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COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 PII レンズレビュー 完全版

このページではコシナ「COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 PII」のレビューを掲載しています。

COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 PIIのレビュー一覧

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 フォクトレンダー最安
サイズ 非常にコンパクト
重量 非常に軽量
操作性 小さいながらも良好
解像性能 中央から50%くらいはF2.5から良好
ボケ 極端に悪くない描写
色収差 目立たない程度に良好な補正状態
歪曲収差 中程度の樽型
コマ収差・非点収差 かなり目立つ
周辺減光 サイズを考慮すると穏やか
逆光耐性 価格を考慮すると良好
満足度 使い勝手の良いフォクトレンダー入門

評価:

使い勝手の良いフォクトレンダー入門

小型軽量で手頃な価格、良好な画質が得られるフォクトレンダーのエントリーモデル。ライカMでは最短撮影距離がネックとなるかもしれませんが、ヘリコイド付きアダプターでミラーレス利用ならば欠点を克服可能。α7C IIやLUMIX S9、SIGMA fpなどコンパクトなミラーレスカメラと相性の良いレンズに仕上がっています。

光学性能は完璧と言えないものの、このレンズに完璧を求めている人はそう多くないはず。携帯性を活かした35mmを使いたい人には十分なパフォーマンスだと思います。コンパクトながら操作性が良く、実使用でこれと言った不満点はありません。あえて言えば、個人的な好みとしてフォーカスリングがもう少し重いとよかったことくらい。

This is a compact, lightweight, reasonably priced entry-level Voigtlander lens that delivers good image quality. The minimum focusing distance may be a drawback with the Leica M, but if you use a mirrorless camera with an adapter that has a helicoid, you can overcome this shortcoming. This lens is well-suited to compact mirrorless cameras such as the α7C II, LUMIX S9, and SIGMA fp.

Although the optical performance is not perfect, I don't think there are many people who are looking for perfection in this lens. I think it has sufficient performance for those who want to use a 35mm camera that makes the most of its portability. It is compact but easy to use, and I have no particular complaints about it in actual use. If I had to say something, it would be that I would have preferred the focus ring to be a little heavier, but that's just my personal preference.

まえがき

ライカMマウント互換のVMマウントを採用したコシナ製フォクトレンダー。2006年に発売されてから15年以上の製造が続いているレンズです。小型軽量で販売価格が手頃なため、ライカM以外にもマウントアダプター経由でミラーレスに装着して使うユーザーも多いはず。

最短撮影距離は0.7mと長め。35mmレンズとして寄りやすい仕様ではなく、これを改善するにはヘリコイド付きのミラーレス用レンズアダプターを使うしかありません。

  • 発売日:2006年3月18日 発売
  • 売り出し価格:¥37,500
  • 公式ウェブサイト
  • 最新情報まとめ
  • 管理人のFlickr
  • フォーマット:フルサイズ
  • マウント:ライカM
  • 焦点距離:35mm
  • 絞り値:F2.5-F22
  • 絞り羽根:10枚
  • レンズ構成:5群7枚
  • 最短撮影距離:0.7m
  • 最大撮影倍率:不明
  • フィルター径:39mm
  • サイズ:φ55.0×23.0mm
  • 重量:134g

価格のチェック

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

フォクトレンダーらしい黒を基調としたデザインの箱に入っています。箱を開けようとすると、フォクトレンダーが掲げた信条である「…weil das Objektiv so gut ist(レンズがとても良いから)」を見ることができます。同梱品は説明書と前後のキャップのみ。レンズフードは別売りのため、必要であれば買い足しておきましょう。

外観

本体は金属とガラスの塊。
総金属製のコンパクトな鏡筒に35mm F2.5光学系が詰め込まれています。小型軽量なレンズであるため、フォーカスリングや絞りリングは小さめ。

ピント位置や絞り値などの表示は単なるプリントではなく、刻印したうえでペイントが施されています。製造国は日本。カラーリングはブラックに加えて先端のみシルバー。ツアイスZMレンズとよく似たデザインとなっていますが、マウント指標のカラーリングは青ではなく赤。

ハンズオン

手のひらサイズ。ポケットに突っ込んでおけるコンパクトなレンズです。
サイズを考慮すると(金属とガラスの塊らしく)重量感があるものの、苦にならない程度に収まっています。

前玉・後玉

正面から見ると、シルバーカラーの金属製フィルターソケットに囲まれた凸型の前玉を確認できます。周囲にはレンズ名がプリント。前玉にフッ素コーティングなどは施されていないため、水滴や油汚れなどダメージが想定されるシーンでは保護フィルターを装着しておいたほうが事後のメンテナンスが容易。フィルターは39mmと小さい径に対応。

