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パナソニック LUMIX S1II は高価だが連写性能や動画機能の多様性で優れている

DPReviewが「LUMIX DC-S1M2」の初期レビューを公開。部分積層型CMOSによる高速性や、最新のLUMIX機らしい専門性の高い動画撮影機能を評価しています。DRブーストオン時はローリングシャッターが目立つ模様。

DPReview:How does Panasonic's S1II fast hybrid mirrorless stack up? Review-in-progress

部分積層型CMOSセンサー

  • 部分積層型CMOSセンサーを搭載する2台目のカメラ。
  • 同社のBSIセンサーに比べて最大3.5倍高速な読み出しが可能。
    (Z6IIとZ6IIIの差と一致する。偶然ではないだろう)
  • 完全積層型CMOSのような高コスト・高複雑性を避けつつ、高速性能を実現。
  • メカシャッターで10コマ/秒、電子シャッターで最大70コマ/秒の連写に対応。
  • フルスピードで最大3秒間連続撮影が可能。

ISOとデュアルゲイン

  • スタンダードフォトスタイルではISO100がベース感度。
  • 他のモードではベースISOが高めに設定。
  • デュアルコンバージョンゲイン方式を採用。使用するゲインモードは手動で選択できる仕様。

HLG HEIF

  • HLGトーンカーブを使用した10ビットHEIF形式。
  • 標準色、モノクロ、またはLUTを適用したHDR静止画を撮影可能、同時にRAWも保存できる。
  • カメラ内で再処理してHDR HEIFとして出力可能。通常のRAW+JPEG撮影ではSDR HEIFかJPEG出力に限られる。
  • HEIF形式は依然として普及段階、すべての環境で安定動作するとは限らない。
  • 業界の標準化が進行中。

アーバンスポーツAF

  • 新たに「アーバンスポーツ認識」AFモードが追加された。
  • 従来の人物認識では対応が難しかったブレイクダンスやスケートボードといった高速・複雑な動きをする人物の検出に対応するモード。

設定のバックアップと転送

  • S1IIはSDカードへの設定バックアップ機能を搭載。
  • ユーザーは好みの設定を保存・復元できるほか、他のカメラへの設定転送も可能。
  • この機能は他機種にも拡張され、相互互換性のある設定はモデル間で共有できる予定。

ビデオ機能

  • S1RIIの多彩なビデオオプションを踏襲しつつ、より高速な読み出しが可能なセンサーを採用。
  • 主な機能
    オープンゲート録画
    4K最大120p
    シネマスコープ120p
    アナモルフィック撮影
    ProRes RAWキャプチャー
  • 加えて、デュアルゼブラ表示、フォルスカラー、シャッター角度での露出指定、Log映像のプレビューやプロキシ記録も可能。動画制作者向けに極めて高機能。

シネライクA2

  • 新しいCinelike A2カラープロファイルを搭載。低コントラストなCinelike D2と鮮やかなCinelike V2の中間的な特性。
  • 色再現は業務用シネマカメラに近づけた設計。
  • 将来的な有料ファームウェアアップデートにより、ARRI Log C3プロファイルをネイティブで使用可能になる予定、V-Logとは異なる色応答を提供。

DRブースト

  • DRブーストモードが搭載され、最大15ストップのダイナミックレンジを実現。
  • 詳細な仕組みは未公開、GH7やS1RIIとは異なるアプローチ。
  • このモードではローリングシャッター現象の影響が大きく、動画モードは最大30pに制限。
  • V-Log時にはベースISOがISO1000まで上昇する。この機能は動きの少ないシーンに限定して使うべき。

32ビットフロート機能

  • DMW-XLR2アダプターに対応し、32ビットフロートオーディオ記録が可能。
  • 異なるゲインレベルと高精度エンコーディングにより、極端に小さい音から大きい音まで歪みなく記録でき、録音レベル調整の必要がほぼなくなる。

