2000mmの超望遠をトコトン使ってみた
2016.3.12追記:Facebook(当サイトサイドバー上部に掲載)にP900の作例を追加
ニコンのスーパー望遠カメラ『COOLPIX P900』を1ヶ月間お借りする機会に恵まれたので、トコトン使い倒してレビューしていきたい。
前回の記事では外観と機能性について書いたので、今回は作例たっぷりな感じで写真を掲載しながらレビューをしていきたいと思う。今回はサイズ重めの画像ファイルが多いので、転送容量気にしている方は注意。と言っても普段の1.2倍程だと思う。
実際に屋外で使ってみて分かった点を掻い摘んで説明すると
- 24-2000mmをカバーするのは便利
- 晴天下では画質の粗が目立たず、望遠カメラの良さが最大限発揮出来る
- マクロ撮影いけちゃいます
- 手ぶれ補正の効きが素晴らしい
- ファインダーはやはり今ひとつ
- 使い慣れれば操作性の不満が少なくなる
と言ったポイント。
広角24mmから超望遠2000mmとはどんなものか?
巷でよくやる定番のパターンだけども、このカメラを手に入れたならばやらにゃいかんでしょう。
ということで3例ほど掲載。
この広角24mmが
2000mmの望遠ではこうなる。
もちろん時計の9時の部分。適当に撮ったものなのでブレの指摘は勘弁して欲しい。
続いて、24mmの広角
水平くらい整えれば良かったなと後悔。水準器ついているのにね!
これを2000mmの望遠にすると
こうなる。ちなみに、この写真から画像中央のラミネートしてある看板をトリミングすると…
なんと文字を読み取ることが出来る。曇天だったので絞り開放だったり、屋外の大気のゆらめきもあったりと画質は十分で無いもののこれは驚きだ。
続いて、近所の野良猫のたまり場
車窓からの眺めから、2000mmの望遠側では…
但し、このコマを撮る前に何枚かミステイクをやらかしている。それは2000mmでも手持ち可能な強力な手ぶれ補正効果が付いているものの、車内ではエンジンの振動をモロに拾ってしまう。おっといかんと、エンジンを切ってからカメラを窓枠で固定して撮影。
トリミング耐性は無いに等しいがブログやL判程度の印刷には十分耐えてくれそうな画質。ただし、背景のボケがかなりざわつくのでフレーミングは気をつけたほうが良い。出来れば背景は全部省略するポジショニングが最高。
2000mmで猫のどアップを撮る
トリミング耐性は希薄なものの、ならアップで撮ってしまえばいいじゃん、と言うことで野良猫を接近して撮ってみた。
一眼レフカメラ級とは言わないが、1/2.3型センサーのカメラとは感じない迫力が生み出せる。スポットAFがあるので、瞳にフォーカスを合わせるのも容易いのは良いポイント。
難点は最短撮影距離が5mと大分離れて撮影しないといけないので、一度フレームから外れると面倒くさい。特にこの野良猫は人懐っこく、すぐに絶対領域(5m)を突き破ってくるので逃げながら撮影するハメに。
そんな時は一々ズームを広角側に戻さなくても『クイックバックボタン』がレンズ側面に搭載されているのを活用する。このボタンは望遠端でも一時的に広角側にズームして広い画角を確保する。被写体をフレームに収めたら、ボタンを離すことで元の望遠端に戻ってくれるという便利なシステム。
鳥でしか活用出来ないかと思ったが、そうでも無い。
曇天では難しいが、晴天下だとアドバンテージを活かせる
この写真は曇り空で光量が不十分な時に撮影した。F6.3 ISO1600
ブログやSNSで使う分には十分かなと思うものの、拡大してみると心許ない。ピントは来て、手振れも抑えこんではいるものの、ISO感度が高くディテールがノイジーで潰れてしまっているからだ。
手振れを押さえ込めるシャッタースピードを維持しつつ適正露出を保つ為には、F値を最低限(開放)にしてISO感度を高めなければならない。特に2000mmの望遠端では開放F値がF値6.3と暗いので、特に高感度に頼らざるを得なくなる。
こちらは日を改めて快晴の下で撮影。 F6.3 ISO 400
ディテールがしっかりと残っているので、拡大すると毛並みが解像しているのが分かる。画質を維持するつもりならISO感度は400までの上限に設定しておくと良いかもしれない。カメラにも100-400までの感度設定があるので、つまりそういう事なのだろう(その次の段階は100-800)。
晴天下ではこの条件を維持し易いが、曇り空では中々難しい。特に明るい背景で野鳥を撮影する場合には露出設定をハイキ-に設定する事も多いだろう。曇天でハイキ-設定となると尚更コンディションが厳しい。感度を維持するなら望遠端を諦めれば1000mm前後でF値をある程度稼ぐことが出来る。
マクロ撮影が面白い
