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Ulanziの本格ビデオ三脚・フルード雲台 VideoFast Heavy Duty レビュー

このページでは「Ulanzi VideoFast Heavy Duty 三脚キット」をレビューしています。

簡易的なまとめ

製品提供を受けている

このレビューはUlanziより無償提供された製品を使用しています。金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。無料であること、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

レビュー内容の簡易的なまとめ

ワンタッチ式のビデオ雲台・カウンターウェイト付きの高機能フルード雲台としては非常に安価。三脚は全高が低いものの携帯性に優れており、雲台は野暮ったいデザインながら機能的には十分。手頃な価格で運搬しやすい本格的なビデオ三脚キットとして検討する価値のある製品。雲台のみの購入も可能。

概要

  • Ulanzi 商品ページ
  • 発売日:2024年5月15日
  • 販売価格:
    ・カーボン三脚+フルード雲台:79,980円
    ・アルミニウム三脚+フルード雲台:68,999円
    ・フルード雲台:54,999円
  • 公式通販限定:すべての部品が交換可能・永久保証

Ulanziは中国に拠点を置くフォトグラファー・ビデオグラファー向けの撮影機械メーカー。三脚や照明、ケージ、リグ、バッテリー、カメラバッグなどなど、広い範囲の撮影機材をカバーしています。三脚はフォトグラファー向けの携帯性が高い製品を中心でしたが、今回はじめてツインパイプ機構を採用した本格的なビデオ三脚を投入。後述するワンタッチ式構造を採用したビデオ三脚としては手頃な価格で、さらに高機能な雲台がセットで7-8万円は非常に安い。

主な特徴と仕様

三脚
モデル カーボン アルミニウム
重量
(雲台2.2㎏込)
4.8㎏ 5.3㎏
サイズ 88.6×17×16.5cm
全高 78.5-164cm
縮長 83cm
耐荷重 25㎏
ミッドスプレッダー 5段階
フルード雲台
素材 アルミニウム
サイズ 27×13×12cm
ハンドル長さ 40cm
重量 2.2㎏
耐荷重 10㎏
ボールベース 75cm
カウンターバランス 10段階
ティルト減衰 6段階
制振パン 6段階
付属品
キャリーハンドル
パンハンドル
六角レンチ
キャリーケース
説明書

三脚は1脚ごとにワンポイントの操作で調整が可能な構造を採用。一般的には1脚で上下2か所のハンドルを操作する必要があるため、手間が半減しています。さらに固定はネジ式ではなく、レバー式を採用しているため素早くロック&リリースに対応。2段目・3段目の脚を調整するのが難しそうに見えますが、実際に使ってみるとよく考えられているように感じます(後述)。フルード雲台は10段階のカウンターバランスに対応するほか、ティルトとパンの6段階減衰に対応。安価なフルード雲台とは異なり、細かい調整が可能となっています。どちらも無段階の調整には対応していませんが、数値で決め打ちできるので再現性が高いのは強みと言えるでしょう。

フルード雲台は単体でも購入可能となっており、このタイプの製品としては54,999円と破格。動画撮影のみならず、大型超望遠レンズを使ったスチル撮影用としてもコストパフォーマンスの高い製品となりそうです。

キャリングケース

一般的な素材のキャリングケースが付属。衝撃を吸収する保護パッドを内包し、長さを調整可能なストラップが固定されています。内部には三脚を固定できるベルトや、パンハンドル・キャリーハンドルを収納できるポケットあり。

三脚にキャリングハンドルを装着することは可能ですが、長距離を運搬するのであればキャリングケースに収納したほうが便利。付属の雲台やパンハンドル・キャリングハンドルを装着した状態でも(ギリギリ)収納することができます。

三脚

全高

フルード雲台を装着した状態で全高は164cm。一般的なツインパイプ機構ビデオ三脚の全高が180~190cmであることを考慮すると若干低め。全高180cmも必要ない場合でも、160cmで脚を目一杯伸ばす必要がある点には注意が必要です。また、ミッドスプレッダーの位置がやや高め。