AI-AWB

  • AIによる自動ホワイトバランス(AI-AWB)も搭載。
  • このモードは処理負荷が高く、撮影時には使えないがRAW現像時に使用可能。
  • 混合光下でも自然なホワイトバランスを実現。
  • パナソニックはこれにより、より正確な色再現が可能になると述べている。

比較すると

  • 価格が3,200ドルと高めであり、ニコンZ6III、ソニーα7IV、キヤノンEOS R6 IIなどの同クラス機よりも高価。
  • 2500ドル前後の量販向け機種と、4000ドル近い高解像度機種の中間に位置するモデルは少なく、事実上の競合は100ドル高いS1RIIのみ。
  • 連写性能や動画機能の多様性で優れ、特にアナモルフィック撮影対応など、動画制作用途における専門性では他機を上回る。
  • 一方、動画支援ツールの使いやすさでは他社製品が優位になりつつある。
  • カメラ内で高解像度マルチショットRAW/JPEG合成を実現できる点は、このクラスではパナソニックのみが提供している機能。
  • S1IIEは価格を抑えた姉妹モデルで、同社が「Essential(必須)」と定義している。

ボディとハンドリング

  • 筐体はS1RIIとほぼ同一、S5と似たサイズ感ながら、グリップ形状を改良し操作性とのバランスを最適化。
  • 従来機より小型軽量化されたが、堅牢で防塵防滴構造も維持しており、密度感のあるしっかりとした手応え。
  • 左側面にはマイク端子、USB-C(10Gbps)、フルサイズHDMIなど豊富なポートを備える。
  • モニターは多軸式で柔軟に可動し、端子との干渉も少ない。
  • 右側面には2.5mmリモート端子を装備。
  • シンクロ端子はないが、Bluetoothタイムコード同期(Atomos対応)に対応。
  • 記録メディアはCFexpress Type BとUHS-II SDカードのデュアルスロット。
  • USB-C経由で外付けSSDへの動画記録も可能。
  • EVFは576万ドット・0.78倍の高倍率で、21mmのアイポイントを持つ。視認性は高いが眼鏡使用時は四隅がやや見づらくなる可能性がある。

バッテリー

  • 使用バッテリーは15.8WhのDMW-BLK22で、液晶使用時は約360枚、EVF使用時は約320枚の撮影が可能(いずれもSDカード使用時)。
  • CFexpress使用時は撮影枚数がやや減少するが、クラス相応の性能。
  • 別売のDMW-BG2バッテリーグリップに対応し、2本目のバッテリー追加によりホットスワップが可能となる。

ビデオ機能

  • パナソニックらしく動画機能が非常に豊富。
  • シャッター角設定、波形モニター、フォルスカラー、デュアルゼブラ、ベクトルスコープ、Log/HLG補正ビュー表示など、撮影支援機能が充実。
  • 録画中を示すタリーランプ、プロキシ動画同時記録、マイクゲイン設定機能なども装備。
  • ビデオモードは「Q」ボタンでカスタム登録可能で、膨大な動画設定に素早くアクセスできる。

オープンゲートとアナモルフィックモード

  • センサー全域を使用する「オープンゲート」に対応しており、編集時のトリミングや手ブレ補正処理を想定した運用が可能。
  • アナモルフィックレンズ使用時には、センサーの4:3全高を活用した撮影が可能で、デスクイーズ表示やアナモルフィック用の手ブレ補正設定など、専用支援機能も充実。

ワイドスクリーンモード

  • 部分積層型センサーは従来機より読み出しが高速で、全幅での60p記録や、クロップ付きの4K/120p撮影が可能。
  • また、5.xK相当の高解像度を活用した多彩なネイティブ撮影モードを備える。
  • 特徴的なのが、2.41:1の超ワイドアスペクト比モードであり、水平方向のクロップなしにセンサーの最大高を利用できる。

内部RAWデータ

  • CFexpressスロットまたは外付けSSDへの記録に対応し、ProRes RAW(標準またはHQ)での撮影が可能。
  • 記録解像度は5760×3040または4096×2160から選択可能で、用途に応じた高品位な映像収録が行える。
  • 記録モードは非常に多岐にわたり、圧縮形式や画角モードの差異により166種以上が存在する。
  • 重複設定も多く、実用上は「マイリスト」機能を活用して必要な設定のみを絞り込む運用を推奨。

