OM-D E-M1 シリーズとは?
2020年に登場したE-M1 Mark IIIによって前モデルであるE-M1 Mark IIが一気に値を下げてきましたね。中古市場もダブついているので購入を検討している人も多いのでは無いでしょうか?今回はE-M1シリーズを全て使って来た身としてどのモデルがおススメなのか考えてみたいと思います。
E-M1シリーズ年表・ハイライト
- OM-D E-M1:2013年10月
・センサーシフト式 5軸手ぶれ補正
・像面位相差AFシステム
・深度合成 - OM-D E-M1 Mark II:2016年12月
・2000万画素センサー
・5軸 5.5段 センサーシフト式手ぶれ補正
・TruePic VIII プロセッサ
・121点 オールクロス 像面位相差AF
・50MPハイレゾショット
・18コマ秒 AF/AE追従連写
・60コマ秒 AF/AE固定連写
・プロキャプチャーモード
・AFリミッター
・大型バッテリーBLH-1 - OM-D E-M1X:2019年2月
・デュアルTruePic VIII プロセッサ
・センサー除塵用新コーティング
・5軸 7.0段 センサーシフト式手ぶれ補正
・被写体認識AF
・カスタムターゲットAF
・手持ちハイレゾショット
・ライブND
・フリッカーレス撮影
・マルチセレクター
・一体型 縦位置グリップ
・大型ファインダー
・マイメニュー
・USB-PD充電・給電 - OM-D E-M1 Mark III:2020年2月
・TruePic IX プロセッサ
・新アルゴリズム?顔・瞳検出
・星空AF
・80MP ハイレゾショット(80MP JPEGに対応)
・ミニE-M1X
像面位相差AF対応のOM-D E-M1登場
2013年に初代「OM-D E-M1」が登場。当時のミラーレスカメラとしては珍しかった「センサーシフト式 5軸手ぶれ補正」「防塵防滴」「像面位相差AF」に対応、本格的なミラーレスカメラとして注目を浴びました。
位相差AFに対応していることから、マウントアダプター経由で一眼レフシステム「フォーサーズ」のレンズを使いやすかったのも一つのポイントでしたね。
当時としては非常に効き目の良い手ぶれ補正を搭載していたので、一眼レフから乗り換えて感動した覚えがあります。今でこそ陳腐化してしまったものの、手ぶれ補正の効き目はまだまだ現役と言えるでしょう。
さらに度重なるファームウェアアップデートで「フォーカスブラケット」「OVFシュミレーション」「深度合成」や「シンクロ手ぶれ補正」など新機能に次々と対応。ミラーレスの将来性や利便性を感じる1台となりました。
全方位進化のOM-D E-M1 Mark II
そして2016年に解像性能・連写性能・動画仕様を全体的に強化した後継モデル「OM-D E-M1 Mark II」が登場。当時としては珍しいRAW出力対応の60コマ秒連写やプリ連写機能が話題となりました。
イメージセンサーはオリンパスが開発に関わっている2000万画素 LiveMOSセンサーに変更され、像面位相差AFは121点オールクロスとなりAF性能が強化されています。カメラ側の制御でピント位置に制限をかけることができる「AFリミッター機能」も地味に便利でした。
AF性能の向上に加えて追従連写速度が18コマ秒(電子シャッター)まで向上。スポーツ一眼レフをも上回る追従連写を実現しているうえ、シャッター全押し前のカットを撮影できるプロキャプチャーモードを実装。野生動物や昆虫など、刹那のシャッターチャンスを簡単に撮影できる機能が評判となりました。
登場当時は20万円超とマイクロフォーサーズらしかぬ高価なモデルとなりましが、非常に人気の高いモデルでした。今でも愛用者が多いカメラですね。
創業100周年に登場した最上位モデル OM-D E-M1X
オリンパス創業100周年となる2019年にはOM-Dシリーズ最上位機種となる「OM-D E-M1X」がリリースされました。
「小型軽量なオリンパスはどこへいったのやら」と感じる大柄ボディ。しかし、これまでのOM-Dシリーズに無かった「マルチセレクター」「ISO・WB専用ボタン」などを始め、ハイエンドカメラらしい豊富な物理操作を備えています。
ボディ内手ぶれ補正は新開発のジャイロセンサーを導入し、なんと驚異の7.0段に達する補正効果を実現。デュアルプロセッサーの恩恵もあり、手持ちハイレゾショットやライブNDなど手ぶれ補正を最大限に活かした新しい撮影機能を搭載しています。(機動力が落ちる要因となる)三脚を持ち歩く必要性を極限まで抑えているカメラと言えるでしょう。
