オリンパス製ミラーレス「OM-D E-M5 Mark III」の徹底レビュー第8回目。今回はE-M5 Mark IIIの顔・瞳検出についてレビューするページを公開しました。
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C-AF 顔検出
とりあえずE-M5 Mark IIIで顔検出が動作している状況を確認してみましょう。次の順序でテストを実施しています。
- C-AF オールエリア
- C-AF グループエリア
- C-AF+TR
- C-AF 眼鏡着用
- C-AF 帽子着用
- C-AF 遮蔽物
オールエリア
今回用意したマネキンでは瞳を検出せず。正確に言うと、検出する時もあるが大半は顔検出止まりでした。
初動の検出はパナソニックと比べて出遅れるものの、一度検出してしまえば横顔を粘り強く捕捉し続けます。一時的に検出が外れたとしても、すぐに復帰する印象。
娘や家族写真でも似たような傾向。最初の掴みに失敗するとお手上げ状態で、一度掴んだとしてもフレームアウトすると振り出しに戻る。
グループエリア
他社ではあまり採用していないグループエリア・ゾーンエリア時の顔検出に対応。フォーカスエリアを任意のポイントに指定したとしても、顔検出するとフォーカスエリアの配置に関係なく顔・瞳を優先します。この仕組みは富士フイルムに近い。
顔検出後はオールエリア時と同じように動作しますが、顔検出が外れると直ちに任意のフォーカスエリアでAF動作が始まります。このため、顔検出が外れた拍子にピントがズレます。フォーカスエリアを顔にフレーミングし続けるのであれば便利ですが、カジュアルなシーンに適した使い方とは言えません。この傾向は富士フイルムと同じで、X-T30レビュー時に指摘しています。
ちなみにソニーもゾーン・フレキシブルスポット時の瞳AFに対応(最新ファームウェアによるリアルタイム瞳AF)。ただし、あくまでもフォーカスエリア上で瞳AFが動作するのみ。フォーカスエリアから顔が外れると瞳検出がオフとなります。個人的にはこの仕組みが最も合理的だと思うのです。
C-AF+TR
通常のC-AFと異なり、顔検出が外れたとしても外したポイントを掴み続けます。この点でキヤノンやニコンの顔検出・追従方式と似た仕組み。富士フイルムの「トラッキング」モードも同じと言えるでしょう。
ぶっちゃけると、完璧と言うには程遠い検出精度で使い勝手が悪い。視覚的にはキビキビ動いているのだけど、ピントは合っていないのです。
E-M1XはC-AF+TRと「被写体認識」を組み合わせることで見違えるようなピント精度となっています。出来れば「顔」「人体」の認識AFを実装して欲しいところ。
眼鏡
検出不可。
「マネキンだから…」という反論が想定されるものの、同じ環境でパナソニックやソニーは全く問題ありません。ニコンもまずまず健闘しています。
角度を変えて瞳がハッキリと確認できる状態になると顔検出が可能となります。ただし、他社と比べると初動の検出と追従性は見劣りします。
このような状況で抜群のパフォーマンスを発揮するのは人体認識が可能なパナソニックLUMIX、そしてソニーαシリーズ。次いでニコンが続き、オリンパスよりはマシと感じるのがキヤノンの最新ファームウェア。
帽子
各社苦戦するシチュエーション。E-M5 IIIは眼鏡と同じく検出不可。たまに検出することがあっても長続きしません。
目が帽子に隠れてしまうようなシーンで最も素早く瞳を検出するのはニコンZの最新ファームウェア。これは予想外でした。
次いでソニー、パナソニック。パナソニックは人体認識で目が隠れても追従し続けますが、瞳検出が途切れてしまうのは割と早い。比較してソニーはもう少し粘る。
キヤノンEOS Rの最新ファームウェアはオリンパスとほぼ互角。
遮蔽物
多少前景があったとしても、眼鏡や帽子を着用していなければ検出可能。
顔検出・瞳検出可能な被写体サイズ
顔検出はそこそこ遠い被写体でも検出可能ですが、瞳検出は被写体にグッと寄らないと検出しません。バストアップ、顔のクローズアップ時のみと考えておいた方が良いでしょう。
特に瞳検出の可能な撮影距離は他社と比べて圧倒的に短くなっています。APS-Cやフルサイズと比べて被写界深度が深いので、瞳検出が重要となってくるシーンは少ないと思いますが、明るい望遠レンズなどではLUMIXのほうが使いやすいと感じるかも。
参考:LUMIX G9 PRO(瞳・顔どちらも検出します)
ご覧のように、LUMIXは顔を検出した時点で瞳も検出可能となっています。この撮影距離でマイクロフォーサーズに瞳検出が必要か?と言うとそうでもありませんが…。
雑感
OM-D E-M5 Mark IIIで最も不満と感じてるポイント。褒めるところが無い。
個人的に旅行や行楽にオリンパスを持っていき辛いポイント。E-M1 IIの初期ファームウェアから何も進化していない印象を受けます。これならコントラスト検出AFでもLUMIX GF9などのほうが遥かにマシと言えてしまうレベル。もちろん、全く使えないパフォーマンスでは無いのですが2019年の最新ミラーレスとしては期待を大きく下回るもの。
特に像面位相差AFを搭載したソニーと比べると周回遅れ感が強いので、そろそろなんとかして欲しいところです。
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参考:E-M1 Mark II・E-M1X
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