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富士フイルム「X-S10」徹底レビュー 完全版

このページでは富士フイルムのAPS-Cミラーレス「X-S10」のレビューを掲載しています。

このカメラのポイント

  • 小型軽量ボディながら高機能なカメラ
  • センサーとプロセッサは上位機種と同等
  • AFシステムと仕上がり機能は最新版
  • 貴重なボディ内手ぶれ補正とバリアングルモニタ搭載モデル
  • 従来機と比べて大きく異なる操作体系には注意が必要

まえがき

X-S10のおさらい

カメラの特徴

2020年に登場した富士フイルムの新シリーズ「S」を冠された新コンセプトのミラーレス。「X-T200」のコントロールレイアウトを継承しつつ、「X-T30」のようなスペックに、「X-H1」のようなグリップを搭載し、新開発の小型ボディ内手ぶれ補正を搭載したカメラです。

Xシリーズでお馴染みの「シャッタースピード」「ISO感度」「ドライブダイヤル」が無くなり、代わりに前後のコマンドダイヤルとモードダイヤル、そして左肩のFnダイヤルでカメラをコントロールします。X-T200やX-A7からのステップアップに最適なカメラである一方、X-E3やX-T30のような操作に慣れていると少し戸惑うかもしれません。

中身はX-Trans CMOS 4とX-Processor 4を搭載した富士フイルム最新カメラらしい仕様となっています。X-T30と同じく、連写時のバッファは非常に限定的ですが、APS-Cでは珍しいボディ内手ぶれ補正や競争力のある動画機能を備えています。また、X-T4など最新カメラと同等の仕上がり機能(フィルムシミュレーションや明瞭度設定、カラークロームブルーなど)を実装。富士フイルム機としては非常にコストパフォーマンスの高いカメラと言えるでしょう。

ただし、ファインダーやモニターの仕様は古いX-Txxシリーズを継承しています。この価格帯のファインダーとしては不足ありませんが、少し変化を見てみたかったところ。バリアングルモニタを搭載しているので、撮影体験には少し変化があるかもしれません。

機能面深掘り

X-T30と比べてアップグレードしている点は以下の通り。

  • 5軸6段分 ボディ内手ぶれ補正
  • 圧縮RAW
  • AF性能
  • MP4出力
  • Full HD 240p
  • 連続撮影時間 4K 30分・Full HD 30分
  • フィルムシミュレーション
    クラシックネガ・エテルナ ブリーチバイパス
  • カラークロームブルー
  • 明瞭度設定
  • HDR合成
  • トーン調整
  • AWB 白優先・雰囲気優先
  • USB 3.2 Gen1×1

ファームウェアアップデートでX-T30も強化される可能性はありますが、2020年11月時点でX-S10はX-T30と比べて、価格差以上の優位性があるように見えます。特にボディ内手ぶれ補正とフィルムシミュレーションなど仕上がり機能の強化は大きいと感じる人が多いのではないでしょうか。

価格をチェック

売り出し価格は118,000円。X-T30が10万円ちょっとで売り出されたことを考えると、機能性の面でコストパフォーマンスが優れた1台ということが出来ます。

FUJIFILM X-S10
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FUJIFILM X-S10/XC15-45mm
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X-S10 徹底レビュー

外観・箱

箱・付属品

富士フイルムらしい、黒を基調としたデザインです。今回はボディキット購入のため、サイズが小さく収納しやすい。

梱包は最新富士フイルム機と同様。上部に説明書や保証書があり、中間にカメラ本体、そして底部にケーブルやストラップなどが収まっています。カメラにエア緩衝材は使われていません。

付属品

  • カメラ本体
  • ボディキャップ
  • ストラップ
  • USB-C ー 3.5mm ヘッドホンアダプタ
  • バッテリー
  • USBケーブル
  • 説明書・保証書
  • Capture One for Fujifilm

