OM SYSTEM「OM-3」のレビューに先立ち、カメラの外観やメニュー一覧、シャッター音やローリングシャッターの影響を確認するページを公開しました。
基本的には従来通りのOMシリーズ
グリップレスの金属ボディにPEN-F以来となるクリエイティブダイヤルを搭載した、中身がハイエンドモデルに近いカメラ。
フィルム一眼に寄せたカメラデザインですが、コントロールはあくまでもOMシリーズらしいもの。基本的な操作や撮影体験はOM-1 / OM-5とほぼ変わりません。親しみやすい反面、懐古的な何かを期待している場合は肩透かしとなる可能性あり。
色々とできる反面、色々と不足しているので、器用貧乏となる可能性があります。価格を含めて、実際に実機を触って検討するのがおススメ。
This is a camera with a grip-less metal body and a creative dial, similar to the high-end models, and it is the first camera to feature this since the PEN-F.
The camera design is similar to that of a film SLR, but the controls are still very much like those of the OM series. The basic operations and shooting experience are almost the same as those of the OM-1 / OM-5. On the one hand, it is easy to use, but on the other hand, if you are expecting something nostalgic, you may be disappointed.
On the one hand, it can do a lot of things, but on the other hand, it lacks a lot of things, so there is a possibility that it will be a jack of all trades and master of none. We recommend that you actually touch and examine the actual machine, including the price.
Index
OM-3 のレビュー一覧
カメラのおさらい
- 発売日:2025年3月1日
- 予約開始日:2025年2月6日
- 希望小売価格:オープンプライス
- 商品ページ/仕様表
- Web説明書
- データベース
- 管理人のFlickrアルバム
同社のフラッグシップモデル「OM-1 Mark II」の多くを継承しつつ、小型軽量でクラシカルなデザインのカメラ。OM-1やE-P7がオリンパス時代から開発されていたものであるのに対し、OM-3はOMデジタルの完全新作と言えるのではないでしょうか。
比較的コンパクトながら、OM-1 IIと同等の連写速度や撮影機能を実現。バッファがやや少なめで、ファインダーはOM-5並みですが、PEN-Fのようなクリエイティブダイヤルを搭載することでOM-1 IIと区別化されています。
言ってしまえば現行モデル「OM-1 II」「OM-5」「E-P7」を足して3で割ったようなカメラ。
OM SYSTEMらしくIP53準拠の防塵防滴仕様を備えており、対応するレンズと組み合わせることで耐候性に強いシステムを実現。他社のようにレトロなコントロールレイアウトではないため、カメラ設定の素早い切替も可能。
参考:競合機種との比較記事
- 「OM-3」と「OM-1 Mark II」の外観やスペックの違い
- 「OM-3」と「OM-5」の外観やスペックの違い
- 「OM-3」と「Z f」の外観やスペックの違い
- 「OM-3」と「Z fc」の外観やスペックの違い
- 「OM-3」と「X-T50」の外観やスペックの違い
主な仕様
イメージセンサー | タイプ:4/3型 積層型BSI Live MOS 有効画素:2040万画素 |
センサー除塵 | SSWF |
手振れ補正 | 最大 6.5段分 シンクロIS対応 7.5段分 |
処理エンジン | TruePic X |
ISO | 200-102400 拡張 80 |
ストレージ | SD UHS-II |
AF | 検出方式:ハイブリッド 測距点:1053点 全クロス 測距輝度範囲:-5.5~19EV |
被写体検出 | 人物 / 車、オートバイ / 飛行機、ヘリコプター / 電車、汽車 / 鳥 / 動物 (犬、猫) |
