外観・操作性
開封の儀は省略してさっそくレンズをチェック。
外装は金属パーツを多く使用しているしっかりとした造り。エンジニアリングプラスチックを採用するメジャーな一眼メーカーと比べて質感は良好だ。金属外装なのでこの時期はちょっと手触りが冷たいのは難点。
金属パーツはもちろん重量には反映されている。手に取ると小型ながら密度を感じる重さである。
残念ながらフードはプラスチック製で内側に植毛は無いタイプ。25mm F1.2 PROと全く同じ「LH-66B」で使いまわしが可能だ。
25mm F1.2 PROを並べてみる。
なんと25mm F1.2 PROが僅かに大きい。25PROのレンズ構成枚数が極端に多いだけはあるようだ。
45mm F1.2 PROは競合レンズと比べて構成枚数が多いものの、25PROほどでは無い。
重量はどちらも410gで最大径は70mmと統一されている。もちろんフィルター径は同じ62mmだ。
方向性は違うものの、このような統一感のあるデザインはPENTAXのリミテッドシリーズに通じるものがある。
PROレンズらしく「マニュアルフォーカスクラッチ構造」を採用。
フォーカスバイワイヤ方式がメジャーであるミラーレス一眼にあってヘリコイド式のような操作感で使う事ができる。
クラッチ構造を利用した場合、マニュアルフォーカスリングの回転角は約90度であり、他のPROレンズの回転角とほぼ同じだ。至近距離で使うには少々回転角が小さい感じるかもしれない。その場合には通常のマニュアルフォーカスモード(クラッチを使わずにMFモードに入る)を使うとより精度を上げることが可能。
フォーカスリングの横に「L-Fn」ボタンが配置されている。ボディのボタンと同様に豊富なファンクション機能を登録することができる。
レンズ前玉は25mm F1.2 PROよりも大きく、45mm F1.8よりも遥かに大きい。
他社では一般的となりつつある防汚コート・フッ素コーティングが採用されていない。水滴がついてもブロアで吹き飛ばすことができるフッ素コーティングは重宝するので是非ともオリンパスには導入して頂きたいところ。
と言う訳で、オリンパスレンズにはフッ素コーティングが施されたプロテクトフィルターを付けるようにしている。
フォーカシングは内部駆動のため前玉が繰り出したり回転したりすることはない。25 PROや17 PROとフィルター径が同じなのでフィルターワークをし易い点はGood。
レンズマウント側には防塵防滴用のシールが施されている他、後玉付近で内部に塵が混入しそうな隙間は見当たらない。
25mm F1.2 PROと同じく製造国は日本である。
オリンパスのポートレートレンズを比較。
明るいレンズなので45PROは大きい。質感はフルメタリックな75mm F1.8と比べるて劣るが、45PROもなかなか良好だ。
個人的な好みで言えば75mm F1.8。別売りで高価だが金属製で植毛付きのフードは趣味性が高く素晴らしい。
45mm F1.8はメタリックな塗装が施されているが、マウント以外はプラスチック製。しかし、手に取って安っぽさは感じられない。
この中で防塵防滴仕様のレンズは45PROだけなので、悪天候の中でも撮影を続行したいのであればPRO一択。
E-M1 Mark IIへの装着例。
外観・重量バランスともに良で追加グリップが必要な大きさでは無い。
L-Fnボタンは左上に配置されているのでかなり押し辛い。何故もう少し横に設置しないかったのか理解に苦しむところ。あまり使用頻度の少ないプレビュー機能を割り当てて使っている。
画質チェック
がっつりレビューは既に別のページで掲載しているので、今回はサクッとおさらい。
解像力
近接・無限遠のどちらも絞り開放から描写は安定。
中央は絞り開放から解像性能が高く、絞って改善するのは軸上色収差による色づきと僅かなコントラストの向上。
端は絞り開放から安定した描写だが細部は僅かにソフト。F1.8まで絞ると急速に解像性能が向上するためF1.8系のレンズと比べて大きなアドバンテージとなる。
このアドバンテージはF5.6付近まで持続するが、それ以降はF1.8系のレンズと比べて大きな差は無いはず。つまり、このレンズの持ち味は絞り開放付近の解像性能と言う事が出来そうだ。
ボケ
25mm F1.2 PROと同じく滲みを伴う滑らかなボケ質。特に後ボケはとても滑らかで綺麗だ。加えてボケの色づきが少ないため不必要にエッジが強調されることもない。
比較して前ボケは少し硬調となるが、それでも並の大口径レンズよりずっと良好だ。
玉ボケ
大口径レンズのため四隅の玉ボケは変形しやすい。
特に1段絞った場合の四隅や2段絞った場合に絞り羽根の影響を受けやすい。もしもイルミネーションなど点光源が多く構図に入るのであれば絞り開放を積極的に使いたいところ。
色収差
ボケの色づく原因となる軸上色収差はゼロでは無いが、他のレンズと比較してとても抑えられている。
この補正能力については25 PROと同様、競合レンズの中ではトップクラス。