充電器は付属していませんが、USB-Cポート経由で充電可能。ACアダプタは無いので、パソコン経由の充電が出来ない環境では別途購入する必要あり。

説明書に記載されているコードネームから、このカメラが発表前に噂されていた「FF200001」であることが分かります。

外観

デザイン

X-T30とX-T200とX-H1の特徴が入り混じっている独特なデザインです。これまでの富士フイルムXシリーズを知っている人であれば、このカメラがいかに異端児であるか分かると思います。

まず第1にグリップサイズが非常に大きいこと。富士フイルムでグリップの大きなAPS-Cミラーレスは「X-H1」のみ。そのデザインを継承しつつ、全体的に小型化されています。

第2にバリアングルモニタ搭載モデルであること。X-A7から始まったXシリーズのバリアングルモニタですが、ミドル・ハイエンドモデルで導入しているのは「X-T4」のみ。まだバリアングルモニタを使ったことが無いX-photographerの方も多いはず。

第3にエントリーモデルのような操作体系のカメラであること。基本的にX-Trans CMOSセンサーを搭載した富士フイルム機はシャッタースピードやISO感度ダイヤルを搭載したクラシカルなコントロールレイアウトである傾向が強いです。そもそも論として「P/A/S/M」モードダイヤルを搭載していません。

その一方で、X-S10はエントリーモデルのようなモードダイヤルを搭載し、シャッタースピードやISO感度専用ダイヤルを省略しました。このため、露出設定は基本的に前後のコマンドダイヤルで操作することになります。

全体的に見て、従来のXシリーズに慣れていると、操作に違和感があったり、慣れるまで時間がかかったりすることでしょう。逆に他社から乗り換える際は、比較的すんなり馴染むことが出来るかもしれません。既存ユーザーというよりも、新規顧客の獲得を狙ったカメラなのかなと。

質感

前面および上面はマグネシウム合金製のしっかりとした作り。背面や底面はプラスチック製ですが、ビルドクオリティを損なっていないように見えます。剛性はしっかりとしており、軋みや歪みはありません。防塵防滴仕様では無いので、悪天候には気を付けたほうが良いでしょう。

ハンズオン

サイズ

全体的にX-T30よりも大きいですが、横幅や全高に大差はありません。数ミリ程度の差に収まっています。ボディ内手ぶれ補正やバリアングルモニタ搭載モデルとしては非常にコンパクトにまとまったカメラであると感じます。

語弊があるかもしれませんが、手に取った際の感覚としてはマイクロフォーサーズ「OM-D E-M1 Mark III」に近いと感じました。もちろんグリップの形状やボタンレイアウトには違いがあるものの、自然とグリップでき、長時間の使用が苦にならない印象。

重量

大型グリップやボディ内手ぶれ補正の搭載が大きいのか、X-T30よりも80gほど重くなっています。X-T30にメタルハンドグリップを装着した時と同程度の重量です。特に重くは感じず、快適なグリップサイズもあって寧ろ軽く感じるほど。

カメラグリップ

深く大きく、そして握りやすい形状のグリップです。サイズが小さいので、中指と薬指、そして親指の3本でカメラを握ることになると思います。小指はあまりがちですが、3本の指でしっかりと握ることが可能。同価格帯の「EOS Kiss M」や「α6400」よりも握りやすいと感じます。

サムレストのサイズはX-T30と同程度。個人的にはもう少し大きくても良かったのですが、必要十分なサイズは確保されています。コマンドダイヤルの操作が多いカメラだと思うので、握りやすく安定して操作できるグリップは非常に重要。

レンズを装着しても、グリップとレンズの間に余裕のある空間があります。実際にグリップした際、手がレンズと干渉しにくいのは個人的に評価したいポイント。特にこれから寒い時期になると厚手の手袋を装着したままカメラを使う人も多いはず。

コントロールレイアウト

正面

ハイエンドモデルのようなフロントFnボタンはありません。そして、富士フイルムでは一般的な押し込み式ボタンに対応したフロントコマンドダイヤルではありません。つまり、コントロールポイントはコマンドダイヤルのみ。

ボタン数の少ないX-S10でフロントFnボタンが無いのは残念と感じますが、価格帯を考慮すると妥協すべきポイント。ダイヤル押し込み式ボタンは誤操作が多かったので、個人的には無くなったほうがスッキリしていいかと思います。