シャッター | メカニカル:1/8000~60秒 電子先幕:1/320~60秒 電子:1/32000~60秒 |
フラッシュ同調速度 | 1/250秒以下 |
連続撮影速度 | メカニカル:~6fps 静音連写:~20fps 電子 SH1:~120fps 電子 SH2:~50fps プロキャプチャー |
連続撮影枚数 | 静音連写:RAW 151枚 SH1:RAW 88枚 SH2:RAW 102枚 |
ファインダー | サイズ:OLED 解像度:236万ドット 倍率:0.63倍 |
モニター | サイズ:3.0型 解像度:162万ドット 可動方式:バリアングル |
動画フレームレート | 4K 60p LGOP FHD 60p ALL-I |
動画出力 | |
USB | USB Type-C USB3.0 UVC / UAC規格対応 |
マイク/ヘッドホン | マイク:3.5mm ヘッドホン:3.5mm |
HDMI | タイプD |
Wi-Fi | IEEE 802.11b/g/n |
Bluetooth | Ver.4.2 |
その他ポート類 | |
バッテリー | タイプ:BLX-1 撮影可能枚数:約590枚 USB-PD充電 |
サイズ | 約139.3×88.9×45.8mm |
重量 | 本体のみ:413g バッテリー含:496g |
防塵防滴 | IP53準拠 |
価格をチェック
- カメラのキタムラ:
・ボディ:237,600円
・12-45キット:267,300円
販売価格はOLYMPUS OM-1の売り出し価格に近い。「このスタイルのカメラで高性能かつ高価格であるべきか」は賛否両論あると思いますが、積層型CMOSセンサーと最新のTruePic X、マグネシウム合金ボディなどを考慮すると妥当な価格設定。
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OM SYSTEM OM-3 12-45mm F4.0 PROレンズキット | |||
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OM-3 外観・操作性
箱など
箱
OM-1 Mark II あたりから変更があったように、非常に質素なデザインの外箱。
コストダウンや環境へ配慮した結果なのだと思いますが、購入体験として、あまり良い印象はありません。特にデザイン性の高いカメラなので「雰囲気」は重視してほしかったところ。
付属品
カメラ本体のほか、レンズキット、ケーブル、バッテリー、ストラップが付属します。USB-C対応のACアダプターが付属していないので、別途用意しておく必要あり。
外観
デザイン
ぱっと見はグリップのないOM-5。よく見てもグリップのないOM-5。
ただし横幅が広く、全体的なデザインがフィルム一眼の「OM-1」寄り。特に電源スイッチの意匠やダイヤルのカラーリングなど、意識して似せている印象を受ける。
しかし、もともとE-M / OM シリーズはフィルム一眼ライクな形状・デザインであり、OM-3が特に「レトロデザイン」とは感じません。PEN-Fほど個性的ではなく、これまでの延長線上にあるカメラデザインに見えました。
また、フィルムカメラと似ているのは正面と上面のみ。背面はやはりOM-5です。
(横幅が広いぶん、ボタン配置に余裕がありますが)
OM-5・OM-5と連呼しましたが、それでもグリップレスのデザインはE-M / OM ボディで初。
特に正面から見た目は新鮮であり、これまでで最もフィルム一眼のように見えるカメラと言って過言ではない。
質感
上下と前面にマグネシウム合金製のカバーを採用。特に上下プレートの質感は金属感が強く、良好カメラ作り感じます。
前面は人工皮革で、樹脂製のシボ加工と比べると適切な感触。
ただし、背面の大部分はプラスチックカバーであり、特に指で操作する頻度が高いボタン周辺の質感が低め。
例えば、FUJIFILM X-M5のように、樹脂製でも良いので表面に何らかの加工を施してほしかったところ。(参考までにX-M5の該当部分の写真を以下に掲載)
底面
底面はPEN-Fと比べると目視できるネジが非常に多い。それでも金属製のしっかりとした作りに違いはありません。
レトロデザインのカメラでも底面はプラスチックプレート、という競合他社も多い中で真面目な作り。
とは言え、プラ底面のカメラも金属製のカメラプレートなどを装着すると問題なし。OM-3は立派な作りですが、質感を重視するなら(前述したように)背面を意識してほしかったところ。
製造国
レンズと同じく製造はベトナムです。
ハンズオン
