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七工匠 7Artisans AF 27mm F2.8 レンズレビュー 完全版

このページでは七工匠「7Artisans AF 27mm F2.8」のレビューを掲載しています。

製品提供について

このレビューは焦点工房より無償提供された製品を使用しています。金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。無料であること、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

7Artisans AF 27mm F2.8のレビュー一覧

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 非常に安い
サイズ やや大きめだが携帯性は問題なし
重量 やや重めだが携帯性は問題なし
操作性 フォーカスリングのみ
AF性能 必要十分
解像性能 全体的に良好
ボケ 近距離で滑らかな後ボケ
色収差 目立つ場合もあるが大部分は良好
歪曲収差 穏やかな樽型
コマ収差・非点収差 穏やかな影響
周辺減光 F2.8で非常に目立つ
逆光耐性 フレーム中央付近で非常に目立つ
満足度 性能と価格のバランスが良好

評価:

性能と価格のバランスが良好

いくつか注意点(逆光・周辺減光)があるものの、2万円ちょっとで入手でき、ビルドクオリティや光学性能は良好。価格を考慮すると概ね肯定的に評価できる性能です。リバースエンジニアリングのEマウントレンズであるため、互換性の観点から諸手をあげておススメすることはできません。しかし、そのあたりのリスクを理解しているのであれば、コストパフォーマンスの高い27mm F2.8として活躍してくれることでしょう。

While there are a few caveats (backlighting and vignetting), it is available for a little over 20,000 yen and has good build quality and optical performance. Considering the price, the performance can generally be evaluated positively. Since this is a reverse-engineered E-mount lens, we cannot recommend it with all hands from the standpoint of compatibility. However, if you understand the risks involved, it will serve you well as a cost-effective 27mm F2.8.

まえがき

7Artisans2本目となるソニーEマウント用のAFレンズ。APS-Cに対応した中口径のコンパクトな標準レンズで、フルサイズ判換算で40.5mmに相当する画角の焦点距離の単焦点。リバースエンジニアリングのサードパーティ製レンズですが、USBポート経由でファームウェアアップデートが可能。互換性の最適化に利用することができます。

  • 公式ウェブサイト
  • 焦点工房
  • 情報収集ページ
  • 管理人のFlickr
  • 発売日:2024.4.25
  • 初値:¥22,500
  • マウント:E
  • フォーマット:APS-C
  • 焦点距離:27mm
  • レンズ構成:5群6枚
  • 開放絞り:F2.8
  • 最小絞り:F22
  • 絞り羽根:6枚
  • 最短撮影距離:0.3m
  • 最大撮影倍率:不明
  • フィルター径:52mm
  • 手ぶれ補正:-
  • テレコン:-
  • コーティング:不明
  • サイズ:φ64×48mm
  • 重量:172g
  • 防塵防滴:
  • AF:STM
  • その他:USBポート
  • 付属品:

5群6枚のシンプルな光学設計で、フォーカシングは全群繰り出し式を採用。構成は銘匠光学「TTArtisan AF 27mm F2.8」とよく似ていますが関連性は不明。公開しているMTFが全く異なる曲線なので、単に似たように見える光学系というだけなのかもしれません。

価格のチェック

販売価格は2万円前後。TTArtisanよりも手頃な価格で導入しやすいパンケーキAFレンズ。

7Artisans AF 27mm F2.8
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

白を基調とした箱の外装にはレンズのスペックや図面がプリントされています。AF専用ではなく、MFレンズ「II」世代あたりからこのようなデザインに切り替わっています。レンズ本体のほか、前後キャップとUSBケーブルが付属。レンズフードはありません。

外観

外装はフォーカスリングを含めて総金属製のしっかりとした作り。凝った意匠ではありませんが、肉厚な金属外装の質感はシグマIシリーズやソニーF2.5 Gとよく似ています。外装の表示は「7Artisans」のロゴを除けば全てプリント。高級感を醸し出すポイントではありませんが、価格を考慮すると妥協できる範囲内。

