Tamronレンズ カメラ レンズ 機材レビュー 管理人レビュー

28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 Z-mount レンズレビューVol.4 諸収差編

「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」ニコンZマウントのレビュー第四弾 諸収差を公開。部分的にカメラや現像ソフトでの補正が必要ですが、手動補正が必要な欠点は特にありません。

簡易的なまとめ

大口径レンズで問題となる軸上色収差は良く補正されています。中間域から望遠側で少し強くなりますが、それでも実写では目立たない程度に抑えられている模様。F2.8から快適に利用することができます。状況によって倍率色収差が目立つ場合があるかもしれませんが、基本的には自動補正されます。

注意点があるとすれば50mm以降の強い糸巻き型歪曲ですが、これもカメラや現像ソフトで自動補正が可能。補正できないような使い方では糸巻き型歪曲の手動補正が必要となりますが、一般的な使い方で苦労することは少ないはず。

The axial chromatic aberration that is a problem with large-diameter lenses is well corrected. It becomes a little stronger in the middle range and telephoto range, but even so, it seems to be suppressed to a level that is not noticeable in actual photography. It can be used comfortably from F2.8. Depending on the situation, there may be cases where the magnification chromatic aberration is noticeable, but it is basically corrected automatically.

If there is anything to be careful about, it is the strong pincushion distortion that occurs at 50mm and beyond, but this can also be automatically corrected using the camera or development software. If you use the camera in a way that cannot be corrected, you will need to manually correct for pincushion distortion, but you should have little trouble using it in a general way.

28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 ニコン用のレビュー一覧

諸収差レビュー

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

接写時は広角側で像面湾曲の影響が見られるものの、遠景の撮影ではズーム全域で大きな問題がありません。参考までに各焦点距離におけるF2.8を使った中央・周辺・隅のクロップ画像を掲載。

28mm
35mm
50mm
75mm

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

Z 8のRAWをAdobe Lightroomで現像(レンズ補正オフ)でしたところ良好に補正されているように見えます。ただし、ソニーEマウント版をテストした際はより大きな倍率色収差を確認しています。これは組み込みのレンズプロファイルにより強制的に補正されていると思われ、実際には僅かな色ずれが発生していると思われます。

28mm
35mm
50mm
75mm

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

28mm

絞り開放から全く問題ありません。完璧な補正状態です。

50mm

28mmと比べると僅かな色収差が発生していることが分かります。ただし、このように軽微な問題が実写で影響する状況はごく僅か。心配するような問題ではありません。無視できる程度。

75mm

50mmと同程度の軽微な影響。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

28mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

28mmとしては少し目に付く樽型歪曲ですが、驚くほどの収差量ではありません。特にミラーレス用の標準ズーム広角側としては非常に穏やか。

35mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

35mmの段階で糸巻き型歪曲へと変化。収差は穏やかで、大部分の状況では無視できる範囲内。

50mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

35mmと比べて強めの糸巻き型歪曲が発生。場合によっては不自然に見えるので補正が必要。

75mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

50mmと同じく強めの糸巻き型歪曲が発生。かなり目立つので注意が必要。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

28mm

絞り開放から良好な補正状態で大きな問題はありません。

35mm

引き続き良好で、絞り開放から顕著な影響はありません。

50mm

引き続き良好な補正状態。

75mm

僅かに影響があるものの、大きな問題はありません。

球面収差

28mm

非常に良好な補正状態です。

50mm

非常に良好な補正状態です。

75mm

非常に良好な補正状態です。

まとめ

大口径レンズで問題となる軸上色収差は良く補正されています。中間域から望遠側で少し強くなりますが、それでも実写では目立たない程度に抑えられている模様。F2.8から快適に利用することができます。状況によって倍率色収差が目立つ場合があるかもしれませんが、基本的には自動補正されます。注意点があるとすれば50mm以降の強い糸巻き型歪曲ですが、これもカメラや現像ソフトで自動補正が可能。補正できないような使い方では糸巻き型歪曲の手動補正が必要となりますが、一般的な使い方で苦労することは少ないはず。点光源の再現性は良好で、ズーム全域でF2.8から問題無く使用可能。夜景や星空の撮影にも利用できます。絞れば光条も綺麗なので、夜に持ち歩くのも面白いレンズ。

購入早見表

このような記事を書くのは時間がかかるし、お金もかかります。もしこの記事が役に立ち、レンズの購入を決めたのであれば、アフィリエイトリンクの使用をご検討ください。これは今後のコンテンツ制作の助けになります。

作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

関連レンズ

関連記事

-Tamronレンズ, カメラ, レンズ, 機材レビュー, 管理人レビュー
-, ,