PhototrendがCP+2025におけるキヤノンへのインタビュー記事を公開。「R5II 供給改善」「R1の哲学」「APS-Cはどうぞお楽しみに」「動画市場」「PowerShot V1について」「ヴィンテージ風カメラの課題」など。
EOS R5 Mark IIとEOS R1の発売は成功したか?販売台数は?
- 予想通り好調で、注文が滞留するほどの人気。R5 Mark IIの供給は改善しつつあるが、販売台数の詳細は非公開。ただし、業績に大きく貢献している。
EOS R1はなぜEOS R3とそれほど変わらなかったのか?
- EOS-1シリーズは常に前モデルを上回る品質を基準としており、EOS R1もその哲学に基づき開発された。AF性能やシャッター速度、EVFの精度が向上しており、プロ向けの信頼性を重視している。
- EOS R1は、EOS-1シリーズの哲学を受け継ぎ、妥協することなく、先代と同じ厳格な品質基準を満たしている。
- クロスAFを含め、AF性能が大幅に向上している。
- 精度や性能面では、ローリングシャッターの制御やシャッタースピード、電子ビューファインダーも大幅に改善している。
- 機能面でも、使いこなせば違いが分かるし、プロの方なら違いが分かるだろうと確信している。
EOS R5 Mark IIとEOS R1の違いは?
- R5 Mark IIは写真と動画の両方に適したハイブリッド機。R1は厳しい環境下でも確実に最高の写真を撮影するためのプロ向けモデルであり、独自の機能を備えている。
- EOS R5 Mark IIもプロのフォトグラファーが使用しているが、それは伝統的な「プロ用カメラ」とはみなされていない。
なぜ動画がRFエコシステムで重要なのか?
- カメラの進化により、写真と動画の垣根がなくなってきたことが理由。また、プロ市場では機材の削減、アマチュア市場では高品質な動画の需要が増加しており、ハイブリッドカメラの必要性が高まっている。
- 最近では、プロの市場では、使用する機材の数を減らし、チームの規模を縮小する傾向が見られる。
- アマチュアの間では、スマートフォンやソーシャルネットワークの普及により、より高品質でクリエイティブな動画を求めるユーザーが増えている。
- そのため、動画も写真も1台で撮れるカメラへのニーズは、今後ますます高まるだろう。
VCM AFモーターの特徴とUSMとの違いは?
- VCMは高いトルクを持ち、大型レンズのAF制御に優れる。USMやSTMとは用途が異なり、特に重量のあるレンズでの精度向上に貢献する。
- そのトレードオフとしてモーターが少し大きくなるが、大型のレンズのAFをより適切に制御できる。
今後の望遠ズームレンズにVCMが搭載される可能性は?
- 用途に応じてモーターを決定するが、可能性はある。
なぜフルフレームのRFマウント用サードパーティレンズがないのか?
- 契約の詳細は非公開だが、サードパーティメーカーにも独自の戦略がある。市場の動向を注視しながら、ユーザーの声を製品に反映していく。
RF 28-70mm F2.8 IS STMの発売意図は?
- 高性能ながら比較的手頃な価格のズームレンズを求めるユーザーの声に応えたもの。サードパーティ製レンズを排除する意図ではない。
キヤノンはRFマウント市場を独占しようとしているのか?
- 自社製品で幅広いニーズに応えたいが、開発リソースには限界がある。多様性を重視し、サードパーティとの協力も継続する。
2025年にAPS-Cの新展開はあるか?
- 具体的な発表はできないが、APS-Cは重要な市場であり、期待に応えるよう全力を尽くす。どうぞお楽しみに。
キヤノンの3D・VR戦略は?
- 2Dから3Dへの移行を見据え、可能性を追求している。市場の拡大には高品質なコンテンツ、編集ツール、視聴デバイスが必要であり、Appleを含む複数の企業と協力している。
PowerShot V1を発売する理由は?
- 大型センサーを搭載し、高画質な写真・動画撮影が可能。Vlog市場の成長を受け、コンパクトで高性能なカメラとして開発された。
- 自社開発のセンサーで、培ったオートフォーカスに関するノウハウや知見が蓄積。
- 当社の主力コンパクトカメラとなる。
- ファンも搭載しているので、長時間の動画撮影にも非常に便利だ。
1.4インチセンサーを搭載したキヤノン製品はこれが初めてか?
- はい。
コンパクトカメラ市場縮小の中でのキヤノンの戦略は?
- ピーク時1億2,000万台だったコンパクトカメラの総出荷台数は、現在約300万台に縮小。しかし、供給量が少なすぎて需要が追いついていないため、キヤノンは生産量を増やし、この問題を解決しようとしている。
キヤノンはヴィンテージ感のあるハイブリッドカメラを作る可能性はあるか?
- ヴィンテージ風のカメラに対する需要は認識しているが、エルゴノミクスや技術的な課題を慎重に検討する必要がある。
- AE-1のようなデザインを取り入れた場合、キヤノンのカメラの使いやすさを維持できるかが課題。
- ヴィンテージデザインを否定しているわけではない。
RF 70-200mm F2.8 L IS USM Zが白と黒の2色展開になった理由は?
- 写真撮影用の望遠レンズは一般的に白だが、ビデオグラファーは映像の反射を防ぐため黒を好む。そのため、両方のニーズに応える形で2色を用意した。
キヤノンのコンピュテーショナルフォトグラフィの戦略は?
- EOS R1にはアップスケーリングやノイズリダクション機能が内蔵されているが、その他のカメラではDPP(Digital Photo Professional)アプリケーションで多様な処理が可能。
- 新技術はまずソフトウェアでテストし、実用性が証明されたものをハードウェアに統合していく。
C2PAのタグ付けオプションを業務用カメラに搭載する予定は?
- 2025年にはEOS R5 Mark IIやEOS R1などのカメラで実装予定。
EOS R1に関しては、他のインタビューでも回答しているように信頼性を重視したプロ向けカメラとしてのデザインとなっている模様。高解像センサーやグローバルシャッターの搭載、ソニーのような小型化しない理由は一貫した「1」シリーズのコンセプトにあるようです。
既存製品に関連したインタビュー内容のほか、ネット上で噂されている新製品について遠回しに聞いていますね。
(Vlog向けの新製品が噂されていますが)キヤノンはAPS-Cの新製品に対して詳細は明らかにしていません。しかし、いつもならば「新製品に関して話すことは無い」の一点張りですが、「APS-Cは重要な市場」「期待に応える」「お楽しみに」など、新製品をにおわせる回答をしています。
別で噂されている「ヴィンテージ風カメラ」についても、(来年で50周年となる)AE-1を絡めて回答。需要を認識しつつも、キヤノンらしい操作性をどのように実現するのかが課題となるようです。確かに、AE-1のような外観でEOS Rシリーズのコントロールをどうやって組み込むのか気になるところ。
ニコンや富士フイルムはダイヤル操作までヴィンテージ風ですが、操作性や使いやすさの観点から癖のあるカメラとなっています。キヤノンの哲学でこのようなカメラを投入するのは難しそうに見えますが…。
可能性があるとしたらOM SYSTEMのように「ヴィンテージ風」ながらコントロールレイアウトは一般的なカメラでしょうか。
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