Insta360の360度カメラ「X4」をレビュー第一弾を公開。今回はカメラの外観や操作性、起動速度やモニタータッチ反応などをチェック。やや大きく重く、高価なデバイスですが、360度カメラとしては高水準にまとまっていると感じました。
簡易的なまとめ
製品提供を受けている
このレビューはInsta360より無償提供された製品を使用しています。金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます(事前チェックで誤字は指摘されました)。無料であること、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。
レビュー内容の簡易的なまとめ
サイズはやや大きめですが、視認性が良く、応答性のよいタッチパネルを備え、タッチ操作のUIはよく考えられています。バッテリーは大容量となり、レンズや本体の保護手段は複数の選択肢を用意。撮像センサーは1/2型と言うこともありベストな選択肢ではないものの、コンシューマー向けの360度撮影デバイスとしては良くまとまっています。
欠点は高解像化にともなう静止画ファイルの書き出し時間や本体の発熱、microSDカード出し入れの不便さあたり。ボタンが少し押しにくいと感じる場合があるものの、気になる点があるとすればそれくらい。現在流通している360度カメラの中ではおすすめしやすい1台。
概要
- 商品ページ
- 楽天市場 Insta360ストア
- Amazon Insta360ストア
- 発売日:2024.4.16
- 販売価格(Amazon):
・通常版:79,800円
・自転車撮影バンドル:99,000円
・クリエーターバンドル:108,800円
・スターターバンドル:90,700円
・見えない潜水バンドル:110,300円
2018年に発売した「Insta360 ONE X」から始まり、X2・X3を経て登場した最新モデル。X2までは「ONE X2」というネーミングでしたが、「X3」より「ONE」がなくなりシンプルなモデルネームとなりました。
販売価格はX3より高くなってしまったものの、従来よりも高機能・高性能。コンシューマー向けのハイエンドモデルとして、付属品も多く、値上げは許容範囲内と言えるでしょう。
アクセサリー
アクセサリは社外製品も多いですが、直営ECサイトやAmazon店舗などで純正品として販売しています。長時間・旅行などで使用するなら予備バッテリーや急速充電ハブを、コンディションの悪い環境で使用するのであれば万能フレームやプレミアムレンズガードを用意しておくのがおススメ。どのような用途にしても、レンズキャップはあると便利だと思います。
- Insta360 X4 バッテリー
・直販ストア
・Amazon - Insta360 X4 急速充電ハブ
・直販ストア
・Amazon - Insta360 X4 万能フレーム
・直販ストア - Insta360 X4 プレミアムレンズガード
・直販ストア
・Amazon - Insta360 X4 スクリーンプロテクター
・直販ストア
・Amazon - Insta360 X4 レンズキャップ
・直販ストア
・Amazon - Insta360 X4 マイクアダプター
・直販ストア
・Amazon - Insta360 X4 クイックリーダー
・直販ストア
・Amazon - Insta360 X4 収納ケース
・直販ストア
・Amazon - Insta360 X4 風防マイクカバー
・直販ストア
・Amazon - Insta360 X4 見えない潜水ケース
・直販ストア
・Amazon - GPSプレビューリモコン
・直販ストア
X3との比較
これまでは形状を大きく変えながら進化してきましたが、X3からX4への見かけ上の変化は大きくありません。3世代を経てデザインが洗練されてきたと言うことでしょうか。ただし、モニターは大型化に加えて、ゴリラガラスによる堅牢さが向上。レンズは着脱が容易なレンズガードに対応し、バッテリーは大容量に改善。
撮像センサーのサイズは従来通りながら、高解像化・高性能化で8K・5.7K 60pに対応。シングルレンズで4K 60pの撮影も可能。音声制御は日本語にも対応。
X4 | X3 | |
360度動画解像度 | 8K30fps 5.7K60fps |
5.7K30fps |
360度スローモーション | 4K100fps | 3K100fps |
360度写真解像度 | 72MP カメラ内PureShot処理 |
72MP |
見えない自撮り棒 | 対応 | 対応 |
360度アクティブHDR | 対応 | 対応 |
スクリーン | 2.5インチ | 2.29インチ |
Gorilla® ガラス | 強化ガラス | |
シングル広角動画解像度 | 4K60fps | 4K30fps |
