このページでは様々な交換レンズ用プロテクトフィルターについてレビューしています。第一回目はフィルターの外観や製品の仕様、コーティングの状態などを確認しています。
各フィルターの外観・仕様の確認
Amazonベーシック カメラ用レンズフィルター
ポイント
- 商品ページ
- Amazonでの価格(52mm):¥761
- コーティング:不明
- 撥水撥油:非対応
- 帯電防止:非対応
- フィルターフレーム:-
- 反射率:不明
- 対応フィルター径:52/55/58/62/67/72/77/82mm
- フレームの厚み(装着に突出する部分):4mm
- その他:-
Amazonブランドのプロテクトフィルター。今回テストしているフィルターの中では最も安く、特に82mmのラージサイズでも1000円以下という驚異の値付け。凄いぜAmazon!
ただし気を付けて欲しいのはフィルターとしての性能。「UV」とは記載されているものの、コーティングに関する記述は一切なし。実際、「これコーティングしてないのでは?」と感じるほど高い反射率には注意が必要。最小径が52mmであり、40.5mmや46mmなどには対応していません。
デザイン
フレームにはAmazonベーシックのロゴと「UV」が印字され、オーソドックスな滑り止め用のローレット加工が施されています。「UV」は決してコーティングのことでは無いので注意が必要。恐らく、紫外線をカットする性質のガラスなのかなと。
フレーム
フレームの厚みは4mm。今回紹介する17種類の中では比較的厚めで、超広角レンズでは四隅がケラレる可能性あり。フレームの太さは一般的で、フィルターソケットからはみ出すことはありません。
フレームは反射を抑えるマットな塗装とは言い難く、特に内側で光を反射するのはマイナスポイント。
反射
正直に言うと「ただのガラス板」である印象が強いです。レンズ用のプロテクトフィルターと言ってはいけないレベル。コーティングされているようには見えず、非常に高い反射率のようです。ある意味「プロテクトフィルターの悪いお手本」として非常に参考になると思います。
UVカット以外で色味の変化は無いと思われるので、コーティングの影響を徹底的に排除したいのであれば一つの選択肢となり得るかも。ノンコーティングのレンズと組み合わせると面白いかもしれませんね。
とは言え、フレアを誘発する可能性が極めて高く、じっくりテストするまでもなく個人的にはおススメしません。敢えてフレアを誘発させるフィルターとして利用価値はあると思いますが、常用する「プロテクトフィルター」としての価値は低い。曇天の渓谷や低コントラストな風景など、問題無く使える状況は限られます。
Canon カメラ保護フィルター
ポイント
キヤノン純正のプロテクトフィルターで、マルチコーティング対応のオーソドックスな仕様。このタイプとしては比較的高めの価格設定ですが、「純正」としての値付けかなと。「Made in Japan」ですが、キヤノン製造なのかは不明。多くのキヤノン製レンズに対応していますが、「62mm」や「40.5mm」など、キヤノンレンズに存在しないフィルター径はありません。
デザイン
キヤノンのロゴが明るい白色で印字されています。印字のクオリティはAmazonよりも遥かに良好。フレームのローレット加工はAmazonよりも細かい加工が施されています。キヤノン「純正」を主張しつつ、安っぽさを感じさせないデザイン。少なくともデザインは良好だと思います。
フレーム
フレームの厚みは4mmとやや太め。ただし、フルサイズ用16mmも対応と記載されているので特に問題は無いはず(例:EF16-35mm F4L+77mm)。フィルターソケットからはみ出さないのでフードとの干渉もすくないと思われます。
フレーム内側の反射防止処理は甘め。特にガラス周囲の黒塗処理がされておらず、明るく反射してしまっているのが分かります。価格を考慮すると大きなマイナスポイント。
反射
