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ソニー α7R V ILCE-7RM5 の連写性能とローリングシャッター性能を確認する

通常、カメラのレビューはじっくり検証するので時間がかかります。そこでソニー「ILCE-7RM5」で色々と検証中のデータをレビューに先駆けて公開。今回は連続撮影能力について。

ILCE-7RM5のレビュー一覧

連続撮影速度

仕様の確認

まずは公式ウェブサイトに掲載されているスペックを確認してみましょう。

連続撮影速度

  • Hi+:最高約10コマ/秒
  • Hi:最高約8コマ/秒
  • Mid:最高約6コマ/秒
  • Lo:最高約3コマ/秒

α7R Vは最高で約10コマ秒の連続撮影が可能となっています。ただし、あくまでも条件が揃った際の数値であり、多くの場合は10コマ秒とならないので注意してください(後述)。
例えば、公式ウェブサイトにも掲載しているように、サイレント撮影(電子シャッター)時は最高で7コマ秒まで。

またヘルプガイドによると、「Hi+」での連続撮影中はライブビューではなくなる点に注意が必要です。リアルタイムの映像が必要であれば「Hi」までを使用する必要があります。

連続撮影可能枚数

公式ヘルプガイドによると以下の通り。
撮影条件は「Hi+ 60M」「当社製のCFexpress Type Aメモリーカード」とのこと。
ただし、非圧縮RAW/ロスレス圧縮RAW時は撮影速度が低下すると明記されています。

ファイル形式 JPEG選択時の枚数 HEIF選択時の枚数
JPEG/HEIF?ファイン 約1 000枚以上 約1 000枚以上
RAW(圧縮RAW) 約583枚 約583枚
RAW+JPEG/RAW+HEIF(圧縮RAW) 約184枚 約213枚
RAW(非圧縮RAW) 約135枚 約135枚
RAW+JPEG/RAW+HEIF(非圧縮RAW) 約88枚 約101枚
RAW(ロスレス圧縮RAW: L) 約547枚 約547枚
RAW+JPEG/RAW+HEIF(ロスレス圧縮RAW: L) 約159枚 約238枚

連続撮影枚数のテスト結果

テスト方法は従来通り、5秒・10秒・15秒の連続撮影で撮影できた枚数を計測します。使用するメモリーカードは「ProGrade Digital COBALT」「SONY TOUGH SD UHS-II」です。

電子シャッター Hi+

CFexpress Type A

5秒 10秒 15秒
非圧縮RAW 24 45 67
ロスレス圧縮RAW L 23 46 67
ロスレス圧縮RAW M 23 45 67
ロスレス圧縮RAW S 23 45 67
圧縮RAW 41 80 118

サイレント撮影時の最大速度は「7コマ秒」ですが、非圧縮RAWやロスレス圧縮RAWの場合は5コマ秒くらいしか撮影できていません。そのぶん、ストレージ一杯まで連続撮影を続けることができそうな印象があります。圧縮RAWに切り替えると見違えるように高速化し、公称値以上の8コマ秒くらいの撮影が可能。

SD UHS- II

5秒 10秒 15秒
非圧縮RAW 22 46 65
ロスレス圧縮RAW L - - 67
ロスレス圧縮RAW M - - 68
ロスレス圧縮RAW S - - 67
圧縮RAW - - 118

連続撮影速度が遅いので、SD UHS-IIの書き込み速度でもバッファクリアに対応できています。とはいえ、CFeと違って徐々にストックが溜まっていき、15秒を超えたあたりで非圧縮RAWが限界を迎えています。

メカニカルシャッター Hi+

CFexpress Type A

5秒 10秒 15秒
非圧縮RAW 34 66 98
ロスレス圧縮RAW L - - 100
ロスレス圧縮RAW M - - 101
ロスレス圧縮RAW S - - 100
圧縮RAW 51 101 152

メカニカルシャッターに切り替えた場合、非圧縮RAWやロスレス圧縮RAWで6.6コマ秒程度まで連続撮影速度が改善。この場合もCFexpress Type Aであればバッファクリアに余裕があり、長時間の連続撮影が可能となっています。圧縮RAWの場合は公称値通りの10コマ秒を達成。テストしていませんが、500枚くらいは余裕で撮れそうです(その間に連写を数秒止めればバッファが瞬間的に回復します)。

