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キヤノンEOS Rでタムロンレンズは快適に使えるか?SP90mm F2.8 Di VC USD F017編

このページではキヤノンのフルサイズミラーレス「EOS R」にタムロンの交換レンズ「SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD F017」を装着しての動作確認とレンズのパフォーマンスチェックを掲載しています。

EOS R×Model F017レビュー

レンズの確認

サイズ・重量・質感

このクラスの光学手振れ補正を搭載するマクロレンズとしては平均的なサイズ感。

前モデル「SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (Model F004)?」と比べてサイズに大きな違いは無いが、100gほど重量が増加している。

これは新SPシリーズらしく「金属鏡筒&防塵防滴」へ仕様変更された点が大きいものと推測される。重量増以上に信頼性が増していると思って間違いない。

質感はパーフェクトに近く、2018年12月現在の価格設定(約50,000円)を考慮するとまさにバーゲンプライス。

外観

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新SPシリーズらしいデザインだが全体的なレイアウトは前モデル「SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (Model F004)?」と同じ。

プラスチック製の円形レンズフードはロック機構が無いタイプ。個人的にはボタン式ロックを採用して欲しかった。

前玉・後玉

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前玉には防汚コートを採用しているため水や油汚れに比較的強い。特に接写する機会が多く、水飛沫などを受けやすいマクロレンズでは重要なポイント。

インナーフォーカス式のため古いタムロン90mmのように内筒が飛び出すことは無い。

後玉はフォーカス群から切り離されているのでフォーカシングで前後には動かない。防塵防滴仕様と相まってレンズ内に小ゴミが混入する機会が少ないのは地味に嬉しい。

キヤノンEFマウントは電磁絞りだがニコンFマウントはボディ側の絞り駆動を利用するためゴミの混入は少し多くなるかもしれない。

EOS Rとのバランス

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EOS Rは一眼レフと比べてボディサイズが小さいのでアンバランスに見えるかもしれない。しかしフルサイズミラーレスの中ではグリップがしっかりとしているので実際に手に取ってみると思ったほど抵抗はない。

ただしレンズアダプターを装着するので一眼レフへマウントする時よりもレンズの長さを感じる。特に三脚に固定する際(ボディ側の三脚ネジ穴を利用するしかない)は重心がフロントヘビーとなってしまうのでロングプレートで調整したいところ。

アダプター経由でレンズが長く感じるデメリットその2。

フォーカスリングが遠い…これは想定外。

一眼レフならば、手のひらをカメラの底に当てながら親指で操作出来そうなのだけど…。アダプター経由だと微妙にフォーカスリングが遠く、左手でカメラ底面を支えることが出来ない。手持ちマニュアルフォーカスは少しやり辛いかも。

その一方でAF/MFやAFリミッターなどのスイッチ類は近すぎず、遠すぎずの距離感となり操作しやすくなった。コントロールリング搭載のアダプターを使えば絞り値や露出補正の操作も簡単。

動作の確認

  1. レンズを正確に認識する
  2. レンズ補正データは無い(補正オン設定でも不具合は発生しない)
  3. AFは正常に動作する
  4. ピーキング・フォーカスガイド利用可能(レンズ側でMF設定が必要)
  5. AF時のフルタイムマニュアルではフォーカスガイド等は動作しない
  6. 電源オフ時にピントが無限遠まで移動する(レンズ格納設定の場合)

レンズを正確に認識する

なんとレンズ名まで正確に表示される。新SPシリーズはことごとく弾かれたNikon Zと比べるとなんと寛容なことよ…。

レンズ補正データは無し

レンズ補正にレンズ名は表示されるものの補正データは入っていない。

従来であれば、「レンズ補正」をオフに設定しないと不具合(特に周辺減光)が発生したものですが、「補正データ無し」とカメラ側が認識するため「レンズ補正」がオンの状態でも特に問題は無い模様。

つまり、よほどの理由がない限りいちいちオフにする必要は無い。

補足:回折補正をオンにする場合

社外製レンズのためデジタルレンズオプティマイザ非対応。内包されている回折補正もおそらく適用されていないはず…。

特にガッツリ絞るマクロレンズで回折補正使えないのは痛い。「デジタルレンズオプティマイザ」をオフにして「回折補正」を個別にオンは可能となっているので、JPEG出力で回折補正を適用したい場合は一連の操作が必要となってくる点は頭に入れておくと良いでしょう。

JPEGデータを見るとデジタルレンズオプティマイザは作動していないものの、回折補正はオンとなっているのでおそらく適用されている。

AFは正常に動作する

全く問題無し。

ワンショットAFでもサーボAFでも普通に動作する。

ピーキング・フォーカスガイド利用可能

レンズ側スイッチで「MF」に設定しておけば利用可能。

特にマクロレンズでピーキングやフォーカスガイドは非常に便利な機能。この機能を利用できるキヤノンのフルサイズ一眼はEOS Rが初めてかもしれない。

フォーカスリングの回転角を変速的に調節できるRFレンズと異なり、180度固定のF017ではフォーカスガイドの使い勝手がややシビア。(特に回転角の小さい無限遠側)

AF時のフルタイムマニュアルではフォーカスガイド等は動作しない

純正RFレンズのようにAF後からのフルタイムマニュアルでこれら機能を利用することは出来ない。

ちなみにピント距離表示も不可。

電源オフ時にピントが無限遠まで移動する(レンズ格納設定の場合)

