このページでは「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」のレビューを掲載しています。
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 IIのレビュー一覧
- OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II レンズレビュー 完全版
- M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II レビューVol.4 諸収差編
- M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II レビューVol.3 遠景解像編
- M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II レビューVol.2 解像チャート編
- M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
管理人の評価
ポイント | 評価 | コメント |
価格 | 強化ぶんの値上がり | |
サイズ | コンパクト | |
重量 | 金属外装ながら軽量 | |
操作性 | フォーカスリングのみ | |
AF性能 | ベストではないが快適 | |
解像性能 | 広い範囲でシャープな結果 | |
ボケ | 隅が少し騒がしい | |
色収差 | 軸上色収差が残存 | |
歪曲収差 | 良好な補正状態 | |
コマ収差・非点収差 | コマ収差がやや目立つ | |
周辺減光 | 無限遠で目立つが許容範囲内 | |
逆光耐性 | 完璧ではないが欠点でもない | |
満足度 | OM SYSTEMらしいコンパクトレンズ |
評価:
ポイント
OM SYSTEMらしいコンパクトレンズ
アウトドアを主戦場としたOM SYSTEMらしいレンズとして生まれ変わった「II型」。バランスの取れた光学性能をそのままに、耐候性と堅牢さを強化、ついでに質感も良くなりました。それ相応に価格は上昇してしまったものの、OM-5やOM-1、OM-3と組み合わせてアウトドアで撮影したい人にとって面白い選択肢。
ただまあ、換算50mmは何でも撮るには画角が少し狭いと感じるかもしれません。同じコンセプトで生まれ変わった「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II」と組み合わせるのも一つの手。
The “II Type” has been reborn as a lens true to the OM SYSTEM's outdoor-focused heritage. It retains its well-balanced optical performance while enhancing weather resistance and durability, and the build quality has also been improved. While the price has inevitably increased accordingly, it remains an intriguing option for those looking to pair it with the OM-5, OM-1, or OM-3 for outdoor photography.
That said, the 50mm equivalent focal length may feel a bit narrow for general use. Pairing it with the similarly redesigned “M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II” could be another option.
Index
まえがき
- 発売日:2025年 3月 1日
- 商品ページ
- データベース
- 管理人のFlickr
2025年3月に発売したOM SYSTEMの新しい標準単焦点レンズ。
「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8」と同じ光学系を採用しつつ、外装のデザインが変わり、防塵防滴仕様が加えられています。販売価格は少し高くなってしまったものの、金属外装による質感の向上に加え、耐候性を獲得したことで使えるシーンが増えたのは強み。フッ素コーティング処理されていれば最高でしたが、4万円のレンズにそこまでを求めるのは難しいのかもしれません。
なお、前モデルに存在していたシルバーカラーはありません。ボディに合わせてシルバーを探しているのであれば、在庫があるうちに前モデルを入手しておいたほうが良いでしょう。
主な仕様
光学系の基本的な仕様は前モデルと同じ。競合する「LUMIX G 25mm/F1.7 ASPH.」と比べて最大撮影倍率が若干小さいものの、最短撮影距離は同程度。
レンズマウント | MFT |
対応センサー | 4/3 |
焦点距離 | 25mm |
レンズ構成 | 7群9枚 |
開放絞り | F1.8 |
最小絞り | F22 |
絞り羽根 | 7枚(円形絞り) |
最短撮影距離 | 0.25m |
最大撮影倍率 | 0.12倍 |
フィルター径 | 46mm |
手振れ補正 | - |
テレコン | - |
コーティング | ZERO |
サイズ | Ø59.4×42.0mm |
重量 | 156g |
防塵防滴 | IPX1相当 |
AF | MSC |
絞りリング | - |
その他のコントロール | - |
付属品 | レンズキャップ(LC-46) レンズリアキャップ(LR-2) レンズフード(LH-49B) 取扱説明書,保証書 |
価格