さらにオリンパス初となる被写体認識機能を搭載。「鉄道」「車」「飛行機」と対象機種は限定されますが、良好な検出性能と追従性能を実現しています。従来のC-AF+TRとは段違いなので是非とも体感してほしい機能。発売から1年以上が経過しているので、そろそろ新しい被写体に対応して欲しいところですが…。
インターフェースにも改良が加えられ、オリンパス初となるマイメニュー機能を実装。これが先行して実装した他社よりも使いやすい機能となっているのでおススメ。(通常のメニュー画面からRECボタンで登録・移動・削除が可能)
また、USB充電・給電に対応しているため、より長時間の撮影に対応しているのはGood。
E-M1 Mark IIをさらに全方位で強化したカメラとなっていますが、イメージセンサーや連写性能は据え置きなので注意が必要。さらに価格設定が最も高く、初値はなんと30万円超。
ミニ「E-M1X」 OM-D E-M1 Mark III
「OM-D E-M1Xはデカすぎる!」という声を想像していたかの如く、2020年頭に登場したの最新モデルが「OM-D E-M1 Mark III」。
正直に言うと、従来のOM-D E-M1シリーズと比べると驚きの新機能が少なく、控えめなアップグレード。とは言え、E-M1 Mark IIソックリのコンパクトボディにハイエンドモデル「E-M1X」の機能がほぼ詰め込まれています。
手ぶれ補正・手持ちハイレゾ・ライブND・カスタムターゲットAF・フリッカーレス撮影・マイメニュー・マルチセレクター・USB-PD給電/充電などなど…。これら全てを活用せずとも、何かしら便利と感じる部分があるはず。
E-M1Xの被写体認識や大型ファインダー、大型グリップが必要無ければE-M1 Mark IIIでOK。「ミニE-M1X」と言った感じ。
さらに、顔検出・瞳検出機能が強化され、検出精度と追従速度が改善しています。ようやく他社並みと言ったところですが、像面位相差AF仕様と考えると動く被写体相手ならマイクロフォーサーズの中で最良の選択肢となっています。
地味な機能ではありますが、星空に素早くピントを合わせることが出来る星空AFを実装。インターバル撮影の上限枚数も増加しています。
モデル別おススメポイント
OM-D E-M1 Mark III
ポイント
- E-M1 Mark IIと全く同じコンパクトボディ(アクセサリー共有可能)
- 中身はほぼE-M1X
・手持ちハイレゾショット
・ライブND
・カスタムグループターゲットAF
・マイメニュー
・USB-PD 充電/給電
・マルチセレクター
・カスタムモード4枠
・Bluetooth - 強化された顔・瞳検出機能
- ファインダーやモニターの仕様はE-M1 Mark IIと同じ
これから長く使うつもりであればE-M1 Mark IIIがおススメ。
価格設定は前モデル「E-M1 Mark II」と最上位モデル「E-M1X」のちょうど中間で、機能的に見るとほぼE-M1X。決して安いカメラではありませんが、相対的に見ると案外安く見えます。
価格・機能性のバランスが良く、今後のファームウェアアップデートによる機能改善も期待できそう。
オートフォーカスは従来通りの121点オールクロスですが、マルチセレクターやカスタムグループターゲットAFなどで強化されています。顔検出は従来のオリンパスと比べてかなり良くなっている(マシになっている)ので、位相差+顔検出を重視するのであればMark III以外に選択肢はないと思います。その他AFシステムも含め、使い勝手がかなり違うので個人的にはMark IIIがおススメ。
とは言え、画質・連写速度・動画仕様などはE-M1 Mark IIとほぼ同じ(違いはE-M1 Mark IIの項目で詳しく述べます)。E-M1 Mark IIIが実装している新機能を活用する気が全く無いのであれば、値下がり中のMark IIが最良の選択肢となるはず。
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OM-D E-M1X
ポイント
- 機能的にはE-M1 Mark IIIとほぼ同じ
- インテリジェント被写体認識AF
- 大型グリップ&一体型縦位置グリップ
- BLH-1×2+USB-PD充電対応
- 大型ファインダー
- 豊富な物理コントロール