せっかく合わせたピントはEOS Rが初期設定のままだと電源オフ時に無限遠へ戻される。

このため、カスタム設定メニューから「電源オフ時のレンズ格納」をオフにしておきたいところ。

レンズ繰り出し式フォーカスの場合はレンズ保護の観点から「オン」にしておくべきですが、インナーフォーカスの本レンズでは特に問題は無いはず。

OK!問題無く使える

注意点だけまとめると以下の通り。

EOS Rとの組み合わせ注意点

  • レンズが長くなる(フォーカスリングまでの距離が変わる・フロントヘビー)
  • フルタイムマニュアルでのフォーカスガイド・ピーキング利用不可
  • レンズ補正データ無(回折補正オンにしたい場合は要設定変更)

風景や子供の撮影で特に問題と感じる場面はありませんでした。

EOS Rのために新SPシリーズを買い足すのはアリでしょう。購入前にEOS Rでの動作状況をタムロン公式がアナウンスしているのでチェックしておくべき。

レンズパフォーマンス

遠景解像

中央

F2.8~F16までとても良好。

F22-F32は回折の影響でやや甘め。とは言え、F22はディテール(エッジは甘くなるが)がしっかりとしているので後処理次第で結構いけちゃう感じ。F32は被写界深度が足りない場合以外は避けたい。

四隅

周辺減光や細かいことを抜きにするとF2.8から十分な画質で像面湾曲の傾向も見られない。

周辺減光を考慮すると画質のピークはF5.6-F16。中央と同じくF22もまだ許容範囲。

低コントラストな被写体ながら僅かに倍率色収差が感じられるので、状況によっては色収差がもう少し目に付くかもしれない。

近景解像

F2.8も十分良好だが、残存する軸上色収差が僅かに目に付く。

画質のピークはF4-F11あたり。遠景と比べると回折によるの落ち込みが早く、F16でグッと低下する。

回折の影響を考慮した場合、マクロ撮影でベストを尽くしたいのであれば「EF100mm F2.8L マクロ IS USM」でDPP4経由でデジタルレンズオプティマイザを適用するのがおススメ。

軸上色収差・ボケ質

軸上色収差は場合によって僅かに目に付く程度なので鑑賞レベルではF2.8からゼロに近いレベルと感じるはず。とても良好。

ボケ質は期待していたよりも小ボケ領域がやや硬め。騒がしくなる領域は極僅かなので、よほどフラットなピント面を撮影しない限り特に問題とは感じない。

Model 272Eのほうが小ボケ領域の質感が柔らかいと思われる一方で、Model 272Eは色収差が目立つので全体的に見るとModel F017のほうが使いやすいボケではある。

ハマれば272E、安定のF017。

ボケ

滲みが少なく、ピント面から急速にボケていくタイプ。個人的にはもう少し滲むタイプのボケが好きだったりする。

前述したように(期待していたより)やや硬調なボケ質ではあるが、色づきは少なく際立って騒がしい描写ではない。ボケに強いこだわりが無ければ心配する必要はないと思われる。

玉ボケ

F2.8では四隅で少し変形してしまうが、1段(F4)まで絞ると綺麗な円形となる。

前項の写真を見直してみると分るように、F2.8では四隅のボケが同心円状に伸びているように見えてしまう。これが「騒がしさ」に繋がってしまう場合もあるので、そのような場合にはF4まで絞ると良いでしょう。

手振れ補正

シフトブレに対応したため、手持ちによるマクロ撮影がより快適となっている。ISO感度を欲張らなければまずまず良好な補正効果。近景・準マクロでも1?2段分は効果を発揮している。

さすがにマクロ領域でシャッタースピードを稼ぐことは出来ないが、安定したフレーミングやオートフォーカスに一役買っている。

三脚使用時はOFF設定にしないとシフトブレ補正の誤作動でフレームが左右にズレてしまうカットがあった。コマごとにズレる量が異なっていたりするのでインターバル撮影などでは必ずオフ設定にしておきたい。

オートフォーカス

新SPシリーズらしく、とても高速で快適。ワンショットAF・サーボAFともに問題無し。

フォーカス速度に限って言えば特にAFリミッターの必要性を感じないくらい速い。

フォーカス精度は良好だがブリージング(ピントの変化に伴う画角変動)が大きいので1点AFを使う場合はAFリミッターを併用したい。

まとめ

満足度は95点。

「キヤノン純正レンズでは無いのでデジタルレンズオプティマイザが使えない」

という点以外は特に問題無く快適に利用可能。レンズのパフォーマンスも良好で楽しいマクロライフを満喫できる。

細かい注意点はあるものの、約5万円でこのパフォーマンスのマクロレンズを楽しめるなら十分にアリな選択肢。EOS Rのために導入を検討するのも良いでしょう。

Points

  • 金属鏡筒・防塵防滴・防汚コートで信頼性のある堅牢な鏡筒
  • シフトブレ対応の手振れ補正(三脚時はOFF推奨)
  • 三脚環無し
  • アダプター経由でレンズが長くなる
  • EOS Rとの組み合わせで問題無く動作する
  • F2.8からフレーム全域で良好な遠景解像(F22で回折が目立つ)
  • F2.8からフレーム全域で良好な近景解像(F16で回折が目立つ)
  • 僅かな倍率色収差
  • 僅かな軸上色収差
  • タムキューに期待したボケよりは硬調

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