まえがき
キヤノンEFマウントを使うならやってみたいと思っていたのが超望遠の世界。
ニコンのレンズ一体型カメラ『COOLPIX P900』でその面白さは感じていたものの、センサーサイズの小ささや操作感から満足しきれていなかった。
手持ちのペンタックスやM4/3システムでもよかったのだけれども、「動き物撮るならやっぱりキャノニコだよね」というステレオタイプさが出てしまった。という点もあるのだけれども、そもそもKマウントでは150-600|CやタムロンのA011(150-600mm)が売っていない。M4/3の70-300mmや100-300mmという手もあるが、動体追従にそこまで信頼を置いていなかったと言ったところが主だった要因。
タムロンA011との比較記事は別途用意したのでご確認を。
外観・機能性
外観
全長260mm・重量1.9?と入門レンズながら堂々のサイズ感。さすがフルサイズ対応の超望遠ズームだ。この手のレンズは手ぶれ補正とズームレンジをカバーするとおよそこの程度の大きさになってしまう。APS-CやM4/3専用のレンズにすると比較して小さくなるが、キヤノンやニコンに関してその手のAPS-C専用は存在しない。
外観は現行のシグマレンズと同様にマットな仕上がりでチープさはない。18-35mmF1.8を購入した時に感じた擦り傷がやたらと付く感じは同様で、マットな表面に固いものを擦ってしまうと擦れたような跡が残ってしまうのがマイナス。
入門レンズと言っても10万円前後の高価なレンズには違いないので保護フィルターを装着したいところだが、フィルター径は95mmととってもお財布にやさしくない大きさをしている。
とはいえ、このレンズには他社で言うところの「フッ素コーティング」や「防汚コーティング」のように「撥水/防汚コーティング」が施してある。多少ラフな扱い方をしてもメンテナンス性には優れている。
色収差を補正する為に、前玉には巨大なSLDガラスを2枚使用、さらに中玉にもSLDを一枚使用している。加えて後群には小さいながらも蛍石と同等の性能を有するFLDガラスを一枚採用して効果的に色収差を補正。
フードを装着するとさらに全長が伸びる上、ズーミングでテレ端600mmにするとこのレンズが最も長くなる。
前玉が巨大でズームさせる事で重心が前に移動するため、左手で支える場合にはフードや伸びた鏡筒部分に手を添えることになる。鏡筒のガタツキは無くしっかりとした造りになっているので問題はない。
上位モデルの「Sports」では前玉を掴んで直進ズームのようにレンズを引っ張り出せる仕様になっているが、このレンズはトルクが重く手で引っ張り出すには向いていない。
ズームロックスイッチが存在するが、適時ロックをかける事が出来るものではなくワイド端でレンズを格納してある時にしかロックボタンを利かせることはできない。
三脚座を重心としてバランスが取れているので直置きしても倒れない。レンズがおよそ2?あるので、カメラでレンズを支えるにはバランスが悪いので三脚座か鏡筒の前方を掴んでの操作が基本となってくる。
機能性
ピントリングはズームリングの手前に配置されている。基本的にAF前提のデザインとなっているので、正直なところこのピントリングを操作するのは不便。指の引っ掛かりも弱い。
ただし、ズームリングとそう距離が離れていないのでズームさせつつピントリングの操作ができない訳でもない。マニュアルオーバーライド「MO」に対応しているので(ニコンで言うところのM/Aモード)シビアなピント調整の時にはありがたい。
フォーカスリミッターはFULL、10-無限、2.8-10mの3通り。手ぶれ補正は流し撮り「モード2」と通常「モード1」を採用している。
フォーカスリミッターやOSは調整が可能になっており、それぞれをUSBDockで設定しカスタムモードC1・C2に指定することができる。特にOSの効き目は通常「ノーマル」になっているので、最大限の効き目を得るためにはUSBDockで「強」をカスタムモードに設定しなければならない。
手持ち撮影が多いならUSBDockで操作感を追い込む必要性が高い。
三脚座の大きさは必要十分と言ったところで、タムロンのA011競合レンズと比較すると小ぶりなものとなっている。
三脚座を掴んで運搬するにはやや心もとない。
「防滴」と謳っているが、施されているのはマウント部のスカートのみ。