おそらく大部分の人は「E-M1 Mark III」が適していると思われますが、上記ポイントに魅力を感じるのであれば迷わずE-M1Xをチョイス。
豊富で余裕のあるボタン配置は大型ボディの特権。特に縦位置側のマルチセレクターは現状でE-M1Xのみ(E-M1 IIIの追加グリップはMark IIと同じため)なので、縦位置重視なら要検討。
E-M1 Mark IIIもボディ内充電に対応しているものの、追加縦位置グリップのバッテリーは充電出来ません。一体型ボディにバッテリーを2個内蔵しているE-M1Xは同時充電が可能。長時間・大量に撮影することが多く、隙間時間に素早く充電したいのであれば考慮すべきポイント。
ファインダーに使用している液晶パネルはMark IIIと同等ですが、光学系が一新され倍率が向上しています。間違いなく見やすい光学系なのでファインダーを使った撮影を重視しているのであればおススメポイント。出来ればもっと高解像なパネルを使って欲しかったところですが…。
敢えて注意点を挙げるとすると、グリップ一体型のため、横位置ローアングル撮影はカメラ下部が地面と干渉しやすいです。前述してきたように、連写性能や動画機能はMark IIIやMark IIとほぼ同じ。合成速度やバッファ深度、バッファクリア速度に大きな違いは無いので”速写性”が強みとならないのは残念。(E-M1 Mark IIの時点で十分パフォーマンス良好と言えますが「+α」が欲しかった)
オリンパス「OM-D E-M1 Mark III」と「OM-D E-M1X」の外観・スペックの違い
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OM-D E-M1 Mark II
ポイント
- E-M1X・Mark IIIと画質は”ほぼ”同じ
- E-M1X・Mark IIIと連写速度・バッファは同等
- 型落ちとなり値下がり傾向
- 12-40mm F2.8 PROキットも値下がり中
E-M1 Mark IIIの登場で新品が凄い勢いで値下がり、中古市場がダブついている旧型機。
旧型機ながら、イメージセンサーはE-M1X・Mark IIIと同じなので画質はほぼ同じ。マイクロフォーサーズとしては良好な高感度性能とダイナミックレンジを備えています。ただし、実効ISO感度の使い方に少し変化があるのでシャドウの諧調は少し見劣りします。さらに、JPEG出力の味付けはE-M1X以降で少し改善されている印象。
連写性能やバッファの仕様はE-M1XやE-M1 Mark IIIとソックリ。18コマ秒の追従連写・60コマ秒の固定連写を必要としている場合は最もコストパフォーマンスの高いモデルとなります。
注意点は特にありませんが、やはりMark IIIと比べると顔検出機能が貧弱なので動く人物がメインだと不満を感じるかもしれません。また、マルチセレクターが無いのでC-AF中のフォーカスエリア移動は出来ません。マルチセレクターの有り無し、そしてカスタムモードが一つ少ないのでボタンやモードカスタマイズはMark IIIやE-M1Xよりシビアなのでよく考えたいところ。
個人的に注目しているのは「12-40mm F2.8 PRO」が付属するレンズキット。ボディの値下がりと連動しており、現在14?15万円ほど(なんとレンズキットでE-M1 IIIボディより安い!)。
このレンズは今年2月に値上がりしており、新品価格は8~9万円となっています。そう考えるとボディが実質5~6万円程度、買い方次第で3~4万円程度となるはず。レンズの購入も検討しているのであれば、かなりお買い得。
オリンパス「OM-D E-M1 Mark III」と「OM-D E-M1 Mark II」の外観・スペックの違い
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追加掲載:管理人の独り言
Mark IIIとMark IIは全くの別物
前述した通り、見た目こそソックリですが使い勝手がまるで違う。
- マルチセレクター搭載
- カスタムモード4枠
- マイメニュー実装
- ISO・WB専用ボタン(ボタンカスタマイズ対応)
- 顔検出用新機能(ボタンカスタマイズ対応)
- 手持ちハイレゾ・ライブND・星空AF
- INFO・MENUボタンの配置
- Bluetooth
出来ることが増え、それに対応するようにカスタムモード枠の増加やマイメニューの実装で自由度が向上しています。自分に最適なボタンカスタマイズをしやすくなったと感じるはず。
