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VILTROX AF 15mm F1.7 レンズレビュー完全版

このページでは「VILTROX AF 15mm F1.7」のレビューを掲載しています。

VILTROX AF 15mm F1.7 のレビュー一覧

レンズの評価

ポイント 評価 コメント
価格 広角レンズとしては最安クラス
サイズ 大きくはない
重量 重くはない
操作性 シンプルだが使いやすい
AF性能 フォーカスブリージングがやや目立つ
解像性能 遠距離では一貫性のある性能
ボケ 近距離で柔らかい後ボケ
色収差 全体的に良く抑えられている
歪曲収差 穏やかな糸巻き型
コマ収差・非点収差 目立たない程度に補正されている
周辺減光 かなり目立つ
逆光耐性 フレア・ゴーストが良く抑えられている
満足度 コストパフォーマンスの高い広角レンズ

評価:

レンズの評価

コストパフォーマンスの高い広角レンズ

目立つ欠点が少なく、おススメしやすい広角レンズです。サイズや価格も手ごろで、普段使いにも適しています。F1.7の大口径と光学性能、コンパクトサイズを両立しつつ、価格を抑えた選択肢はほとんどありません。広い画角で明るさ(F1.7)やボケの大きさが必要なAPS-Cレンズを探しているのであれば、検討する価値のある製品です。

This wide-angle lens has few noticeable flaws and is easy to recommend. It is reasonably priced and compact, making it suitable for everyday use. There are few other options that combine a large F1.7 aperture, optical performance, and compact size at such an affordable price. If you are looking for an APS-C lens with a wide angle of view, brightness (F1.7), and large bokeh, this product is definitely worth considering.

まえがき

2025年に登場したVILTROX Airシリーズの新製品。APS-C用としては「56mm F1.7」「35mm F1.7」「25mm F1.7」に続く新作であり、これまでで最も焦点距離の短い領域をカバーしています。マウントは従来通りソニーE・富士フイルムX・ニコンZに対応。対応マウントによっては競合製品が複数存在しているものの、3.7万円の価格設定が魅力的。

主な仕様

レンズマウント E/X/Z
対応センサー APS-C
焦点距離 15mm
レンズ構成 10群12枚
開放絞り F1.7
最小絞り F16
絞り羽根 12枚
最短撮影距離 0.23m
最大撮影倍率 不明
フィルター径 58mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング HDナノコート
サイズ φ68×58.5mm
重量 195g
防塵防滴 -
AF STM
絞りリング -
その他のコントロール -
付属品 レンズフード

参考:

NIKKOR Z DX 24mm f/1.7
サイズ φ70×40mm
重量 135g
E 15mm F1.4 G
サイズ φ66.6×69.5mm
重量 219g

価格のチェック

国内での売り出し価格は3.7万円。他のAPS-C Airシリーズと比べると高価ですが、それでも15mm前後の単焦点レンズとしては手頃な価格。

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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

ここ最近のVILTROXらしく、白を基調としたデザイン。外箱と内箱に分かれています。内箱にVILTROX印の封印テープが張ってあり、剥がすと粘着性のある跡が残ります。封印が破られているとすぐわかる便利なテープですが、この状態で外側のカバーを内箱に戻すとテープが張り付くので注意。

箱の中には本体のほかにポーチやフード、キャップが付属します。

外観

レンズの外装は全体的にプラスチックを使用。ただし、サムヤンTinyシリーズやYONGNUOの古い製品のような安っぽさはなく、日本メーカーのしっかりとしたプラスチック外装に似ています。価格を考慮すると悪い印象はありません。マットブラックの塗装で光沢が少なく、安っぽいプラスチッキーな質感が抑えられています。

デザインは「56mm F1.7」「35mm F1.7」「25mm F1.7」とほぼ同じ。統一感のあるシンプルなシリーズ。

外装のデザインは非常にシンプル。唯一の装飾はレンズのロゴですが、プリントされたもので加工はありません。シリアルなどはシールで張り付けたもの。

ハンズオン

APS-Cセンサー用の広角レンズとしては適度なサイズ。Zマウントのマウント径に合わせて、マウント付近の鏡筒がさらに太くなっています。F1.4のレンズと比べると、全長が少し短い。

前玉・後玉

防塵防滴には非対応で、前玉のフッ素コーティング処理は不明。ダメージが予想されるシーンでは保護フィルターを装着しておくと良いでしょう。前面にはレンズのロゴやフィルター径などが白字でプリント。白字は光を反射しやすく、フィルター面へ写りこむ可能性があるので個人的に好みではありません。(もう少しグレーが良かった)

