このページではキヤノンの一眼レフカメラ「EOS 90D」の外観・操作性のレビューを掲載しています。
EOS 90D 外観・操作性レビュー
外観・重量
ボディサイズは140.7mm×104.8mm×76.8mm、質量はSDカード・バッテリー込みで約701g。ボディの材質について言及されていませんが、触った限りでは剛性のあるプラスチック。
基本的にEOS 80Dのボディサイズ・形状・材質を継承しており、80Dユーザーであれば違和感なく乗り換えることが出来ると思います。形状が同じである上、EOS 70Dや80Dと同じバッテリーグリップ「BG-E14」を利用できるのは便利。
中型APS-C一眼レフとしては一般的な重量であり、D7500やPENTAX K-3 IIとほぼ同じ。重くもなく、軽くもなくと言ったところ。主流となりつつあるミラーレスカメラと比べるとやはり重たい。
フラッシュ
ガイドナンバー約12、焦点距離17mm相当の画角に対応するポップアップストロボを内蔵。仕様はEOS 80Dと全く変わっていないはず。
EOS 80Dと異なる点があるとすれば、モードダイヤルから「発光禁止モード」が無くなっていること。80Dはオートモード使用時にストロボが必要と自動的に判断した場合、ポップアップストロボが展開してストロボを発光します。しかし、EOS 90Dは自動ポップアップ機能が無くなり、カメラ側面のストロボボタンを押さないとポップアップしません。
カメラグリップ
形状がEOS 80Dと同じなので違和感なし。改善点もなし。グリップ滑り止めの触り心地は少し変わったような…、変わっていないような…。
グリップサイズはハイアマ志向な「EOS 7D Mark II」と比べると小さく、フルサイズ用望遠レンズを装着するとやや心もとないかも。
スティック型マルチコントローラー
基本的に歓迎すべき追加機能ですが、少し気になる部分があるのでリストアップ。
初期設定ではダイレクト選択がオフとなっている
EOS 90D系モデルとしては50D以来となるスティック型のマルチコントローラーを搭載。上下左右の移動に加えて斜め操作にも対応しています。初期設定では「AFフレームダイレクト選択」がオフとなっているため、「C.Fn III」のボタンカスタマイズで機能を有効にしておく必要があります。
EOS 90Dの45点AFだと測距点が少ないので従来通り方向ボタンでも困ることはありませんが、サーボAF動作中にAFフレームを操作しようとするとスティック型のほうが使いやすいと感じます。
光学ファインダー時は滑らかに操作出来ない
AFフレーム移動は押し込み式というよりもクリック式。スティックを左に倒して右から左まで一回の操作で移動することはできません。スティックを左に一回倒すと、1マスだけ左へ移動します。
例えば、左に倒した状態から斜め左上→上と中央に戻さず操作してもフレーム移動には反映されません。その一方、ライブビュー時は一度の操作で右から左へ操作できるうえ、左→上と言った連続操作にも対応しています。
ボタンと差別化出来ない
スティックタイプのマルチコントローラーを搭載していますが、役割はボタンのマルチコントローラーと全く同じ。AFフレーム移動をスティックに任せ、ボタンに別の役割を割り当てることは出来ません。ミラーレスモデルで方向ボタンのカスタマイズが可能となっていますが、なぜ一眼レフに同じような機能を実装しないのか理解できません。
その他ボタン類
シャッターボタン周辺
シャッターボタン
シャッター半押しまでのストロークとそこから全押しまでのストロークはやや深め。誤操作し辛い点でプラスに働く反面、瞬間的なシャッターチャンスではレスポンスに影響するかもしれません。これは実際に実機を触って確かめて欲しいところ。
測距エリア/AF方式選択ボタン
従来通りの仕様であり、上位モデルやミラーレスのように「M-Fn」ボタンとしてカスタマイズは出来ません。ミラーレスはEOS Kiss Mのようなエントリーモデルですらカスタマイズの自由度が高まっています。それを考えると90Dもカスタマイズに対応して欲しかったところ。
サブ液晶周辺
従来通り、AF・ドライブ・ISO・測光・液晶点灯ボタンが配置されています。ボタンカスタマイズは非対応で所定の機能しか呼び出すことは出来ません。
サムレスト周辺
従来通り、外側から拡大(AFフレーム選択)・縮小(AEL)・AF-ON・LVボタンの配置となっています。ボタンカスタマイズに対応しているのは「AF-ON」と「縮小(AEL)」のみ。どちらも似たような機能を割り当てる事が可能となっています。