TTArtisan AF 27mmと比べると少し厚みがあるものの、質感は7Artisansがより良好。ただし、絞りリングの操作を好む場合、7Artisansにはそれがありません。

ハンズオン

レンズ重量は172g。サイズを考慮するとやや重めですが「金属とレンズの塊」を実感でき、かつ実用に問題ない程度に抑えられています。

前玉・後玉

全群繰り出し式の光学系は鏡筒の奥深くに隠れています。フードは付属していないものの、特に問題ありません。フォーカシングにより光学系が前後に移動しますが、すべては鏡筒内で簡潔するため全長に変化なし。前方の52mmフィルターソケットに保護フィルターを装着することで、実質的なインナーフォーカスレンズとして使用可能。

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金属製レンズマウントは3本のビスで本体に固定。防塵防滴には非対応のため、マウントにシーリングはありません。後玉はマウント付近にありますが、フォーカシングで前方へ移動するものと思われます。周囲は不要な光の反射を防ぐために黒色で塗装。やや光沢が残っている点が気になるものの、大きな問題は無いように見えます。

フォーカスリング

スリットのある小さな金属製フォーカスリングを搭載。かなり強めの”粘り”があるため、回転操作には少し力が必要です。重めの操作ではあるものの、滑らかなに回転し、レンズの応答性は良好。バイワイヤでフォーカスモーターを動かすタイプですが、特に問題はありません。リニアレスポンスで再現性が良く、ピント全域のストロークは約135度と使いやすい。

ケラレ耐性

厚みのあるフィルターを2枚重ねても問題ありません。ドーム型のフードを装着してもケラレることはありません。

装着例

α7R Vに装着。APS-C用のレンズなので非常にコンパクトで、α6700などと組み合わせても全く問題ないサイズ。

AF・MF

フォーカススピード

全群繰り出し式ですが、キビキビとしたフォーカス速度を実現。近距離の動体撮影にベストな選択肢ではないものの、大部分の撮影に利用できるポテンシャルを備えています。AF-SとAF-Cで挙動に大きな差はありません。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

全群繰り出し式のフォーカス構造らしく、ピント位置により画角がリニアに変動します。このような動作を好まない動画撮影には不適と言えるでしょう。

精度

今のところα7R Vとの組み合わせで問題なし。初期のファームウェアでは絞り動作時の露光で強制リセット(接続が瞬断するような動作)がありましたが、最新のファームウェアを適用すると問題は解消。

MF

繰り出し式のステッピングモーター駆動ですが、滑らかな動作で細かいピント合わせ時にギクシャクする様子は無し。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:ILCE-7RM5 APS-C crop
  • 交換レンズ:7Artisans AF 27mm F2.8 E
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

TTArtisan 27mm F2.8と同じく、絞り開放から非常に良好。少なくとも2600万画素のα7R V APS-Cクロップでは、これと言った欠点もなく使うことが出来ます。ただし、これはあくまでも「測定位置でピントを合わせた結果」です。像面湾曲が目立つので、フラットな被写体をパンフォーカスで撮影する場合は大きく絞る必要があります。少なくとも、AFでピントを合わせた部分はF2.8から非常にシャープ。

中央

F2.8から非常にシャープですが、絞ると細部のコントラストが改善。2600万画素センサーでは役不足のパフォーマンスを発揮。富士フイルムXマウントの4000万画素センサーで伸びしろを活かすことが出来るはず。

周辺

細部のコントラストは中央ほど伸びませんが、2600万画素では十分と言える解像性能を発揮。F2.8から問題なく利用することが出来ます。絞っても大きな変化はありません。

四隅

周辺減光の影響こそ目立つものの、結果は周辺部と同程度。近距離の解像チャートテストの結果としては良好であり、繰り出し式フォーカスの長所(撮影距離による収差変動が少ない)と言えそうです。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F2.8 3053 2535 2895
F4.0 3267 3175 3065
F5.6 4097 3646 3178
F8.0 3471 3377 3047
F11 2990 3073 2626
F16 2387 2187 2069

