「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 Macro O.I.S.」のレビューを第一弾を公開。このクラスでは最小・最軽量のレンズですが、使い勝手のよいコントロールや必要十分なフォーカス性能など、妥協を感じない作りとなっています。
LUMIX S 28-200mm F4-7.1 Macro O.I.S.のレビュー一覧
- LUMIX S 28-200mm F4-7.1 Macro O.I.S. レンズレビュー完全版
- LUMIX S 28-200mm F4-7.1 Macro O.I.S. レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編
- LUMIX S 28-200mm F4-7.1 Macro O.I.S. レンズレビューVol.5 諸収差編
- LUMIX S 28-200mm F4-7.1 Macro O.I.S. レンズレビューVol.4 ボケ編
- LUMIX S 28-200mm F4-7.1 Macro O.I.S. レンズレビューVol.3 解像チャート編
- LUMIX S 28-200mm F4-7.1 Macro O.I.S. レンズレビューVol.2 遠景解像編
- LUMIX S 28-200mm F4-7.1 Macro O.I.S. レンズレビューVol.1 外観・操作・AF
Index
まえがき
2024年2月にパナソニックが正式発表したLマウント用の高倍率ズームレンズ。特徴はなんといってもコンパクトなレンズサイズ。フルサイズミラーレス用の光学7倍を超える高倍率ズームとしては世界最小・最軽量で、携帯性の良好なレンズサイズを実現。代償として、高倍率ズームとしてはズームレンジが狭く、開放F値は高めですが日中の屋外であればISO感度上昇に悩まされることはないでしょう。
- 商品ページ
- 仕様表
- データベース
- 発売日:2024年4月18日(木)
- 予約開始日:2024年2月28日10時
- 希望小売価格:132,000円(税込)
- フォーマット:フルサイズ
- マウント:ライカL
- 焦点距離:28-200mm
- 開放絞り:F4-7.1
- 最小絞り:F32-45
- 絞り羽根:9枚 円形絞り
- レンズ構成:13群17枚
(非球面レンズ1枚、EDレンズ4枚、UHRレンズ1枚) - 最短撮影距離:0.14m(W) / 0.65m(T)
- 最大撮影倍率:0.50x(W)
- フィルター径:67mm
- サイズ:φ77.3×93.4mm
- 重量:413g
- 防塵防滴:対応
- AF:リニアモーター
- 手ぶれ補正:搭載 協調時 6.5段分
- その他機能:
・フォーカスブリージングを抑えた設計
小型軽量な高倍率ズームですが、最大撮影倍率0.5倍の高い接写性能、防塵防滴や-10度の耐低温設計のタフなレンズ。さらにDual.I.S 2に対応する光学手振れ補正を搭載しているため、スローシャッターを利用できるシーンではISO感度の上昇を抑えることが可能となっています。
レンズサイズはF1.8シリーズや20-60mm F3.5-5.6よりは大きめ。と言っても、高倍率ズームレンズの中で驚くほど小型軽量であることに違いありません。
価格のチェック
売り出し価格は118,800円。競合他社と見比べた際に高くも安くもありません。ライカLマウントでは唯一無二の高倍率ズームとなるため、小型軽量なレンズサイズと開放F値のバランスに納得できるかがポイントとなりそうです。
外観・操作性
箱・付属品
元箱はLUMIX Sシリーズらしい、黒を基調として赤色のラインが入ったシンプルなデザイン。中身の緩衝材はプラスチック素材少なめで、主に紙素材で構成。レンズ本体のほか、前後のキャップにレンズフードが付属。書類は説明書と保証書が付属します。
外観
外装はポリカーボネート製の鏡筒とゴム製フォーカスリング・ズームリングで構成。LUMIX Sシリーズらしい素材・塗装・デザイン。しっかりとした作りですが、販売価格を考慮すると少し安っぽく感じるかもしれません。
焦点距離やレンズロゴなどは基本的にプリントですが、大きく表示された焦点距離「28-200mm」の部分は刻印のうえで塗装されています。レンズサイズは50mm F1.8や20-60mm F3.5-5.6よりも少し大きめですが、驚くほどの差はありません。このサイズで高倍率ズームレンズを使うことができるのは便利。
ズームによるレンズの伸び方
28mmから望遠端の200mmへのズーム操作で内筒が徐々に伸びます。内筒は2段階で伸びるように構成され、200mm時の全長は縮長と比べて倍程度。
開放F値の変動