LEDライトを照射した際に反射するのは割と珍しい灰みの青紫系。似たような色を反射するフィルターは他に無く、敢えて言えばシグマが近い。反射率はAmazonと比べたら雲泥の差。これを見る限りでは、Amazonにコーティング処理が施されているようには見えないのです。
ハクバ写真産業 SMC-PRO
ポイント
ハクバのプロテクトフィルターの中では比較的低価格寄りのシリーズ。言ってしまえば梅フィルター。82mmの大口径でも3000円以下で入手可能。仕様上の反射率は上位モデルである「XC-PRO」や「ULTIMA」より高いものの、コンマ2%の差なので驚くほどの差はありません。撥水・撥油特性が必要無ければコストパフォーマンスの高いフィルター。
デザイン
赤文字のXC-PROに対して、こちらは黄文字でシリーズ名が印字されています。ローレット加工はキヤノンとよく似たきめ細かい仕上がりですが、比較して少し彫りが深いように見えます。
フレーム
フィルターフレームの厚みは3mm。Amazonやキヤノンよりも薄く、比較的薄型フレームとなっています。フレーム内側の処理は上位モデル「XC-PRO」「ULTIMA」と同じ、キヤノンと比べてマットな塗装であり、反射に対して効果的と言えるでしょう。価格を考えると優秀。
反射
反射するのは穏やかな水色。XC-PROと似ていますが、少し異なります。反射率は上位フィルターと見比べて大差ないように見えます。
ハクバ写真産業 ULTIMA
ポイント
- 商品ページ
- Amazonでの価格(49mm):¥3,031
(WRでは無い49mmはXC-PROに近い価格) - コーティング:エクストリームコーティング
- 撥水撥油:対応(Amazon.jp限定)
- 帯電防止:-
- フィルターフレーム:
・薄型 - 反射率:0.3%
- 対応フィルター径:37/40.5/43/46/49/52/55/58/62/67/72/77/82mm
- フレームの厚み(装着に突出する部分):3mm
- その他:
・CORNING社が誇る最高品質の光学ガラス
ハクバ最上位のプロテクトフィルター。Amazon.jp限定のWR(撥水・撥油コーティング)対応モデルもあり、価格的にはキヤノン純正・ケンコーZeta・マルミEXUSと同程度。ただし、WR非対応モデルはXC-PROと同程度と比較的安め。
デザイン
控えめな配色で、字体も「SMC」「XC」と異なります。滑り止め加工も大きく異なり、フレームのローレット加工も無く、全く別のシリーズと言った印象。
フレーム
フレームの厚みは他シリーズと同じ3mm。やはりマットな塗装が施されており、内面反射は良く抑えられています。
反射
反射はクリアな黄みの橙。コーティングは「XC-PRO」と同じエクストリームコーティングのはずですが、特性は大きく異なる模様。(XC-PROは明るい灰みの青系)
反射率は良く抑えられていますが、下位モデルと比べて際に価格差ほどの価値は無いように見えます。コーティングの特性をどのように捉えるかで検討するのが良さそう。
ハクバ写真産業 XC-PRO
ポイント
ハクバ製フィルターでは松竹梅の竹モデル。価格と機能性のバランスが良く、人気が高い。コーティングはULTIMAと同じ「エクストリームコーティング」を採用し、撥水・撥油性も標準装備。使用ガラスがULTIMAと異なる点を除けば、ULTIMA WRよりもコストパフォーマンス高し。
デザイン
意匠は基本的にSMC-PROと同じ。シリーズカラーである赤色が印象的ですね。
フレーム
SMC-PRO・ULTIMAと同じくフレームは反射を抑えたマットな塗装が施されています。ガラス外周の黒塗処理も施されているので特に大きな問題点はありません。
反射
反射は明るい灰みの青系。どちらかと言えばSMC-PRO寄りで、ULTIMAとは特性が大きく異なります。同じコーティングでも特性が異なるのはガラスの差でしょうか?反射率はSMC-PRO・ULTIMAと比べて大差ありません。
K&F Concept NANO-X
ポイント
カメラバッグや三脚、マウントアダプターなどを幅広く手掛けるカメラ機材メーカーのフィルター。「Nano-X」はK&Fのフィルターでは比較的高価なモデルで採用しているマルチコーティングの名称です。MRCは「multi・resist・coating」を指しており、耐久性や防水性にも優れていると言及。