HDMI経由のRAW

  • HDMI経由でのRAW出力にも対応しており、AtomosまたはBlackmagic製レコーダーを用いてProRes RAWまたはBlackmagic RAW形式での外部収録が可能。
  • 外部編集向けの柔軟かつ高品質なワークフローを構築できる。

2025年5月に登場したLUMIX S1の後継モデル。外装はLUMIX S1RIIを継承しつつ、「2400万画素 部分積層型CMOSセンサー」を搭載。高速性を重視したカメラで、70fpsのAFC連続撮影や4K 120pの動画撮影、1/16000秒の高速シャッターなどに対応しています。

販売価格はやや高めですが、ライカLマウント勢としては貴重な(部分)積層型イメージセンサー搭載モデル。高速連写やローリングシャッターを抑えた動画撮影をしたい人にとって検討する価値のある選択肢。

DPReviewの初期レビューでは、競合機種よりも高価ながら、専門性の高いカメラと評価。DRブースト使用時にローリングシャッター速度が遅くなるのが悩ましいものの、オフ時の高速性はとても良好のようです。70fpsのAFC連続撮影をこの価格で利用できるのは魅力的ですね。

逆に高速性が必要なければ「DC-S1M2E」も要検討のようですが、この場合は「DC-S5M2(X)」と悩むことになりそうです。

パナソニック LUMIX DC-S1M2 最新情報まとめ

DC-S1M2
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主な仕様

イメージセンサー タイプ:35mmCMOS
有効画素:2410万画素
部分積層型
ラティチュード 15 stops V-Log DRブースト
14+stops V-Log
センサー除塵 センサーシフト式
ARコーティング
手振れ補正 5軸 中央8 / 周辺7
Dual.I.S 2
ISO Normal 100-51200
V-Log 640-51200
DRブースト on / off
デュアルネイティブISO Auto/L/H
ストレージ 1:CFexpress Type B
2:SD UHS-II
AF 検出方式:像面位相差 / コントラスト
測距点:779点 / 315点
測距輝度範囲:-6-18EV
被写体検出 人物
動物
自動車
バイク
電車
航空機
シャッター メカニカル:60-1/8000秒
電子先幕:60-1/2000秒
電子:60-1/16000秒
フラッシュ同調速度 1/250秒
連続撮影速度 メカニカル
H+ 10コマ秒 AFC
電子
SH 60-70コマ秒 AFC
H+ 10コマ秒 AFC
連続撮影枚数 RAW 200枚以上
SH RAW 180枚
ファインダー パネル:OLED
解像度:576万ドット
フレームレート:60/120fps
モニター サイズ:3.0型
解像度:184万ドット
可動方式:フリーアングル
動画フレームレート 6K 59.94p LGOP
4K 119.88p LGOP
4K 59.94p ALL-I
5.8K 29.97p ProRes
4K 59.94p ProRes
動画出力 MOV
(H.264 / H.265 / ProRes / ProRes RAW)
MP4
(H.264 / H.265)
Log V-Log
ARRI LogC3(DMW-SFU3A)
音声 LPCM
24bit
32bit float(XLR2)
USB USB-C 10GB
USBストリーミング 4K 29.97p
マイク/ヘッドホン マイク:3.5mm
ヘッドホン:3.5mm
HDMI Type A
Wi-Fi 5 / 2.4GHz
ストリーミング FHD 59.94p
Bluetooth 5.0
その他ポート類 2.5mmリモート
バッテリー タイプ:7.2V 2200mAh
撮影可能枚数LVF:348枚(CFe)/ 359枚(SD)
サイズ 134.3×102.3×91.8mm
重量 本体のみ:718g
バッテリー含:800g
防塵防滴 対応
バッテリーグリップ DMW-BG2(別売)

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