コマンドダイヤルはニコンやソニーと同じ、シャッターボタン下部に配置されています。クリックの間隔は90度で4回ほど。一回り16回と言ったところでしょうか。普通にダイヤルを操作すると、素早い操作でちょうど1段分の操作が可能となっています。

ダイヤルの軸は水平に対して垂直に固定されています。カメラが小さく、人差し指が上方向であまりがちとなるため、ダイヤルは少し上向きで固定されているとより使いやすかった可能性あり。

背面

富士フイルムは第3世代からAFジョイスティックを搭載する代わりにD-Padを省略する傾向があります。このカメラも例外では無く、D-Padが無くなりAFジョイスティックのみ搭載。メニュー画面はタッチ操作に対応していないため、基本的に小さなジョイスティックで操作しなければなりません。これがやや面倒。

配置こそ違いますが、X-T30と同じくAF-ONボタン(X-T30ではAFLボタン)とAELボタン、そしてリアコマンドダイヤルを搭載。フロントダイヤルと同じく、押し込み式ボタンには対応していません。

Fn設定可能な背面操作は以下の通り。
・ファインダー右のFnボタン
・タッチFn4方向
・AELボタン
・AF-ONボタン
左上のドライブボタンは変更不可。DISP・BACKボタンも機能固定です。タッチFnは初期設定でオフとなっているので、操作性向上のためオンにして使い慣れておきたいところ。

ジョイスティックのサイズは他社よりも小さく、若干ですが操作し辛いです。メニュー画面で頻繁に利用するので少しストレスが溜まります。ただ、X-T30よりも使いやすい配置となっているので、比較的マシになったと言えます。

他社のように「ジョイスティック押し込みボタン」に対応していますが、AF枠をフレーム中央に戻す機能がありません。初期設定では拡大機能が登録されており、それ以外に機能を割り当てることが出来ないのは残念。AF枠を中央に戻すにはAF枠の移動モードで「DISP/BACKボタン」を押す必要があります。

上面

右上にはシャッターボタンや電源レバー、そしてカスタマイズ可能なREC/ISO/Qボタンを搭載。さらに特徴的なモードダイヤルを実装しています。

富士フイルム機でQボタンが初期設定で上面に配置されているカメラは珍しい。このまま使い慣れるよりは、他のモデルに合わせて再配置するのも一つの手。

ISOボタンがこの位置にあるのも独特。他社ではお馴染みのポジションと感じるメーカーもありますが、富士ユーザーでこのポジションは慣れていないはず。

RECボタンはサイズが小さく、少し押し辛い配置のため存在を忘れがち。動画撮影にまったく興味がなければ、ボタンカスタマイズ推奨。

リアダイヤルはA/S/Pモードにおける機能が露出補正で固定されています。フロントダイヤルと役割を入れ替える設定はありません。従来機では普通に切り替えることができただけに、何故入れ替え不可としてしまったのか理解に苦しむところ。

左肩にはFnダイヤルとドライブボタン・再生ボタン、そしてフラッシュ展開レバーを搭載しています。

Fnダイヤルは初期設定でフィルムシミュレーションの選択に利用可能なほか、Mモード時に露出補正、フィルターモード時にフィルター選択として機能する設定も存在します。ただし、他の機能を割り当てることが出来ず、「Fnダイヤル」と言うほどカスタマイズには対応していません。ここにホワイトバランスやドライブ、アスペクト比などを割り当てることが出来ると面白そうなのですが…。

ドライブモードの変更はダイヤルではなくボタン式。このため、電源オフ時などに変更することは出来ませんが、モニターを見ながら連写やブラケットの細かい設定を素早く切り替えることが出来ます。個人的にはドライブダイヤルよりもボタン式のほうが使いやすいと感じます。

レスポンス

基本的に同世代のソニー製APS-Cミラーレスよりもレスポンスは良好です。特に撮影中の絞り操作やタッチ操作の遅延が少ないので軽快に利用できると思います。ただし、キヤノンやマイクロフォーサーズ陣営と比べると極僅かにレスポンスが遅いと感じます。

