「RF75-300mm F4-5.6」のレビュー第一弾 外観・操作・AF編を公開。もろもろの理由で推奨はしないものの、3万円の価格設定は破壊力抜群。レガシーがあり、かつ社外製レンズが存在しないキヤノンRFだからこそ成り立つレンズ。
簡易的なまとめ
2025年の300mmズームレンズとしては破壊力のある低価格が強みのレンズ。逆に言えば、強みはそれくらいで、本質的には20年以上前からやってきたフィルム時代のAFレンズ。外観こそRFレンズらしくなっていますが、フォーカス駆動方式やコントロールなどはそのまま。
3万円という価格を考慮すると「これはこれでアリ」。とは言え、妥協を煮詰めたようなレンズに違いないので、安いからと言っておススメはしません。「これで十分」という人も中にはいるかもしれませんが、安易に「良いですよ」とは言えない危うさもあります。
これをこの価格で投入できるのは、レガシーのあるキヤノンだからこそ、そしてサードパーティ製レンズを封じているキヤノンだからこそ。
As a 300mm zoom lens for 2025, this lens boasts an impressive low price point. On the flip side, that's about its only real strength—at its core, it's essentially the same AF lens from the film era over 20 years ago. While the exterior design does resemble an RF lens, the focus drive mechanism and controls remain unchanged.
Considering the price of 30,000 yen, it's “acceptable as it is.” However, it's undoubtedly a lens that has been refined through compromises, so I wouldn't recommend it just because it's cheap. While some people might find it sufficient, there's a certain risk in casually saying it's “good.”
Only Canon, with its legacy, and only Canon, which excludes third-party lenses, can offer this at this price.
RF75-300mm F4-5.6のレビュー一覧
Index
RF75-300mm F4-5.6
- 発売日:2025年5月30日
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2025年に発表されたキヤノンRFマウント用の望遠ズームレンズ。
他社ではありえないような低価格が特徴的。ただし、使用している光学系は数十年前に登場したEFマウント用レンズのもの。さらにフォーカスの駆動方式はRFマウントで珍しい「DCモーター」を採用しており、徹底したコストダウンを実現。極めつけは光学式手振れ補正が非搭載で、EOS RPやR8など、ボディ側の手振れ補正が非搭載のカメラで扱うときには注意が必要となります。
レンズの特性をよく理解して購入する必要がありますが、それらを考慮しても3万円ちょっとでフルサイズ用望遠ズームレンズを購入できるのが魅力的。特にサードパーティ製レンズの選択肢がないキヤノンRFマウントにとって、貴重な製品と言えるでしょう。
主な仕様
「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」と比べると最短撮影距離が長いものの、300mmを利用することで0.25倍まで被写体を拡大することが可能。レンズ構成枚数は13枚で、実はRF100-400mmよりも多い。ただし、非球面レンズやUDレンズは未使用。
初値 | 31,680円 |
レンズマウント | RF |
対応センサー | フルサイズ |
焦点距離 | 75-300mm |
レンズ構成 | 9群13枚 |
開放絞り | F4-5.6 |
最小絞り | F32-45 |
絞り羽根 | 7枚 |
最短撮影距離 | 1.5m |
最大撮影倍率 | 0.06-0.25倍 |
フィルター径 | 58mm |
手振れ補正 | - |
テレコン | - |
コーティング | スーパースペクトラ |
サイズ | 71.2 x 146.1 mm |
重量 | 507g |
防塵防滴 | 対応 |