フィルター径は58mm。Airシリーズに多い52mmと比べて一つ大きなフィルター径を採用している点に注意。

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アルミニウム製のレンズマウントは4本のネジで固定されています。防塵防滴非対応のためシーリングはありません。マウント面にはファームウェアアップデート用のUSB-Cポートあり。レンズ後玉周辺は不要な光の反射を抑えるため、きちんと黒塗り処理が施されています。

フォーカスリング

切込みが入ったプラスチック製の幅広いフォーカスリングを搭載。適度な抵抗感で滑らかに回転します。近距離でも滑らかに移動し、ピント位置がジャンプするようなギクシャクした動作ではありません。

フォーカスリングの操作はノンリニアレスポンスで、フォーカスリングの回転速度に応じて移動量が変化します。素早く回転した際のピント全域におけるストロークは約1/4回転。ゆっくり回転した際は3/4回転近く、丁度よい移動量となっています。

最新のニコンカメラではフォーカスリングの応答性を設定変更することが可能。Z50IIでは「ノンリニア」と「リニア(90°-720°で30°刻みの調整可能)」から選ぶことができます。

絞りリング

残念ながら絞りリングは非搭載。価格を考慮すると妥協すべきポイントであり、競合する同価格の製品にも絞りリングはありません。ただし、ニコン側の設定でフォーカスリングをコントロールリングとして使用することが出来ます。

レンズフード

花形のプラスチック製レンズフードが付属します。必要最低限ですが、肉厚なプラスチックで安っぽさは無し。初期のAirシリーズに付属していたフードと比べると、しっかりと固定することができます。

52mmフィルター径のAirシリーズレンズとは互換性がありません。

装着例

Z50IIに装着。適度なサイズで携帯性は良好。グリップから少し突き出すくらいなので、カメラバッグへの収納性は悪くありません。鏡筒の最大径はカメラのマウントより小さく、グリップとの空間に余裕があります。

AF・MF

フォーカススピード

レンズのオートフォーカスはステッピングモーターで動作します。フォーカス速度は電光石火と言えないものの許容範囲内。Z50IIとの相性も良く、簡単な動体撮影であれば問題なく撮影できました。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

撮影距離によって画角の変化が目立ちます。無限遠から最短撮影距離までリニアに変化するため、一般的な撮影距離でも目立つ可能性あり。

精度

Z50IIとの組み合わせで大きな問題はありません。

MF

前述した通り、滑らかなフォーカスリングと適度なストロークで正確な操作が可能。素早いピント合わせにも丁度よく、使い勝手が良い。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:Z50II
  • 交換レンズ:VILTROX AF 15mm F1.7
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

広角レンズで定型チャートを撮影する場合、撮影距離を短くする必要があります。最短撮影距離ギリギリでのテストとなるため、通常の撮影距離よりもパフォーマンスが低下する可能性あり。このレンズも絞り開放からベストな結果とは言い難く、最適な結果を得るには中央・隅ともにF2.8-4まで絞ったほうが良いようです。

遠景では近距離ほど画質低下が目立ちませんが、やはりF2.8-4まで絞った良好な結果を期待できます。近距離でも絞れば隅まで良好な結果が得られるので、特に大きな問題はありません。注意点として、近距離時は像面湾曲の影響が強い。平面的な被写体でパンフォーカスを得るには絞る必要があります。

中央

絞り開放は球面収差が残存しており、コントラストが低いソフトな結果。ピントの芯はハッキリとしているものの、ベストな結果を得たい場合は1段から2段は絞ったほうが良いでしょう。F4まで絞るとシャープでコントラストの高い結果を期待できます。

周辺

中央と同じく絞り開放がソフトな描写。F2.8まで絞ると劇的に改善するため、シャープな結果を期待する場合は少なくともF2.8まで絞ったほうが良い。ベストはF4まで絞った時ですが、伸びしろは少ない。

四隅

周辺と比べて、絞り開放がさらにソフトな描写。F2.8まで絞っても画質が改善しきっていません。ただし、F4まで絞ると改善し、F5.6-8でピークの結果が得られます。近距離で隅の画質が必要となるシーンは少ないと思いますが、そのような場合はしっかりと絞ることをおススメします。

