でのみ使用できる。このツールは何年も前からDxO ViewPointという別アプリで提供されており、インストールすればPhotoLabと統合されるため、見覚えがあると思われるかもしれない。しかし今回、Elite版では、ViewPointを購入しなくても、キーストーン補正が可能だ。
- ViewPointをお持ちであれば、PhotoLab 6 Essentialに統合することも可能だ。これにより、キーストーン補正だけでなく、歪像補正やティルト/シフトのようなミニチュア効果など、ViewPointの他のツールも利用できるようになる。
- ユーザーがコントロールするグリッドに画像を分割し、グリッド上のポイントを移動して画像を局所的に歪ませることができるリシェイプツールが追加された。
細かな調整:新しい内部カラースペース、ソフトプルーフ、その他
- DeepPRIME XD、ReTouch、ReShapeほど顕著ではないが、PhotoLab 6は他にもいくつかの変更点がある。
- DxO Wide Gamutという新しい色空間を内部で使用。この新しい色空間はAdobe RGBよりも広い色域を持ち、広色域モニターとの組み合わせにより、彩度の高い部分のクリッピングを回避することができる。
- ヘイズ除去ツール「ClearView Plus」でも、追加された色情報を利用してよりよい結果を得ることができる。
- ソフトプルーフィングモードも新たに追加され、画面上の画像と最終的なプリントの画像とを一致させることが可能だ。
総評
- DxO PhotoLabは、常に優れた画質と、思い通りの画像感を実現するための豊富な自動/手動コントロール機能を提供し続けている。そして、新しいリリースでは、以前よりもさらに高性能になった。
- Lightroomとの比較では、パノラマ、HDR、深度合成といったマルチショットの機能に対応していないことが最大の欠点だ。これらは、次のメジャーリリースでぜひとも対応してほしい。とは言え、ほとんどの人は、マルチショットを使うことはないだろう。また、必要な場合は無料または有料のサードパーティアプリで対応することができる。
- ほとんどの写真で、Lightroomと同じように、あるいはそれ以上に優れた結果を得ることができる。また、自動処理されるアルゴリズムが信頼できるものであるため、非常に簡単に良い結果を得ることができる。
- 最大の懸念は、Essential版で多くの機能が欠けていることだ。Elite版の購入を促すのは理解できるが、富士フイルムのユーザーはRAWファイルを処理するために、2倍近い金額を支払わなければならないのは、少し不公平だと思う。
- 継続的なサブスクリプションが存在しないことは注目に値する。購入から2年も経てば、より高価なPhotoLab 6 Eliteエディションでさえ、Lightroomの継続的なサブスクリプションよりもコストが安い。しかも、Adobe並みのノイズリダクションと、オールラウンドに優れた画質が手に入る。
Essential 版のユーザーにはもう少し充実した機能が欲しいところだが、DxO PhotoLab 6 を強くおすすめする。
長所:
- 豊富な画像管理・編集ツール
- 親しみやすい論理的なUI
- カメラとレンズの対応が良好
- Lightroomに匹敵以上の画質
- 実際のテストに基づいた正確な自動レンズ補正
- 豊富なプリセット
- 全体的に良好なパフォーマンス
- DeepPrime XDで従来よりも鮮明な画質
- レタッチツールが便利になった
- ViewPoint導入時は上手く統合されている
- サブスクリプションではない
短所:
- Essentialモデルでは見どころとなる機能が欠けている
- パノラマ・HDR・深度合成などのマルチショット合成機能が無い
- テザリングや位置情報などの機能に対応していない
- DeepPrime XDは繰り返しパターンの検出に不向き
- レタッチツール使用時のクローン生成は正確に動作しない場合がある
とのこと。
Photolabはカメラやレンズのベンチマークテストで有名なDxOが手掛ける画像編集ソフトですね。独自のアルゴリズムで高い評価を得ている高性能なノイズリダクションやシャープニング処理で定評あり。Adobe製品のようなサブスクリプションではなく買い切りタイプのソフトウェアとなっているので気軽に導入できるのが便利ですね。
高度なノイズ処理や豊富なフィルムパック、高機能なVeiwpointと連携できるのも強みと感じるはず。Adobe Lightroomほど強力な写真管理ツールではないものの、従来のPhotolabと比べて強化されている模様。販売価格は単品で「¥23,900」と安くはありませんが、それでもサブスクリプションや他の買い切りタイプの画像編集ソフトと比べると手ごろな価格だと思います。
さらに現在はホリデーマジックセール中で、DxO製品を2点まとめて購入すると30%オフで入手可能。FilmpackやNik CollectionはLightroomのプラグインとしても利用できるので、この機会に合わせて購入するのも一つの手。
- DxO日本公式
- DxO Photolab 6:23,900円
- DxO Viewpoint 4:10,900円
- DxO PureRAW 2:13,900円
- DxO FilmPack 6:13,900円
- Nik Collection 5:16,500円
参考リンク
- DxO PhotoLab 6
・新機能について
・旧バージョンとの比較
・豊富な機能: フォトグラファーの厳しい要求に応える強力なツール群
・ClearView Plus
・DeepPRIME XDノイズ除去
・U point™ - DxO PhotoLab 6 ユーザーズガイド
DxO関連記事
- DXOがDeepPRIME XD2s に対応した「PureRAW 4.6」を配信開始
- DxOがDeepPRIME XD2sなどを実装した写真編集ソフト「Photolab 8」を正式発表
- DxOがX-T50・GFX100S II・IQ4 150MP・LUMIX S9などに対応する光学モジュールを公開
- DxOが創立20周年の全品20%オフキャンペーンを開催
- DxOが「X100VI」「SL3」やパナソニック・シグマレンズに対応する光学モジュールを公開
- DxOが過去最大アップグレードのNik Collection 7 をリリース
- DxOがPhotolab7.6のリリースと20%オフセール・α9 IIIやCFV100Cなどに対応と発表
- DxOがOM-1 IIやM.ZUIKO 150-600mm、シグマ望遠ズームに対応する光学モジュールを公開
- DeepPRIME XD Gen 2対応のノイズ処理ソフト「DxO PureRAW 4」を使ってみる
- DxOがDeepPRIME XD Gen 2に対応した「PureRAW 4」を正式発表