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Irix 15mm F2.4 Blackstone 外観・実写レビュー

外観編

開封&外観レビュー

Irix 15mm F2.4は2種類存在する。

プラスチック鏡筒で外装を軽量化した「Firefly」、そして金属鏡筒で堅牢性と汎用性を向上させた「Blackstone」。今回はBlackstoneを購入。

レンズは化粧箱+アルミ缶の内箱に梱包されている。しっかりとした造りなので捨てるには勿体無いものだ。

缶を開けると赤にはさらにソフトケースに包まれたレンズが入っている。缶の内側はソフトケースにぴったりとフィットする形状。

600ドルのレンズとしてはとても豪華な付属品だ。国産レンズでこうはいかないでしょう。

 

ソフトケースを開けるとレンズが姿を現す。

金属鏡筒らしい重量感を持っているが、シグマのように常識を超えた重量では無い。

フードはプラスチック製だがチープさは感じない。バヨネット式でしっかりとロックされ、C-PL用の操作窓も搭載している。

フードの逆さ付けが可能なため収納時に嵩張らない点はグッド。

前玉は出目金だが95mmのフィルターを装着できる。超広角単焦点で一般的なフィルターを使えるのは大きなポイントですね。

水滴、特に海水がレンズ前玉に付着するようなシーンでも臆することなく水面スレスレを攻めることが可能です。

注意点が2つ。

一つは95mmのフィルター径であること。プロテクトフィルターはともかく、NDやC-PLフィルターでこのサイズを扱っているメーカーは見つけるのが難しい。NDフィルターはマウント側にゼラチンフィルターポケットを備えているので対応可能。

二つ目は95mmフィルターを取り付けるとフィルター枠の厚み次第でフードの脱着が出来なくなる。逆付け状態でフィルターを装着してしまうとフードを順付け出来ない。

さらに順付け状態からフィルターを装着する場合、フードとフィルターの隙間に指が入らないためフィルターをねじ込みづらい。幸いにもしっかりとしたレンズキャップを95mmフィルターに合体させるとねじ込みやすくなる。

 

前述したとおり、非常にしっかりとした造りのレンズキャップ。

取っ手をつまみ易く、ツメはしっかりとレンズにかかるため脱落の心配がない。レンズキャップにフィルターをくっつけて、そのままレンズにねじ込んでフィルターを装着することも可能。

使い勝手に影響はしないが、デザインも凝っている。

フォーカスリングも金属製の重厚な質感を持っている。

回転角は約120°で、そのうち0.25m?1.00mまでのピント距離が大半を占めている。近接撮影時の微調整はらくちんだ。

回転動作は滑らかだがやや固め。軽く指があたった程度ではフォーカスリングはズレないため、無限遠を多用する画角のレンズとしては使いやすい。

さらに無限遠にはクリックストップが存在するため、ファインダーを見ながらでも素早く無限遠にピントを合わせることが可能だ。オーバーインフが存在するものの、このクリックストップのお陰で特に困ることが無い。