シーリングというよりは「水滴が入りにくい構造」というだけのものであり、本格的に雨が降ってきたらかなりヤバそうだ。レインコートは必須だと思われる。
実写
被写体まで距離がある花はすを撮影する時に持って行った。レンズきっとの55-250mmでは「もう一息」という距離感で詰められない時が多かったのに対して、このレンズは「十分すぎる」ほど近寄ることができる。600mmをAPS-Cで使えば900mm程度になるので当然と言えば当然なのだけれども…。
とはいえ、実際のところ600mmの望遠端を使うシーンは稀でおよそ150-300mmの間を使っていた。
400mm(換算600mm)以上の焦点距離だと被写界深度が絞っても浅く、背景がすっ飛んでしまう。圧縮効果を楽しめるが、被写体の選定や背景のフレー民具が大変だった。
超望遠をローアングルで扱えるのはバリアングル液晶を搭載したEOS 80Dならではと感じる。
背面液晶が固定されているカメラマンはノーファインダー・ノーモニターで連射して「数打って当たればラッキー」な戦法を取っていた。
小さい被写体でも望遠側を使えばそこそこクローズアップ出来る。ただし、手ぶれ補正の効き目が弱くなる+被写界深度が薄っぺらいので向いている使い方ではない。
特にローライトなシーンで、低感度を維持しての手持ちは難易度が高い。手ぶれ補正を搭載していても油断できないので、せめて一脚はほしいところ。
場所を変えて坂井氏の田園地帯にて。
この日はやや風が強く、特に望遠レンズを持つ体が煽られてしまう。「大丈夫かな?」と思ってはいたものの、さすがに600mm超えの世界は三脚の必要性がかなり高くなる事を実感。
こうやって一眼の600mm(換算900mm)を使ってみると換算2000mmを手持ちでカバーできる「Nikon P900」の強力な手ぶれ補正効果が欲しくなってくる。画質は確かにかなり劣るがシャッター切れなければ意味がないしなぁ…。と悩みどころ。
ただし、一度ピントを外すと復帰には時間がかかるので爆速で無いのは確か。サギやトンビなど予想がつく飛び方なら問題なく撮影できると思われる。
ツバメや蝶などの素早く不規則に飛びまわる被写体は難しい。鳥専門の方の技術力に脱帽させられる、一体どうやって撮っているんだろう。
コントラストが高い部分にパープルフリンジが確認できるが、リサイズした段階でよくわからなくなる程度。
APS-Cサイズの2400万画素であるEOS 80Dではトリミング耐性は高いと言えない程度。x1.3倍くらいに切り取っても問題なさそうだが、特に遠景ではやや粗が目立つかもしれない。
とはいえ、APS-C2400万の画素ピッチでかなり健闘しているので、フルサイズの2400?3600万程度の画素であれば十分実用範囲だと思われる。
飛行機・鉄道・鳥など出来るだけ寄りたいシーンには便利だが、風景・ネイチャーが多いと600mmの圧縮効果を使う場面がかなり少ない。
APS-Cでは特に600mmの望遠端は換算900mmの画角となるので使いどころを非常に選ぶ。APS-Cメインであれば、多少高いながらも堅牢性や画質が良好な『EF100-400F4.5-5.6L IS II USM』という選択肢の方が良いかもしれない。もしくは同価格帯に『EF70-300mm F4-5.6L IS USM』が存在するのでご一考を。
フルサイズとして使うのであれば、純正では用意されていない良い選択肢。タムロンのA011と違って専用テレコンも用意されているので、さらに望遠が必要な場合に対応し易いのもグッド。
まとめ
Good
- カスタム設定機能が充実している(要USBDock)
- 安さを感じない鏡筒の造り
- ズーム全域で安定した性能
- 逆光耐性
- 撥水/防汚コーティング
- 遅くないフォーカシング
Bad
- 競合レンズ並みの重量感
- 競合レンズ並みのサイズ感
- 防滴仕様がマウント部のスカートのみ
- 望遠端での手ぶれ補正の効き目(近接時なのでしょーがないと言えばしょーがない)
購入早見表
当レンズ特設ページ『安くて写りが良い超望遠レンズ 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary 』
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