AF | DCモーター |
絞りリング | - |
その他のコントロール | AF/MF |
付属品 | ET-60 フード レンズキャップ |
価格のチェック
小売店での売り出し価格は31,680円。純正品300mmクラスの望遠ズームレンズとしては破格(他社は10万円を超えている)。色々と妥協は必要かもしれませんが、それでも面白い選択肢の一つ。無いよりあったほうがいい。
RF75-300mm F4-5.6 | |||
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次の選択肢は「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」となりますが、販売価格は75-300mmの倍以上。それだけの価値はあると思うものの、レンズに8万円も捻出することが出来ない人にとって75-300mmは貴重な存在。
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レンズフード ET-74B | |||
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外観・操作性
箱・付属品
キヤノンらしい黒を基調としたシンプルなデザインの箱。
EOS R5 Mark IIと同じく、環境に配慮した梱包材に切り替わっており、プラスチック素材の梱包材がなくなっています。
レンズ本体のほか、書類を除けば同梱するのは前後のレンズキャップのみ。
非Lシリーズのレンズらしく、レンズフードは別売り。
外観
RFレンズらしく、外装はプラスチック製でグレーの塗装が施されています。ブラック寄りのLシリーズレンズと比べると、グレー味の強いカラーリング。色の違いを除けば、Lシリーズと同程度の質感で見劣りはしません。ズームリングは従来通りゴム製で、フォーカスリングはローレット加工の施されたプラスチック製。
光学手振れ補正が非搭載のためか、鏡筒がスリムでマウント径とほぼ同じ。外装は非常にシンプルで意匠はCanonのロゴくらい。シリアルナンバーは鏡筒にプリント。
ズーム時に伸びる内筒もプラスチック製。金属製の内筒ほど頑丈な質感ではないものの、がたつきはありません。
驚くことに、最近のズームレンズでは珍しい繰り出し式のフォーカス方式を採用。フォーカシングにより前方のレンズが前後に移動します。フィルターやレンズフードが回転しながら伸縮するので、手でつかまないように気を付けたいところ。
フォーカスにより伸びた内筒は電源オフ時に自動で収納されます。(初期設定の場合)
ハンズオン
ミラーレス用の300mmズームレンズとしては最軽量の約507g。フルサイズミラーレス用300mmとしては細身で軽く、収納性は悪くありません。
前玉・後玉
対応するフィルター径は58mmと小さい。フォーカス時にフィルター面も回転するため、C-PLは使い辛い。また、C-PLを操作しようとフィルターを回転すると、あやまってフォーカスを操作してしまう可能性あり。
金属製レンズマウントは4本のビスで本体に固定されています。マウント面には「マレーシア製」の表示あり。もともと一眼レフ用レンズということもあり、バックフォーカスは長め。最後尾のレンズは鏡筒内部に隠れています。
フォーカスリング
細めのプラスチック製フォーカスリングをレンズ先端に搭載。RFレンズではめずらしいメカニカルなリングであり、電源オフ時でもフォーカスを操作可能。ただし、撮影距離指標が存在しないため、電源オフのままピントを合わせるのは難しい。
AFモード時はDCモーターが直結しており、フォーカスリングを操作するとDCモーターまで回転します。破損のリスクを避けるためにも、フォーカスリング操作時はMFモードに切り替えておきたい。
フォーカスリングのストロークは約90°で、これはズーム全域で同じ。素早く操作できますが、細部のピント合わせにはストロークが短いと感じるかもしれません。
ズームリング
75mmから300mmまで操作できる幅の広いズームリングを搭載。全域のストロークは90°を少し超える程度で、焦点距離を素早く変更することができます。回転操作は重すぎず軽すぎず。操作時は滑らかに回転しますが、動画撮影でムラの無いズーム速度を維持できるほどではない。
ズームリングをロックするスイッチはありません。
スイッチ類
左側面にAF/MFスイッチのみ搭載。スイッチの意匠はRFレンズと言うよりは、古いEF75-300mmに近いもの。さらに塗装も省略するくらいにコストカットされています。
前述したように、AFモード時はDCモーターとギアがかみ合っているので、フォーカスリング操作時はMFモードに切り替えることをおススメします。
レンズフード