ミーモード解像度 | 4K | 1080p |
Flowstate 手ブレ補正 | 対応 | 対応 |
360度水平維持 | 対応 | 対応 |
バッテリー | 2290mAh | 1800mAh |
駆動時間 | 135分 | 81分 |
防水 | 10m | 10m |
レンズ保護 | 交換式 | 粘着式 |
ジェスチャー制御 | 対応 | - |
録画キャンセル | 対応 | - |
オートダッシュ | 対応 | - |
音声制御2.0 | 中国語、英語、日本語 | 中国語、英語 |
Bluetooth接続 | Airpods, Sena, Cardo, Airide, Asmax, Lexinmoto | Airpods |
外観
箱
デザインは同じですが、X3の縦長な箱と比べて横に長く大きな箱。大きくなったのは、同梱しているアクセサリーが増えているため(後述)。ふたを開けるとX4 本体が左側に、アクセサリ類が右側に収納されています。
付属品
X4本体のほか、標準レンズガード、USBケーブル、サーモグリップカバー、保護ケース、書類が付属。
別売りアクセサリー
付属品のほか、豊富な別売りアクセサリーを購入可能。レンズキャップは手頃な価格で購入でき、効果が高いのでおススメのアイテム。レンズガードや潜水ケースは画質への影響がゼロではないため、必要に応じて導入すると良いでしょう。
- X4用バッテリー:7,600円
- X4用プレミアムレンズガード:6,000円
- X4用レンズキャップ:1,200円
- X4用バッテリー急速充電ハブ:8,500円
- X4用収納ケース:3,400円
- X4用万能フレーム:10,000円
- X4用風防マイクカバー:1,700円
- X4用クイックリーダー:6,800円
- X4用マイクアダプター:3,400円
- X4用見えない潜水ケース:17,000円
外観
一見するとX3とよく似ています。基本的なデザインは同じですが、背面は隆起した硬質ゴムのカバーで十分なグリップが得られます。全体的にプラスチック製ながら安っぽさは無く、しっかりとした作り。前面には大きなタッチパネルとメインコントロールボタンを搭載。
モニタ側から見て左側面には、上から順に「マイク」「カバー付きUSB-Cポート」「交換可能なバッテリー用スロット」。バッテリースロット内にはmicroSDカードスロットを備えています。反対側は上から順に「マイク」「電源ボタン」「クイックボタン」を搭載。底面には標準的な1/4インチの三脚穴があり、多くのアクセサリーや三脚を取り付けることが可能。ネジ穴の側面はずれ防止用だと思われますが、対応するアクセサリーがあるかどうかは不明。
ハンズオン
X3より少し大きく、少し重い。RICOH THETAと比べると分厚い筐体ですが、防水性や大容量バッテリーを搭載していることを考えると許容範囲内。30分ほど撮影すると筐体が熱くなることを除けば、操作が簡単でポケットに収まる、堅牢でデザイン性の高いデバイス。
コントロール
正面
正面の2ボタンは厚いラバー素材でボタンが覆われているものの、しっかりとした感触で押すことが可能。ただし、ボタンを押す際はマークがプリントされている部分を正確に押す必要があります。マークの周囲を押し込んでも反応しません(当たり判定が狭い)。特にカメラを見ずにボタン操作する場合に追い。
キャプチャボタン(左側)は動画の録画開始や静止画の撮影に使用します。「クイックキャプチャー」機能をオンにすることで、「起動→撮影開始→電源オフ」一連の動作をワンクリックで操作することが可能。よく考えられています。RICOH THETAシリーズと比べると、キャプチャーボタンがカメラ下部に配置されています。グリップ無しだと押しづらい位置です。しかし、レンズ部から離れた場所にあるので、360度や自撮り時に指が大きく写らないというメリットがあります。
モードボタン(右側)を押すと、基本的な撮影モードを変更できる画面へと移行。そのまま再度ボタンを押すと、モード選択が右方向へ循環します。また、シングルレンズモードと360度モードの切り替えが可能。
モードボタンのカスタマイズに関しては後述。
右側面
電源ボタンを長押しすることで起動やシャットダウンに対応。起動中にシングルクリックすることでモニターオフの待機モードへ移行することができます。
クイックボタンを押すと、プリセットされた撮影モード・設定をまとめて呼び出して素早くモード変更することが可能。プリセットで記憶できるのは「撮影モード」「撮影パラメータ」「画像パラメータ」の3系統で自由が高い。
クイックボタンのカスタマイズに関しては後述。
レンズ
