このページでは2018年に登場した20万円台のミラーレス一眼「α7 III ILCE-7M3」「FUJIFILM X-H1」「LUMIX G9 PRO」の外観やスペックを見比べています。α7 II・X-E3・X-Pro2・G9 PROなどの使用経験を踏まえてコメントを追記。
Index
外観編
外観における長所・短所
各モデルの長所・短所
- α7III 長所:
・フルサイズセンサーを搭載するカメラとしては非常にコンパクト。
・3機種の中では最も使いやすいAFジョイスティックを装備。
・右手側に操作が集約しているので片手でカメラを操作する状況に強い。 - α7III 短所:
・フルサイズセンサーでレンズが大きいにも関わらずグリップが小さい。
・比較して金属パーツが少なく堅牢さで劣っている。 - X-H1 長所:
・肉厚で堅牢なボディで操作ボタン・ダイヤルが豊富。
・露出の3大要素をダイヤル操作で設定できるため、カメラの電源がオフの状態でも決め打ちが可能。
・フェザータッチのレリーズボタン(短所にも成り得る) - X-H1 短所:
・操作ギミックが多く、瞬間的に訪れるシャッターチャンスに即応し辛い。
・AFジョイスティックが小さく誤操作しやすい。
・AFモードレバーが前部左下にあるため左手が使えない状況での操作が難しい。 - G9 PRO 長所:
・3機種の中では最も巨大なグリップで大型レンズ装着時の安定したハンドリングを実現。
・ほぼ全てのボタンをカスタマイズ可能で登録可能な機能は100種類以上から選ぶことが可能。
・一眼レフカメラに似たボタン配置。
・レスポンスの良好なタッチパネルモニタ - G9 PRO 短所:
・各種パーツの素材に一貫性が無く、ちぐはぐ感が否めない。
・AFジョイスティックがナナメ操作に対応していない。
・ドライブダイヤルが左上に配置されているため左手が使えない状況では操作が難しい。
デジタル一眼レフカメラに最も近い操作性のカメラは「LUMIX G9 PRO」。
フィルム時代のカメラ操作に慣れているユーザーなら「FUJIFILM X-H1」。
既存の枠に捕らわれない使い勝手を選ぶなら「α7 III ILCE-7M3」。
「無難な使い勝手のカメラはどれか?」と聞かれたらLUMIX G9 PROを選ぶと思います。α7 IIIはソニー独特の使い勝手で、操作に慣れても微妙に使い辛い感が残る。X-H1は慣れればまず悪く無い操作性ですが、嫁さんや他人にカメラを預けるときにオートモードへの設定が面倒臭かったりする。
比較画像
スペック
スペックにおける長所・短所
各モデルの長所・短所
- α7III 長所:
・裏面照射型フルサイズCMOSセンサー
・ISO 50対応
・高密度の693点像面位相差AFシステム
・S-log・ハイブリッドログガンマ対応
・USB3.1 C端子とUSB microB端子
・NFC対応
・バッテリーライフ - α7III 短所:
・C-AF特性の自由度が少ない
・ファインダーリフレッシュレート固定
・ボディ内RAW現像非対応
・シンクロソケットが無い - X-H1 長所:
・カラーノイズの少ないX-Trans CMOS IIIセンサー
・高速連写が可能なメカシャッター
・柔軟性の高い電子シャッター
・豊富な仕上がり設定
・多彩なブラケット撮影機能
・DCI 4K対応
・F-log対応 - X-H1 短所:
・ヘッドホン端子が無い(追加グリップにある)
・グリップ無しの動画連続撮影制限
・USB給電非対応
・4K時にややクロップされる - G9 PRO 長所:
・最大6.5段の強力なボディ内手振れ補正と豊富なDual.I.S対応レンズ群
・低照度AF性能
・人体認識AF
・225点から自由にエリアを設定できるカスタムマルチAF
・10コマ秒連写時にバッファ無限
・抜群の連写性能+6K/4K PHOTOモード
・豊富なデジタルフィルター
・80Mハイレゾモード
・巨大で高解像なOLEDファインダー
・機能的なタッチパネルモニタ
・5GHz WiFi対応
・4K 60p対応 - G9 PRO 短所:
・センサーサイズが小さい
・フリッカー低減機能非対応
・コントラストAF
α7IIIは”not”ハイエンドモデル
尖ったスペックを持つ「FUJIFILM X-H1」と「LUMIX G9 PRO」がメーカーのハイエンドモデルであることに対し、「α7 III ILCE-7M3」はソニーのベーシックモデル。基本性能は高いものの、凝った撮影をする場合に「アレが出来ない、コレが無い」と感じるかもしれない。
スペック比較表
α7 III | X-H1 | G9 | |
---|---|---|---|
センサー | Exmor R CMOS Full frame | X-Trans CMOS III APS-C | 4/3型Live MOS MFT |
