「VILTROX AF 35mm F1.7」のレビュー第四弾 諸収差編を公開。大きな弱点はみられず、手頃な価格のF1.7レンズとして驚くほど良好な結果となりました。
簡易的なまとめ
全体的に良好な補正状態。これと言って大きな弱点は存在せず、F1.7の絞り開放から安心して使うことが出来ます。低価格の大口径レンズとしては驚くほど良好。
Overall, the correction is in good condition. There are no major weaknesses to speak of, and you can use it with confidence even at the maximum aperture of F1.7. It is surprisingly good for a low-priced large-aperture lens.
VILTROX AF 35mm F1.7のレビュー一覧
- VILTROX AF 35mm F1.7 レンズレビューVol.4 諸収差編
- VILTROX AF 35mm F1.7 レンズレビューVol.3 遠景解像編
- VILTROX AF 35mm F1.7 レンズレビューVol.2 解像チャート編
- VILTROX AF 35mm F1.7 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
像面湾曲
像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。
像面湾曲がある場合、中央から四隅かけてピントが合う撮影距離が異なります。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしても、フレームの端でピントが合わない場合に像面湾曲の可能性あり。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。
実写で確認
中央から隅まで目立つ像面湾曲はありません。近距離でも良好な結果が得られています。
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
実写で確認
絞り値に関わらず、フレーム隅まで色収差が良好に補正されています。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
色収差がゼロとは言えないものの、絞り開放から目立たない程度に良く抑えられています。2万円台の低価格であることを考えるとコストパフォーマンスは高い。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認
レンズ補正がオフの場合、僅かな糸巻き型の歪曲収差が発生します。これは自然風景などで目立たないものの、直線的な人工物を撮影する場合に少し気になる可能性あり。ただし、画質に大きな影響を与えることなく、手動での修正が可能な程度。特に心配する必要はありません。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
F1.7の絞り開放からほぼ問題ない程度に抑えられています。2万円台のF1.7 AFレンズとしては非常に良好。
球面収差
F1.7
前後のボケ質に大きな変化は見られず、球面収差を良好に補正していることが分かります。
F2.8
まとめ
全体的に良好な補正状態。これと言って大きな弱点は存在せず、F1.7の絞り開放から安心して使うことが出来ます。低価格の大口径レンズとしては驚くほど良好。
ピント面前後の色付きやフレーム隅の色付きが良く抑えられています。高輝度で色収差が発生しやすい日中でも快適に絞り開放を利用可能。シャッタースピードを稼ぐために、積極的に絞り開放を利用しやすいレンズでもあります。
色収差以外の収差も良好に補正。点光源が多いシーン、ピント面の平坦性が求めらるシーンでも問題無し。注意するとしたら糸巻き型の歪曲収差ですが、補正しやすい収差なので心配する必要はありませんん。
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作例
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