各パーツの素材

部位によって使用する素材が異なります。プラスチッキーと感じる部分もありますが、強度が重要となる部分は金属製、もしくは肉厚なプラスチックパーツを使用しています。堅牢さを損なわずに軽量化を実現するには悪くない選択かなと。部位別の素材はざっと見た限りで以下の通り。

  • ボールベース:金属
  • 脚基部:プラスチック
  • 脚固定ハンドル:プラスチック
  • 脚:カーボン
  • 脚先端:プラスチック
  • スパイク:金属
  • ラバーフィート:本体 プラスチック / 底面 ゴム
  • キャリングハンドル:金属
  • ミッドスプレッダー:金属・プラスチック

正直に言うと高級感のある作りではありません。とはいえ、極端に安っぽいわけでもなく、脆弱な印象もなし。前述したように軽量化のため、という印象。

ボールベース

φ75mm径のハーフボールに対応する金属製ボールベース。フラットベースに交換するアダプターは付属していないため、必要であれば別途用意しなければなりません。

ワンステップ高さ調整ハンドル

1か所のレバーで2段目と3段目の脚を調整可能。2段目・3段目をそれぞれ調整したい場合は厄介な構造に見えますが、実際はレバーを握ったまま調整することで思いのほか簡単に操作が可能。レバーの固定力は申し分なく、誤操作で緩む可能性はほとんどありません。レバー背部にトルクを調整できそうなナットがあるものの、どのように調整したらよいのかは不明。2段目と3段目を固定する器具は見当たりません。2段目のパイプ間隔が狭まることで3段目のパイプを固定しているものと思われます。このため、3段目のパイプ先端に装着しているパーツが破損したり、脱落すると機能しなくなる可能性があります。長期的な使用による耐久性・信頼性は今のところ不明。

キャリングハンドル

付属の金属製キャリングハンドルはボールベース周囲の三か所へ装着可能。装着することで持ちやすさが格段に向上します。運搬や撮影中の移動が多いのであれば常に取り付けておくのがおススメ。また、ハンドル部はNATOレール・三脚ネジ穴があるので、対応するアクセサリーを取り付けることが可能。

前述しましたが、このハンドルを装着した状態でもキャリングバッグに収納することができます。

ミッドスプレッダー 5段階

プラスチック・金属を使用したミッドスプレッダーが付属。
商品ページでは「5段階で調整」とありますが、目盛りの中間でも固定可能となっています。ミッドスプレッダーを取り外すことで脚を限界まで開くことができますが、ラバーフィートやスパイクの角度が対応していません。

ツインスパイク

脚の先端には角度が異なる金属製スパイク2本を搭載。スパイクはリベットで固定されたプラスチック製パーツと一体になっているので交換は難しそうに見えます。このあたりが破損した場合、脚ごと(一脚)交換となりそう。

ラバーフィート

プラスチック製パーツの底面がゴム製になっているラバーフィートが付属。ゴム製バンドで本体に固定するため、適切に装着している状態なら脱落する可能性はほぼゼロ。ツインスパイクの構造上、ラバーフィートを傾ける角度には限りがあります。

フルード雲台

サイズ

高機能で耐荷重が大きなフルード雲台らしくサイズは大きめ。小型軽量なシステムを積載するにはオーバースペックのように見えます。

外観

正直に言うと、デザインは個人的に好みではありません。シルバーのネジがむき出しで、ノブや目盛りのカラーリングはイマイチ。SmallRigのPH8のほうが洗練されたデザインに見えます。そのぶん価格には反映されており、差額を考慮すると許容範囲内。

全てのコントロールは左手で操作可能な部位にあり、右手でパンハンドルを操作しながら調整することができます。

クイックリリースプレート

このタイプの雲台では一般的なマンフロットタイプのクイックリリースプレートに対応。スライドで側面から差し込む必要はなく、上から押しこむように装着することが可能。

ハンドル

全長40cmのパンハンドルが付属。全長を調整することはできません。
ハンドルを装着する部分は一般的なネジ穴・形状となっているので、社外製のコンパクトなハンドルに切り替えるのも一つの手。