IPX8の10m防水に対応する1/2型センサー用レンズ。防水使用ですが、最高のスティッチ効果を得るには専用設計の「見えない潜水ケース」使用が推奨されています。どれほどの強度を持つガラスを使用しているのか、フッ素コーティングの有無などは不明。レンズへのダメージが予想されるシーンでは付属のレンズガード、もしくは別売りのプレミアムレンズガードを装着しておいたほうが良いでしょう。
レンズガード
X4にはレンズ前面に装着できるレンズガードが付属しています。X3のような粘着式ではなく、バヨネットタイプのマウント。このため、簡単な着脱に対応。とは言うものの、個体差なのか、手持ちのX4は付属のレンズガード・別売りレンズガードともにマウントへの装着が非常に硬く、しっかりと固定するのに苦労しました。
注意点として、レンズガードには正しい装着方向があります。レンズガード装着位置の指標が真下にくるようにはめ込む必要あり。スティッチ用の補正を自動で切り替える設定が機能しなくなるためと思われます。(手動で切り替えることも可能のようですが)
プレミアムレンズガード
標準レンズガードのほか、ガラス製のプレミアムレンズガードが別売りされています。画質低下を抑えた状態でレンズガードを使用したい場合はこちらがおススメ。レンズガード装着位置の指標が「赤色」となっています(付属品は青色)。
どれほど画質に影響があるのかは後日レビューを追記予定。
スクリーン
解像度や輝度の数値は公開されていませんが、撮影のフレーミングを助けるには十分すぎるほど大きく、直射日光の屋外で使用するには十分な明るさを備えています。モニター視野角は広く、深い角度からでも確認が可能。さらに表面はゴリラガラスを使用して衝撃や傷に強いモニタとなっています。
タッチパネル
2.5型大きなモニタはタッチ操作に対応。シングルタッチのみで、マルチタッチによる拡大・縮小などは利用することができません。高級スマートフォンほどの応答性ではありませんが、普段使いで不便と感じない程度に良好な応答性。
モニター上のコントロール
スマートフォンのようなスワイプ・タップ操作に対応。応答性も良く、直感的に操作することができます。各機能は小さな画面の中で簡潔かつ明瞭に説明・記号化されています。
画面のスワイプ 下→上
画面の下から上にスワイプすると、写真/動画の解像度、フレームレートを変更可能。静止画の場合はセルフタイマーを「3/5/10/15秒」のいずれかを使用可能。シングルレンズの場合はアスペクト比「16:9 / 9:16 / 1:1」を使用可能。
- 360度 静止画
・72MP / 18MP
・セルフタイマー - シングルレンズ 静止画
・36MP / 9MP
・アスペクト比
・セルフタイマー - 360度 動画
・8K / 5.7K+ / 5.7K / 4K
・フレームレート - シングルレンズ 動画
・アスペクト比
・4K / 2.7K / 1080P
・フレームレート
このほかにも、インターバル撮影やタイムシフト、FreeFrame動画など、特殊な撮影機能ごとに異なる設定画面となっています。
画面のスワイプ 上→下
画面上部から下にスワイプすると、カメラ設定にアクセス可能。
- 画面回転のロック
- 画面のロック
- モニター輝度
- レンズガード(オート/プレミアム/標準/オフ)
- スクリーン読み上げ
- 通知音
- AIハイライト・アシスタント
- ジェスチャー操作
- 音声制御
- クイックキャプチャ
- プリ録画
- 予約録画
- インジケーターランプ
- オーディオ設定
・自動風切り音低減
・ステレオ
・アクティブ風切り音低減
・方向性強調 - Bluetoothヘッドフォン
- Bluetoothリモコン
- プリセットモード呼び出し
- 設定画面呼び出し
画面のスワイプ 右→左
右側から左側へスワイプすると、露出、測光、色、ホワイトバランス、手ぶれ補正を設定できる。また、シーンに合わせて手動で露出を調整することも可能。
画面のスワイプ 左→右
画面の左側から右側へスワイプすると、microSDカード内のすべてのコンテンツを閲覧することが可能。「静止画・動画・お気に入り」に分けて表示切り替えに対応。サムネイルから一括選択で削除や転送予約、お気に入り指定の設定ができる。
キャップ
シリコン製の別売りレンズ保護キャップ。手頃な価格でレンズを保護することができ、使用時は素早く取り外すことができるのでおススメ。レンズガード装着時でも利用できるよう、少し大きめのデザインとなっています。レンズキャップの着脱回数は数え切れませんが、(着脱の際にレンズ面と擦れるものの)レンズ表面のコーティングが剥離する傾向はありません。大きな問題なく使用できます。
バッテリー
バッテリーライフの向上は、X3からX4にアップグレードする最も大きなメリットの一つ。
X3は1,800mAhのバッテリーで81分の撮影が可能、X4は2,290mAhの大型バッテリーで最大135分の撮影が可能となっています。大容量化しているものの、バッテリーのフル充電は55分と短縮化。