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金属製レンズマウントは4本のビスで固定。ライカMレンズのような6bitコードはなく、カメラと通信する手段はありません。全群繰り出し式フォーカスのため、ピントリングを操作することで後玉を含めて光学系が前後に移動します。

フォーカスリング

金属製で幅の狭いフォーカスリングを搭載。グリップを改善するためにフォーカシングレバーを搭載しており、カメラを支えた状態の左手で操作しやすくなっています。リングの抵抗感は適度であり、誤操作を防ぎつつ、微調整しやすいトルクでの操作が可能。高価で大口径のNOKTONと比べると緩い気もしますが「35mm F2.5」と考えれば適度。リングのストロークはピント全域で90度を少し超える程度。最短撮影距離が0.7mであることを考慮すると十分に長いと言えるでしょう。

絞りリング

レンズ先端には小さな絞りリングを搭載。グリップはないに等しいので、指のかかりを改善するためのレバーを二か所に配置。リングは1/2段ごとにクリックストップがあり、適度な抵抗感でしっかりと固定されます。一部のフォクトレンダーレンズのようなクリック解除機能はありません。

レンズフード

レンズフードが別売りで、個人的には角型フードが良かったので社外製を購入。今回はHaogeの角型フードを購入しました。

フードは金属製。フィルターソケットへのねじ込み式ではなく、純正品と同じくフードマウントに装着するタイプ。良好な作りで、しっかりとレンズに固定することが可能。

装着例

今回はTZM-02やヘリコイド付きレンズアダプター経由で「Z 8」「S9」などのミラーレスに装着しました。小型軽量なレンズであり、アダプターを装着したとしてもコンパクトサイズを維持しています。大きなボディのZ 8ではレンズが小さすぎると感じ、S 9くらいのコンパクトボディがちょうどいい。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

全群繰り出し式フォーカスということもあり、ピント位置によってリニアに画角が変動します。画角変化は目立ちますが、マニュアルフォーカスしづらいと言うほどのものではありません。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:Z 8
  • 交換レンズ:Color-Skopar 35mm F2.5P II
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

四隅が大幅に低下するものの、中央から広い範囲は絞り開放から良好な結果。現代の単焦点レンズと比べるとワングレード低下するものの、実写では特に問題のない良好な画質だと思います。また、隅もF5.6まで絞ると中央や周辺に近い優れた結果を得ることができます。

中央

絞り開放から良好な結果。絞っても大幅に改善しませんが、開放から実用的な画質であることに違いなし。

周辺

中央と比べると僅かにソフトで、倍率色収差の影響が見られます。しかし、細部の解像性能は同程度で、良好な結果を得ることが可能。

四隅

中央や周辺と比べるとかなりソフト。これを改善するには3段ほど絞る必要があります。絞ってしまえば良好な結果を期待できます。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F2.5 3996 3803 1915
F2.8 3803 3803 1886
F4.0 3389 3784 2908
F5.6 3514 4245 3488
F8.0 4019 4303 3527
F11 4054 3856 3329
F16 3790 3331 3170
F22 2975 2767 2593

実写確認

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2023.6.8 晴れ 微風
  • カメラ:Z 8
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:SUNWAYFOTO GH-PRO II
  • 露出:ISO 64 絞り優先AE
  • RAW:Adobe Lightroom Classic CC
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズ補正オフ
    ・色収差補正オフ

テスト結果

中央にピントを合わせると非常にシャープですが、隅は像面湾曲の影響でややソフト~非常にソフト。パンフォーカスを得るためにはかなり絞る必要があります。隅の端まで満足のいく結果を得るにはF11-16まで絞りたいところ。

中央

F2.5から非常にシャープで、特に絞る必要があるようには見えません。F2.8まで絞るとコントラストが僅かに改善します。F2.8以降はほぼ同じピークの画質が続きます。

周辺

中央と比べると非点収差のような像の流れがあります。絞ると改善しますが、改善速度が遅く、ベストの結果を得るには十分に絞る必要があります。

四隅

絞り開放が非常にソフトで、満足のいく結果を得るにはF11-16くらいまで絞る必要があります。これは主に像面湾曲の影響であり、隅にピントを合わせるとはるかに良好な結果を得ることが可能。ただし、隅以外にピントが合わなくなるため現実的ではありません。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

少なくともアダプター経由のZカメラではフレームに強い像面湾曲が発生しています。これを抑え込むにはF11-16まで大幅に絞る必要があります。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

軽微な問題として倍率色収差が残存しています。自動補正が可能な収差であり、無視できる範囲内。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

倍率色収差と同じく僅かに影響があるものの、軽微な問題で無視できる程度。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