数値確認

Center Mid Corner
F1.7 2685 1851 1742
F2.0 2898 1963 1567
F2.8 2957 2956 2190
F4.0 3381 2896 2876
F5.6 3352 3047 3078
F8.0 3352 3408 3058
F11 2722 2956 2614
F16 2582 2533 2386

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2025.7.16 晴れ 微風
  • カメラ:Nikon Z50II
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:BF BAFANG BFA-01
  • 露出:ISO 100 絞り優先AE
  • RAW:Adobe Lightroom Classic
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズ補正オフ
    ・レンズ補正オフ

中央

近距離の解像チャートテストと同じく、絞り開放でコントラストが僅かに低下。F2-F2.8まで絞ると改善します。少なくとも2000万画素のZ50IIはF2の段階でほぼピークの性能に到達。F5.6まで結果に大きな変化はなく、F8で回折の影響を受け始めます。

周辺

絞り開放から実用的な画質ですが、F2まで絞るとコントラストが少し改善します。さらにF2.8まで絞ると細部のコントラストも改善してピークの画質に到達。以降は絞ってもほとんど変わりません。

(結果を分かりやすくするために撮影後に露出を上げています。実際はもう少し暗い結果です。)

顕著なコントラスト低下や像の流れの無い良好な性能。低価格の15mmレンズとしては絞り開放からきちんとした結果が得られています。絞ると徐々に改善し、F4あたりでピークの画質に到達します。近距離の解像チャートと比べると安定した結果。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

ピントを合わせる場所に関わらず、中央から隅まで結果に大きな違いはありません。像面湾曲は問題なく補正されています。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

僅かに残存していますが、顕著な色ずれはありません。残存する収差はソフト補正で簡単に処理できます。ただし、玉ボケのテストを見る限りでは、コントラストの高いシーンでボケに色付きが発生する可能性あり。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

F1.7の絞り開放から色収差によるボケの色付きは軽微。完璧な補正状態ではありませんが、大きな問題はありません。別の注意点として、絞るとピントの山が遠側へ移動するフォーカスシフトが発生しています。これは球面収差の影響と思われ、絞り開放でのピント合わせ後に絞りを閉じる場合は注意が必要です。(F1.7とF4を見比べると、わかりやすいかと思います)

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

無補正でもほとんど目立たない程度に良く補正されています。直線的な被写体をフレーム端に配置すると、若干の糸巻き型。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

極端なコマ収差は残存していませんが、完璧な点像再現性とも言えません。許容範囲内。

球面収差

前述したフォーカスシフトからも分かるように、球面収差の影響が残っています。柔らかい後ボケとして作用する場合もあれば、絞り開放のコントラスト低下、フォーカスシフトなどマイナス面での影響も発生。ニコンZカメラであればF5.6まで実絞り測距(絞った状態でAF)になるので、特に問題視する必要はありませんん。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

広角レンズとは思えないような、滲みを伴う柔らかいボケ。ボケが大きくなるにつれ、輪郭が溶ける滑らかな描写です。

前ボケ

後ボケとは打って変わって、ボケの縁取りが硬調で二線ボケの兆候が見られる描写。15mm F1.7で前ボケが目立つシーンは少ないと思われ、過度に心配する必要はありません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

低価格の広角レンズとしては非球面レンズの影響が目立ちません。しかし、ボケの縁取りに残存する色収差が発生し、隅に向かってかなり目立つようになります。

ボケ実写

至近距離

VILTROXレンズにしては最短撮影距離が短く、被写体を大きく写すことが出来ます。この際、残存する球面収差で柔らかい後ボケが得られます。広角レンズとしては全体的に滑らかで綺麗。

近距離

撮影距離が少し伸びても、滑らかで綺麗なボケが続きます。フレーム周辺部には騒がしくなる兆候が見られるものの、広角レンズとしては健闘しているのかなと。

中距離

撮影距離がさらに長くなっても、中央から広い範囲は滑らかで綺麗な描写。フレーム端や隅のボケはやや雑然とした描写。とはいえ、ボケが小さくなっているので、騒がしい描写が悪目立ちすることは少ないはず。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

全身から膝上くらいまでをフレームに入れる撮影距離では後ボケが非常に騒がしい描写。ボケが小さいので目立ちませんが、クロップすると気になります。上半身からバストアップ程度まで近る寄るとまずまず良好な描写に改善します。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

