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品薄状態が続く高級コンパクトカメラの現状について【2024.3】

レンズ固定式の高級コンパクトカメラの供給不足や受注停止が相次いでいます。新発売の「X100VI」は予約が殺到して世界的な品薄状態。リコー「GR III」はシリーズ全製品について受注一時停止と発表しました。今回は代替品となりうるカメラがあるのかまとめてみました。

高級コンパクトカメラとは?

人によって定義が異なるかもしれませんが、概ね以下の通り。

  • 1.0型よりも大きなイメージセンサーを搭載
  • 大口径の単焦点レンズ・ズームレンズを搭載
  • 造形が個性的で質感が高い(プラスチッキーではない)
  • 実用的と言うよりは趣味性が高い(操作性など)
  • どちらかと言えば箱型(四角いカメラ)
  • 最近では10万円前後以上
  • 各メーカーのラインアップで上位に位置するコンパクトカメラ

高級コンデジ現状の確認

富士フイルム X100VI

  • センサーサイズ:APS-C
  • レンズの種類:単焦点レンズ 23mm F2
  • 価格:¥253,440
  • 発売時期:2024年3月28日
  • 状態:世界的な品薄

話題の中心にあるカメラ。
2022年から供給不足・受注停止の前モデル「X100V」と入れ替わる形で2024年2月に正式発表。同シリーズは人気絶頂のためか、(海外では2月下旬に発売しており)既に多くの地域で品薄状態となっています。

日本国内では予約開始前から供給不足が告知され、初回の入荷は極めて少数という情報あり。各販売店では転売による買い占めを警戒する動きがあり、予約抽選や静かに予約開始&先着順にするなど対応が分かれている模様。いずれにせよ、既に予約の受注をしていない店舗が多く、初回の入手は困難と思われます。次回の入荷がいつ頃になるのかも不明。

このカメラを買いたくても購入できない場合、以下の代替品を検討することになると思います。

富士フイルム X100V

  • センサーサイズ:APS-C
  • レンズの種類:単焦点レンズ 23mm F2
  • 価格:¥162,855
  • 発売時期:2020年 2月27日
  • 状態:生産完了

全てはここから始まったと言っても過言ではないカメラ。
2022年にインフルエンサーの影響と思われる需要拡大を受けて供給不足、受注を停止。2024年に後継モデル「X100VI」が登場するまで受注が再開することはありませんでした。X100VI発売後は生産完了品。キャンセル品と思われる新品ロットが稀に登場しますが、あまり期待しないほうが良いでしょう。X100VIの登場で下落するかと思いきや、中古相場は今のところ高めを維持しています。

ライカ Q3

  • センサーサイズ:35mmフルサイズ
  • レンズの種類:単焦点レンズ 28mm F1.7
  • 価格:¥919,600
  • 発売時期:2023年 6月 3日
  • 状態:納期未定

高級コンパクトカメラの中でも非常に高価なフルサイズセンサー搭載モデル。100万円に近いものの、2023年6月の発売より品薄状態が継続中。数か月の納期となっている模様。富士フイルムのように受注停止までは至っていないものの、すぐに入手が難しい状態が続いています。

リコー GR III

  • センサーサイズ:APS-C
  • レンズの種類:単焦点レンズ 18.3mm F2.8
  • 価格:¥108,355(初値)
  • 発売時期:2019年 3月15日~
  • 状態:受注停止

富士フイルムやライカとはコンセプトが異なるものの、高級コンパクトカメラの中では存在感が強い製品。ポケッタブルでスナップ写真に最適な携帯性を実現しています。販売価格は比較的手ごろ。

2023年中ごろに中国に供給不足が表明され、国内では若干の品薄状態が続いていました。しかし、2024年3月に入り、リコーが供給不足により全製品の受注を一時停止すると発表。現在は新品・中古の在庫が枯渇しており、少ない在庫は高騰気味。中古買取価格も上昇中。全体的にX100Vのようになってきています。

ソニー RX1R II

  • センサーサイズ:35mmフルサイズ
  • レンズの種類:単焦点レンズ 35mm F2
  • 価格:¥371,700
  • 発売時期:2016年 2月19日
  • 状態:通常

今のところ、もっとも入手が簡単なのがソニーのRX1R II。フルサイズセンサー搭載モデルとしてはライカQ3よりも手ごろな価格。コンパクトながらポップアップ式のEVFを搭載しているのも特徴。ただし、中身はα7R II世代のセンサー・プロセッサのため、全体的に古い設計である点は否めません。特に操作やAFの応答性はあまり期待しないほうが良いでしょう。ただし、センサ-画質は今でも通用する性能と言っても過言ではないはず。

パナソニック LX100II

  • センサーサイズ:4/3型
  • レンズの種類:大口径ズーム
  • 価格:¥111,321
  • 発売時期:2018年10月18日
  • 状態:生産完了・在庫なし

4/3型センサーに大口径のズームレンズを搭載したカメラ。単焦点レンズ搭載の高級コンパクトカメラとはジャンルが異なるものの、シャッタースピード・露出補正ダイヤルを搭載しており、志向性はよく似ているように見えます。他ではあまり見ないマルチアスペクトを採用しているのも特徴(詳細は割愛)。残念ながら2022年に完了商品となっており、現在は入手困難。

ライカ D-LUX7

  • センサーサイズ:4/3型
  • レンズの種類:大口径ズーム
  • 価格:¥166,210(初値)
  • 発売時期:2018年12月
  • 状態:生産完了・在庫無し