実写確認

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2024年6月9日 晴れ 微風
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:SUNWAYFOTO GH-PRO II
  • カメラ:α7R V APS-C crop
  • レンズ:7Artisans AF 27mm F2.8
  • 露出:ISO 100絞り優先AE
  • RAW:Adobe Camera RAW
    Lightroom Classic CC
    シャープネスオフ
    ノイズリダクションオフ
    レンズ補正オフ

テスト結果

周辺減光こそ目立つものの、絞り開放から全体的に良好な結果が得られます。近距離では像面湾曲が問題となりますが、遠景では目立ちません。絞りによる画質の大きな変化はなく、被写界深度や周辺減光の調整で利用するのが良さそう。

中央

F2.8は残存する僅かな軸上色収差の影響が見られます。F4でも僅かに残っているので、完全に抑えたい場合はF5.6/F8まで絞るのがおススメ。絞ることでコントラストがわずかに改善します。

周辺

中央とほぼ同じですが、よく見ると若干ソフト。F5.6-F8くらいまで絞ると、細部に残っていたソフトさが解消。中央と同程度のシャープネスとコントラストが得られます。

四隅

周辺減光が強いものの、解像性能は悪くありません。F2.8から大きな問題はないものの、ベストを尽くす場合はF8-F11まで絞ることで少し改善します。

撮影倍率

最短撮影距離は0.3m。寄りにくくはないですが、寄りやすいとも感じません。適度な最短撮影距離。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

像面湾曲に関して特に大きな問題は無いように見えます。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り全域で倍率色収差は良く抑えられています。低価格のレンズとしては健闘。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り開放で広い範囲にうっすらと色づきが発生。過度に目立つわけではないものの、コントラストが高い状況では少し修正が必要となるかもしれません。F4まで絞っても残存しているので、F5.6まで絞ったほうが良いでしょう。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

スライドショーには JavaScript が必要です。

穏やかな樽型。Lightroomの手動補正で+10~+13あたりの数値で修正可能。直線的な被写体でなければ、このまま利用することもできそうです。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

絞り開放付近に少し残存していますが、極端な影響はありません。

球面収差

これと言って大きな影響はありません。最短撮影距離付近以外は良く抑えられているようです。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

少なくとも接写時の後ボケは滑らかで綺麗。2線ボケの兆候はありません。軸上色収差の影響が僅かにあるものの、滲むようなボケのため悪目立ちが軽減しています。

 

前ボケ

後ボケとは打って変わって縁取りが硬く、2線ボケの傾向。思っていたよりも軸上色収差の影響は少ない。「27mm F2.8」のレンズで前ボケの質感が重要となるシーンは少ないと思われ、特に心配する必要はないでしょう。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

注意点として、F2.8の絞り開放でも中央の玉ボケが綺麗な円形となりません。そして口径食が強く、隅に向かってボケが強めの楕円形へと歪みます。玉ボケの内側は悪くない描写ですが、縁取りはやや強め。1段絞ると全体的に六角形の玉ボケへと変化します。これが良いという人もいると思いますが、最近のレンズとしては描写が独特なので注意が必要です。

ボケ実写

至近距離

最短撮影距離に近いシーンでは背景を滑らかにぼかすことが出来ます。よく見ると口径食が強く、縁取りが少し硬いので、コントラストが強い環境では少し騒がしく感じるかもしれません。とはいえ、低価格の小型軽量レンズとして批判すべき点はありません。

近距離

撮影距離が少し長くなると、主に隅の後ボケに騒がしい兆候が見られます。欠点というほどの描写でもなく、まだ許容範囲内。快適に使えます。

中距離

さらに撮影距離が長い場合でも中央は悪目立ちを抑えた自然な描写。よく見ると角ばった玉ボケが見えますが、許容範囲内。隅は口径食と縁取りの影響で騒がしい描写となりますが、これも極端に酷いとは言えません。倍率色収差が抑えられているためか、悪目立ちするボケの色づきは少なめ。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。全身を入れるような撮影距離の場合、ピント面はシャープですが後ボケは騒がしい。と言ってもボケが小さいので気になりません。膝上・上半身まで近寄ると背景から分離が始まりますが、この際のボケは許容範囲内。バストアップや顔のクローズアップまで近寄ると、滑らかで綺麗な描写へと変化します。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