絞り開放で周辺四隅に目立つ減光が発生します。これは絞ることで改善しますが、F4まで絞ってもやや目立つ程度で残存。

無限遠

最短撮影距離と比べて大幅な増加はありません。小型軽量で明るい広角レンズにとって妥協すべきポイントとなっているようです。

逆光耐性・光条

中央

フレア・ゴーストはどちらも良く抑えられています。絞るとゴーストが目立つようになるものの、

強い光源をフレーム隅に移動してもフレア・ゴーストは良く抑えられています。

光条

12枚の偶数絞りにより、絞ると12本の光条が発生します。F8あたりから光条が発生し始めるものの、明瞭となるのはF11-F16あたり。先端は分散傾向で、シャープな光条はあまり期待できません。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 手ごろな価格
  • 同シリーズで統一感のあるデザイン
  • AF性能が良好
  • 遠景の撮影で隅まで均質性が高い
  • 像面湾曲の問題無し
  • 色収差の問題が目立たない
  • 糸巻き型の歪曲収差が穏やか
  • コマ収差が穏やか
  • 近距離で柔らかい後ボケ
  • フレア・ゴーストが良く抑えられている

3万円台で入手できる手ごろな価格の広角レンズ。抜群の光学性能とは言えないものの、全体的にバランスよくまとまっています。中央から隅まで安定感のある遠景解像、近距離で柔らかい後ボケ、目立たない程度に補正された色収差や歪曲収差、コマ収差など。様々なシーンに適応できるレンズに仕上がっています。

悪かったところ

ココに注意

  • 防塵防滴非対応
  • Airシリーズで普及しているフィルター径ではない
  • フォーカスブリージングがやや目立つ
  • 接写時に周辺・隅の画質が低下
  • 絞り開放のコントラストが低い
  • フォーカスシフトあり
  • 周辺減光が目立つ

防塵防滴に非対応だったり、小型軽量なレンズサイズが影響して周辺減光が目立ちます。ただし、これらは価格設定を考慮すると妥協できる範囲内。絞り開放のコントラスト低下も味付け程度に抑えられています。このあたりを追求する場合、もう少し高価格帯のレンズを探す必要あり。

このレンズで気を付けるとしたらフォーカスシフトの影響が強いこと。ニコンZカメラの場合はF5.6まで実絞り測距となっているので、フォーカスシフト影響は内包してAFを利用することができます。ただし、F1.7でピントを合わせた後にフォーカスを固定して絞るような場合は注意が必要です。(例えば夜景や星景など)

結論

目立つ欠点が少なく、おススメしやすい広角レンズです。サイズや価格も手ごろで、普段使いにも適しています。F1.7の大口径と光学性能、コンパクトサイズを両立しつつ、価格を抑えた選択肢はほとんどありません。広い画角で明るさ(F1.7)やボケの大きさが必要なAPS-Cレンズを探しているのであれば、検討する価値のある製品です。

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競合製品について

E 15mm F1.4 G

未使用のためVILTROXとの比較はノーコメント。
F1.4の大口径ながらVILTROXよりも少し大きく重い程度。ただし、販売価格は倍以上。ソニーEマウントで「全部盛り」のAPS-C広角単焦点レンズを探しているのであれば他に選択肢はありません。

E 15mm F1.4 G
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XF16mmF2.8 R WR

VILTROXよりも小型軽量な広角単焦点レンズ。
ただし、開放F値は1段以上暗く、暗いシーンが苦手でボケも大きくありません。携帯性を考慮すると悪くないパフォーマンス。さらに防塵防滴仕様のため雨天など環境で利用しやすいのが強み。販売価格はVILTROXよりも高価ですが、機能性を考慮すると一つの選択肢。

防塵防滴や絞りリングが必要なければ、VILTROXを選ぶのもありだと思います。

XF16mmF2.8 R WR ブラック
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XF16mmF2.8 R WR シルバー
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16mm F1.4 DC DN

  • 簡易防塵防滴
  • フォーカスブリージングが良く抑えられている
  • F1.4の大口径
  • 玉ボケが綺麗
  • レンズ補正に対応
  • コマ収差が目立つ
  • 逆光時のゴーストがやや多め

画角が少し狭いものの、F1.4の大口径を利用できる広角レンズ。絞った際の均質性やボケの滑らかさはシグマのほうが良好。フォーカスブリージングも良く抑えられています。ただし、レンズサイズが大きく、価格は2倍近い。普段使いには少し大きすぎると感じるのが悩ましいところ。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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