センサー備考 | 裏面照射型 14bit | ・14bit | ARコーティング |
有効画素数 | 約2420万画素 | 約2,430万画素 | 2030万画素 |
ローパスフィルター | あり? | ー | ー |
手ぶれ補正 | 5軸 | 5軸 | 5軸 Dual.I.S II対応 |
手ぶれ補正効果 | 5.0段 | 最大5.5段 | 6.5段 |
アスペクト比 | ・3:2 ・16:9 | ・3:2 ・16:9 ・1:1 | ・4:3 ・3:2 ・16:9 ・1:1 |
画像処理エンジン | BIONZ X | X-Processor PRO | ヴィーナスエンジン |
メディアスロット | ・SDカード UHS-II対応 slot1 ・メモーリースティック | SDカード UHS-II対応 | SDカード UHS-II対応 |
スロット数 | 2 | 2 | 2 |
測光方式 | 1200分割 | 256分割 | 1728分割 |
測光範囲 EV | -3~20 | 不明 | 0~18 |
ISO感度 | 100-51200 | 200~12800 | 200-25600 |
拡張ISO感度 | 50/204800 | 100/25600/51200 | 100 |
露出補正 | ±5.0EV | ±5.0EV | ±5.0EV |
フリッカー低減 | 対応 | 対応 | ー |
AF方式 | ファストハイブリッドAF | インテリジェントハイブリッドAF | 空間認識AF |
測距点(位相差) | 693点 | 49点 (175点) | ー |
測距点(コントラスト) | 425点 | 42点 (150点) | 225点 |
測距輝度範囲 EV | -3-20 | -1~ | -4~18 |
AFフレーム | ・ワイド ・ゾーン ・中央 ・フレキシブルスポット S/M/L ・拡張フレキシブルスポット ・ロックオン (全モード対応) | ・シングル ・ゾーン ・ワイド ・トラッキング | ・顔瞳認識 ・追尾 ・49点 ・1点 ・カスタムマルチ ・ピンポイント |
AF-C特性 種類 | ・被写体追従感度 | ・被写体保持特性 ・速度変化特性 ・ゾーンエリア特性 | ・追従感度 ・エリア切替 ・被写体の動き |
フォーカス備考 | F11対応 ・ピーキング ・縦横フォーカスエリア切換 | F11対応 ・ピーキング ・タッチパッドAF ・縦横フォーカスエリア切換 | ・ピーキング ・タッチパッドAF ・縦横フォーカスエリア切換 |
シャッター速度 | 1/8000-30秒 | 1/8000-30秒 | 1/8000-60秒 |
電子シャッター速度 | 対応 | 15分~1/32000秒 | 1~1/32000秒 |
フラッシュ同調速度 | 1/250秒 | 1/250秒 | 1/250秒 |
高速連続撮影 AF-C | 約10コマ/秒 | 約14コマ/秒:ES時 約11コマ/秒:VPB時 | 約20コマ/秒 |
高速連続撮影 AF-S | 約10コマ/秒 | 約14コマ/秒:ES時 約11コマ/秒:VPB時 | 約60コマ/秒 |
連続撮影可能枚数 | RAW:89枚 JPEG:177枚 | JPEG:40枚 可逆圧縮RAW:27枚 非圧縮RAW:23枚 | RAW:60枚 JPEG:600枚 |
電子先幕シャッター | 対応 | 対応 | 対応 |
連写備考 | 4K PHOTO 60fps 6K PHOTO 30fps プリ連写 |
||
仕上がり設定 | ・クリエイティブスタイル (13種+カスタム6枠) ・ピクチャープロファイル | ・フィルムシュミレーション (16種類) | ・フォトスタイル (9種類+カスタム枠4) |
フィルター | 8種 | 8種類 | 22種類 |
HDR撮影 | ー | ー | 対応 |
多重露出 | ー | 対応 | 対応 |
インターバル撮影 | ー | 対応 | 対応 |
タイムラプス動画 | ー | 対応 | 対応 |
ブラケット | ・WB ・AE ・フラッシュ ・DRO | ・AE ・フィルムシュミレーション ・DR ・ISO ・WB | ・AW ・WB ・絞り ・フォーカス |
特殊作画機能 | ・グレインエフェクト | ・高解像モード ・4K/6K PHOTO ・フォーカス合成 |
|
ファインダー方式 | 0.5型 | 0.5型 有機EL ~100fps | 有機EL |
ファインダー解像度 | 236万ドット | 約369万ドット | 約368万ドット |
リフレッシュレート | 60fps | 60/100fps | 60/120fps |
視野率 | 100% | 約100% | 約100% |
アイポイント | 約27mm | 約23mm | 約21mm |
