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RF45mm F1.2 STM レンズレビューVol.4 諸収差編

RF45mm F1.2 STM」のレビュー第四弾 諸収差編を公開。コマ収差には注意が必要ですが、他の収差は(価格やサイズを考慮すると)許容範囲内に収まっているように見えます。

簡易的なまとめ

一般的なRFレンズと比べると全体的に残存収差が目立ちます。しかし、軸上色収差や像面湾曲は実用できる水準に抑えられ、歪曲収差や倍率色収差はソフトウェアで補正可能。問題点の多くは許容できる範囲内に収まっているように見えます。

最も注意すべきはコマ収差。カメラや現像ソフトでの修正が難しく、状況によっては影響が非常に目立ちます。絞ると改善しますが、改善速度が遅く、大口径レンズを使う意義が薄まってしまうのが悩ましいところ。イルミネーションや夜景で「F1.2」を使ってみたいと考えているのであれば要注意。

全体的に収差を抑えた使い勝手の良い描写を探しているのであれば、高価ですがLシリーズのRF50mm F1.2 L を検討する必要があります。

Compared to typical RF lenses, residual aberrations are generally more noticeable. However, axial chromatic aberration and field curvature are kept within practical limits, while distortion and magnification chromatic aberration can be corrected in software. Most issues appear to fall within acceptable ranges.
The most critical concern is coma aberration. It's difficult to correct using the camera or development software, and its impact can be very noticeable depending on the situation. Stopping down improves it, but the improvement rate is slow, which is problematic as it diminishes the significance of using a large-aperture lens. If you're considering using “F1.2” for illuminations or nightscapes, be cautious.
If you're seeking a lens with well-controlled aberrations and a user-friendly image quality overall, you should consider the RF50mm F1.2 L from the L series, despite its high price.

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RF45mm F1.2 STMのレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

  • 左:中央でピント合わせ
  • 右:画面隅でピント合わせ

ピントを合わせる位置を変えても全体の結果に大きな違いはありません。像面湾曲は無視できる程度に抑えられています。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

完璧な補正状態ではなく、フレーム隅に向かって収差が僅かに残存しています。極端に目立つことはありませんが、コントラストの高い領域で影響を受ける可能性あり。カメラ内・現像ソフトでの修正が可能ですが、ボケの色付きは修正できない場合もあります。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り開放でやや目立つ色収差が発生。ただし被写界深度が浅いので、目立つ色収差が発生する領域は限定的(色収差そのものは薄っすらと存在)。絞ると色づきが徐々に改善します。

絞り開放でピント位置を固定した状態で撮影。
F1.2とF2.0/2.8を比べるとピント位置が遠側に移動しているように見えます。これは球面収差が関係するフォーカスシフトと思われ、解像チャートや遠景解像のテストに影響あり。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

上が未補正、下が補正(Adobe Camera RAW)。
未補正の場合、目立つ樽型の歪曲収差が発生します。これを修正するには強めの補正が必要ですが、レンズプロファイルを利用することで簡単に補正することが可能。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

このレンズで最も目立つ弱点の一つ。絞り開放におけるフレーム隅で、点高原が羽を広げたように変形します。これは絞りを閉じることで改善しますが、F4まで絞っても完璧とは言えません。完全に抑えるためにはF8やそれ以降を選ぶ必要があります。遠景解像のパフォーマンスに影響を与えている要素の一つ。

球面収差

理想的な玉ボケとは

別レンズ(高性能なマクロレンズ)で撮影したもの。
前後の玉ボケに違いはほとんどありません。球面収差が良好に補正されている場合、このような玉ボケが得られます。

F1.2

前後の玉ボケを確認すると、質感が異なることが分かります。球面収差は完璧に補正されていません。前後のボケ質に違いが発生したり、フォーカスシフトの原因となります。

F2

絞りをF2まで閉じると球面収差の影響はほぼ抑えることができます。

まとめ

一般的なRFレンズと比べると全体的に残存収差が目立ちます。しかし、軸上色収差や像面湾曲は実用できる水準に抑えられ、歪曲収差や倍率色収差はソフトウェアで補正可能。問題点の多くは許容できる範囲内に収まっているように見えます。

最も注意すべきはコマ収差。カメラや現像ソフトでの修正が難しく、状況によっては影響が非常に目立ちます。絞ると改善しますが、改善速度が遅く、大口径レンズを使う意義が薄まってしまうのが悩ましいところ。イルミネーションや夜景で「F1.2」を使ってみたいと考えているのであれば要注意。

全体的に収差を抑えた使い勝手の良い描写を探しているのであれば、高価ですがLシリーズのRF50mm F1.2 L を検討する必要があります。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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