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M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO レンズレビューVol.4 諸収差編

「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」のレビュー第四弾 諸収差編を公開。高級レンズとしては収差が強めに残存しているものの、そのぶんボケ味に良く作用しているようです。

簡易的なまとめ

高級レンズによくある「収差を良好に補正した高い光学性能」ではありません。像面湾曲、色収差、球面収差、コマ収差などが目に見える形で残存しています。状況によって向き不向きがあり、絞りの使い分けが必要となってきます。

収差を高度に補正したレンズという意味では、同価格帯のフルサイズ用・APS-C用レンズのほうが遥かに良好。絞り開放からシーンを選ばず快適に利用できることでしょう。そういう観点で見ると、25mm F1.2 PROは癖が強いレンズです。

と言っても、意図的に残された収差は適所で効果的に作用し、このレンズの醍醐味である滑らかで柔らかいボケを実現しています。

This is not the “high optical performance with good aberration correction” often seen in high-end lenses.Image curvature, chromatic aberration, spherical aberration, and coma aberration remain visible.They are not suitable for all situations and require the use of different apertures.

In terms of lenses with highly corrected aberrations, full-size and APS-C lenses in the same price range are far better.You will be able to use them comfortably in any scene from the widest aperture setting.From that perspective, the 25mm F1.2 PRO is a lens with strong habits.

That said, the aberrations intentionally left in place work effectively in the right places to produce the smooth, soft bokeh that is the real appeal of this lens.

M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROのレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

中央でピントを合わせた場合と、隅でピントを合わせた場合に結果が大きく異なります。中央でピント合わせをした場合に像がぼやける領域は限られていますが、隅でピントを合わせると広い範囲で破綻している可能性があるので注意が必要です。いずれにしても、F4-5.6まで絞ると像面湾曲の影響を回避することができます。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り全域で僅かに残存していますが、影響は軽微。レンズ補正で簡単に修正可能ですが、高級レンズとしては少し目立つように見えます。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

レンズ構成枚数が多く、低分散ガラスを複数使用。完璧な補正状態とは言えないものの、F1.2の絞り開放から色収差の影響はごく僅か。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

Lightroomではレンズ補正を解除できないため、補正後の結果を掲載。レンズ補正込みで全く問題ありません。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

完璧な補正状態とは言えないものの、実写の全体像では目立たない程度に抑えられています。LEICA DG 25mm F1.4やNOKTONよりも良好な結果。

球面収差

F1.2

「球面収差を活かして滲むボケを実現」とメーカーが主張しているように、F1.2の絞り開放で球面収差の影響が見られます。オールドレンズのように極端な影響ではないものの、後ボケは縁取りが弱く、前ボケは硬い描写。

F2

F2まで絞ると球面収差の影響はほぼ解消します。解像性能テストの結果から分かるように、シャープな結果を得たい場合は少なくともF2までは絞ると良いでしょう。逆に「レンズの味」は薄れてしまうので、F1.2 PROの醍醐味を活かすのであればF1.2がおススメ。

まとめ

高級レンズによくある「収差を良好に補正した高い光学性能」ではありません。像面湾曲、色収差、球面収差、コマ収差などが目に見える形で残存しています。状況によって向き不向きがあり、絞りの使い分けが必要となってきます。

収差を高度に補正したレンズという意味では、同価格帯のフルサイズ用・APS-C用レンズのほうが遥かに良好。絞り開放からシーンを選ばず快適に利用できることでしょう。そういう観点で見ると、25mm F1.2 PROは癖が強いレンズです。

しかし、「敢えて残した収差」が後ボケに作用し、滑らかで柔らかい描写を実現。それでも、コマ収差や像面湾曲は無いほうが良かったと思うものの、これも球面収差の絶妙なコントロールとトレードオフだったのでしょうか。

収差がボケに活かされるのはF1.2付近のみ。F2くらいまで絞ると球面収差は収束。一般的な高級レンズに近い描写となり、F5.6-8まで絞れば像面湾曲の影響も許容範囲内。状況に応じて絞りをコントロールする必要があるものの、描写の変化を楽しめるレンズと言えるでしょう。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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