別売りレンズフード「ET-60」を購入。バヨネットタイプですが、他のRFレンズ用と比べると固定力が弱く、逆さ付けは難しい。また、フード着脱時にフォーカスユニットが回転してしまう可能性あり。着脱時はフォーカスリングを握って固定しておくと良いでしょう。
装着例
EOS R5 Mark IIに装着。スリムな鏡筒ですが、全長は300mmズームレンズなり。沈胴構造で短くできるとよかったものの、そのような構造ではありません。
片手でもカメラを保持できる程度に軽い。しかし、光学手振れ補正が非搭載なので、レンズ先端を安定させるためにも左手をレンズに添えたいところ。ただし、フォーカスリングやレンズ先端を握ると、フォーカスに干渉してしまうので注意が必要。
手振れ補正
光学式手振れ補正を搭載していないため、ボディ側のセンサーシフト式手振れ補正を利用することになります。もちろん、R8やRPなど、センサーシフト式手振れ補正を搭載していないカメラは利用不可。
また、300mmのような望遠域はセンサーシフト式より光学式が適しています。多少は効果があるものの、光学式ありの場合より揺れが大きい。
AF・MF
フォーカススピード
DCモーター駆動+レンズ繰り出し式で動作。当然ながら、ナノUSMのインナーフォーカスレンズと比べると雲泥の差。それでも一般的な撮影距離であれば、十分と言えるくらいにキビキビと動作。ただし、低コントラスト、低照度でAFが迷走する場合は合焦速度が大幅に低下します。
DCモーター駆動でサーボAFは可能なのか?と不安でしたが、合焦後は思いのほか滑らかに動作します。駆動音も予想していたより静か。ただし、実際に撮影してみると微妙にレリーズのタイミングが遅く、ややミスショットというカットが多かったです。動体撮影が中心であれば、他のレンズを検討したほうが良いでしょう。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
75mm
レンズ繰り出し式フォーカスということもあるのか、最短撮影距離と無限遠で画角が大きく変化します。
300mm
広角側と同じく、画角の変化が大きい。
精度
EOS R5 Mark II と組み合わせた限りでは、ワンショットAFでミスショットはほとんどありません。失敗の原因は被写体検出の誤検出など、カメラ側が原因であることが多い。サーボAFの場合、レリーズのタイミングが遅く、少しピントが外れた写真となる可能性あり。
MF
メカニカル式で90°のストロークを備えたフォーカスリング。必要十分ですが、細部の微調整には不向き。
まとめ
2025年の300mmズームレンズとしては破壊力のある低価格が強みのレンズ。逆に言えば、強みはそれくらいで、本質的には20年以上前からやってきたフィルム時代のAFレンズ。外観こそRFレンズらしくなっていますが、フォーカス駆動方式やコントロールなどはそのまま。手振れ補正すら非搭載なのは「ちょっとどうなの?」と感じるところ。
3万円という価格を考慮すると「これはこれでアリ」。とは言え、妥協を煮詰めたようなレンズに違いないので、安いからと言っておススメはしません。「これで十分」という人も中にはいるかもしれませんが、安易に「良いですよ」とは言えない危うさもあります。
すでに「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」という別の選択肢があるので、光学性能やAF、手振れ補正を重視するなら100-400mmを買えば良いのです。価格は倍以上ですが…。
これをこの価格で投入できるのは、レガシーのあるキヤノンだからこそ、そしてサードパーティ製レンズを封じているキヤノンだからこそ。
AFを抜きにして、光学的にはどうなのか?
300mmで画質が低下するものの、70mmから200mmまではそこそこ健闘していると思います。ボケは色収差の影響こそあるものの、まずまず滑らかで綺麗。細部の解像性能を抜きにすると、見栄えのコストパフォーマンスは良好。
小さな被写体のクローズアップには300mmを利用する必要があるものの、0.25倍と十分な撮影倍率を備えています。撮影距離と画角に気を付ければ、使えないこともないのかなと。
遠景は絞っても周辺の解像性能が伸び悩みます。拡大しなければ問題ない程度ですが、そのような使い方であれば、わざわざフルサイズを使う必要もありません。携帯性の良いマイクロフォーサーズやAPS-Cも一つの選択肢で、携帯性や光学性能も改善する可能性あり。
AFは動体メインでなければ(失敗しても笑って許せる程度)許容範囲内。特に近距離のペットや子供を撮影するには不向きですが、カジュアルに望遠レンズを使うくらいであれば十分。ただし、おススメはしません。
購入早見表
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