Dustin Abbottが富士フイルム「FUJIFILM X-M5」のレビューを公開。フォーカス性能(特に動画撮影の動体)がイマイチとしつつ、小型軽量で手頃な価格のミラーレスとしては堅実な選択肢と評価しています。
富士フイルムの第四世代ミラーレスと第五世代ミラーレスのスペックが入り混じる2024年の最新機種で、V-log向けの比較的低価格なモデル。センサーとプロセッサの組み合わせは「X-S20」と似ていますが、比較してボディ内手振れ補正や電子ビューファインダー非搭載。さらに新型大容量バッテリーではなく、従来の小型バッテリーを使用しています。そのぶん小型軽量で低価格となっており、トレードオフを理解・許容できるのであれば面白い選択肢と言えそうです。
Dustin Abbottのレビューは以下の通り。
Dustin Abbott:Fujifilm X-M5 Review
外観
X100VIとの視覚的な共通点が見られる。トップラインや小さなグリップの膨らみ、上部コントロールスキームが類似。レトロな美学を持つが、コントロールスキームは平凡。コンパクトカメラでも十分な人間工学的な大きさがあるほうが望ましい。
質感
記載なし。
バッテリー
NP-W126Sバッテリーは1260mAhで、エコノミーモードで最大440フレーム、通常モードで330フレーム撮影可能。エコノミーモードでは性能が低下し、実用的ではない。動画撮影時の稼働時間は45分程度であり、予備バッテリーが推奨される。
メモリカードスロットの位置が不便で、六角レンチでプレートを取り外す必要がある場合がある。また、カードがカメラ中央付近にあり、アクセス性が悪い。
インターフェース
メモリカードはバッテリー横に収納され、不便な配置。三脚のQRプレートを装着すると、カードへのアクセスが制限される。スロットはUHS-I対応で、6K30動画には十分だが、最新規格には劣る。マイクロHDMIポートは小型設計ゆえだが壊れやすい印象を受ける。
携帯性
非常にスリムでスタイリッシュだが、人間工学的な実用性を犠牲にしている。競合と比較しても圧倒的にスリム。
グリップ厚さ38mm(約1.5cm)で、グリップはほとんどない。右側にわずかな膨らみがあるが浅い。小型軽量レンズに適しており、大型レンズには不向き。携帯性は大きく向上。
操作性
フィルムシミュレーションダイヤルはJPEG撮影者向けで、RAW撮影者には不要と感じる。ダイヤルに別機能を割り当てられない点は制限が多い。Qメニューボタンや背面ボタンは小さく操作が難しい。フォーカスモードのスイッチがなく不便。
手ぶれ補正
記載なし。
ファインダー
ビューファインダーは搭載されていない。
モニター
3インチのバリアングル液晶画面で解像度は104万ドット。画面が唯一の構図ツールだが、解像度不足が難点。明るい条件下では視認性が悪く、ファインダーがない点が不便。
メニュー
タッチによる完全なメニューナビゲーションがなく、操作性が劣る。タッチ機能の反応性も低く、競合製品に比べて不正確。
フォーカス
最新のAIベース被写体検出AFを搭載し、多様な被写体を追跡可能。フレーム内に追跡可能な被写体がある場合に AF システムが間違いなく最もよく機能する。X-H2 や X-M5 などのカメラの最新のファームウェア アップデートは、静止画のオートフォーカスの点で大幅に改善されている。他のカメラと比べてそれほど劣っているとは感じない。
動画撮影時は動き続ける被写体の追従性能は他社に劣る。特にファインダーなしでは追跡が難しい。動画フォーカスは改善されたが、動作中の焦点追尾は安定性を欠く。
連写性能
機械式シャッターで8FPS、電子シャッターで20FPS(1.25倍クロップ時30FPS)。26MPセンサーのためバッファ深度が優れており、RAW撮影でも実用的。
解像性能
X-Transセンサーは独自の処理方法を持つが、ベイヤーセンサーに比べて利点が少ない。モアレの軽減は実感しにくい。
高感度ISO
