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シグマ 17mm F4 DG DN レンズレビューVol.5 諸収差編

シグマ「17mm F4 DG DN」のレビュー第五弾を公開。今回は色収差や歪曲収差など各収差を恒例のテスト環境でチェックしています。

17mm F4 DG DNのレビュー一覧

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

少なくともLUMIX S5IIのRAWをAdobe Camera RAWで現像する分には倍率色収差がよく抑えられているように見えます。補正プロファイルによる強制的な補正が適用されているのかどうかは不明。補正が適用されているのだとしても、細部のコントラストは良好で、大きな問題は無いように見えます。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

F4の絞り開放から軸上色収差に関する問題はまったく目立ちません。

球面収差

ピント前後の描写に極端な違いは見られず、球面収差は良好に補正されているようです。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

スライドショーには JavaScript が必要です。

未補正のRAWではやや目立つ樽型の歪曲収差が残存していることが分かります。ミラーレス用の広角レンズではよくあるように、カメラや現像ソフトでの電子的な補正を前提とした光学設計。小型軽量なミラーレス用の超広角レンズとしては予想していたよりも歪曲収差はよく抑えられているように見えます。ただし、陣笠状の歪みを伴っているため、手動での補正は難しいはず。補正用プロファイルを使った修正が必須と思われます。

また、プロファイルによる補正時は綺麗に修正されますが未補正RAWと比べると大幅なクロップが発生する点に注意が必要です。(ただし、公称値の画角は補正後の数値となっているはず)

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

極端に目立つ残存収差ではありませんが、フレーム隅では点光源の変形が見られます。これを抑え込みたい場合はF5.6-F8くらいまで絞る必要あり。遠景テストで隅のコントラストが改善する傾向と一致します。

まとめ

電子補正込みで考えると、このレンズで欠点と感じる大きな残存収差はありません。絞り開放から色収差は良好に補正され、コマ収差も許容範囲内に収まっているように見えます。ただ、(今回は作例を用意していない)接写時は像面湾曲が強くなるので注意が必要です。遠景など撮影距離が長い場合は像面湾曲について心配する必要はありません。

歪曲収差はカメラ内、もしくは現像ソフトによる補正が必須。陣笠状の歪みを伴う強い樽型歪曲が発生します。風景撮影など気にならないシーンもあるかと思いますが、フレームに直線が入るシーンでは自動補正をオンにしておいたほうが良いでしょう。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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