価格はULTIMA WRやEXUSより少し安く、XC-PROやDHG Superよりも少し高め。
デザイン
フレームの形状はハクバのULTIMAと似ていますが、全体的に少しグレー味のある塗装が特徴的。ローレット加工の滑り止めが無く、フレーム側面の切り込みで対応。ロゴの印字はクオリティがやや低く、白一色とムラがあるのは残念。
フレーム
枠の厚みは4mmで少し太目。一般的なフィルターよりもフレームの幅が0.5mmほど大きい。よほどタイトな設計でない限りは干渉しないと思いますが、他社のフィルターと比べると干渉する可能性は高いかも。
フレーム内部の反射防止処理はキヤノンほど悪くないものの、マットブラックのハクバ系フィルターよりは少し悪い。
反射
反射はおとなしい緑。傾向で言えばKenko PRO1D LotusやMarumi EXUSと似ているものの、反射は少し強い。この観点で言えばコストパフォーマンスはXC-PROやDHG Superのほうが良好。
ケンコー・トキナー PRO1D Lotus
ポイント
プロテクトフィルターとしては定番のケンコー製PRO1Dシリーズ。従来のPRO1Dと比べて耐候性に優れており、撥水・撥油性のコーティングを採用しているほか、硬質アルマイト処理による耐久性の向上を実現、そしてガラス押えバネには腐食耐性処理が施されています。
ちなみにAmazon.jp限定で撥水・撥油特性を持つ「PRO1D NEO」が1000円ほど安く販売されています。耐久性や腐食性が必要無ければPRO1D NEOのほうがおススメ。ただし反射防止のコーティングはLotusのほうが多少良い模様。
また、2020年に「Lotus II」が一部の販売店で販売開始しています。Lotusよりも反射率が抑えられているので要検討。ただし、販売価格はZXやZeta Quint並。
デザイン
フレームデザインや字体は従来のPRO1Dと同様。「Lotus」のみ独特のデザインとなっています。印字は反射を抑えたマットなホワイト。
フレーム
フレームの厚みは4mm。ハクバよりも1mm厚いので気になる人は要注意。と言っても、これで問題となることは少ないはず。フレームの幅は狭く、フィルターソケットから突出することはありません。
フレーム内面反射はハクバと同じく良く抑えられています。
反射
K&F Concept Nano-Xとよく似たおとなしい緑ですが、反射率は比較的小さい。仕様表では「0.3-0.5%」となっていますが、体感では0.3%に近いのかなと。
ケンコー・トキナー Zéta UV L41
ポイント
2009年登場で、まだまだ現役の定番モデル。ケンコー高級プロテクトフィルターとしては比較的歴史の長いシリーズと言えるでしょう。今でこそ一般的となりましたが、反射率0.3%以下と高性能でお世話になったユーザーも多いはず。
当時と比べると競合他社が多くなったこと、さらに同社から「ZX」「Lotus」などが登場したことで若干影が薄くなってしまった感あり。それでも「アッパーミドル」なポジションとして健在。
デザイン
Lotusとは異なり、フレーム端にローレット加工を施した滑り止めのデザイン。キヤノンと非常に良く似ているものの、比較的マットブラックな塗装が施されています。ロゴは光沢のある金色で印字され、PRO1Dと比べて特別感のあるデザイン。
フレーム
フレームの厚みは4mm。幅は一般的なサイズでフィルターソケット内に収まります。他のKenko製フィルターと同じくフレーム内部の反射防止処理は良好。特に問題はありません。
反射
反射は明るい灰みの青系でハクバ「XC-PRO」とよく似ていますが、Zetaのほうが少し濃く反射します。
ケンコー・トキナー Zeta Quint
ポイント
強化ガラスとジェラルミンフレームを使用した高耐久性が特徴となるプロテクトフィルター。ジェラルミンフレームは衝撃に強く、アルミフレームと比べて変形しにくいのが強み。レンズをぶつけてフィルターが外せなくなった経験がある人は要検討。