ファインダー倍率 35mm換算 | 約0.78倍 | 0.75倍 | 0.83倍 (可変対応) |
視度調整範囲 | -4.0-+3.0m-1 | -4~+2m | -4.0~+3.0 |
モニターサイズ | 3.0型 | 3.2型 | 3.0型 |
モニター解像度 | 921,600ドット | 約104万ドット | 104万ドット |
モニター可動 | チルト ・上約107° ・下約41° | 3方向チルト | バリアングル |
タッチパネル | 対応 | 対応 | 対応 |
モニタ備考 | |||
4K 動画 | ~30p 100Mbos | ・UHD~30p 200Mbps ・DCI ~24p 200Mbps 4:2:0 8bit 最大連続30分 | ~59.94p 150Mbps |
FHD 動画 | ~120p 100Mbps | ~59.94p 100Mbps | ~59.94p 28Mps |
外部出力 | 4K 30p 4:2:2 8bit | クリーン出力対応 4K 4:2:2: 8bit F-log対応 | 4:2:2 8bit (4K 60pは4:2:0) |
ハイスピード動画 | 1~120fps | FHD 120fps | ~180fps |
動画備考 | S-log・HLG対応 PP対応 全画素読み出し | ・4K 1.17x ・FHD 1.0x F-log対応 4K 10分連続制限 FHD 15分連続制限 | 4Kライブクロップ 4K 60/50pは10分制限 4K 30p 30分制限 DCI4K非対応 全画素読み出し |
ボディ内RAW現像 | ー | 対応 | 対応 |
デジタル端子 | USB-C 3.1 USB microB | USB3.0 | USB3.0 micro B |
シンクロ端子 | ー | あり | あり |
HDMI端子 | D | D | A |
マイク入力端子 | 3.5 mm | 3.5 mm | 3.5mm |
ヘッドフォン端子 | あり | ー 追加グリップ搭載 | 3.5mm |
リモコン端子 | RM-VPR1 | φ2.5mm | 2.5mm |
Bluetooth | あり | 4.0 | あり |
WiFi | あり | 802.11b/g/n | 802.11b/g/n 802.11a/n/ac |
NFC | あり | ー | ー |
GPS | ー | ー | ー |
内蔵フラッシュ | ー | ー | ー |
コマンダー機能 | ー | ー | ー |
防塵防滴 | 防塵防滴に配慮 | 対応 | 対応 |
バッテリー | NP-FZ100 | NP-W126S | DMW-BLF19 |
USB充電 | 対応 | 対応 | 対応 |
USB給電 | 対応 | ー | 対応 |
撮影可能枚数の目安 | 710枚 | 約310枚 | 400枚 |
大きさ mm | 127 x 96 x 74 | 139.8×97.3×85.5 | 136.9×97.3×91.6 |
質量 CIPA | 650g | 約673g | 658g |
質量 ボディのみ | 610g | 約623g | 586g |
レンズ
レンズラインナップの特徴
各モデルの長所・短所
- ソニーEマウント:
・純正レンズが全体的に高価
・サードパーティの参入が多い
・APS-CやMFTと比べて被写界深度が浅い
・APS-CやMFTと比べてレンズが大きい
・マウントアダプターの種類が豊富 - 富士フイルム Xマウント:
・比較的高価なレンズが多い
・レンズラインナップに選択肢が少ない
・古い単焦点レンズがAF駆動などの点からリニューアル必要 - マイクロフォーサーズマウント:
・安価でコンパクトなレンズからプログレードなレンズまで充実
・防塵防滴仕様のレンズが多い
・やたら明るいレンズが多い
・フルサイズやAPS-Cと比べて被写界深度が深い
Xマウントは選択肢が少ない
富士フイルムXマウントは基本的に富士フイルム純正レンズの割合が多く、サードパーティ製のAFレンズはCarl ZeissのTouitのみ。マクロや超望遠などラインナップは揃っているものの、選択肢がある状況ではなく、唯一存在するレンズも高価だったりする。
さらに、古い単焦点レンズ、例えば「XF35mm F1.4」など最古参のシリーズはAF駆動が前時代的で防塵防滴仕様でも無い。描写は個性的で楽しいレンズが揃っているのだが、そろそろリニューアルが必要と感じる。
レンズリスト
SONY?E | 広角レンズ | 標準レンズ | 中?望遠レンズ |
FUJIFILM?X | 広角レンズ | 標準レンズ | 中?望遠レンズ |
マイクロフォーサーズ |
広角レンズ | 標準レンズ | 中?望遠レンズ |
どのカメラをおススメするか?
