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ニコン Z50II レビューVol.1 ダイナミックレンジ編

ニコン「Z50II」のレビュー第一弾 ダイナミックレンジ編を公開。12bit RAWの選択肢は無くなりましたが、ファイルサイズが小さいにも関わらずダイナミックレンジが良好な高効率RAWが便利。

簡単なまとめ

APS-Cセンサーとして適度なダイナミックレンジが得られます。前モデルと比べて大きな変化はありませんが、これは競合他社も同じ。敢えて言えば、2000万画素の低解像センサーながらダイナミックレンジの優位性はありません。この点を重視するのであれば、より大きなフォーマットのイメージセンサーを検討したほうが良いでしょう。

It has a moderate dynamic range for an APS-C sensor. There are no major changes compared to the previous model, but the same is true of the competition. If anything, it is a low-resolution 20-megapixel sensor with no advantage in terms of dynamic range. If this is a point you are concerned about, you may want to consider an image sensor with a larger format.

Z50II のレビュー一覧

ダイナミックレンジ

撮影環境

  • Nikon Z50II +  Fringer EF-NZ + SIGMA 70mm F2.8 DG HSM
  • 光環境を固定(NANLITE Poavotube II 6C)
  • CCTモード 100% 5600K
  • ISO 100 F5.6 1/3s が適正露出
  • ±5EVの露出補正で撮影
  • ロスレス圧縮RAW・高効率RAW・高効率RAW★
  • Adobe Lightroom Classic CC 現像
    ・全ての撮影結果を適正露出に戻す
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズリダクションオフ
    ・レンズ補正オフ
  • 参考:上の画像はRAW現像していないカメラ出力のJPEG画像

ファイルサイズ

ロスレス圧縮RAWの圧縮率が最も低く、比較して高効率★・高効率で圧縮率が段階的に高くなっています。最も圧縮率の高い「高効率RAW」のファイルサイズは「ロスレス圧縮RAW」の半分以下に抑えられています。ファイルサイズはほとんどJPEGと変わらず、それでRAW現像の柔軟性を維持しているのだから凄い。柔軟性を維持しつつ、ストレージを節約したり、メモリーカードへの書き込み速度を向上させたいのであれば高効率RAWは検討すべき選択肢。

ファイルサイズは露出アンダーで低下傾向が見られますが、圧縮率が高い場合の極端な低下はありません。キヤノンの「C-RAW」などは露出アンダーにおける明らかな黒潰れをバッサリと切り捨てる場合があるため、状況によってRAWを切り替える必要があります。比較して、ニコンの高効率RAWはファイルサイズを抑えつつも、暗部の情報をしっかりと保持した状態。比較的安心して利用できる高圧縮率のRAWと言えるでしょう。

露出アンダー

  • ロスレス圧縮RAW:20.4MB
  • 高効率RAW★:13.5MB
  • 高効率RAW:8.56MB

適正露出

  • ロスレス圧縮RAW:23.3MB
  • 高効率RAW★:14.9MB
  • 高効率RAW:9.96MB

露出オーバー

  • ロスレス圧縮RAW:24.5MB
  • 高効率RAW★:15.7MB
  • 高効率RAW:10.7MB

ロスレス圧縮RAW

最も圧縮率の低いRAWで、現像時の柔軟性で言えばベストの選択肢。暗部のノイズは-3EVの復元までほとんど発生せず、-4EVの復元で明部に薄っすらとノイズが発生する程度。-5EVで僅かにノイジーですが、ディテールを損ねるほどではありません。

明部は+3EVあたりで白飛びが発生。これはシチュエーションによって変化しますが、同じテスト環境で撮影したAPS-Cカメラで大きな変化はありません。直近で2600万画素センサーを搭載した「X-M5」をテストしていますが、ほぼ同じ結果が得られています。

同じ2000万画素センサーを搭載しているZ fcと同等の結果。

高効率RAW★

圧縮率の高い高効率RAW★でも白飛びの閾値に変化はありません。これはデジタルカメラの大部分に見られる傾向で、基本的にハイライト側は一定の水準に設定されています。差が発生するのは主にシャドーを復元する場合。

ロスレス圧縮RAWと見比べると、ほとんど差がありません。-5EVの最も深いシャドーにおけるノイズが少し目立つくらい。Adobe Lightroomで+5の露出補正に加え、シャドーの大幅な+補正をしない限り、大きな差はありません。

高効率RAW

前述したように、白飛びの閾値は同じ。露出アンダーでも大部分の領域に大きな変化はありません。-5EV時の非常に暗い部分で、ロスレス圧縮や高効率★よりノイズが少し多いくらい。過剰な補正をしなければ、実写で困ることは少ないと思います。

まとめ

APS-Cセンサーとして適度なダイナミックレンジが得られます。前モデルと比べて大きな変化はありませんが、これは競合他社も同じ。敢えて言えば、2000万画素の低解像センサーながらダイナミックレンジの優位性はありません。この点を重視するのであれば、より大きなフォーマットのイメージセンサーを検討したほうが良いでしょう。

「高効率」RAWは確かに効率が良く、高い圧縮率に対して妥協は少なめ。他社の圧縮RAWよりもノイズが増加する領域が狭く、使い勝手の良いRAWとなっています。また、ファイルサイズの大きなRAWで復元できる暗部の伸びしろはほとんどありません。本当にダイナミックレンジが必要な場合を除き、基本は「高効率RAW」で問題無いと感じました。個人的に、大量にストックする家族写真・記録写真をJPEGと同程度のサイズでRAWを残せるのは便利。

参考情報

購入早見表

作例

Flickrにてオリジナルデータを公開

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