ここ数年でカメラの性能が飛躍的に向上しましたね。特に「小型で高画質」な点はまだまだスマホに譲らない部分が大きいです。
ただし、同時にコンパクトデジタルカメラがプレミアムな価格に引き上げられてしまい、一眼カメラとそう大差ない、もしくはそれ以上の価格設定となっています。
「それじゃあ、どっちを買えばいいのか?」と言うのが今回の内容。手持ちに1型センサーのフラグシップモデルとも言うべき「サイバーショット DSC-RX100M5」があり、さらにマイクロフォーサーズとしては最小となる「LUMIX DMC-GM1S」があったりするのでこれらを並べて見ていきましょう。
外観
センサーサイズの面積比でおよそ2倍程度の大きなセンサーを搭載しているにも関わらず、ボディサイズはGM1Sが非常にコンパクトですね。
GM1Sはとても安価なモデルですが、マグネシウム合金を採用しているので質感は良好です。
一方でRX100M5も1型センサーサイズのカメラとしてはフラットでスリムなデザインだったりします。
GM1Sは一眼カメラの宿命として、レンズ部分がマウントから飛び出しています。反面、RX100M5は沈胴式のレンズを採用しているので、電源オフ時はボディ内に格納されます。
ただし、電源オン時にレンズが繰り出されるとその差はとても小さくなります。
カメラ上部の操作ダイヤルを見ると分かるように、GM1SにはAF切り替えレバーが備わっています。マニュアルフォーカスやAF-Cへの切替をする操作性はGM1Sに分があります。非常に便利なダイヤルですが、現行小型モデルの「LUMIX DMC-GF7」には無かったりするのです…。
どちらも液晶画面のモアレが酷いのは解像力の高い12-100 PROにE-M1で撮影している為です。
背面の情報量として、必要な設定項目はどちらも表示できます。RX100M5は電子水準器を表示し忘れていますが、こちらも表示可能です。ただし、水準器を表示するとその他情報が省略されてしまう点がマイナス。
GM1Sは小型ボディの為に物理的な操作ボタンが多く設置できません。しかし、各種設定項目をクイックに呼び出す事が出来るFnボタンを液晶画面横に5つ表示可能です。この事によりカスタム可能なボタンが小型な割に数多い点はパナソニックカメラの特徴と言えるでしょう。
タッチパネルを使ったUIのデザインで言えばパナソニックが非常に秀逸で、これがあるからこそGM1Sが成り立っていると言っても過言では無いと感じています。
他の1型センサーサイズのカメラが積極的に採用している中で、RX100シリーズはタッチパネルを採用していません。
タッチパネルが使えないのは不便と言う他なく、タッチAFやタッチ操作など小型だからこそ欲しい機能が付いていないのは残念ですね。
ただし、チルト機構の液晶パネルが搭載されているのでローアングルやハイアングルでの撮影はGM1Sよりも便利です。
また、GM1SのようなタッチFnはありませんが、Fnボタンによる各種機能のショートカットボタンが存在します。ややテンポは遅れますが、ストレスを感じるまでには至らないかなという所です。フォーカス機能の切替はFnボタンから行っているとシャッターチャンスを逃す可能性があるので、Cボタンに設定しています。
フラッシュはどちらもポップアップ式で指で押さえる事によってバウンスさせる事も可能です。(ただし光量が少なく、自動露出ではアンダーになります)
RX100M5の大きなポイントは比較的見やすい高性能なファインダーを内蔵している点です。
現行のミラーレス一眼カメラ並みとまではいきませんが、キヤノンのEOS M5程度の見やすさはカバーしているかなと感じます。
普段は背面液晶でなんら問題ありませんが、強い外光で液晶が見づらい時にたいへん重宝します。この点でファインダーの無いGM1Sはかなり不利と言わざるを得ないでしょう。同サイズでファインダーを搭載した「LUMIX DMC-GM5」というモデルが存在しますが、RX100M5のファインダーと比べると随分見劣りしてしまいます。
描写
実際に同じ風景を撮り比べた事が無いので言及はできませんが、これまで二つのカメラで撮影してきた写真を見ながら比べていきたいと思います。
LUMIX DMC-GM1S
最大のメリットはやはりレンズ交換式カメラという点ですね。シーンに合わせてレンズを交換する事でコンパクトデジタルカメラでは実現できない、実現しづらい魚眼レンズやマクロレンズを装着できる点にあると言えます。
シーンに合わせてレンズを付け替えておくことで、最大限に性能を発揮できる点はメリットですね。
その反面、レンズを携帯する事で荷物が嵩張ったり、シーンによっては装着しているレンズが不適合だったりします。
ある程度絞ってレンズの描写を整えつつもボケを作りやすいのはマイクロフォーサーズの方が上手です。RX100M5も望遠側を使えばボケを作る事ができますが、広角や標準域のズームレンジでボケを作ろうと思うと難しいですね。