売り出し価格は4.3万円。前モデルが3万円ちょっとだったことを考慮すると1万円ほど値上がりしています。金属外装・防塵防滴仕様を考慮すると妥当な値上げ幅だと思いますが、出来るだけ安価な25mm単焦点レンズを探している場合は「LUMIX G 25mm/F1.7 ASPH.」を検討する必要があります。
レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品
ここ最近の新製品と同じく、エコパッケージ化したデザインを採用。他社も同じような路線を採用する場合があるものの、ここまでそぎ落としたメーカーは無いと思います。
レンズ本体のほか、レンズフードとキャップ、書類が付属。レンズフードは製品によって付属したり、付属しなかったり、統一感がない。
外観
外装が前モデルのプラスチック鏡筒から金属鏡筒に切り替わっています。頑丈で質感のよい触り心地。1万円ほど値上がりしていますが、金属鏡筒なら許容できるレベル。ただし、前モデルに付属していたデコレーションリングがありません。前モデルのリングをそのまま利用できるのか不明。
引き続きコントロールはフォーカスリングのみ。AF/MFスイッチやMFクラッチ構造はありません。
ハンズオン
従来通り小型軽量な標準単焦点レンズ。マイクロフォーサーズの携帯性を活かすことができ、さらに防塵防滴仕様により使用できる環境が幅広くなっています。以前のような外装のプラスチック感はなく、頑丈でしっかりとした作り。
ただし、引き続きレンズフードはプラスチック製。指で触れる機会が多いパーツで、左手を支える時にフードを掴むと、かなりプラスチッキーな感触があります。将来的に金属製の社外製フードの登場を期待したいところ。
前玉・後玉
引き続き46mmフィルターに対応。防塵防滴仕様ですが、前面のフッ素コーティング処理はされていません。水や油汚れなどの付着が予想されるシーンでは、保護フィルターを装着しておいたほうが後々のメンテナンスが楽。
金属製レンズマウントは4本のビスで本体に固定されています。周囲には防塵防滴用のシーリングあり。
後玉付近には「Made in Japan」と記載あり。OM SYSTEMの生産工場はベトナムにあるので、国内の企業に製造委託していると思われます。(S社?)
フォーカスリング
鏡筒と同じく金属製のフォーカスリング。適度な抵抗感で滑らかに回転します。
応答性はノンリニアで、回転速度によってピント移動速度が変化。素早く回転した際にピント全域のストロークは135度程度。ゆっくり回転すると360度ほどのストロークが必要となります。
レンズフード
内側にマットな塗装が施された円筒形のプラスチック製フードが付属。前モデルと同じ型番のフードであるため、共通していると思われます。
装着例
OM-3に装着。グリップレスのOM-3と携帯性の良い25mm F1.8は小さなカメラバッグに簡単に収まるサイズ感。同時発表されただけあって、金属ボディと金属鏡筒の相性が良好。悪くない外観だと思いますが、レンズのデコレーションリングにある「ブルーライン」が少し浮いているように見えます。
カメラと組み合わせても重量は片手で持てる許容範囲内。そのまま片手で撮影も可能です。コンパクトなカメラボディとの相性も良好。
AF・MF
フォーカススピード
フォーカスレンズの駆動にはステッピングモーターを使用。高速かつ静かで滑らかに動作します。一部のPROレンズほど電光石火のAF速度ではありませんが、F1.8レンズのAF速度としては十分以上。非常に快適。全体的に性能は前モデルと同じで、特に大きな変化はないように見えます。参考までに前モデルでのテスト動画を掲載。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
本レンズは最短撮影距離と無限遠で画角が僅かに異なるものの、影響は軽微で実使用で問題と感じることは少ない。
精度
レンズ側のAF性能に大きな問題はありません。あるとすればカメラ側の問題であり、特に被写体検出が迷いやすい状況、前後に遮蔽物や騒がしい背景がある場合にAFが引っ張られる可能性があります。
MF
応答性が良く、滑らかに動作します。ゆっくり操作した際のピント移動も滑らかですが、回転速度の変化に敏感で、操作がずれると僅かに段階的な移動になる。遠景でのピント合わせに大きな問題はありません。
解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:LUMIX DC-G9M2
- 交換レンズ:M.ZUIKO DIITAL 25mm F1.8 II
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイル(外せない) - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
通常撮影
ハイレゾ
中央
絞り開放からピークに近い良好な解像性能を発揮。F1.8はコントラストがわずかに低下しているものの、F2まで少し絞ると改善します。改善するのはコントラストで、解像性能はF1.8から回折の影響が始まるF8までほぼ一定。F8以降は回折の影響でパフォーマンスが急速に低下するので、被写界深度が必要な場合を除いて小絞りは避けるのがおすすめ。
周辺
基本的に中央とほぼ同じパフォーマンス・傾向。わずかに解像性能が低下するものの、絞り開放から良好な性能を発揮し、回折が始まるF8まで一定。非常に安定感のある絞り開放の画質であり、面白みは無いかもしれませんが、使いやすい画質であるのは確か。
四隅
F1.8は中央や周辺と比べて少しソフトですが、性能が極端に低下することはありません。ハイレゾモードで中央や周辺の水準に達するのはF5.6まで絞ったとき。以降はF8で回折の影響が始まるまでピークの性能を維持しています。
数値確認
通常
Center | Mid | Corner | |
F1.8 | 3215 | 3082 | 2463 |
F2.0 | 3647 | 2962 | 2389 |
F2.8 | 4254 | 3163 | 2585 |
F4.0 | 3821 | 3284 | 2658 |