マルチセレクターは「フォーカスエリアの移動」「押し込みボタン」2系統の操作に対応。フォーカス操作をマルチセレクターに集約できるので、他のボタンにこれまで登録できなかった機能を割り当てることが可能です。
これまでカツカツだったボタン枠がMark IIIでは余っています(特にフロントFnボタン)。現在試行錯誤しながら自身に最適なボタン配置を検討中。
オリンパス「OM-D E-M1 Mark III」と「OM-D E-M1 Mark II」の外観・スペックの違い
E-M1Xはなぁ…
E-M1Xは物理操作がしっかりした良いカメラ…とは言え、Mark IIIとの価格差を考慮するともう少しアドバンテージが欲しかったところ。前述してきたハード面の強みに魅力を感じないのであれば、やっぱりMark IIIがおススメ。
インテリジェント被写体認識AFの強化は急務だと思うのですよね。あとバッファ強化して欲しかったなぁ…、プロキャプチャーでMark III・Mark IIの倍維持できたら個人的にベストバイ。
でも、なんだかんだでバッテリー2個のUSB充電やボタンカスタマイズの自由度は魅力的。ファインダーも地味に良い。
オリンパス「OM-D E-M1 Mark III」と「OM-D E-M1X」の外観・スペックの違い
E-M5 Mark IIIはどうよ?
「ミニE-M1 II」と呼ぶのにふさわしいスペックのカメラです。コンパクトボディによくぞここまで詰め込んだものよ…。とは言ったものの、2020年5月現在おススメするのは絶賛値下がり中のE-M1 Mark II。なんてったってE-M5 Mark IIIより安いもの。
- OLEDファインダー
- Bluetooth
- E-M1 Mark IIより新しいJPEG出力の味付け
- 小型軽量(プラスチック外装)
- USB充電
このあたりに魅力を感じなければ、あとはE-M1 Mark IIの強みとなります。実際にE-M5 Mark IIIを買ってみましたが、思ったより小型軽量が強みとなるカメラです。防塵防滴の小型レンズと組み合わせるのが面白そう。「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4 PRO」とか「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」とか。
個人的に一押しは防塵防滴仕様となった「LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 II ASPH.」との組み合わせ。
プラスチックボディに愛情を注げるのであれば、一度実機を手に取ってみることをおススメします。
オリンパス「OM-D E-M5 Mark III」と「OM-D E-M1 Mark II」の外観・スペックの違い
LUMIX G9 PROはどうなのか?
正直に言うとおススメです。像面位相差AFが絶対的に必要でなければE-M1 Mark IIよりG9。ファームウェアアップデートによる強化が半端なく、様々な便利機能が後から追加されています。個人的にG9の強みと感じるのは以下の通り
- ファインダーが大きい(ただし、めっちゃ糸巻き型)
- 使いやすいソフトウェアインターフェース
- 顔検出精度・人体認識・動物認識
- 精度の高いコントラストAF
- AFスコープ機能
- 自由度の高いAFエリア
- USB給電・充電
- 自由度の高いボタンカスタマイズ
- 仕上がり設定が豊富
- ハイレゾモードの動体補正が優れている(オリンパス以上)
- 全体的に動画機能が豊富(ただしミュート録画が無いのですよね…)
まぁ、使いやすい。
オリンパス機のように頭を使うことなく、直感で操作できる部分が多く、操作に迷っても分かりやすいインターフェースで楽々復帰。カスタマイズの自由度が高く、登録できる機能はオリンパス以上。
極めつけは人体認識。家族写真で顔を検出しないことも多いので、「人体」を認識できるのはかなり強い。手や足だけでも検出可能という半端ない検出性能で誤検出は僅か。
悩みの種はやはりコントラストAFであること。近距離を素早く動く被写体にはかなり弱いです。それ以外はコストパフォーマンス抜群。
オリンパス「OM-D E-M1 Mark III」とパナソニック「LUMIX G9 PRO」の外観・スペックの違い
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