さらに撥水・撥油性のあるダストフリーコートを採用してメンテナンス性が高いのもGood。高耐久ながらZetaと同じ超低反射のコーティング「ZR」を使用して片面0.3%以下の反射率に抑えている優れもの。プロテクトフィルターの中では高価な部類ですが、堅牢性が重要ならば検討したいモデル。同じようなコンセプトの「Marumi EXUS Solid」「SIGMA WR-CERAMIC」が存在しますが、Zeta Quintは比較的手ごろな価格設定。
デザイン
PRO1DとZetaを足して2で割ったようなデザイン。Zetaシリーズながらマットな白色で印字されています。
フレーム
フレームの厚みは他のKenkoフィルターと同じく4mm。フレームの幅も特に問題はありません。内部の反射防止も同等に見えますが、部分的に少し反射が強めとなっています(後述)。
反射
Lotusと似たおとなしい緑ですが、反射は少し強めに見えます。Lotus以上・Nano-X以下と言ったところ。実写で見違えるような性能差とはならないと思います。ただし、ガラスを固定しているフレームの反射が他よりも強く、プロテクトフィルターの上に何かを重ねて装着するとフレアが発生しやすくなるかもしれません。
ケンコー・トキナー ZX
ポイント
PRO1D・Zetaとは別シリーズの高級フィルター。「フローティングフレームシステム」と呼ばれる独特の構造でフィルターガラスにかかる負荷を軽減して平面性を保ちやすいフィルターに仕上がっているとのこと。コーティングは従来通りの「ZRコート」となっているため、反射率改善にはあまり期待しないほうが良いかも。その辺りは新発売の「Lotus II」のほうが0.2%の超低反射率を実現しています。
独特なフレーム構造のため、一部のレンズと互換性が無い点に気を付ける必要があります。
デザイン
Zetaとよく似たデザインですが、ローレット加工の形状が少し異なります。
フレーム
フレームの厚みは4mmでZetaやPRO1Dと同じです。しかしケンコートキナーが言及しているように、フィルター幅が僅かに大きく、レンズによって干渉する可能性あり。干渉が気になる場合は「ZX SLIM」を選ぶと良いでしょう。内面の反射は他と同じく良く抑えられています。
反射
反射は白みを帯びた淡い緑色。ケンコー製フィルターのみならず、他社のフィルターと見比べても特に淡い色の反射となっています。反射率はZetaやLotusと見比べて特に大きな違いは見られません。
マルミ光機 DHG スーパーレンズプロテクト
ポイント
マルミ光機製のフィルターの中では撥水・撥油コーティングに対応した低価格モデル。EXUSのように帯電防止機能はありませんが、WR系で105mmに対応している珍しい国産フィルター。
デザイン
フレームデザインは同社のEXUSやケンコーのZeta Quintとよく似ていますが、ロゴはマルミ独特のデザイン・配色。DHG SuperはEXUSと異なり目立たない水色で印字されています。
フレーム
フレームの厚みはケンコーと同じ4mm。ハクバと比べると少し厚みのあるフィルターです。幅は一般的なサイズでフードなどとの干渉は少ないはず。全体的に反射を抑えたマットブラックな塗装が施されています。内面反射はかなり少ない。
反射
反射は明るい灰みの青系。XC-PROやZeta UVとよく似ていますが、比較的反射率が高いように見えます。僅かな違いですが、逆光環境下では少しフレアっぽいと感じるシーンがあるかも。
マルミ光機 EXUS レンズプロテクト
ポイント
撥水・撥油コーティングに加えて帯電防止機能も備わっているマルミ光機の上位フィルター。価格は極端に高いわけでは無く、ハクバ「ULTIMA」やキヤノン純正フィルターと同程度。ちなみに現在は「EXUS Mark II」が登場し、反射率は0.2%まで抑えられ初代より良好となっている模様。ただし、価格はケンコーZX並となっています。
派生モデルとして強化ガラスを使用した「EXUS SOLID」も存在します。反射率はEXUS Mark IIと同じ0.2%を実現しているとのこと。