さらにF1.8まで絞れば目立ちやすいマゼンダの色づきを大きく抑えることができる。
逆光
レンズ構成枚数がライバルよりも多いこのレンズのアキレス腱。
コーティングが良く全体的なコントラストの低下は少ないが、レンズ内の反射によって目立つゴーストが発生し易い。
幸いにも画角が狭いレンズなので逆光耐性で苦労するシーンはそう多く無いはず。照明が多いライブの撮影は注意した方が良いかもしれない。
実写レビュー
暗い屋内の撮影でもシャッタースピードを稼ぎやすい点はやはり便利。
絞り開放の描写は安定しており、ボケの色づきが少ないので実に使いやすい。
比較的暗いシーンでもオートフォーカスは速くて正確。
しかし、被写界深度の浅いレンズなのでE-M1 Mark IIのAFエリアをもう半分ほどに割ったスモールスポットなAFモードが欲しいところ。
イルミネーションのシーンでは重宝する。
程よい被写界深度と明るさを両立できるのはマイクロフォーサーズならでは。
同時に持って行ったフルサイズ機と大口径レンズは被写界深度が浅すぎる。絞るとISO感度上がりすぎて使い辛く三脚を意識させられる使い勝手だった。
その点、オリンパスは頼もしいボディ内手ぶれ補正が搭載されてるので2?3段程度のスローシャッターならばミスショットの心配もなく撮影可能。
F2.8まで絞ればピント面はフレーム全域でパキっとシャープに写る。
コントラストが強すぎず、線の細い描写。
フルサイズと比べて大口径レンズとしてはサイズが小さいのでフォーカス駆動は比較的高速。
ミスショットは少なからず出るものの、どちらかと言えばカメラ側の問題。
しっかりと捕捉できれば突撃するウサギの鼻先にもピントは食いつく。
このようなシーン・被写体で軸上色収差の少なさは便利。
ピント面の前、例えば口ひげなどにマゼンダの色づきが発生しそうな場所で皆無。
ピント面の後ろ、例えばコントラストが強い毛並みでグリーンの色づきが発生しそうな場所で皆無に近い。
大口径・携帯性・収差の良好な補正を兼ね備えつつ、オートフォーカスが高速と言うのは大きなメリット。
ピント位置に依らず収差が気にならない描写はとても使いやすい。さらにボケは上質で滑らかだ。
まとめ
長所 | 短所 |
|
|
信頼性と安定感、そしてボケが魅力的なレンズ
本レンズと遥かに安価な「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」とで悩んでいるのであれば、45mm F1.8がオススメ。45mm F1.8は安価ながら非常に良くできたレンズ。マイクロフォーサーズで初めて買う中望遠レンズとしては打って付けの一本だ。
45mm F1.2 PROは45mm F1.8よりも画質・機能の面で上回るものの、サイズが大きく価格はとても高い。
ボケ質は一つの大きなポイントとなるが、それ以上に「防塵防滴」「絞り開放の安定した画質」「MFクラッチやL-Fnなどの付加機能」が決め手となる。コンディションが変化する現場に強く、収差や解像面でミスショットの発生が少なく打率が高い。
安価なレンズとの差は信頼性と安定感によるところが大きく「PRO」と名の付く通りプロフェッショナル志向なレンズ。ここまで高水準のバランスでこのサイズにまとめられたレンズは他のマウントでも多くないはず。
他人から薦められて買うレンズと言うよりは、描写と仕様を見て必要に応じて買うレンズ。
レンズの味を楽しみたいなら他のレンズをチョイス
描写は使いこなしを楽しむレンズとは真逆に位置し、とても使いやすいレンズなので購入初日から第一線を張ることが可能。
レンズの味は「白湯でたべる美味い生麺」なので描写を楽しむには物足りないかもしれない。(RAW現像で後から編集する分にはとても扱いやすい描写)
「もしもこのレンズを買うとしたら」を挙げるならば…
- 既存の中望遠レンズの描写に満足できない(主に開放付近の収差や解像性能)
- タフなポートレートレンズが欲しい
- 素早いマニュアルフォーカシング
- ワンランク上の滑らかで滲むボケ質
と言ったところ。
もしも「描写にレンズの味」を求めているのであれば…
- LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.(コッテリ・艶っぽい描写・手ぶれ補正)
- VoightLander NOKTON 42.5mm F0.95(開放の柔らかい描写・接写性能)
の2本が満足度は高いかもしれない。単純に「コスパ」を求めるのであれば…
- M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8(安い・軽い・よく写る)
- LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.(手振れ補正・接写性能)
- 60mm F2.8 DN(凄い安い・良く写る)
あたりがオススメ。
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