これでも足りない場合は別売りバッテリーや急速充電ハブを購入することで、連続撮影に対応することができます。
SDカードスロット
バッテリーを取り外すと、バッテリースロットの側面にmciroSDカードスロットがあります。アクセスするのに少し手間がかかるものの、ストレージを1TBまで拡張したり、現場でカードを入れ替えて撮影を継続することができます。
書き込み時間
動画撮影は収録中にSDカードへ記録するため、撮影後の書き込み時間はごくわずか。一方で、静止画は撮影後に容量の大きなINSPファイル・DNGファイルを一度に書き込む必要があるため、撮影後に数秒の書き込み時間が発生。この際はいかなる操作も受け付けません。連続撮影には対応しておらず、基本的にワンショットのみ。参考までに、360度静止画における書き込み時間をチェックした結果が以下の通り。
- 360度 72MP PureShot+RAW:約8秒
- 360度 72MP PureShot:約5秒
- 360度 72MP INSP:約3秒
- 360度 18MP INSP+RAW:約3.5秒
- 360度 18MP PureShot:約3秒
- 360度 18MP INSP:約1.5秒
- 360度 HDR 72MP:約14.5秒
- 360度 HDR 18MP:約6秒
書き込み中はモニター左上に進行状況が表示され、視覚的にわかりやすくなっています。
サーモグリップカバー
本体に装着するサーモグリップカバーが付属。工具などは必要なく、はめ込むだけで装着することができます。これは本体を保護するためのケースではなく、8K動画などで本体が発熱した際にグリップしやすくするもの。もしも本体の保護を優先するのであれば、別売りユーティリティフレームがおススメ。前述したレンズ保護用キャップはレンズガードを装着したままでも利用することができます。
タリーランプ
カメラの前後には起動中や収録中を示す電源・タリーランプを備えています。ランプの輝度はやや強めで、低照度や暗い屋内ではランプが目立ちすぎる可能性があります。前後それぞれオフにすることは出来ませんが、どちらも消灯設定に対応。
伸びる棒
各種Insta360デバイスで利用できる、全長114cmまで伸ばすことのできる自撮り棒。70cmモデルと異なり、グリップ部分に滑り止めのラバーがあります。底面には一般的な三脚ネジ穴を備え、三脚やアクセサリーなどを装着可能。伸縮は先端を掴んで引き出すだけ。ねじって固定する必要はありません。Insta360デバイスを搭載する分には十分な剛性を備えていますが、他の機材に装着する場合は負荷に耐えられるか確認しておくといいでしょう。
起動時間
起動・シャットダウンどちらも5秒以内に完了します。特にもたつく印象はなく、ポケットから取り出して素早く撮影に移行することができます。
外観・操作性まとめ
サイズはやや大きめですが、視認性が良く、応答性のよいタッチパネルを備え、タッチ操作のUIはよく考えられています。バッテリーは大容量となり、レンズや本体の保護手段は複数の選択肢を用意。撮像センサーは1/2型と言うこともありベストな選択肢ではないものの、コンシューマー向けの360度撮影デバイスとしては良くまとまっています。
欠点は高解像化にともなう静止画ファイルの書き出し時間や本体の発熱、microSDカード出し入れの不便さあたり。ボタンが少し押しにくいと感じる場合があるものの、気になる点があるとすればそれくらい。現在流通している360度カメラの中ではおすすめしやすい1台。静止画・動画の画質などに関しては現在チェック中。高解像の1/2型センサーと円周魚眼レンズの組み合わせであり、過度な期待は禁物。とはいえ、4Kモニタで重箱の隅を楊枝でほじくるような使い方でなければ、画質の粗は気にならない程度。画像を閲覧する媒体がスマートフォンやタブレットなら快適に利用できると思います。RICOH THETAのような静止画向けの360度デバイスの代替品として使うことできるし、片面シングルレンズを使ったアクションカメラ・防水カメラのように使うことも可能。THETAと比べるとスマートフォンの連携が非常に快適で柔軟性も高い。画質の方向性(DNG RAWにもノイズリダクションが適用されている)が大きく異なる点には注意が必要ですが、一般的にはTHETAよりもおススメしやすい360度カメラだと思います。
購入早見表
公式ウェブサイト/公式ストア
- 商品ページ
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- 発売日:2024.4.16
アクセサリー
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静止画作例
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