このページではパナソニックのマイクロフォーサーズカメラ「LUMIX G9 PRO」のファームウェアアップデート Ver2.0におけるいくつかの追加機能のレビューを掲載しています。
ファームウェアアップデートの内容
Profoto社製コマンダーとの互換性向上
・Profoto社製コマンダー「Air Remote TTL-O/P」 「Profoto Connect-O/P」が使用できるようになりました。
*すべての性能を保証するものではありません。オートフォーカス性能の向上
・AFモードに「動物認識」を追加しました。
・自動認識AFにおける主要被写体をジョイスティックのプッシュ操作で切り替え可能になりました。
・AF-ON時の近距離の被写体を優先して合焦する「AF-ON:近側」、遠距離の被写体を優先して合焦する「AF-ON:遠側」機能を追加しました。
・AF設定時において、ピーキング機能が使用できるようになりました。
・クリエイティブ動画モード設定時または[記録枠表示]が「動画」に設定時に、ライブビュー時からのAF連続動作が可能になりました。動画機能強化
・4K30p 4:2:2 10bitの内部記録ができるようになりました。
・4K60p 4:2:2 10bitのHDMIスルー出力ができるようになりました。
・「輝度レベル設定」の設定値を追加しました。
・VFR機能に対応しました。
・HDR動画機能に対応しました。
・別売アクセサリー「DMW-SFU1」によるV-LogL撮影および波形モニター(WFM)表示に対応しました。その他機能追加
・ハイレゾモードにおいて、被写体ブレを軽減する処理を行う「MODE2」を追加しました。
・WBに[AWBw]を追加しました。
・測光モードに[ハイライト重点測光]を追加しました。
・カスタムメニューに[基準露出レベル調節]を追加し、測光モードの基準露出レベルの調節ができるようになりました。
・[オートレビュー]の時間設定値に[0.5秒]を追加しました。その他性能改善
・MモードでISOオート設定時、[AF/AE LOCK]ボタンでAE LOCK動作できるようになりました。
・ライブビューブースト機能において、フレームレートを滑らかに表示しMFでピントを合わせやすくする[MODE1]を追加しました。
・背面モニター消灯時に、前後ダイヤルでの絞り・シャッタースピード操作を可能にしました。動作安定性の向上
・ダブルスロットのバックアップ記録機能において、書き込み中に停止する不具合を修正しました。
・EVF120fps設定時、低照度環境下において、MF動作中の[AF-ON]押下後のAF動作安定性を向上させました。
・縦位置撮影をしても、稀に画像が回転しない不具合を修正しました。
・動画撮影時※の手ブレ補正の動作安定性を向上させました。(※:[手ブレ補正設定]の[電子補正(動画)]ON / [手ブレ補正ブースト(動画)] ON設定時)
AF
動物認識
「動物認識」はフルサイズミラーレス「LUMIX S1R・S1」で新しく導入した被写体認識機能ですが、G9やGH5Sのようなマイクロフォーサーズでテクノロジーを共有できた模様。
動物認識は「オートフォーカスモード」を「自動認識」に設定して「↑ボタン」でオンオフを切り替えることが可能。正直に言うとオフの状態でも動物を検出することがありますが、正常な動作を求めるのであればオンにしておきましょう。
オンにすることで「人体・顔・瞳」の検出に加わる形で「動物認識」機能が動作します。つまり、従来機と同様、顔・人体を検出しつつ、動物も同時に検出する仕組み。
検出可能な被写体が多いと複数の検出枠が表示され操作し辛い。しかし、フォーカスレバーのプッシュボタンを押すことで検出している被写体を切り替えることが可能。この操作体系はなかなか好印象。
上の動画で分かるように、OFFの状態でも動物を認識します。これが正常な動作なのか、不具合なのかは今のところ不明。このあたりの挙動は後日実写にて確認予定。
実際に動物でテストするのは後日となりますが、置物でもまずまず良好に動作していると感じます。ソニーの動物瞳と異なり、検出精度は高い印象。
AF-ON 近側/遠側
AF-ONボタンのカスタマイズに加わったのが「AF-ON:近側/遠側」。
他社で似たような機能が無いので、どのような効果を発揮する機能なのかイマイチ分からない人も多いはず。
簡単に言うと、フォーカスフレーム内に存在する「手前の被写体」もしくは「奥の被写体」どちらかへピント合わせを優先的に実施する機能。
フォーカスフレームがピンポイントや小さな1点AF使用時は効果が表れにくいものの(フレーム内に手前と奥の被写体が入り込み辛いため)、広いエリアをカバーするAFモード時に前景や後景にピントが抜けにくくなるのは有難い。
この挙動が適用されるのはAF-ONボタンを押した際のAFのみであり、シャッター半押しの場合は通常通りのAFアルゴリズムが適用される。使い分けて操作出来るようになれば非常に便利な機能と言えるでしょう。
AF時ピーキング
AFS時でもピーキング機能を利用できるようになりました。動作するタイミングはシャッター半押し状態の時であり、待機状態の場合はピーキングが解除されるのでライブビューを視認しやすくなります。
動画
アップデートの仕様通りなので割愛
その他
ハイレゾ MODE2
LUMIX G9はイメージセンサーをずらしながら8枚のイメージを合成して高解像な写真を生成する機能「ハイレゾモード」を実装しています。しかし、複数のイメージを合成するので、動く被写体が混じると合成失敗・不自然な合成結果となってしまいます。
同じ仕組みを持つペンタックスやオリンパスは「動体補正」で動く被写体の不自然さを緩和していますが、パナソニック機には「動体補正」が備わっていませんでした。しかし、今回のファームウェアアップデートでついに「動体補正」に対応。
動体補正の適用は従来通りハイレゾモードを呼び出して、最下部に追加された動体補正の項目を「オン」にするだけ。動体補正の結果はRAWファイルにも影響するため注意が必要。
動体補正のオンオフのみで撮り分けた作例を以下に掲載しました。
今回のテストでは一目瞭然。動体補正は効果覿面と言って間違いないはず。オリンパスの動体補正より効き目が良いかも。当然ながら動体補正の入った箇所はハイレゾモードの恩恵を受けないので注意が必要。
日を改めて、海や川、そよ風に揺れる木々などでチェックしてみたいところ。
AWBw
「AWB」「AWBc」に加えて「AWBw」が登場。比較して暖色傾向となるオートホワイトバランスだと思いますが、ミニスタジオでは効果なし。これは現地で彩度チェックしてみたいところ。
ハイライト重点測光
白飛びを極力予防する測光モードです。フレーム内に白飛びするような高輝度領域がある場合、最優先で露出を抑える挙動となります。非常に部分的なハイライトでも露出を合わせようとするので、状況によっては露出が破綻する場合があります。
基準露出レベル調節
各測光モードにおける適正露出を調整することが可能となりました。特に光の影響を受けやすいマルチ測光やハイライト重点測光を自分の好みに調整しておくと良い感じ。
オートビュー
新たに「0.5秒」のオートビューに対応。じっくり確認するには短すぎるので、どちらかと言えばスナップ向けの機能か?
雑感
- 動物認識
- AF-ON:近側/遠側
- ハイレゾモード MODE2
個人的には上記3点がおススメのファームウェアアップデート。「パナソニックはユーザーエクスペリエンスを良く考えている」と感じる改善・追加機能が多い。
その他にも色々な便利機能が実装されているので、頃合いを見計らって(FW2.0に潜んでいる可能性がある不具合が出切った段階で)ファームウェアアップデートに踏み切るのがおススメ。
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