マイクロフォーサーズのカメラとしてコンパクトサイズではありません。特に横幅は「LUMIX G9II」よりも広い。ただし、グリップがないので奥行きが短く、全高も低め。レンズを外した状態であれば、カメラバッグへの収納性は非常に良好。
OM-1 Mark II と比べてみると、OM-3のボディサイズは小さくないことが分かります。グリップがあるか、ないか。
グリップ
E-M / OM シリーズとしては珍しいグリップレスのカメラ。PENシリーズですら小さなグリップを搭載しているモデルが多く、完全なフラットデザインはPEN-F以来でしょうか。フラットながら、表面に人工皮革を張り付けることで握りやすくなっています。
背面には小さなサムレストあり。カメラをグリップするうえで役に立ちます。
ただし、片手でダイヤル操作ができるほど保持しやすいわけではありません。左手でカメラを支える必要があります。
グリップレスのPEN-Fと比べると、握る部分の表面積が広く、比較的握りやすい。
また、クリエイティブダイヤルがちょうど指のかかる位置にあり、滑り止めの役割を果たしています。
コントロール
E-P7のプロファイルコントロールスイッチではなく、PEN-Fと同じクリエイティブダイヤルを搭載。カラー/モノクロプロファイルのほか、ARTフィルターやカラークリエーターモードに対応。
カメラを手に取った状態でダイヤルの位置を目視できない致命的な欠点があるものの、ポジションが少ないので慣れれば問題無し。クリエイティブダイヤルは回転操作がやや重めで、表面は爪とぎのようなギザギザの加工が施されています。正直に言うと、少し痛いです。(PEN-Fも同じようなデザインで、少し懐かしい感覚)
カラー/モノクロプロファイル移行時に設定画面を開くことができますが、それ以外で設定画面を素早く開くことができる専用ボタンや機能はありません。ピクチャーモードを変更するように操作する必要があります。OM-3の目玉機能のわりには不親切。PEN-Fはコンパクトボディながら、専用のギミックを搭載していました。
左肩には新設の「静止画・動画・S&Q」切替ダイヤルを搭載。撮影モードを素早く変更できるほか、動画撮影時にモードダイヤルでP/A/S/Mやカスタムモードの切り替えが可能となりました。クリエイティブダイヤルと同様、回転重め、爪とぎのような形状で回すのが痛い。
カスタムモード5枠に対応する幅広い柔軟性を備え、前後ダイヤルで素早い設定値の変更が可能。他のダイヤルと同じく、表面が凶悪な尖り方をしています。
カスタムモードはそれぞれにカラー/モノクロプロファイルの設定値を記憶可能。逆に言うと、カスタムモードごとで共通するカラー/モノクロプロファイルを使いたい場合、同じ設定値でそれぞれのカスタム枠に登録しておく必要があります。
現状、カラー/モノクロプロファイル単独で設定値のコピーという機能がありません。
Fnレバーと同軸のボタンには新設の「CP」ボタンを配置。ボタンを押しながらダイヤル操作で使いたい機能を選択可能。ワンプッシュで選択した機能のオンオフができます。
右下のボタン群はOM-5とほぼ同じ。違い点はAF-ONボタンが独立していることのみ。
広いスペースを活かしてOM-1のようなジョイスティックが欲しかったところ。
ファインダー
スペック的にはOM-5と同程度の電子ファインダーを搭載。
OM-1と同じ価格帯の製品としてはファインダーの仕様が物足りない。特にファインダーは撮影体験に直結する部分なので、せめて364万ドットのOLEDパネルであると良かった。
ファインダー像がOM-5やE-M5 IIIと異なるという話を耳にしますが、TruePic Xの恩恵なのか、そもそも光学系やパネルが異なるのか詳細は不明。
低照度下のS-AF時にノイズが若干増加しますが、C-AFでは問題ありませんでした。
モニター
162万ドットの液晶パネルを搭載したバリアングル式の背面モニタ。OM-1 Mark IIと同程度で文句を言う筋合いはありません。
インターフェース
カメラ左側面に、上から順位に3.5mmマイク、3.5mmヘッドホン、HDMI Type D、USB-C ポートを搭載。左側面に展開するバリアングルモニタと干渉しやすいので注意。
ポートカバーの形状が独特で、きちんとカバーを閉じてあるのかどうか分かりづらくなっています。また、出っ張っている部分に何かが引っ掛かることでカバーが外れてしまう可能性あり。IP53の耐候性を損なう可能性があります。
バッテリー・ストレージ
OM-1と同じBLX-1を使用。グリップレスのボディに大容量のバッテリーを搭載しています。グリップレスのボディによくぞこのバッテリーを搭載したものだと驚きましたが、よく考えるとOM-1もバッテリーをこのように差し込む形状となっています。(つまりグリップはバッテリーを収納する場所ではない。)