フォーカスリングをロックする機能を持っている。パンフォーカス撮影や無限遠を使った天体撮影時では有用な機能ですね。

懸念していた無限遠が出るかどうかについては全く問題が無い状態だった。

過焦点距離の表示はF8~F16まで。パンフォーカス撮影で多用する絞り値はカバーしている。

分かりやすい表示なのでゾーンフォーカスは簡単。

実は印字されている部分は紫外線に反応する蛍光塗料らしく、夜間の撮影で真価を発揮する。…らしいのですが、私の個体ではあまり景気よく光らない。

面白いことに、このレンズは自分で無限遠の校正が可能。

校正方法は付属の説明書に書いてある他、オンラインマニュアルの拡張説明書が存在する。

長期間の使用でややピントがずれてきたと感じたら校正してみるのもありかもしれませんね。長く付き合えるレンズです。

マウント付近には「設計:スイス」「製造:韓国」と表記されています。

「おそらくSamyang製造」と言うのがもっぱらの噂。

韓国製と言う事で品質を心配する人もいるでしょうが、実際に手に取ってみた限りではレンズ外装・無限遠の調整を含めて品質に問題は感じない。

むしろ同価格帯でプラスチッキーな国産レンズこそどうなのよ?と思ってしまうほど。

マウントは電子接点と防塵防滴用のシーリングゴム、そしてゼラチンフィルター用のポケットがある。

繰り返してしまうが、600ドルのレンズとしては非常に充実した機能性。

さらにマウントキャップもIrixオリジナル。スッキリとしたデザインだが、不意にレンズが倒れないような構造。

カメラ装着時の外観

外装編まとめ

  • 金属製のしっかりとした外装
  • フォーカスロックリング
  • 95mmフィルター+リアフィルターポケット
  • 防塵防滴
  • 電子接点付(AE対応・焦点距離+絞り値情報が記録される)
  • 無限遠の校正機能
  • 過焦点距離や被写界深度指標など分かりすい表示
  • 脱着式フード(脱着時にフィルターと干渉する可能性あり)
オススメ度
99%

デザイン・外観・機能性を全て含めて満点。(フード・フィルターの干渉で1点減点)

これで「Irix」というブランド名の表記が「Carl Zeiss」だったら1.5倍ほど値上げしても良いくらいの質感。フードがプラスチックなのでCarl Zeissとまではいかないが、同価格帯の純正レンズと比べると段違いの質感。

実写編

EOS 6D Mark IIに装着の場合

最近手に入れたEOS 6D Mark IIと組み合わせてみた。

特にローアングルやハイアングルで変化をつけたいレンズなので、バリアングルモニタとの相性が良い。

左上をクロップしたもの。ややもやっとしているのはピントの山から抜けているため。

コントラストが強いシーンで色収差が出やすい環境だが修正する必要がないほど抑えられている。

広角レンズとしてはボケが綺麗。後ボケはナチュラルで特に騒がしくない。

倍率色収差と同じく、軸上色収差も皆無。ハッキリ言って、絞り開放からなんの問題も無い。

絞り開放付近では周辺減光が非常に大きい。シチュエーションによっては後処理を施したいところ。周辺減光はF8~絞ればかなり解消するが、それでも青空やフラットなハイライトを撮影するとやや気になることがある。

フレームを外れた上の方ではサンサンと太陽が照り付けるコンディション。特にフレアの問題は発生していないが、僅かながらゴーストが飛んでいる。

F11まで絞ると周辺減光はRAW形式でも大きな問題とならないが、僅かに残存しているため気になるのであれば編集ソフトでスッキリする。

解像力は被写界深度に入ってさえいれば非常に良好。2600万画素の6D Mark IIでは解像力に関して気になるポイントは存在しない。

ナナメ方向からの強い光源ではフレーム四隅のみフレアが発生している。

解像力は前述のように問題無し。

問題無いどころか非常に良好。ズームレンズとは一味違った解像力を発揮している。2600万画素のEOS 6D Mark IIでは物足りないくらいだ。

幸いにもこのレンズはアダプター経由でソニーαFEに対応している。そのうちα7RかR IIでも買って試してみたいところ。

フレアの問題は場所を変えると解消する。

撮影ポイントと撮影時間や日照条件をずらせない場合は手詰まりだが、フレアがしつこく発生するシーンは極僅か。過度に心配する必要は無いでしょう。

防塵防滴だしプロテクトフィルターで飛沫も気にしなくて良いので積極的に前へ、水面へ。と持ったものの、先に靴が浸水。

長靴くらい車に積んでおけばよかったなぁ…。いっそウェーダーでも買ってしまうか?

