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キヤノン RF75-300mm F4-5.6 レビューVol.4 諸収差編

「RF75-300mm F4-5.6」のレビュー第四弾 諸収差編を公開。古い設計ということもあり、他のRFレンズよりも全体的に収差が残った結果となりました。

簡易的なまとめ

現代の最新設計のレンズと比べると残存収差が多く、設計の古さを感じる光学系。補正しやすい歪曲収差や倍率色収差は無視できるとしても、小口径にしては目立つ軸上色収差やコントラスト低下に繋がる球面収差などは看過できません。

球面収差はボケの質感を改善するのに役立っている一面があるものの、望遠ズームレンズに何を求めているかによって邪魔となる可能性あり。

Compared to the latest lens designs, this optical system has a lot of residual aberrations, which makes it feel a bit outdated. Even if you ignore the distortion and chromatic aberrations, which are easy to correct, the axial chromatic aberrations and spherical aberrations, which are noticeable for a small aperture and lead to a decrease in contrast, cannot be overlooked.

Spherical aberrations can help improve the quality of bokeh, but depending on what you want from a telephoto zoom lens, they can also be a hindrance.

RF75-300mm F4-5.6のレビュー一覧

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。 参考:ニコン 収差とは

75mm

ソフト側の修正無しでも問題ありません。光学的に補正されています。

100mm

75mmと同じく問題無し。

135mm

広角側と異なり、フレーム隅で倍率色収差が目立ちます。これは絞っても改善しないため、カメラや現像ソフトでの処理が必要となります。簡単に修正可能な収差ですが、ボケへの色付きは修正できない場合が多いです。

200mm

135mmと同じく色収差が目立ちますが、収差の量は若干減少しているように見えます。

300mm

引き続き色収差は発生しているものの、135mmや200mmよりも控え目。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。 参考:ニコン 収差とは

75mm

小口径の望遠ズームレンズですが、軸上色収差が残存しています。絞り開放付近では色収差が目立ち、2段ほど絞ると改善します。

135mm

75mmほどではないものの、絞り開放付近では色収差が発生しています。

300mm

ズーム中間域では穏やかだった色収差が再び目立つように。絞り開放ではピント面前後で色収差が発生し、2段ほど絞らないと改善しません。開放がF5.6であることを考慮すると、色収差の補正と露出とのバランスが取りにくい。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。 参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

75mm

修正無しでも歪曲収差はほとんどありません。

100mm

穏やかな糸巻き型で無視できる程度。

135mm

100mmよりも糸巻き型の歪曲が強くなり、状況によっては修正の必要性があります。ただし、簡単に修正できる収差であり、実写で問題となることは少ないはず。

200mm

135mmと同じく、やや目立つ収差が発生します。

300mm

135mmや200mmと同程度。補正を前提としたミラーレス用レンズほどの歪みではありません。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。 参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

75mm

細部を確認すると変形があるものの、無視できる程度。

135mm

やや目立つコマフレアが発生。2段ほど絞ると改善します。

300mm

135mmと同じく、やや目立つコマフレアが発生。完全に抑えるためには3段ほど絞る必要があります。

球面収差

75mm

完全な補正状態とは言えず、前後のボケ質に明らかな差が発生。近距離では背景が滲むようにボケ、前ボケは縁取りの強い二線ボケとなる兆候があります。

240mm

75mmほどの大きな違いはありません。

まとめ

現代の最新設計のレンズと比べると残存収差が多く、設計の古さを感じる光学系。補正しやすい歪曲収差や倍率色収差は無視できるとしても、小口径にしては目立つ軸上色収差やコントラスト低下に繋がる球面収差などは看過できません。

球面収差はボケの質感を改善するのに役立っている一面があるものの、望遠ズームレンズに何を求めているかによって邪魔となる可能性あり。また、撮影距離によって収差が変動しているように見え、 今回のテスト結果はあくまでも一例。

今回は像面湾曲についてテストを実施していませんが、近距離ではやや目立つかもしれません。そもそも隅に向かって画質が低下するので、気になる場合は十分に絞って撮影したほうが良いでしょう。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開  

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