輝度差が大きい渓谷においても1型センサーよりはダイナミックレンジに余裕があります。ただし、GM1SにしろRX100M5にしろダイナミックレンジオプティマイザが機能として存在するので、その差はあまり感じないかもしれません。細かい部分を確認すると粗は見えるかもしれませんが…。
それ以上に気になるのは有効画素数の違いです。実はセンサーサイズの大きいGM1Sが1600万画素で、1型センサーのRX100M5が2000万画素だったりするのです。これは光量がとレンズ性能が十分に足りている環境下であればRX100M5の方が解像するという事を意味します。
パッとみるだけでは特に違いがありませんが、写真を切り出して使う場合や等倍で細部を確認する場合には差が出てきます。
GM1Sその他作例
DSC-RX100M5
GM1Sが交換レンズの特色を出しやすい一方で、RX100M5は小型で携帯性が抜群という点と像面位相差AFを搭載しているという面で秀でています。
特にAF-Cの食いつきは非常に良好で、初動のピント合わせさえしっかりと出来ればしっかりと動く被写体を捕捉してくれます。ただ、以前に記事にしましたが、ハイライトや高コントラストな部分に食いついてしまう傾向があります。人以外の動物などで顔を認識して追従という使い方ではあまり信頼性は高くありません。
ざっくりとピントを合わせて撮影するには申し分ありませんが、被写界深度が浅くなる望遠側で使うとやや不満が残ります。
前述したようにタッチパネルが使えませんので、クイックなフォーカス指定が出来ない事がAF-Cの使い勝手を悪くしています。
しかし、「かなり良いところまで来ている」という感触はあり、ソニーの底力を感じさせてくれます。試同じようなことをGM1Sで試してみましたが、コントラストAFではてんで話になりませんでした。
兎にも角にも連写性能が凄まじいので、カメラ任せにフルオートAF-Cで「しゃおらあ!どこからでも来いやぁ!」とモニターも確認せずに連写しまくるというスタイルがイケてしまうすごいカメラ。
特にカメラに詳しくなくてもウサギが撮れてしまうのが間違いなくコチラ。
欠点は連写し過ぎてガチピンの写真を探すのが一苦労な事。スーパー連写カメラの泣き所で、普段連写なんぞ使わない人間からするとこれがとってもつらい。
十分に光量があるシーンでは2000万画素の有効画素数を最大限に発揮する。「これだけ解像するなら一眼カメラ要らないな…」と思えてしまうほど。
もちろんそういうシーンは限られているのだけども、そう思えてしまうシチュエーションがあるのも確か。
望遠側で寄ってしまえばボケもかなり大きく演出可能。ただし、RX100M3系のレンズはボケがやや硬く、ざわつくコンディションがあるので注意。
難点は逆光にそこまで強くないことですかね。ゴーストあまり発生し難いですが、フレア盛大に出る事があります。
フードが装着できないコンパクトデジタルカメラの宿命。レンズのT*コーティングもあまり過信できないかなという印象です。
フードに加えて各種フィルターもそのままでは装着不可。内蔵式のND8フィルターが搭載されていますが、絞り過ぎると回折の影響を受けやすいためあまり絞り込むことができません。その辺を考慮するとND8ではやや力不足と感じます。
明るいレンズを活かすなら高速な電子シャッターが使えるので、NDフィルターはいっそND16や32でも良かったかなと…。
上の写真は内蔵式に加えて手持ちでND8フィルターをかざして撮影した写真。
DSC-RX100M5その他作例
解像力比較
撮影時期は全く異なりますが、同じようなアングルで撮影した写真がありました。
センサーサイズが大きい分、ハイライトの粘りはGM1Sの方が上手に感じます。解像力はドッコイと言ったところでしょうか、RX100M5の方は強い光が幹に当たっているのでコントラストが落ちていますが、暗部の解像を見るにしっかり解像している印象です。
ただし、RX100M5はレンズ性能のためか周辺部の倍率色収差が補正しきれていません。カメラ内のデジタル補正でも処理しきれていないので、必要に応じてパソコンのソフトウェアで処理した方がよさそうですね。
GM1Sも内部的なデジタル処理はしてあると思いますが、それが現像時に現れていない分使い勝手は良好です。有効画素数が少ない分、シャープネスのエッジが目立ち、少し描写が硬い感じです。
RX100M5の光線状態が不利だと思ったのでもう一枚掲載。
ピントを寺に合わせているで手前の杉はピントから外れている。解像力はやはりあるものの、強い光を受けた反射光での影響は否めない。
とは言え、GM1Sのハイライトもまあこんなもんかな?という気もする。僅かに有利かな?
まとめ:結局のところどっちが良いのか?