LX100IIのライカ版。LX100IIの後を追うように2023年に販売を終了しています。

残っている選択肢

1型センサー

ソニー RX100シリーズ

  • センサーサイズ:1.0型
  • レンズの種類:大口径ズーム・高倍率ズーム
  • 価格:¥110,120 / ¥167,700
  • 発売時期:2018年 7月13日 / 2019年 8月30日
  • 状態:通常

4/3型センサーよりも少し小さめのイメージセンサーと大口径のズームレンズを搭載しています。一般的なコンパクトカメラよりも高めですが、それでもAPS-Cやフルサイズセンサー搭載モデルと比べると安め。どちらかと言えば実用的なカメラであり、趣味性の高いモデルとは言えません。RX100シリーズがGRやX100の穴を埋めるのか?というと少し違う気もします。

Cyber-shot DSC-RX100M3(生産完了)
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Cyber-shot DSC-RX100M5A(大口径ズーム)
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Cyber-shot DSC-RX100M7(高倍率ズーム)
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キヤノン PowerShot G7 X Mark III

  • センサーサイズ:1.0型
  • レンズの種類:大口径ズームレンズ
  • 価格:¥124,799
  • 発売時期:2019年 8月 1日 発売
  • 状態:受注停止

ソニーRX100シリーズの競合製品。既にG9 X Mark IIやG5 X Mark IIなどが販売終了となっており、高級コンパクトのシリーズとしては残すところG7 X Mark IIIのみ。そのG7 X IIIも、現在は供給不足で受注を停止しています。やはりX100VIやGR IIIの代わりとはならない印象。

マイクロフォーサーズ

レンズ交換式カメラですが、4/3型センサーを使用するマイクロフォーサーズシステムは比較的サイズが小さく、高級コンパクトカメラの代用となり得る選択肢。薄型レンズも多く、組み合わせるボディとレンズによっては代替品となる可能性あり。

LUMIX GF・GMはディスコン

残念ながら、小型軽量が売りだったころのマイクロフォーサーズは鳴りを潜めており、小型ボディのラインアップは縮小が続いています。既に「GM」「GF」「GX」のラインが終了しており、後継モデルは存在しません。小型カメラとしては「G100(D)」が残っていますが、コンセプトが全く異なるので割愛。

OLYMPUS E-P7

  • センサーサイズ:4/3型
  • レンズの種類:レンズ交換式
  • 価格:¥82,020
  • 発売時期:2021年 6月25日
  • 状態:通常

OMデジタルの現行ラインアップとしては唯一の箱型カメラ。マイクロフォーサーズでこれから新品を手に入れるとしたらコレしかありません。ボディ内手ぶれ補正や面白いJPEG機能を搭載しており、薄型パンケーキレンズと組み合わせることで、高級コンデジの受け皿となる可能性あり。何より、手ごろな価格が魅力的。ただし、ボディがプラスチッキーなので「高級」というと語弊があるかもしれません。惜しい。

ニコン Z fc

  • センサーサイズ:APS-C
  • レンズの種類:レンズ交換式
  • 価格:¥111,480
  • 発売時期:2021年 7月23日
  • 状態:通常

ニコンZマウントのミラーレスカメラ。APS-Cセンサー搭載でクラシカルな外観。ISO・シャッタースピード・露出補正ダイヤルを搭載している趣味性の高いデザイン。悪くない選択肢だと思いますが、所々に安っぽさを感じる部分があり、何より”高級感が得られる”適切なDX Zマウントレンズがありません。(社外製のMFレンズなどはありますが…)惜しい。

ニコン Z f

  • センサーサイズ:35mmフルサイズ
  • レンズの種類:レンズ交換式
  • 価格:¥267,234
  • 発売時期:2023年10月27日
  • 状態:通常

言うなればZ fcのフルサイズセンサー版。ただし、プロセッサは最新モデルに置き換わっており、AF性能や手振れ補正などが高性能。X100VIと同程度の価格で入手できることを考慮するとお買い得と言えるでしょう。カメラの質感はZ fcよりも改善しています。

課題は装着するレンズのラインアップ。28mm F2.8や40mm F2のレトロな外観の製品が用意されていますが、いかんせんプラスチッキーで安っぽさは否めません。アダプターで経由でMFレンズと組み合わせたいところですが、(現状では)MFレンズ時の操作性がイマイチ。

SIGMA fp

  • センサーサイズ:35mmフルサイズ
  • レンズの種類:レンズ交換式
  • 価格:¥178,517
  • 発売時期:2019年10月25日
  • 状態:通常

ライカLマウントのフルサイズミラーレス。グリップなどが存在しないモジュールタイプの特殊なカメラボディ。Lマウントレンズのラインアップには小型軽量で質感も良い「Iシリーズ」のレンズが揃っているのが魅力的。この点でZ fやZ fcよりも有利。面白いカメラですが、メカニカルシャッターレスの特殊カメラであるため、万人におススメできる製品ではありません。

まとめ

GR IIIやX100VIの需要を他で補うことは出来るか?という点いついて色々調べてみましたが、現状で代わりとなる選択肢はほとんどないように見えます。質感や外観、携帯性など、何かを犠牲にする必要がありそうです。

X100VIの初期ロットをなんとか手に入れるか、GRの供給が復活するまで我慢するか、応答性がぎこちないRX1R IIで凌ぐか…。レンズ交換式のミラーレスカメラで代用となりうるカメラは存在するものの、GRやX100を求めている人が許容できるかどうか微妙。せめてPEN-FやGM・GXあたりが残っていれば話は違ったかもしれませんが…。(FUJIFILM XシリーズのX-ProやX-Eは全滅に近いので割愛)

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