F2.8で非常に目立つ周辺減光が発生します。フラットな光量の背景ならば少し絞ったほうが良いかもしれません。幸いにも、F4まで絞ると周辺減光は大幅に抑えることが出来ます。

無限遠

最短撮影距離とほぼ同じ強度の周辺減光が発生し、絞った際の改善速度はやや遅め。状況によっては撮影後の手動修正が必要となるかもしれません。

逆光耐性・光条

中央

強い光源がフレームに入ると強めのフレアが発生。絞ると目立つ光輪に変化し、F16まで絞ると光輪がフレームから見えなくなります。

中央付近と比べると影響は軽微。TTArtisanの競合製品よりもフレアが発生しにくく扱いやすい。鏡筒の形状が功を奏しているのか、コーティングが異なるのか?

光条

TTArtisanの7枚絞りと異なり、6枚の偶数絞り。6本のシンプルな光条が発生します。回折とのバランスが取れるF8-F11付近でも目立つ光条が発生するので使いやすい。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 頑丈な金属鏡筒
  • 手頃な価格
  • 粘りのあるフォーカスリング
  • 近距離でもピント位置は全体的にシャープ
  • F2.8から良好な遠景解像
  • 遠景で像面湾曲の問題無し
  • 倍率色収差補正が良好
  • 滑らかな後ボケ
  • 6枚羽根の光条

強みとなるのはF2.8から良好な解像性能と頑丈なビルドクオリティ。手頃な価格ながらしっかりとした作りで、欠点が少なく快適に利用可能。最軽量・最小とはいかないものの、携帯性の高いレンズで日常的に利用することが出来ます。画角も適度で使いやすい。

悪かったところ

ココに注意

  • 絞りリングがない
  • 防塵防滴非対応
  • 開放F値が2.8と大きめ
  • フォーカスブリージングが目立つ
  • 近距離での像面湾曲
  • 場合によって軸上色収差が目立つ
  • 玉ボケが丸くならない
  • 口径食・周辺減光が目立つ
  • 逆光耐性

価格設定を考慮すると許容範囲内と言える欠点が多いですが、敢えて指摘すると逆光耐性が期待よりも低め。TTArtisanほどではありませんが、強い光源をフレームに入れるとフレアが強く発生する場合があります。幸いにも鏡筒がレンズフードの代わりとなり、中央付近以外の光はフレアを良く抑えています。

また、光学系が小型軽量のため、周辺減光や口径食が目立ちます。絞ると急速に改善しますが、四隅の玉ボケや光量を気にする場合は他の選択肢を考慮したほうが良いでしょう。

結論

満足度は90点。
いくつか注意点(逆光・周辺減光)があるものの、2万円ちょっとで入手でき、ビルドクオリティや光学性能は良好。価格を考慮すると概ね肯定的に評価できる性能です。おそらくリバースエンジニアリングのEマウントレンズのため、互換性の観点から諸手をあげておススメすることはできません。しかし、そのあたりのリスクを理解しているのであれば、コストパフォーマンスの高い27mm F2.8として活躍してくれることでしょう。

購入するを悩んでいる人

TTArtisan AF 27mm F2.8

価格や焦点距離などから最も競合するであろうレンズ。光学系はレンズ構成や実際のテスト結果からほぼ同じと考えています。鏡筒のデザインや作りから逆光耐性や周辺減光には違いあり。小型軽量で絞りリングが欲しいならTTArtisanをチョイス。絞りリングが必要なければ7Artisansのほうが個人的にはおススメ。

購入早見表

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7Artisans AF 27mm F2.8
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