良いところ
LUMIX DMC-GM1S
- レンズが交換できる
- 安い
- タッチパネル
- ダイナミックレンジがやや広い
- ボケを大きくし易い
DSC-RX100M5
- コンパクトで高い収納性・携帯性
- 像面位相差AFによる高速AF
- すごい連写性能
- ファインダー搭載
- 高性能な動画機能
悪いところ
LUMIX DMC-GM1S
- レンズ費用がかかる
- レンズがデカい・嵩張る
- 液晶モニタが固定式
- 動体AFがワンテンポ遅れる
- ファインダー非搭載
DSC-RX100M5
- 価格が高い
- 逆光・ハイライトに弱い
- フィルター装着不可
- タッチパネル不可
- ズームレンジが限定的
コスパを考えるとマイクロフォーサーズ
画質と価格を考えるとバランスが良いのはコチラ。RX100M3でも7万円以上する事を考えると、ダブルレンズキットで広角から望遠までカバーして5万円未満で購入できる現行品の「LUMIX DMC-GF7」の方が割安感は高い。(個人的には福袋でGM1Sをダブルレンズキットで4万円で購入しているため、この印象が強い)
「ファインダーが無い」と言う点を除けば優秀。特にRX100シリーズではカバーできない望遠レンズに切り替える事が出来るのは大きなポイント。キットの望遠レンズはそこまでサイズも嵩張らないので携帯性を損ねる事はないだろう。
動体に対するオートフォーカスはRX100M5と比べて劣っており、追従性・速度がワンテンポ遅れる印象。マイクロフォーサーズでこの手の小型モデルは総じてコントラストAFのみ(空間認識AFも未導入)なので、高速AFでは差を付けられる。
ただし、決して通常のオートフォーカスが遅いわけでは無いので、ウサギなどの極端に高速移動する被写体でなければそこそこ頑張ってくれる。
安すぎてメーカーに旨みが少ないためかモデルチェンジがいささか遅れている感があり。まあ、カメラとしては完成されていると言っても過言では無いので、AF性能に期待し過ぎなければ十分。
キタムラ限定のGM1S 45-175mm望遠ズームキットが再販していた。良質でよりズーム出来る望遠ズームが付いて4万円チョイなのでおススメ。インナー電動ズームなのでサイズは少し大きいものの光学性能とズーム機能は中々素晴らしい。ボディ性能もチルト機構のモニタが必要なければGM1Sの方が小型で収納性に優れている。
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価格を気にしないで購入できるならサイバーショットDSC-RX100M5
色々と気になる点が多いものの、画質と性能をこの小さなカメラに詰め込んでいる点がGood。ポケットに仕舞い込んで散歩できるので、携帯性がマイクロフォーサーズよりも上手。
さらに画質は逆光さえ注意すれば大きく差を付けられる程では無いので、ブログやSNSで使うならこれで十分。高感度ノイズの処理も中々優秀なので、パソコンなどで引き伸ばして使わなければISO3200や6400でも気にせず使う事ができる。
強力な像面位相差AFはとても魅力なものの、それを上手く使うには今一つ操作性が追いついていないかなという感じ。圧倒的な連写性能にまかせてフルオートで使って何とか…という一面があるので、やはりタッチパネルは欲しかったなという点だけがネックとなる。
一眼カメラを持たずにこれ一本というスタイルもあながち無くはないが、望遠ズームに限りがあるので遠くの被写体を写したり画角を狭くしたりする上で「サブ機」の域を出ないかもしれない。
じゃあRX100シリーズはどれを買えばいいのか?と言うと…
- RX100M5ーこれ一つで色々撮影するならオススメ、サブカメラとしてもベストな選択肢
- RX100M4ーRX10IVを見据えて購入するならコチラ
- RX100M3ー一眼カメラユーザーのサブカメラとしておススメ
- RX100M2ー同上、ただしファインダーが非搭載でレンズ性能が劣る
- RX100 ?最も安価だが、M5を使った今となってはあまり考えられない
金額に糸目を付けれなければRX100M5がもちろんベスト。像面位相差AF半端ない。
あまり動体を撮らないのであればM3やM4が選択肢となってきますが、動画が必要なければM3を、動画をそこそこ必要とするならM4をチョイス。
初代は1型センサーカメラの中ではとても安価でお手頃なものの、動作がモッサリしていたり液晶固定だったりと制約が多い。それならばM2の方が使い勝手が高いので多少高くてもM2。総じておススメはM5かM3かなと、個人的には。
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マイクロフォーサーズと併用はアリかナシか?
パチリパチリと記録写真や標準ズームレンジをRX100など1型センサーにお任せするのはアリだと思う。画質に関しては十分な解像力とボケ味を持っているので、そう不満も出ないはず。
オートで使う分には操作性も悪くないので嫁さんなどカメラに詳しくなくても使いやすい。片手で手持ちで撮影できるのもGood。
高性能なマイクロフォーサーズで望遠レンズを装着しているのならば、RX100?RX100M3を。望遠はあくまでおまけなら高性能なRX100M5をメインに据え付けるのもありかなあと。
ただし、「カメラは1台で済ませたいよね」というのであれば、ちょっとサイズの大きいマイクロフォーサーズ機で高倍率ズームを装着するのが最も無難な選択肢か。例えばGX7 Mark IIとか、PEN-Fとか。
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「安価なマイクロフォーサーズ」という印象は少し薄らいでしまうものの、性能を考えると妥当な価格設定。RX100M5を考えると結構安いと思うのですよ。
私はそうやって眺めているうちにGF7を買うつもりが、1台20万のE-M1 Mark IIにたどり着いてしまったのですけどもね!ハハ!(自嘲気味
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