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SG-image AF 55mm F1.8 STM レンズレビューVol.5 諸収差編

「SG-image AF 55mm F1.8 STM」のレビュー第五弾 諸収差編を公開。完璧ではないものの、この価格帯のレンズとしては健闘しているように見えます。

簡単なまとめ

E&Iクリエイション株式会社より無償貸与の製品を使用しています。
レビューにあたり金銭の授受や内容への指示は全くなかったことを明記しておきます。

簡易的なまとめ

像面湾曲や色収差が目立つ場合があるものの、全体的に見ると問題は軽微。問題と感じるほど影響を受けるシーンは限られています。

Although there are cases where the image surface curvature and chromatic aberration are noticeable, the overall problem is minor. The scenes that are affected to the extent that they are noticeable are limited.

SG-image AF 55mm F1.8 STMのレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

中央と隅でそれぞれピントを合わせた結果を見比べてみると一目瞭然。像面がフラットではないため、ピントの合う撮影距離が異なるようです。これを改善するには絞りを閉じて被写界深度を深くするしかありません。遠景でパンフォーカスを狙う場合は十分に絞る必要があります。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り値に関わらず、とても良好に補正されています。追加補正の必要性は低い。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

僅かに残存していますが、これが実写で問題となるシーンは限られています。水面や金属面の照り返しでは目立つ可能性あり。一般的な実写で過度に目立つシーンは少ない。後述しますが、ピントを固定した状態で絞ると、ピントの山が遠側へシフトしていることが分かります。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

穏やかな樽型。カメラ装着時の自動的な補正には対応していません。必要であれば撮影後に現像ソフトなどで修正する必要があります。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

完璧ではないものの、極端に残存もしていません。適度な補正状態で、これが問題となることは少ない。

球面収差

前後の質感に若干の違いがあるものの、それは僅か。どちらかと言えばニュートラルに近い。ただし、軸上色収差のテスト結果を見るとわかるように、絞りによるフォーカスシフトの影響を受けています。絞ると徐々に遠側へ移動するため、開放で測距後に絞るような場合は注意が必要です。

まとめ

大口径レンズで気になる色収差の補正状態は完璧と言えません。逆光や照り返しなど、強烈な光条件では色収差の影響が目立つ可能性あり。とはいえ、このような状況に耐えうる大口径レンズは高価で大きな場合が殆ど。低価格の本レンズとしては、まだ良好なほう。

厳しいシーン以外はF1.8から実用的な結果が得られます。色収差で悩まされるシーンはそう多くないはず。

色収差よりも問題となるのは像面湾曲。F1.8の絞り開放はピント面がフラットとは言えず、フレーム隅がピントから外れてソフトな結果となる。これを改善するには絞るしかないため、F1.8を活かした遠景の撮影には不向き。もちろん、パンフォーカスが必要なければ問題なく利用可能。

点像の再現性はダブルガウスタイプよりも良好。サジタルコマフレアが目立ちにくく、フレーム隅のボケが悪目立ちすることが少ない。この価格帯のレンズとしては安定感のある写り。

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SG-image AF 55mm F1.8 STM
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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