- AEL/AFL
- 測光・AF開始
- AF停止
- ワンショットAF/サーボAF切替
- AEロック ホールド
- AEロック
- FEロック
- ISO感度設定 押しながら
- 露出補正 押しながら
- OFF
カメラ左上
キヤノンらしい左肩の電源スイッチとメニューボタン、そしてINFOボタンがあります。機能は他の一眼レフと同じ。光学ファインダー時にINFOボタンを押すと、「消灯」「水準器」「INFOパネル」がモニターに表示されます。ライブビュー時にINFOボタンを押すと「情報表示無し」「ヒストグラム」「水準器」と切り替えることが可能。
従来機と同じように、ライブビュー時の「顔検出・追従優先モード」では水準器を表示することが出来ません。また、水準器は従来通り1軸(水平)のみとなっており、垂直方向には対応していません。
INFOボタンはC-RAW・RAWの切り替えやAWB(雰囲気・白優先)の切り替えなどで使用するため、出来れば右手で操作できる配置が良かったですねえ。
カメラ右下
EOS 80Dと比べて少しボタン配置が変わったポイント。スティック型マルチコントローラーを実装したため、場所が無くなった再生ボタンが移動しています。ゴミ箱ボタンとセットで使う機会の多いボタンなので、使いやすくなった印象。
ロックレバーの位置やサブ電子ダイヤルの質感は従来通り。
絞りプレビュー
従来通りカスタマイズ対応ボタンがレンズマウント右下に備わっています。カスタマイズできる機能は相変わらず。絞りプレビューの必要性が無ければワンショットAFとサーボAFの一時切り替え機能が役に立つはず。
ダイヤル
メイン電子ダイヤル
ゴムのような質感だったEOS 80Dからローレット加工の施された樹脂製ダイヤルに変化しています。指の掛かりはEOS 90Dのほうが良好に感じます。
サブ電子ダイヤル
フロントダイヤルと同じく、こちらもローレット加工に変化しています。質感は相変わらず樹脂製。
モードダイヤル
EOS 80Dからクリエイティブオートと発光禁止モードが無くなりました。ただし、カスタマイズモードは以前と同じ2枠となっています。余裕が出来たのだからカスタマイズ枠は3枠か4枠にして欲しかったところ…。
ファインダー
ファインダーの仕様はEOS 80Dと全く同じ。ミラーレスの電子ビューファインダーと比べると小さく感じ、同じ一眼レフの中では平凡なファインダー倍率となっています。やはり透過型液晶を挟んでいるのでバッテリーを挿入していないとファインダー像が暗く見えてしまうので注意が必要。
モニター
ファインダーと同じく従来通りの仕様となっています。解像度や操作性は従来通りですが、タッチパネルのレスポンスや機能性は競合他社と比べてトップクラス。
サブ液晶モニタ
特にこれと言った変更点は無し。
インターフェース
SDカードスロット
従来通りシングルSDカードスロットですが、UHS-IIに対応しています。バッファクリア速度は目に見えて違いがあるので連写重視であればUHS-II対応カードを用意しておくと良いでしょう。
防塵防滴仕様は完璧と言えず、シーリングが施されていないように見えます。
USBポート等
リモートレリーズ用端子、ヘッドホン・マイク端子、USB Micro-B端子、HDMI C端子を搭載。ポートに関してEOS 80Dと比べて大きな変更点はありませんが、この周囲に備わっていたNFC端子が無くなっています。
SDカードスロットと同様、防塵防滴仕様は少し心もとない印象。
バッテリー
従来通り、広く普及しているバッテリー「LP-E6N」を使用。残念ながら未だにボディ内充電には対応していません。
雑感
EOS 80Dと比べた際の主な変更点は基本的にスティック型マルチコントローラーのみ。確かに使いやすくなったものの、光学45点AFで必須とは感じず、ライブビュー時はタッチAFを利用する頻度のほうが高いかも。方向ボタンを別枠でカスタマイズできるとマルコンを搭載する意義がより大きくなったと思うのですが…。
良く言えば堅実な進化、悪く言えば地味。2000年から続くEOS 2桁シリーズの正統な最新モデルとしては確かな1台だと思います。このカメラの注目ポイントは別のところにあるので、その辺は次回以降に紹介したいと思います。
今回使用した機材
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EOS 90D EF-S18-135 IS USM レンズキット | |||
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