まとめ
? | α7 III | X-H1 | G9 PRO |
サイズ | おススメ | ||
堅牢性 | おススメ | おススメ | |
操作性 | 要チェック | おススメ AFレバー以外 |
|
画質 | おススメ | おススメ | 要チェック 主に高感度 |
AF | おススメ | 要チェック | |
手振れ補正 | おススメ | ||
動画 | おススメ | 要チェック | おススメ |
レンズ | サイズ的に 要チェック |
種類的に 要チェック |
おススメ |
通信接続 | おススメ | おススメ | |
バッテリー | おススメ | 要チェック |
α7III ILCE-7M3:悩むならコレ
α7III ILCE-7M3の強み
- フルサイズ2400万画素裏面照射型 CMOSセンサー
- 693点像面位相差AF
- 急速に拡大するソニーEマウントレンズ群
- 地味に高性能な動画仕様
20万円で買うカメラを迷っている場合、とりあえずおススメできるのがこのカメラ。
フルサイズセンサーを搭載、高性能なAFシステム、まずまずの連写性能、充実し始めたレンズラインナップなど…、強く非難すべきポイントが無いバランス良好なカメラ。
さらに「α9で省略されたピクチャープロファイルが復活」「フルサイズ領域での全画素読み出し」「USB3.1 Cで給電しながらUSB microBにリモコン装着」と地味に動画仕様が充実している。
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FUJIFILM X-H1:描写と操作性に惚れ込んだら買いなカメラ
FUJIFILM X-H1の強み
- 独特な描写のXFレンズ群
- 個性的な仕上がり設定のフィルムシュミレーション
- ダイヤル操作によるクラシカルなカメラ操作が可能
- 堅牢なカメラボディ
現代的な描写が多い他のマウントと違い「味のある描写」を持つレンズが多い。前述したように古いXFレンズはAF駆動にやや難があるため、購入前にしっかりと確認して欲しい。
センサーはフルサイズより一回り小さいAPS-Cセンサーながらカラーノイズの少ないX-Trams CMOSの描写は圧巻。特に高感度の粒状感はぜひご自身の目で確かめてもらいたい。(ただし、ディテールはそれなりに潰れるので解像力を求めるならα7 IIIがより良好)
基本的にXFレンズとカメラボディの描写ありきと言ったカメラ。この描写に惚れ込んだら買いで、特にグッと来なかった他のカメラを買ったほうが満足できるかも。
厚手の手袋をはめた状態で撮影することが多いのであれば、ダイヤルを使った露出操作が便利だったりする。ただし、AFレバーが小さすぎるのが玉に瑕。
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FUJIFILM X-H1 | 新品・中古情報 |
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LUMIX G9 PRO:弱点を理解して買えば満足できるカメラ
LUMIX G9 PROの強み
- 使いやすく豊富なカスタマイズ性を誇る操作性
- レスポンスの良い各種動作
- トップクラスの倍率を持つ電子ビューファインダー
- 抜群の使い勝手を持つタッチパネルUI
- 多彩は撮影機能
- 豊富なマイクロフォーサーズ用レンズ
他の2台と比べて引け目を感じるポイントは「センサーサイズによる高感度画質」と「コントラストAFによるC-AF性能」。ただし、C-AF性能は240fps駆動の効く純正レンズを使えばそこまで不満を感じないレベル。よって高感度画質のみ気を付ければOK。
屋内で動き回る子供や薄暗い水族館などのシーンは苦手だが、F0.95やF1.2と言った明るいレンズが多いので、低感度を維持することも十分に可能。
高感度画質以外を見ると「超高速連写や動画を使った切り出し機能」「ピクセルシフトによる8000万画素相当の高解像撮影モード」などなど、他2台よりもバリエーション豊かな機能が揃っている。特に高解像撮影モードはより大きなセンサーを持つ他2台の画質を上回る潜在能力を秘めているのでおススメ。
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