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キヤノンのリニアモーターを使用したフォーカス装置に関する特許出願

2023年7月7日付けでキヤノンの気になる特許出願が公開。デジタルカメラ用レンズのフォーカス駆動で使用するリニアモーターに関するもので、大型化の抑制と省電力化を目指した技術のようです。

概要

  • 【公開番号】P2023096628
  • 【公開日】2023-07-07
  • 【発明の名称】リニアモーター、レンズ鏡筒、及び駆動装置
  • 【出願日】2021-12-27
  • 【出願人】
    【識別番号】000001007
    【氏名又は名称】キヤノン株式会社
  • 【課題】外形サイズの大型化を抑制しつつ電力効率を向上させることができるリニアモーター、レンズ鏡筒、及び駆動装置を提供する。
  • 【背景技術】
    【0002】
    リニアモーターは、主として一方向に力を発生するモーターであり、小型ではMEMS等の微小デバイス等から大型ではリニアモーターカーの駆動機構等まで、様々な形態で実用化されており、産業上の広い分野で活用されている。リニアモーターは専ら直線的に駆動するアプリケーションで使用されることが多く、リニアガイド機構と組み合わされて使用されることが多い。
  • 【0003】
    リニアモーターは、推力の発生原理で分類すると、電磁式、圧力式、摩擦式、引張・押出式等に分類され、また、駆動範囲で分類すると、有限軌道、無限軌道等に分類される。また、いわゆるラックアンドピニオンやタイヤ等の機構を利用して、通常の回転モーターの推力を直線的な推力に変換して用いるデバイスも広義にはリニアモーター(リニアアクチュエータ)に分類されることもある。
  • 【0004】
    リニアモーターの使用例として、レンズ鏡筒内のフォーカス機構がある。レンズ鏡筒においては、撮影時に所望の位置の被写体に対してピントを合わせるために、その内部にあるフォーカスレンズ群をカメラの撮像素子に対して直交する光軸上で前後に移動調整するフォーカス動作が行われる。このフォーカスレンズ群の移動調整にリニアモーターが使用される。
  • 【0005】
    レンズ鏡筒内のフォーカス機構に用いられるリニアモーターに必要な条件として、レンズ鏡筒内に収まるサイズであること、フォーカスレンズ群を移動調整するのに十分な推力の最高出力や分解能を備えていること、静粛であること等がある。これらの条件を満たすため、上記の分類のうち、有限軌道の電磁式のリニアモーター、特に、永久磁石とコイルの組み合わせによりローレンツ力を発生させる、一般にボイスコイルモーター(VCM)と呼ばれるものが使用される場合がある。
  • 【0006】
    VCMは無通電時には推力を発生しないため、レンズ鏡筒内のフォーカス機構としてVCMを用いる場合、使用中、常にVCMに通電を行いフォーカスレンズ群を保持する必要がある。このため、撮影シーンによっては、他の摩擦式の超音波モーターをレンズ鏡筒内のフォーカス機構に使用した場合と比べて、多量の電力を消費してカメラのバッテリの消費を早めてしまう場合がある。よって、レンズ鏡筒内のフォーカス機構としてVCMを用いる場合、VCMの電力効率の向上が求められる。
  • 【0007】
    有限軌道のVCMを外形サイズを大きくせずに電力効率を向上させるには、永久磁石とヨークで構成される磁気回路の効率(以下単に磁気効率と呼称する)、すなわちVCMのコイル領域の推力の発生に寄与する磁束の密度をいかに高められるかが鍵となる。尚、ここでの磁気回路とは、空間中の磁束の流れを回路中の電流の流れに例えた表現であり、各地点における磁束密度の向きと大きさを示すが、永久磁石とヨークの組み合わせそのものも示す。また、一般的な有限軌道のVCMにおいては、駆動ストロークにおける中央部に比して両端部側で相対的に磁気効率が低下することが知られており、これを抑えることも実用上重要な点となっている(例えば特許文献1参照)。
  • 【0010】
    しかし、特許文献1のVCMでは、駆動ストロークにおける磁気効率を均一化させるべく駆動ストロークの中央部の磁気効率を低下させているため、電力効率が全体として悪くなるという課題がある。また、特許文献2の構成では別途磁石を固定するための固定手段を必要とするため、リニアモーターの外形サイズが大きくなりやすいという課題がある。
  • 【0011】
    よって本発明は、外形サイズの大型化を抑制しつつ電力効率を向上させることができるリニアモーター、レンズ鏡筒、及び駆動装置を提供することを目的とする。

現在、キヤノン製交換レンズにおけるフォーカス駆動は一眼レフ用で「リング型USM」、ミラーレス用で「NanoUSM」が主流となっています。どちらも超音波を使った駆動方式となっており、磁石を使ったリニアモーター駆動のレンズは無し。

大きなレンズ群を動かす力が必要な場合はミラーレス用レンズでも「リングUSM」を使用しているため、細かい微調整や滑らかで静かな動作が求められる動画撮影では不向きと感じるかもしれません。他社ではリニアモーター駆動を採用するモデルが増加しており、ソニーや富士フイルムをはじめタムロンやシグマなどのレンズメーカーも採用しています。

現状、NanoUSM採用レンズに関してフォーカス速度の不満は全くありませんが、リングUSMを置き換えるためにキヤノンも自社でリニアモーター駆動を検討しているのかもしれませんね。

参考:キヤノンRFレンズ一覧

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