F5.6 | 3918 | 3392 | 3173 |
F8.0 | 3238 | 3345 | 2704 |
F11 | 3026 | 2652 | 2732 |
F16 | 2457 | 2247 | 2463 |
F22 | 1903 | 1863 | 1949 |
ハイレゾ
Center | Mid | Corner | |
F1.8 | 4643 | 3825 | 2030 |
F2.0 | 4615 | 4190 | 2860 |
F2.8 | 4649 | 4288 | 3214 |
F4.0 | 4668 | 4749 | 3645 |
F5.6 | 4721 | 4494 | 4089 |
F8.0 | 4668 | 4336 | 3990 |
前モデルとの比較
テスト機が異なるので参考までに。全体的な傾向は前モデルと大きく変わりません。光学系を継承しているので、これは当然の結果。II型の改善点に魅力を感じない場合、安い前モデルを購入するのも一つの手。
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2025.4.2
- カメラ:LUMIX DC-G9M2
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:BA BFA-01
- 露出:絞り優先AE
- RAW:Adobe Lightroom Classic CC
テスト結果
中央
絞り開放のシャープネス・コントラストが少し低いものの、F2.0まで少し絞ると改善。以降は大きな変化がなく、F8まで同じようなパフォーマンスを維持。F11以降は回折の影響でパフォーマンスが徐々に低下。F11は許容範囲内ですが、F16-F22は被写界深度や露出の必要性が無い限り避けて通りたい絞り値。
周辺
中央と同程度のシャープネスに見えますが、コントラストはやや低い。F2.8まで絞るとコントラストがいくらか改善し、F4-F5.6でピーク。F8以降の傾向は中央と同じ。
四隅
パッと見た場合の描写は絞り開放から安定しており、極端な画質低下は無し。とは言え、コマ収差の影響でコントラストが低く、フレーム全体の画質を考慮するとF2.8までは絞っておきたいところ。ピークはF4-F5.6。F8以降の傾向は他の場所と同じ。
像面湾曲
像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。
実写で確認
F1.8の絞り開放から像面湾曲の目立つ影響はありません。
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
実写で確認
絞り開放から良好に補正。絞り値全域で特にこれと言った問題はありません。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
絞り開放ではやや目立つ量の軸上色収差が発生。高コントラストなシーンでは前景におけるマゼンダの色ずれと、背景におけるグリーンの色ずれが発生する可能性あり。これは絞りにより改善するものの。F2.0-F2.8でも残存する可能性が高い。しっかり抑えたいのであればF4まで絞る必要がある場合も。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認
元は極僅かな糸巻き型歪曲で、JPEG出力の段階で過補正気味な樽型歪曲として処理。いずれにせよ無視できる程度。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
完璧な補正状態と言えず、絞り開放付近ではいくらかコマ収差が残存。画質に致命的な影響を与えるほどではないものの、点光源が多い夜景などでは少し気になる場合あり。また、フレーム隅におけるコントラスト低下の原因。
球面収差
前後のボケ質を見比べると描写に僅かな違いを感じるものの、良好に補正されているように見えます。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
- 影響が強い
- 影響が弱い
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
- 前ボケ
- 後ボケ
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認
コンパクトなF1.8レンズとしては口径食が少なく、使い勝手が良い。非球面レンズを2枚使用しているためか、玉ボケの表面は決して滑らかと言えず、少しムラが目立つのは惜しい。フレーム隅は外側の縁取りが強調されるため、状況によっては騒がしい描写となる可能性あり。また、色収差でボケに色が付いてしまっているので気を付けたい。
口径食はF2.8まで絞ると解消するものの、F4まで絞ると7枚の絞り羽根の形状が見え始めるのを絞り過ぎないように注意。
ボケ実写
至近距離
全体的にボケが十分に大きく、大きな問題はありません。全体的に描写は滑らかで心地よい。
近距離
ボケが大きく、中央は滑らかな描写。周辺部の描写には不安定な兆候が見られるものの、この撮影距離では許容範囲内。それでも周辺部のボケが騒がしいと感じるのであればF2.4-F2.8まで絞るのがおススメ。
中距離
背景をぼかすことは出来るものの、やや雑然とした描写。特に周辺部や隅が荒れやすいので注意が必要。F2.8まで絞ると周辺部の描写が安定するので、敢えて絞って撮影したほうが良い場合も。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
全身ポートレートで十分なボケ量は得られません。膝上、上半身まで近寄ることで十分なボケ量を得ることが可能。出来ることならもう一歩近づいてバストアップまでは近づきたいところ。ただし、バストアップまで近づいても背景との距離によっては周辺部のボケが荒れる可能性あり。全体的に滑らかなボケを得たいのであれば、絞り開放でも顔のクローズアップが必須。
周辺減光
周辺減光とは?
フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。
- 良好
- 周辺減光
ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
最短撮影距離
絞り開放付近で僅かに光量落ちの影響が見られるものの、標準F1.8レンズとしては十分良好。
無限遠
最短撮影距離よりも光量落ちが強く、これを改善するためにはF5.6まで絞りたいところ。光量落ちの絶対的な量は少ないものの、絞っても思いのほか光量落ちがしつこく残る印象あり。自動補正で簡単に修正できるものの、高感度使用時はノイズ増の原因となるので出来れば自動補正は避けたいところ。
逆光耐性・光条
中央
フレアは良く抑えられているものの、レンズ間の反射と思われるゴーストが複数発生。絞りによる改善は見られず、絞り値全域でゴーストは発生し続ける。回避するには光源を移動するか、フレームから外れるように移動するしかない。
隅
中央と比べてゴーストは目立ちにくい。レンズフレアも良く抑えられ、光源の近くにレンズ面の反射と思われるゴーストが発生しているのが惜しい。絞るとゴーストは小さくなるものの、筋状に鋭く伸びる光条が目立つ。この兆候はPremiumラインの17mm F1.8と同じ。
光条
F5.6から光条ができはじめ。F11-22で最もシャープな描写。F8でも光条が出来ているものの、少し力不足感がある。F11以降で満足のいく鋭い光条となるものの、回折が強くなるので解像感が低下するのはマイナス。絞るにしてもF11までに抑えたいところ。
あまりにも強い光源(太陽やLEDライトなど)の場合、主張の強い光条が発生します。
まとめ
良かったところ
ココがおすすめ
- 金属鏡筒
- 防塵防滴
- 小型軽量
- レンズフード付属
- 快適なAF
- フォーカスブリージングが良く抑えられている
- 広い範囲で良好な解像性能
- 倍率色収差の補正
- 歪曲収差の補正
前モデルからバランスの取れた光学系を継承しつつ、防塵防滴+金属鏡筒となった後継モデル。OM SYSTEMの交換レンズは数あれど、小型軽量な単焦点レンズで防塵防滴仕様は少ない。携帯性を重視する撮影で選びやすい標準レンズと言えそうです。
悪かったところ
ココに注意
- 前モデルと比べて価格が上昇
- 軸上色収差がやや目立つ
- コマ収差がやや目立つ
- 隅の玉ボケが騒がしい傾向
- 逆光時にゴーストが発生しやすい
光学系を継承しているため、欠点もそのまま継承しています。致命的ではないものの、F1.8の絞り開放では欠点が目立つ可能性があります。状況に応じて絞る必要があると留意しておきたいところ。
また、防塵防滴・金属鏡筒に強化されたものの、それ相応に価格も上昇しています。もう少し足せば「LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 II ASPH.」を変えてしまうのが悩ましいところ。
結論
アウトドアを主戦場としたOM SYSTEMらしいレンズとして生まれ変わった「II型」。バランスの取れた光学性能をそのままに、耐候性と堅牢さを強化、ついでに質感も良くなりました。それ相応に価格は上昇してしまったものの、OM-5やOM-1、OM-3と組み合わせてアウトドアで撮影したい人にとって面白い選択肢。
ただまあ、換算50mmは何でも撮るには画角が少し狭いと感じるかもしれません。同じコンセプトで生まれ変わった「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II」と組み合わせるのも一つの手。
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LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 II ASPH.
OM SYSTEMと同じく、光学系そのままに防塵防滴仕様として生まれ変わった「II型」。25mm F1.8より少し高価ですが F1.4 を利用可能で、LEICA DGブランドらしい濃厚な画質が得られます。すっきりとした描写のM.ZUIKOか、こってりとしたLEICA DGか。
個人的に、味付けはLEICA DGが好みですが、AFの動作はM.ZUIKOのほうが良好。
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