失敗したのが、ISO感度を欲張りすぎて手振れを誘発してしまったこと。いくら15mmの画角と言えど、ローアングルで姿勢が不安定ならば気を遣っておくべきだった。

連写で成功・失敗を仕分ける必要があるものの、動く被写体相手に使えないこともない。

カメラに突進してきてもプロテクトフィルターで保護されている。前玉がむき出しでは無いと言うのはやはり安心できる。

マニュアルフォーカスリングは硬いので迅速なフォーカシングは難しい。

しかし、生き物相手に超広角の近接撮影は難易度が高い。

いったいどうやって撮れば良いのか悩んでしまう。

ヤギや羊など比較的大きな動物なら面白そうですが、猫やウサギでは撮影シーンと絡めて撮るのが難しい。

人工物など直線的な被写体を撮ると僅かに歪曲しているのが分かる。と言っても超広角レンズとしてはかなり良好。

EOS Kiss X9に装着の場合

APS-Cに装着するとフルサイズで言う24mm程度の画角となる。屋内の撮影では少し画角が狭く感じる。

とは言え、EOS APS-Cシステムにとって15mmと広い画角をカバーするレンズで防塵防滴仕様のレンズは貴重な存在。他にはタムロン製の「10-24mm Di II VC HLD Model B023」やシグマの「12-24mm F4 DG HSM|Art」くらいでしょうか。

APS-Cで使うメリットは歪曲収差や周辺減光が目立たなくなること。

もともと倍率色収差の補正は良好であるため大きなメリットにはならないが、色収差も目立ちにくい。

ややISO感度が高いためノイズはあるがレンズの解像力は良好だ。

APS-Cの2400万画素でこれだけ解像すると言う事は、フルサイズで4500万画素くらいまでは同じ調子で使えそうですね。

屋内での撮影はやはり手ぶれ補正が非搭載レンズであると痛感するシーン。

特に絞って手持ち撮影する場合には高感度を使うしかない。ボディ内補正を搭載するPENTAXやアダプターでソニーαを使う場合には良いかもしれません。

あえてスローシャッターを使う場合にも同様に手ぶれ補正が欲しくなるところ。

多少のブレは許容範囲であれば、この画角では特に問題とはならないかもしれません。

実写編まとめ

  • 解像力は非常に良好
  • APS-Cの2400万画素センサーでも解像力はバッチリ
  • 倍率色収差・軸上色収差ともに問題なし
  • このカテゴリのレンズとしてはボケの滑らかさが魅力的
  • 歪曲収差はとても良好に補正されている
  • 非点収差による四隅解像力への影響は少ない
  • 防塵防滴とフロントフィルターのセットは非常に便利
  • 風景撮影ならばF8~16で過焦点距離の表示にセットすればピント合わせの必要なし
  • 光源が四隅に配置されている場合、フレア・ゴーストが僅かに発生する
  • 手ぶれ補正が非搭載のため屋内やスローシャッターは不利
オススメ度
90%

外観編に続いてほぼ満点の結果。「マニュアルフォーカス限定である」と言う点を前提にレンズを買うのであれば非常にオススメ出来る。

大口径の超広角レンズらしく、フレア・ゴーストなど逆光への耐性はまずまずと言った印象。特に悪い訳では無いが、優れている訳でも無い。

まとめ

解像力 フレーム全域で高解像
収差補正 色収差・歪曲・非点収差の補正が秀逸
並みの逆光耐性・周辺減光が大きい
ボケ 超広角としては非常に良好
機能性 高機能だがISやAFは非対応
価格 画質・外装を考慮するとコスパ抜群
総合評価 MFレンズが問題なければオススメ

 

とてもオススメできるレンズ。

最大の問題は日本国内にしっかりとした代理店が存在しないこと。個人輸入でB&Hから購入すると、輸送費や消費税込みで7万円チョイで買う事が出来るはず。極々まれにオークションや中古品が市場に出回っている。

この価格でこの画質と機能ならばSamyangの「14mm F2.8 IF ED UMC Aspherical」よりオススメできる。風景撮影なら是非とも揃えてみたい一本。間もなく防塵防滴対応のEF-FEマウントアダプタも登場するらしい。カメラ内アプリで周辺減光を補正できるソニーαシリーズならばキヤノンEOSよりも使いやすいはず。

購入早見表

例のごとく、一応早見表を作成しました。稀に中古品を見つけることが出来ますが、あとは恐ろしい値札を付けた並行輸入品のみです。PayPalを使う事が出来る環境ならば個人輸入した方が圧倒的に安いかもしれません。

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