大きなセンサーサイズと違って、被写界深度が深い(ピントの合う奥行きが広い)のでパンフォーカスを狙いやすい。パンフォーカスが狙いやすい分、全体を眺めた際の解像感を得やすい。これが個人的にツボにハマってしまい、野鳥撮影そっちのけでマクロ撮影をしていた。
広角端ではレンズ前面より1cmの接写が可能で、パースを利かせた立体感のあるマクロ撮影を行うことが出来る。適度に距離を取りたい場合には標準域(50mm程度)でのマクロ撮影も可能なので、ワーキングディスタンスの調整も可能だ。
先ほど、被写界深度が深い深いと言ったものの、望遠側を使えばしっかりボケるので自由自在。
このカメラ片手に撮影していれば、桜を撮っている途中で野鳥が樹の枝に止まったとしても対処出来る。そう考えるとシャッターチャンスにはかなり強い。
クローズアップレンズも装着出来る
出来るはずなのだが、なんとフィルター径を間違えて購入してしまった!馬鹿なことをした…。まあ、一眼カメラのレンズにも使えるし…ということで現在ステップアップリングを調達中。
それまでは取り敢えず手でクローズアップレンズを持ったまま撮影すればいいかと簡単に考えて撮影に赴いた。
葉牡丹の中心を撮った物。72mmクローズアップレンズ No3を使用。
これはまだまだ序の口で、2000mmで撮影したものがコチラ
収差もバッチリ、使い勝手が全く思いつかない。
2000mmでピントが合う範囲はかなりシビアなので、ピントは固定したままカメラを前後させてざっくりとピントが来る位置を把握。その後の微調整をAFでする感じ。
とは言え、収差が大きすぎるのでコントラストAFがてんで役に立たないという結果に。
この場合はマニュアルフォーカスで微調整をしたいところなのだが、片手でクローズアップレンズを持っているので余裕が無かった。このお遊びはまたの機会でじっくりと詰めていきたい。
その他気がついた事
手ブレ補正効果
この効きが大変よろしい。補正効果5段分は伊達じゃない。
広角では手振れ知らず、望遠端でも2000mmを手持ちで撮影出来ちゃうのだから優れものだ。実際にどの程度シャッタースピードを稼ぐことが出来るのかは記事を改めて特集してみよう。
ファインダーは力不足
野鳥を撮影する際にファインダーで被写体を捉えるのは難しい。ファインダー像が小さいので、小鳥をフレームに収めていたとしても枝が邪魔な上に暗い液晶画面(外交が反射して見づらい)。ファインダー像の輝度(バックライトの明るさ)を上げる設定があるものの、そこまで変化が付かないので効果は薄い。
まずは周辺の環境を頭に入れておいて、「あの枝と枝の間」という感じで広角から望遠にズームする事でようやく鳥のシルエットが判別出来る。しかし、その動作を行っているうちに鳥が場所を移動することもある。
あまり動きの無い鳥を撮る場合には問題ないが、すばしっこく落ち着きが無いとかなり難しいだろう。前述したシャッタースピードを稼げない点からも至難の技。
使い慣れると操作面の不満は解消される
ファインダーには不満が残るものの、その辺を割り切って使うとP900の便利さが見えてくる。特に便利だなと感じるのは
- クイックバックボタン(猫・野鳥撮影時は重宝している)
- ズームメモリ機能(風景撮影時にはこのモードで画角を整理)
- 電源オン時のズームセット(マクロ活用出来る標準50mmにセットしている)
- バリアングル(マクロ撮影時にローアングルで撮影出来る)
- フィルター装着可能(クローズアップレンズでテレマクロが使える・広角でC-PLやクロスフィルターが使える)
と言った感じ。
望遠2000mmが必要ならP900・1440mmでOKならB700やP610がオススメ
樹の枝に止まる鳥であれば、1440mmもあれば足りるかな?と言うのは正直な感想。実際、私が撮った写真を整理すると、B700やP600がカバーする1440mm内で撮影した画像が多い。
レンズ以外の性能はP900とあまり変わらないP610は現在かなりお買い得な値段になっているのでオススメだ。B700は旧モデル(P900P610)で不満だったFnボタンが増設されたり、4K動画に対応、ブルートゥース対応になったりと機能性が増している。その分お値段はP900寄りになっているので、機能性の差に我慢出来ればP610。
とは言え、望遠2000mmでしか表現出来ない、撮影出来ないシチュエーションも確かに存在する。「あとちょっと望遠あったらなあ」と言った時に手が届くのは今のところP900だけだ。B700の機能性に魅力を感じず、2000mmに惹かれるのであればP900へGOだ。
当サイトのサイドバー右上にFacebookページへのリンクを設けてある。そちらに今回掲載しなかった作例を追加したので参考にして欲しい。こちらで記事にするほどでも無い場合にはFacebookのみに投稿をしている。
購入早見表
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