ISO 12,800では明確なノイズがあるが許容範囲。ISO 3200までは非常に良好で、6400でも実用的。拡張範囲のISO 25,600と51,200は品質が低下し、実用性に欠ける。
ダイナミックレンジ
X-S20 (または X-M5) は、シャドウ部分を非常にきれいに復元する優れた機能を持つ。意図的に4段階露出不足にし、後処理で復元した画像では、ほとんどペナルティなしで復元できた。コントラストは良好で、画像は明るく美しい。ノイズの増加はほとんど見られず、縞模様や変色も発生せず、画像のコントラストがきれいに復元された。
一方で、ハイライトの回復はシャドウの回復よりもやや劣る。2段階のハイライト回復は良好だが、3段階以上では回復された画像が不自然になる傾向がある。
ダイナミックレンジをさらに広げたい場合には、富士フイルム独自の優れた回避策が利用可能である。ホワイトバランス
記載なし。
JPEG
これは間違いなく富士が得意とする分野。色は、彩度レベルが高く、色調の遷移が心地よい、非常に美しい。
動画
-M5は富士フイルムのFAN-001冷却ファンアクセサリと互換性がある。また、完全可動式スクリーンを備えたカメラで、特にVlog撮影に適している。専用のVlogモードでは、ズームコントロールやタッチ操作を含む新しい画面インターフェースが表示される。ただし、タッチスクリーンの反応性には課題が残る。
オーディオ録音機能も強化されており、内蔵マイクで創造的な音声録音が可能である。ビデオは高ビットレート・高品質で録画できるだけでなく、低ビットレートで録画し、素早く共有することもできる。
総評
富士フイルム X-M5は、特定の市場セグメントに向けて設計されたカメラである。価格は799ドルと手頃であり、現行モデルの中で最も安価な部類。
欠点はいくつかあるが、ファインダーや手振れ補正がないことを指摘するのは不公平。むしろ、競合製品と比較してオートフォーカス性能が劣る点を指摘したい。しかしながら、競合製品にはないビデオ機能や外観の美しさなど、多くの魅力的な特徴も持ち合わせている。操作性は好きではないが我慢できる。
APS-Cセンサー領域でここまで注力しているブランドは少なく、X-M5は800ドルという価格で堅実な選択肢となる。ただし、欠点を許容できるかどうかは購入者次第である。
他社のVlogカメラと比べると静止画向けの機能が充実しているので使いやすそうですね。フィルムシミュレーションダイヤルにより、簡単にカラーモードを選べ、SNSへの投稿に最適な設定が可能。コンパクトで軽量なデザインは持ち運びやすく、見た目もおしゃれ。画質や動画性能は優秀で、プロ並みの結果を手軽に得られるとしています。
オートフォーカス性能は他社ほどでもないと指摘する声があり、Dustin Abbottも部分的に同意見となっているようです。被写体検出が動作する状況では問題無さそうですが、それでも連続する動体撮影では競合他社と比べて見劣りする模様。このあたりは将来的にファームウェアで改善するのか注目ですねえ。
他のサイトでも誤操作が指摘されているフロントコマンドダイヤル、小さすぎるQボタンなどについて指摘。さらにファインダー非搭載である点もマイナスポイントのようですが、それ以上にフォーカス性能が同氏にとって欠点となっているようです。
私もX-M5を使用中。(第四世代からの乗り換え)
AFはソニーやキヤノンなどと比べると確かに見劣りする部分を感じます。と言っても、前世代の富士フイルム機と比べるとずっと使いやすく、検出機能を利用できる場合は特に不満ありません。トラッキングAF単体で利用する場合は不安定で、常用したいとは思いませんでしたが…。
また、Qボタンが小さすぎる点はその通り。良く使うであろうボタンをここまで押しづらくデザインする必要があったのか疑問が残ります。
FUJIFILM X-M5 ブラック ボディ | |||
楽天市場 | Amazon | キタムラ | Yahoo |