デザイン
フレームの形状はDHG Superとよく似ていますが、ロゴの配色が金色に変化。
フレーム
フレームの厚みはDHG Superと同じ4mm。ULTIMAと比べると僅かに厚みが増しています。幅は一般的なサイズで特に大きな問題はありません。フレームは全体的にマットブラックな塗装が施され、ガラス外周は黒塗りされ光沢が抑えられています。
反射
反射はおとなしい緑。Zeta Quintと似ていますが、反射はより抑えられているように見えます。DHG Superと見比べても僅かに良好。
マルミ光機 UV
ポイント
- 商品ページ:なし
- Amazonでの価格(49mm):¥900
- コーティング:
- 撥水撥油:-
- 帯電防止:-
- フィルターフレーム:-
- 反射率:不明
- 対応フィルター径:39/40.5/43/46/49/52/55/58/62/67/72/77/82/86mm
- フレームの厚み(装着に突出する部分):5mm
- その他:
・銀塩用フィルター
・MC-UV
銀塩用の比較的古いタイプのプロテクトフィルター。
EXUSやDHG Superのように撥水・撥油コーティングには対応していません。
とは言え、マルチコーティングが施されているので、Amazonベーシックの「単なるガラス板」よりも遥かに良好な結果を期待できます。86mmの大口径まで対応しており、価格を抑えたいのであれば一つの選択肢。
しかし国内ブランドのハクバ「SMC-PRO」が大口径でも低価格・良質なので、敢えてコチラを選ぶ理由はありません。(SMC-PROは82mmまで対応)
デザイン
キヤノン純正とよく似たフレーム形状ですが、厚みが少しあります。ロゴの字体は最新モデルと同様ですが、配色はグレーを採用しています。
フレーム
フレームの厚みは5mmあり、今回チェックしている17種類の中では最もフレームが厚いモデルです。当然ながら、広角レンズの種類によってはケラレが発生する可能性が高くなります。
内面反射の対策は完璧と言えず、フレーム枠の光沢に加えてガラス外周の黒塗り処理も施されていません。安いなりの作り。
反射
反射は柔らかい青。極端に反射率が高いようには見えず、今でも普通に使えるフィルターなのかと思います。とは言え、青の反射が少し強く見えるため、実写でどのように写るかは今後テスト予定。
さらに、Zeta Quintと同じくガラスを抑える枠の光沢が目立ちます。フィルターを重ねた時に影響が出る可能性あり。
ニコン ARCREST
ポイント
強化ガラス系のフィルターを除けば最高級のニコン純正プロテクトフィルター。NIKKORレンズにも使用する光学ガラスを使用し、平面研磨やコーティング、フレームシステムなどが強調されています。対応するフィルター径はバリエーションが少ないものの、プロテクトフィルターで失敗したくなければ最有力候補なのは間違いない。
難点は価格設定。最小52mmでも5000円を超え、72?77mmで1万円近い相場。さらに82mmで1万円を超え、95mmはなんと2万円を超えています。フィルターをARCRESTで揃える場合、かなりの出費になることを覚悟しておくべし。
デザイン
フレームはハクバのSMC-PROとよく似ています。ロゴはニコンらしい、ゴールドを使用。
フレーム
フレームの厚みは3mmと比較的薄い。フレームは全体的にマットな塗装が施されています。キヤノン純正と比べて内面反射の対策はバッチリと言えるでしょう。高いだけのことはあります。
反射
反射は柔らかい緑みの黄色。今回テストした17種類の中では最も反射率が低く見えます。ゼロワンARコートは伊達じゃない模様。逆光テストの結果も期待できそう。
シグマ PROTECTER
ポイント
シグマ製プロテクトフィルターは「PROTECTOR」「WR PROTECTOR」「WR CERAMIC PROTECTOR」「WR UV」の4種類があります。全てシグマ製造なのか、OEMなのかは不明。少なくとも「WR CERAMIC」は株式会社オハラから素材を調達していると明言しています。今回は最も手ごろな価格の無印をチョイス。機能性を考慮するとやや高めですが、メーカー純正品としては少し安い。