スライドショーには JavaScript が必要です。

穏やかな樽型歪曲であり、直線的な被写体がフレーム周辺に入らなければ無視できる程度。気になる場合は手動で補正可能。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

広い範囲に影響を及ぼす典型的なコマフレアが発生しています。絞ると徐々に改善しますが、F5.6までは影響が目立ちます。

球面収差

少なくとも近距離では球面収差の影響が僅かに残っている模様。顕著なフォーカスシフトはありませんが、近距離でピントを合わせるのであれば、絞ってからのほうが良いでしょう。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

ニュートラル寄りですが、ボケの縁取りが弱く柔らかい描写の後ボケ。35mmレンズで前ボケが大きくなるシーンは多くないと思うので、後ボケ重視のボケは肯定的に評価できます。

前ボケ

後ボケと比較すると少し硬めの描写。2線ボケの兆候があるものの、35mm F2.5のレンズで過度に心配する必要はありません。軸上色収差の影響が残っていますが、悪目立ちしない程度に抑えられています。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

そもそも「35mm F2.5」で最短撮影距離 70cmレンズで大きなボケは得られません。また、ピント面直後のボケと比べると硬め。さらに軸外収差の影響で、フレーム隅に向かってボケが騒がしくなります。絞ると安定した描写になるものの、ボケがかなり小さくなってしまいます。

ボケ実写

至近距離

*ヘリコイド付きアダプターでレンズ仕様よりも近い距離で撮影しています。

接写時は全体的に良好な結果が得られています。フレーム隅において騒がしくなる兆候はありますが、ボケが大きいため気になりません。

近距離

*ヘリコイド付きアダプターでレンズ仕様よりも近い距離で撮影しています。

周辺部におけるボケの硬さが少し目立ち始めますが、それでも許容範囲内の結果が得られています。

中距離

周辺部が少しざわつく結果。気になる場合はF2.8-F3.5くらいまで絞ることで安定します。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。全身をフレームに入れて背景から分離することはできませんが、バストアップくらいまで近寄ることで大きなボケを得ることができます。ボケは滑らかで柔らかい描写と言えないものの、悪目立ちす色収差は良く抑えられています。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

絞り開放で目立つ周辺減光が発生しています。とはいえ、非常にコンパクトな35mm F2.8 レンズとしては過度に目立たず、減光は許容範囲内のように見えます。ただし、絞っても完全には解消しません。

無限遠

最短撮影距離よりも強めですが、極端に増加しません。

逆光耐性・光条

中央

シンプルな光学系だけあってゴーストが少ない。さらにフレアも良く抑えられています。絞ってもゴーストの影響は僅か。

僅かにゴーストの影響を受けるものの、フレアは良く抑えられています。全体的に見て逆光耐性は良好。

光条

偶数絞りのレンズであり、開放付近から非常にシャープで綺麗な光条が発生します。これぞフォクトレンダーと言った描写。F2.8から魅力的な描写となるため、イルミネーションや夜景の撮影で面白い使い勝手となりそう。絞りすぎると回折の影響で滲んだ描写となる点に注意。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 小型軽量
  • 低価格
  • 金属製の鏡筒
  • 滑らかで適度な抵抗の絞りリング・フォーカスリング
  • 無視できる程度の色収差
  • 逆光耐性
  • シャープな光条

現行のラインアップでは最も安価で入手できるフォクトレンダー。さらに小型軽量で使い勝手の良い焦点距離と言うことで、コシナレンズを試しに使ってみる際におススメしやすい。光学性能は完璧と言えないものの、フォクトレンダーらしい操作性や外観、光条などは健在。

悪かったところ

ココに注意

  • 最短撮影距離が長い
  • レンズフードが別売り
  • 隅の解像性能が低下
  • 隅で像面湾曲の影響が目立つ
  • コマ収差が目立つ

価格帯・レンズサイズ・発売時期を考慮すると、驚くような欠点はありません。M型ライカで未確認ですが、少なくともアダプター経由のZカメラでは像面湾曲が遠景撮影時に問題となる可能性あり。

結論

小型軽量で手頃な価格、良好な画質が得られるフォクトレンダーのエントリーモデル。ライカMでは最短撮影距離がネックとなるかもしれませんが、ヘリコイド付きアダプターでミラーレス利用ならば欠点を克服可能。α7C IIやLUMIX S9、SIGMA fpなどコンパクトなミラーレスカメラと相性の良いレンズに仕上がっています。

光学性能は完璧と言えないものの、このレンズに完璧を求めている人はそう多くないはず。携帯性を活かした35mmを使いたい人には十分なパフォーマンスだと思います。コンパクトながら操作性が良く、実使用でこれと言った不満点はありません。あえて言えば、個人的な好みとしてフォーカスリングがもう少し重いとよかったことくらい。

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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