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銘匠光学 TTArtisan 100mm f/2.8 M42 レンズレビューVol.1 外観・操作・MF 編

銘匠光学「TTArtisan 100mm f/2.8 M42」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してMFの使いやすさなどを確認しています。

TTArtisan 100mm f/2.8 M42のレビュー一覧

まえがき

レンズの仕様
発売日 2023年8月7日 初値 ¥29,700
マウント M42 最短撮影距離 0.9m
フォーマット フルサイズ 最大撮影倍率 不明
焦点距離 100mm フィルター径 49mm
レンズ構成 3群3枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F2.8 テレコン -
最小絞り F22 コーティング 不明
絞り羽根 13枚
サイズ・重量など
サイズ φ59×180mm 防塵防滴 -
重量 307g AF MF限定
その他
付属品

2023年に登場したTTArtisanの「M42マウント限定」MFレンズ(M42マウントに関する説明は割愛します。フィルム時代に普及したスクリューマウントです)。古い規格のマウントであるため、最新のデジタルカメラで使用するにはカメラに対応するアダプターが必要です。Amazonなどで探せばいくらでもあるので、困ることはないはず。
3群3枚のシンプルなトリプレット構成と言えばMeyer-Optik Görlitzの「Trioplan」(トリオプラン)で、50年以上前に製造されたシリーズの一つ。当時は光学的な欠点とされていたものの、デジカメ世代で「シャボン玉ボケ」として定着、2015年にKickstarterで復活すると人気を博しました。銘匠光学はこのトリプレット構成を採用し、より手ごろな価格のレンズとしてTTArtisanブランドでリリース。いくつか仕様が異なるものの、最短撮影距離やレンズサイズ・重量はよく似ています。前述したように、残存収差を活かした個性的な玉ボケが特徴のレンズ。シャボン玉ボケを作りには慣れや工夫が必要ですが、普通のレンズでは得られない描写は一見の価値あり。また、玉ボケがフレーム隅まで綺麗に見えるように余裕のあるイメージサークルを採用しており、周辺減光も少な目となっている模様。

価格のチェック

国内では焦点工房やイングレートジャパンが代理店となり、販売価格「¥29,700 」で売り出し開始。3群3枚構成にしては高くないか?と感じるかもしれませんが、「Trioplan 100mmF2.8 II」が15万円を超える価格設定であることを考慮すると遥かに安い選択肢と言えるでしょう。

外観・操作性

箱・付属品

銘匠光学TTArtisanブランドらしく、ファブリック調の生地が張り付けられています。高級感があるかないかで言えば賛否両論あるデザインですが、競合他社とは一線を画すデザインです。レンズ本体は発泡樹脂の緩衝材に覆われて梱包されています。レンズ本体のほかに説明書とレンズキャップが付属。スクリューマウントのため、リアキャップも金属製のねじ込み式。

外観

TTArtisanらしい総金属製の外装ですが、デザインはやや異なります。Trioplan 100mmF2.8 IIを模倣しているわけではなく、どちらかと言えばM42マウントで主流のアサヒペンタックス Takumarシリーズを彷彿とさせるもの。(と言っても被写界深度やピント位置の表示・配色は異なる)全体的にしっかりとした作りで、表面の印字はプリントではなく、エッチング加工の上から塗装が施されています。

前玉・後玉

凸型前玉の周囲にはレンズ名やフィルター径などが白色で印字されています。フィルター装着時は白色が反射する可能性あり。前玉にフッ素コーティングのような防汚コートを採用している記述はありません。水滴や汚れ、ダメージが想定される環境では保護フィルターを装着しておくと良いでしょう。最短撮影距離が90cmと長いため、クローズアップレンズを用意するのも一つの手。

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M42スクリューマウントは金属製で、3本のビスで固定。内側には反射防止用のフェルト生地を張り付け、不要な光の反射を抑えています。

フォーカスリング

0.9m~無限遠に対応するフォーカスリングは180度を超える長いストロークで正確な操作が可能。最短撮影距離が0.9mであることを考慮すると長すぎる印象を受けますが、100mm F2.8で接写する機会が多いと思われる本レンズでは丁度良いのかもしれません。もちろん素早い操作には不向き。

リングは適度な抵抗で滑らかに回転します。決して緩すぎるわけではないものの、小さな力で微調整も簡単。フォクトレンダー並みと言っても過言ではないはず。よくできています。

絞りリング

F2.8からF22まで操作可能な絞りリングを搭載。F2.8からF11までは0.5段刻みでクリックストップがあり、F16-F22のみ1段刻みで動作します。他のTTArtisanと同じく、適度なクリック感と滑らかな操作性で、絞り操作を楽しむことができる仕上がり。

装着例

今回はEOS Rシリーズに装着するためRFマウント用アダプターを用意。スクリューマウントのため、レンズ装着時にピント距離などの表示が上に来ない可能性あり。もしも調整が必要な場合は、アダプターのイモネジを緩めることで位置を調整可能(M42アダプターの多くは対応していると思われます)。

EOS R5に装着。3群3枚のシンプルなレンズ構成ですが、全長が長く、金属外装ということもあり思っていたよりも重め。バランスを損なうほどではないものの、両手でしっかりとホールドする必要性を感じました。また、100mmと焦点距離が長く、手振れしやすいため、ボディ内手ぶれ補正を搭載したカメラで使用するのがおススメです。(カメラ側で焦点距離は調整する必要あり)

MF

フォーカススピード

前述した通り、フォーカスリングのストロークが長いため、最短撮影距離 0.9mから無限遠まで操作するには時間がかかります。ファインダーを覗いた状態でピント合わせをする場合、2~3回の操作が必要で、3~4秒かかりました。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。全群繰り出し式というこもあり、最短撮影距離長めながら顕著な画角変化が発生します。

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まとめ

TTArtisanらしいクオリティのトリプレットレンズです。M42マウント限定のため、アダプターの持ち合わせがない人は追加投資が必要ですが、それを考えても「Trioplan 100mmF2.8 II」より遥かに安い価格でシャボン玉ボケを楽しむことが出来ます。手ごろな価格ですが外装の質感や操作性に申し分は無く、これと言って不満はありません。「MFレンズに3万円の価値があるか?」というと賛否両論あると思いますが、本レンズはシャボン玉ボケを楽しむ非常に特殊な製品です。この描写を楽しむ前提であれば「安い」と言えるし、単純に望遠レンズを探しているのであれば「高い」と言えます。

シンプルな構成ですが、思いのほかしっかりと写ります。球面収差の残った個性的なボケと、シャープな中央のピント面は様々なシチュエーションで使えるはず。しっかりと絞ればカジュアルな風景撮影にも使えそうな程度に解像します。シャボン玉ボケだけの飛び道具として使うにはもったいないレンズ。ただし、肝心の「シャボン玉ボケ」は簡単には得られません。強い点光源(照明や木洩れ日、太陽を反射する水面・金属など)が背景に必要で、かつ被写体と背景の距離のバランス(後ボケ量)も重要となり、カメラとレンズで撮り歩く場合、そのようなシーンを見つけるのは苦労します。手っ取り早く自分で環境を整えてしまうのがおススメです。任意に配置できる被写体や、光を操作できるストロボ・ライトなどがあると便利かなと。あくまでも日中の話で、夜間に出歩ける人は街灯・ネオン・ヘッドライトなどでシャボン玉ボケを楽しめると思います。

 

 

購入早見表

作例

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  • Trioplan 100mmF2.8 II

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