SD UHS- II

5秒 10秒 15秒
非圧縮RAW 34 55 66
ロスレス圧縮RAW L - - 94
ロスレス圧縮RAW M - - 99
ロスレス圧縮RAW S - - -
圧縮RAW - 101 124

連続撮影速度が向上することで、SD UHS-IIの書き込み速度ではバッファクリアが追い付かなくなります。非圧縮RAWでは10秒手前でバッファが詰まり始め、15秒の時点でCFeの撮影枚数と大きな差が発生しています。ロスレス圧縮RAWの場合は「L」の連続撮影で15秒手前でバッファが詰まり、「M」でもう少し伸ばすことが可能。

Hi+ APS-Cクロップ

電子 15秒 メカ 15秒
非圧縮RAW 98 100
ロスレス圧縮RAW L - -
ロスレス圧縮RAW M 98 -
ロスレス圧縮RAW S - -
圧縮RAW 151 -

APS-Cクロップの場合、メカニカルシャッターの速度は改善しませんが、電子シャッターの撮影速度がメカニカルシャッターに追いつきます。圧縮RAWと組み合わせることで電子シャッターでも10コマ秒を利用することが可能。

テスト結果の撮影速度一覧

電子 電子
APS-C
メカ
非圧縮 5 6.6 6.6
ロスレス L 5 6.6 6.6
ロスレス M 5 6.6 6.6
ロスレス S 5 6.6 6.6
圧縮 8 10 10

2022年のフルサイズミラーレスとしては連続撮影速度が非常に遅く、動体撮影で真っ先に選ぶカメラとは言えません。公称値通りの「最大10コマ秒」を利用できるのは「メカニカルシャッター + 圧縮RAW」の場合のみである点に気を付けたいところ。

シャッターサウンド

非圧縮RAW Hi+

従来機と比べて、これと言った変化はないように聞こえます。やはり非圧縮RAW時は連写速度が遅く、もっさりとした動作という印象を受けます。

圧縮RAW Hi+

ローリングシャッター

フルサイズ

α7R IVと比べて有意な差は見られません。従来通りであり、ざっくり100msと言ったところでしょうか?ここ最近の高解像センサーカメラとしては最も悪い結果です(6100万画素のセンサーを搭載しているので仕方のないことですが)。ちなみに、どのRAW形式でもローリングシャッターの性能は同じです。

APS-C

APS-Cクロップ時の影響もα7R IVと同じ。2600万画素 APS-Cセンサーと比べるとやや悪く、ニコンの2000万画素 APS-Cセンサーの14bit RAWと同程度。49msと言ったところでしょうか。

今回のまとめ

圧縮RAWとメカニカルシャッターを組み合わせることで、従来通りの10コマ秒で撮影が可能です。この際にCFexpress Type Aカードを使用することでバッファクリアに余裕ができ、おそらく大部分の撮影で十分な撮影枚数を安定して確保することが可能。

6100万画素の解像度で10コマ秒の連続撮影が可能となっているのは魅力的ですが、非圧縮RAWやロスレス圧縮RAWを使用すると、連続撮影速度が低下する点には注意が必要。と言っても、前モデルであるα7R IVも非圧縮RAW時は撮影速度が低下しますし、α7R Vでは連写速度に少し改善傾向が見られます(CFexpressでもSD UHS-IIでも)。

電子シャッターとAPS-Cクロップ、圧縮RAWを組み合わせることで10コマ秒の撮影が可能。ただし、ローリングシャッターの影響が強いので被写体によっては歪みやすい場合があります。フルサイズセンサーではさらに悪化するので現実的な選択肢とは言えません。

全体的に見て、10コマ秒の連続撮影速度で満足でき、きちんと設定を変更できるのであれば高解像センサーモデルとしては十分なパフォーマンスを備えています。ただし、Hi+の連続撮影ではライブビューが利用できなくなるので動体追従の難易度は高め。レックビューの連写であれば、最低でも20fpsは必要と感じます。

フルサイズセンサーでこれ以上の連続撮影能力が必要であれば「α1」や「α9 II」などを考慮するか、さらに10万円ほどお金を積んで「Z 9」を検討したほうが良いでしょう。

参考情報

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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