右側面にはSDカードスロットを搭載。高速書き込みが可能なUHS-IIに対応しています。
スロットのカバーはプラスチック製で、金属ボディと比較すると少し安っぽい。
フラッシュ
カメラには非搭載。
外付けカメラも同梱していません。
レンズ装着例
キットレンズの12-45mm F4 PROを装着。
防塵防滴のF4ズームですが、小型軽量でOM-3と組み合わせてもバランス良好。
今では少なくなってきたシルバーカラーの金属外装レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」を装着。いぶし銀のような12mm F2のカラーに対して、OM-3はやや明るめのシルバー色。どちらかと言えば富士フイルムのシルバーに近いもので、12mm F2のカラーとは少し異なります。
(とはいえ、PEN-Fも同様だったと思いますが…)
同じくシルバーからーの17mm F1.8を装着。
起動時間の確認
OM-1と同程度の起動速度。
爆速とは言えませんが、過不足のない程度のスピードで起動します。
シャッター音の確認
メカニカルシャッター
PEN-Fほどではないものの、OM-1系のシャッターと比べると、少し切れ味のあるシャッターサウンド。
メカニカルシャッター高速連写時
メカニカルシャッターの連続撮影はOM-1などと比べると比較的遅め。
ローリングシャッターの影響
OM-1やOM-1 Mark IIと同程度の効果。おそらく1/125秒程度の読み出し速度となっています。
これは積層型CMOSセンサーとしてはやや遅めですが、非積層型CMOSセンサーよりも高速。
メニュー一覧
OM-1 / OM-1 Mark II と同じメニュー構成となっています。カテゴリで色分けされているので見やすい。
撮影メニュー
撮影に関する基本的な設定が集まっています(AFと動画を除く)。
このため設定項目が多く、8ページ構成で探しにくくなっています。従来はカスタマイズメニューに存在した項目の多くがこちらに移動しているので、過去のOM-Dユーザーが目的の設定を見つけるまで時間がかかる可能性あり。
旧メニューのように、第二層のカテゴリを判断する色・文字の表示は全くないので、第三層の設定項目を見ながらページを行き来することになります。このあたりのデザインは旧メニューシステムのほうが良かった。ただし、構成は間違いなく改善しています。
CPメニュー
この「撮影メニュー2」タブには特殊な撮影機能がまとめられています。
ハイレゾショットやライブNDなどコンピューショナルな合成写真に加え、各種ブラケットやインターバル撮影機能。目新しい機能はありませんが、全体的に使い勝手が良くなり、合成処理も高速化しているのでお世話になる機会は多いはず。
AFメニュー
動画メニュー
再生メニュー
カスタムメニュー
セットアップメニュー
まとめ
基本的には従来通りのOM / E-M シリーズ
グリップレスの金属ボディにPEN-F以来となるクリエイティブダイヤルを搭載した、中身がハイエンドモデルに近いカメラ。
フィルム一眼に寄せたカメラデザインですが、コントロールはあくまでもOMシリーズらしいもの。基本的な操作や撮影体験はOM-1 / OM-5とほぼ変わりません。親しみやすい反面、懐古的な何かを期待している場合は肩透かしとなる可能性あり。
色々とできる反面、色々と不足しているので、器用貧乏となる可能性があります。価格を含めて、実際に実機を触って検討するのがおススメ。
上部や正面の外観・質感は好ましいものですが、背面の操作部分のプラスチック感とポートカバーのデザインはマイナスポイント。特に防塵防滴を損なう可能性のあるポートカバーのデザインは要改善と感じました。
カラー/モノクロプロファイルについて
個人的には、カラー/モノクロプロファイルを利用できるTruePic X 搭載モデルということで購入に至りました。(PEN-FはTruePic VII、E-P7はTruePic VIII)この組み合わせでのJPEG出力は今後チェック予定。
前述したように、カラー/モノクロプロファイル専用の設定画面が存在しますが、この機能にワンタッチでアクセスすることが出来ません。ピクチャーモードを呼び出す専用のボタン機能を登録できるとよかったです。
また、作りこんだ設定値を単体で出力することが出来ないため、カスタムモードに登録してコピーする必要があります。
左肩に静止画/動画の切り替えダイヤルを搭載したのは(OMシリーズとして)画期的。しかし、クリエイティブダイヤルを搭載したOM-3ならば、それを活かせるボタンやレバーのほうが良かったのかなと。
参考情報
購入早見表
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