マルチコーティングやガラス外周の黒塗などに対応しています。撥水・撥油性はありませんが、105mmのフィルター径まで対応しているのは魅力的。(WRやUVも105mmに対応しています)
デザイン
敢えて言えばマルミ光機と似たフレームですが、実際の質感などは異なります。ロゴは薄いグレーを使用。
フレーム
フレームの厚みは4mm。ハクバやマルミ、ケンコーのフィルターと比べるとフレームの光沢が強い。フレームの質感はキヤノンに近いですが、ガラス外周の黒塗り処理は施されています。
反射
反射はうすく淡い青紫色。反射は若干強めと感じるものの、実写で体感するほどの差ではないはず。
Zeta Quint・Marumi UVほどではありませんが、ガラスを抑えるフレーム部分に光沢があります。
ソニー VF-49MPAM
ポイント
ソニー純正ながら「Carl Zeiss T*」ブランドのフィルター。ちなみにMade in Japan。機能性を考慮するとキヤノンよりも割高。反射率や撥水・撥油性に関する記載は無く、ツアイスブランドに惹かれない限り買う理由が見つからない。対応するフィルター径も数が少ないです。
デザイン
フレームのデザインはキヤノンとよく似ているものの、ローレット加工は非常に小さく抑えられています。ロゴは「VF-49MPAM」のほか、「Carl Zeiss T*」と印字。
フレーム
フレームの厚みは3mmとキヤノンやシグマの純正フィルターよりは薄い。幅は適切でタイトなツアイスブランドのレンズフードにも対応できるはず。
内面反射の対策は良好と言えず、キヤノン純正と同様に光沢やガラス外周部の反射が目立ちます。ZetaやEXUSよりも高い価格設定を考えると残念なポイント。
反射
反射は明るい灰みの青系。XC-PROとよく似ていますが、反射は僅かに強い。フレーム枠のマット塗装も完璧と言えず、キヤノンやシグマのように光沢が見られます。
Waka MC UV フィルタ
ポイント
- 商品ページ
- Amazonでの価格(49mm):¥799
- コーティング:両面16層デジタルマルチコート
- 撥水撥油:対応
- 帯電防止:-
- フィルターフレーム:薄型
- 反射率:0.1%以下
- 対応フィルター径:49/52/55/58/62/67/72/77/82mm
- フレームの厚み(装着に突出する部分):3mm
- その他:
・台湾製16層多層加工光学フィルター
・UVカット
Amazonで入手可能な台湾製プロテクトフィルター。「なんと99%の透過率(反射率0.1%?)」と強気の主張が本当なのか気になるところ。反射率はともかく、両面で16層のデジタルマルチコートを採用し、撥水・撥油性を備えたフィルターとしては非常に安い。フィルター枠は3mmと薄いので超広角レンズでもケラれにくいのは優れたポイント。
デザイン
他のブランドと同様、フィルター端にローレット加工が施されていますが、フレーム周囲をゴールドのリングで装飾している点で異なります。このデザインが良いか悪いかは別として、かなり目立ちますね。
フレーム
フィルターの厚みは前述したように3mmと薄い。フィルター幅も特に問題ナシ。
内面反射の対策はハクバやケンコー、そしてマルミと比べると見劣りしますが、ガラス外周の黒塗り処理はされているように見えます。
反射
反射は青みを含んだ白色。反射率は少し高いように見え、少なくとも反射率0.1%のニコンARCRESTと同等とは思えません。国産フィルターよりも少し悪く、K&Fと同程度。撥水・撥油性にコストパフォーマンスを求めると面白い選択肢ですが、晴天下でフレアやゴーストを抑えたいのであれば別の選択肢を検討したいところ。
まとめ
価格 | WR | 帯電 | 厚 | 反射率 | 対応径 | |
---|---|---|---|---|---|---|
Amazon | ¥761 | - | - | 4mm | 不明 | 52-82 |