ビックカメラ | マップカメラ | ECカレント | eBEST |
メルカリ | キタムラで中古在庫を探す | ||
FUJIFILM X-M5 シルバー ボディ | |||
楽天市場 | Amazon | キタムラ | Yahoo |
ビックカメラ | マップカメラ | ECカレント | eBEST |
メルカリ | キタムラで中古在庫を探す | ||
FUJIFILM X-M5 ブラック レンズキット | |||
楽天市場 | Amazon | キタムラ | Yahoo |
ビックカメラ | マップカメラ | ECカレント | eBEST |
メルカリ | キタムラで中古在庫を探す | ||
FUJIFILM X-M5 シルバー レンズキット | |||
楽天市場 | Amazon | キタムラ | Yahoo |
ビックカメラ | マップカメラ | ECカレント | eBEST |
メルカリ | キタムラで中古在庫を探す |
主な仕様
- センサー:2,610万画素 X-Trans™ CMOS 4
- プロセッサ:X-Processor 5
- JPEG/HEIF/TIFF/RAW
- 9:16ショートムービーモード
- ISO 160-12800
- 拡張ISO 80-51200
- メカニカルシャッター:15分〜1/4000秒
- 電子シャッター:15分〜1/32000秒
- フラッシュ同調速度:1/180秒以下
- SD UHS-I 対応スロット
- ボディ内手振れ補正なし(動画電子手振れ補正のみ)
- インテリジェントハイブリッドAF
・13×9 / 25×17
・被写体検出:動物/鳥/クルマ/バイク&自転車/飛行機/電車 - 3.0型 バリアングル式液晶モニタ 104万ドット
- ファインダー非搭載
- 連続撮影速度
・メカニカルシャッター:~5fps
・電子シャッター(x1.25):~30fps
・電子シャッター(クロップなし)~20fps: - 連続撮影枚数:
・約20コマ/秒 非圧縮RAW 23枚
・約10コマ/秒 非圧縮RAW 24枚 - 動画
・MOV / MP4
・HEVC/H.265 / MPEG-4 AVC/H.26
・Long GOP
・6.2K 29.97p
・4K 59.94p
・FHD 240p - Vlogモード
- 20種類のフィルムシミュレーション
- USB-C 10Gbps
- HDMI D
- Wi-Fi:802.11b/g/n
- Bluetooth Ver. 4.2
- 3.5mm マイク(背面に搭載)
- NP-W126S バッテリー
・省電力 440枚
・通常 330枚
・6.2K 45分
・4K 50分
・FHD 45-50分 - サイズ:111.9×66.6mm
- 重量:355g
関連カメラ
関連記事
- FUJIFILM X-M5 はAF性能を除けば手頃な価格で堅実な選択肢 2025年2月2日
- FUJIFILM X-M5 手頃で軽量な唯一無二の選択肢 2025年1月12日
- FUJIFILM X-M5 は動画も撮れる静止画カメラだがAFには改善の余地がある 2024年12月20日
- DxOがX-M5・ZV-E10 II・M11-Dなどに対応する光学モジュールを公開 2024年12月11日
- FUJIFILM X-M5 レビューVol.3 ファーストインプレッション 2024年12月10日
- FUJIFILM X-M5 レビューVol.2 ダイナミックレンジ編 2024年12月3日
- FUJIFILM X-M5 はコンパクトで実用性の高いX100VIのレンズ交換式モデル 2024年12月2日
- FUJIFILM X-M5 レビューVol.1 外観・操作編 2024年11月29日
- FUJIFILM X-M5 のAFはEOS R10とほぼ同じ 2024年11月29日
- FUJIFILM X-M5 ハンズオンレビュー 2024年11月28日