広角端から望遠端まで、開放F値が徐々に大きくなっています。変動に偏りはなく、焦点距離に応じてF値が0.1刻みで大きくなっていきます。参考までに主要な焦点距離における開放F値を以下に掲載。(実際には0.1刻みでF値が変化します)
焦点距離(mm) | 開放F値(F) |
28 | 4.0 |
35 | 4.5 |
50 | 4..9 |
70 | 5.5 |
100 | 5.9 |
135 | 6.3 |
200 | 7.1 |
ハンズオン
高倍率ズームレンズとは思えないサイズ・重量。20-60mm F3.5-5.6とほとんど変わりません。このサイズで「200mm F7.1」を使えるのであれば、許容範囲内。質感は価格を考慮すると少し安っぽいですが、防塵防滴・フッ素コーティングなど耐候性に不満はありません。
前玉・後玉
レンズ前面にはフッ素コーティングが施されているので、水滴や油汚れの付着時にメンテナンスがしやすくなっています。とはいえ、傷や粉じんなどのダメージが予想できる環境であれば、プロテクトフィルターを装着するのがおすすめ。フィルター径は67mmで、F1.8シリーズや無印 LUMIX Sレンズの多くと共有が可能。前面にはレンズ名がプリントされていますが、反射を抑えたダークグレーのカラーリングでフィルター面への写りこみを抑制。
金属製のレンズマウントは5本のビスで本体に固定されています。マウントの周囲には防塵防滴用のシーリングがあります。後玉はズーム操作で前後に移動する模様。ちなみにレンズの製造国は中国と表示。
フォーカスリング
レンズ先端にはゴム製フォーカスリングを搭載。競合他社の純正レンズよりも回転操作が重めですが、滑らかに回転します。ソニーのようなゆるゆるの操作性ではなく、キヤノンやニコンよりも使いやすい印象あり。
ズームリング
フォーカスリングと同じくゴム製のズームリングを搭載。適度な抵抗感でズーム全域を滑らかに回転することが可能。ストロークの間にひっかかるような強い抵抗はなく、動画撮影でもある程度は滑らかズーム操作が可能かと思います。
レンズフード
プラスチック製の花形レンズフードが付属。他のレンズと同じく、装着時のロックに対応しており、一か所にリリース用のボタンを備えています。逆さ付けに対応しているほか、花形フードながら幅広の形状で垂直に立てることが可能。
スイッチ類
Fnボタンはありませんが、AF/MFとOISの切り替えスイッチを搭載。必要最低限ですが、適度な抵抗感で素早く切り替えることができます。
装着例
LLUMIX S5IIに装着。Sシリーズのカメラとしては小型軽量なボディですが、コンパクトな28-200mmとの組み合わせでバランス良好。20-60mmやF1.8単焦点レンズを装着しているような感覚で利用することができます。光学手振れ補正を搭載しているので、ボディ側に手振れ補正がない「SIGMA fp」のようなカメラでも使いやすいはず。
AF・MF
フォーカススピード
フォーカス駆動にはリニアモーターを使用。実使用で十分に高速ですが、他社のリニアモーター搭載レンズと比べると移動速度は平凡。ボディ側のAFアルゴリズムが問題なのか、レンズ側のモーター性能が限界なのかいまのところ判断できません。ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
全体的に画角の変化がゼロとは言えないものの、ズーム全域でよく抑えられています。
28mm
100mm
200mm
精度
LUMIX S5IIとの組み合わせで良好な結果を得ることができました。ただし、開放F値が大きいため、低照度の環境(星空・水族館・屋内スポーツなど)ではパフォーマンスが大幅に低下する可能性あり。
MF
前述したように、使い勝手の良いフォーカスリングを搭載しており、カメラ側のアシスト機能も豊富。高倍率ズームレンズの中では使いやすい部類だと思います。
まとめ
小型軽量ながらきちんと作られた高倍率ズームレンズと感じました。開放F値が大きいので低照度には不適ですが、それ以外はコンパクトサイズによる妥協を感じないレンズとなっています。欲を言えばFnボタンがあるとよかったですが、不満を言うならばそれくらい。肝心の光学性能は現在テスト中ですが、ざっと使ってみた限りでは(小型軽量な高倍率ズームとしては)思いのほか良好な結果が得られたような気がします。F8まで絞れば9600万画素のハイレゾモードでも十分な解像性能が得られ、後ボケはこのクラスの中ではとても滑らかで綺麗な描写に見えます。
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作例
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