Canon | ¥3,060 | - | - | 4mm | 不明 | 43-82 |
SMC-PRO | ¥1,317 | - | - | 3mm | 0.5% | 37-82 |
ULTIMA | ¥3,031 | 対応 | - | 3mm | 0.3% | 37-82 |
XC-PRO | ¥2,201 | 対応 | - | 3mm | 0.3% | 37-82 |
Nano-X | ¥2,888 | 対応 | - | 3mm | 0.4% | 37-95 |
Lotus | ¥3,519 | 対応 | - | 4mm | 0.3-0.5% | 37-95 |
ZetaUV | ¥2,936 | - | - | 4mm | 0.3%以下 | 49-82 |
ZetaQ | ¥4,608 | 対応 | - | 4mm | 0.3%以下 | 37-82 |
ZX | ¥4,673 | 対応 | - | 4mm | 0.3%以下 | 49-95 |
DHG S | ¥2,624 | 対応 | - | 4mm | 不明 | 30-105 |
EXUS | ¥3,081 | 対応 | 対応 | 4mm | 0.3%以下 | 37-82 |
M.UV | ¥900 | - | - | 5mm | 不明 | 39-86 |
ARCREST | ¥5,793 | 対応 | - | 3mm | 0.1% | 52-95 |
SIGMA | ¥1,945 | - | - | 4mm | 不明 | 46-105 |
Sony | ¥3,764 | - | - | 3mm | 不明 | 40.5-82 |
Waka | ¥799 | 対応 | - | 3mm | 0.1% | 49-82 |
今のところ、価格を度外視でベストな選択肢はニコン「ARCREST」。テストするまでもなく、他のプロテクトフィルターと目に見える違いがあります。実写テストでも高い逆光耐性を期待できるはず。高い値札に躊躇してしまいますが、特に逆光の影響が大きい広角や標準レンズでは積極的に検討したいところ。
逆に、明らかに悪いのがAmazonベーシック。大口径でも非常に価格が安いのは魅力的ですが、コーティングで反射を抑えているようには見えず、状況によってコントラストやゴーストの影響が大きいと思われます。意図的にフレアを発生させたいのであれば面白い選択肢ですが、常用プロテクトフィルターとしておススメできるものではありません。どうしても安く抑えたいのであれば、台湾製のWakaを買うべき。
(コーティングによる色味の変化を徹底的に排除したい場合には有効かもしれませんが…)
コストパフォーマンスで選ぶ場合は求める機能性や価格帯で異なってくると思います。撥水・撥油性が必要なければハクバ「SMC-PRO」が性能と価格のバランスが良いと感じます。特に大口径のフィルターサイズでも価格が抑えられているのがGood。
ただし、撥水・撥油性とより良好な反射率を備えた「XC-PRO」は要検討。SMC-PROと比べて、僅かな差額で入手可能です。
堅牢性が必要な場合はZeta QuintがEXUS SOLIDやWR-CERAMICより手ごろな価格で入手可能。若干陳腐化していますが、ZRコートはまだまだ使える水準のコーティングだと思います(ただし価格を考慮すると反射率が少し高い)。ジェラルミン製フレームで歪みにくいのもポイント。
ZX・EXUS・Lotusなどは価格を考慮するとパンチが弱い。少なくとも色味の変化や広角レンズ使用時の影響などもチェックしないと長所が見えてこないような気がします。
キヤノンやソニー、シグマ純正フィルターはブランドに強いこだわりが無い限り、積極的に購入する理由は今のところ見つかりません。ひょっとしたら、フィルターのコーティングとレンズの相性があるかもしれませんが、それは今後のテストでチェック予定。
現時点でハッキリと言えることは「Amazonベーシックはやめておけ」これだけです。
内面反射の確認
反射の確認
反射する色の確認
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