ハーフボール

φ75cmのボールベースに対応。三角の形状が手にフィットし、固定する際に力を入れやすい。

カウンターバランス

10段階で調整できるカウンターバランスに対応。雲台の耐荷重は「10㎏」であり、カウンターバランスの数値が「1kg」ごとの数値と考えていいのかどうかは不明。

無段階ではないので微調整が難しいものの、数値で設定できるため再現性が高い。重心を整えたうえで積載する重量が同程度であれば、同じような数値で運用することができます。ただし、無積載or超軽量な状態だと設定「1」でも反発力が強すぎため、安定させることができません。このような場合は側面のティルトロックを少し締めることで応急措置が可能。

4㎏(2L水×2)を搭載したところ、カウンターバランスの目盛り「7」で問題なく使用可能。積載する機材よりもやや大きめの数値(㎏)に設定すると程よいのかなと予想。重心が前方に少しずれた状態だとしても、ティルト減衰を強めに設定することで問題なく使用することができました。

4㎏を積載した状態でカウンターバランスを「10」に設定すると、水平に戻ろうと反発する力が残っていることがわかります。800mm F5.6とカメラボディで4~6kgくらいなら余裕で運用することができそう。もちろん、重心がずれて雲台にかかる負荷が高い場合はカウンターウェイトで保持することができません。適切な位置に重心を置く必要があります。

ティルト減衰

カウンターバランスの側面にはティルトの抵抗感を6段階で設定することが可能なダイヤルを搭載。「0」だと非常に軽く、「6」で重め。操作中に切り替えた場合、少し操作した後に抵抗が変わります。

ティルトロックノブ

しっかりと締めることで重めの機材を搭載した状態でも傾けて固定が可能。パンもロックすることで、誤操作でフレームがずれてしまう事故を予防することができます。ティルト減衰の微調整にも使えそうですが、使っていいのかどうか不明。

制振パン減衰

ティルトと同じく6段階での調整が可能。特に問題はありません。必要に応じてロックノブを使った微調整も可能。

まとめ

全高がやや低めであること、デザインの野暮ったさやプラスチックパーツの多用など、指摘する部分もありますが、エントリーしやすい高機能ビデオ三脚キット。雲台を除けば三脚は比較的軽量で、運搬しやすいキャリングハンドルを考慮すると屋外での使用に最適。脚はワンタッチ式で展開しやすく、撮影ポイントの切り替えが多い場合に運用しやすい。

そして、ワンタッチ式のビデオ三脚とカウンターバランスを含めた高機能なフルード雲台の組み合わせとしては手頃な価格。この組み合わせを10万円以下で実現している存在感は強い。マンフロットなど老舗メーカーと比べると遥かに安く、競合するSmallRigなどと比べても安め。また、スチル用途でビデオ三脚が必要ない場合、フルード雲台のみの購入も可能。フルード雲台単体の販売価格も高機能な製品としては比較的安い。

全体的に見て、手頃な価格で運搬しやすい本格的なビデオ三脚キットとして検討する価値のある製品。

ポイント

長所

  • ワンタッチ式ビデオ三脚としては非常に安価
  • カウンターウェイトシステム搭載の高機能フルード雲台としては安価
  • ビデオ三脚が非常に軽量でコンパクトに収納可能
  • ワンタッチ式で三脚の脚を伸縮しやすい
  • キャリングハンドルで三脚を運搬しやすい
  • カウンター10段階・減衰6段階で設定の再現性が高い
  • 素早く脱着が可能なクイックリリースプレート

短所

  • ワンタッチ式ツインパイプ構造の信頼性・堅牢さがわからない
  • 部分的にプラスチックパーツが多い
  • ビデオ三脚の全高が低い
  • 野暮ったいデザインの雲台

公式サイトと価格情報

  • Ulanzi 商品ページ
  • 発売日:2024年5月15日
  • 販売価格:
    ・カーボン三脚+フルード雲台:79,980円
    ・アルミニウム三脚+フルード雲台:68,999円
    ・フルード雲台:54,999円
  • 公式通販限定:すべての部品が交換可能・永久保証

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