ファインダー

解像度・発色

X-T30系のファインダーそのままの236万ドットOLEDパネルを使用しています。X-Txxシリーズのファインダーに見慣れているのであれば、大きな変化はありません。

退化も進化もしていませんが、この価格帯のAPS-C用ファインダーとしては十分なスペックと言えるでしょう。

ファインダーは輝度・鮮やかさ・色調整の3系統をモニターとは別に調整可能。

アイポイント・光学系

X-T30と同じ17.5mmです。おそらく光学系も同じなのでしょう。光学系は歪曲が抑えられ、倍率色収差の補正もまずまず良好に見えます。

アイカップが無いに等しく、遮光性はほぼゼロ。このため、晴天下ではファインダーに太陽が反射して見えづらくなるかもしれません。

全体的にX-Txx系と同じサイズ・形状のファインダーとなっているため、社外製のアイカップが装着できる可能性あり。一つ注文しているので、届いたら実際に装着してレビューを更新予定。

モニター

解像度・発色

モニターの仕様はX-Txx系と同じ。104万ドット・3.0型カラー液晶を使用しています。発色は良好で、解像度はこのクラスで十分。

可動方式

Xシリーズでは珍しいバリアングルモニタを搭載。X-TransセンサーモデルとしてはX-T4に続き2台目ですね。X-A7やX-T200のような大型モニタではありませんが、チルト方式よりも使いやすいと感じる人は多いはず。特に動画撮影や自撮りなどで役に立つと思います。(もちろんチルト方式のほうが良かった、という人もいると思いますが)

タッチパネル

レスポンスはX-Processor Pro世代と比べて改善しています。まだ完璧とは言えませんが、実用に耐える応答性と言えるでしょう。操作はAFエリアの指定や、タッチシャッター、Fnメニューでの操作、タッチFnなどに対応。ファインダー使用時はAFジョイスティックを使わずにタッチパッドで操作も可能です。

バッテリー・カードスロット

バッテリーはスタンダードなNP-W126Sを使用。ボディ内手ぶれ補正を搭載しているためか、消費電力はX-T30よりも高くなっています。ただし、USB充電や給電に対応しているため、モバイルバッテリーなどがあればバッテリーライフが問題となることは少ない。

SDカードスロットはバッテリーコンパートメントの隣。2020年では珍しく、UHS-Iまでの対応スロットとなっています。特に非圧縮RAW連写時のバッファクリアには少し時間がかかるかもしれません。

底部は中央につなぎ目がある珍しい作り。もともと防塵防滴仕様のカメラではありませんが、特に底面は気を付けたほうが良さそう。

三脚ネジ穴は光軸から少し右よりの配置です。雲台に直接搭載する場合はこれが問題となるかもしれません。アルカスイス互換のプレートであれば調整は可能だと思います。

内蔵フラッシュ

小型ながら内蔵フラッシュを搭載。X-Txxシリーズと同じく、バウンスには対応していませんがコマンダー機能を実装しています。多灯フラッシュシステムを利用する際には便利ですね。

拡張性

カメラ左側面にマイク入力・USB-C・HDMI Dポートを搭載。USB-Cポートはパソコンへのデータ転送やテザー撮影(FUJIFILM X Acquire)に対応し、給電や充電、そしてアダプター経由でヘッドホン出力にも対応しています。

HDMI Dポートを使うことで4K 4:2:2 10Bitの豊かな色情報で映像の撮影が可能。バリアングルモニタやUSB経由でのヘッドホン利用可能を含め、この価格帯としては非常にリッチな動画仕様。ただ、HDMIポートはバリアングルモニタと干渉しやすいので注意が必要です。基本はマイク入力を使った内部記録(この際は4K 4:2:0 8Bit)がメインになるのではないかなと。

ISO感度ノイズ

解像力

ISO1600の数値がやや低下しているものの、これはおそらく測定ソフトの誤検出だと思われます。基本的にベースISO感度からISO12800まで快適に利用できる解像性能を維持。ノイズやコントラスト、発色を度外視するのであれば、常用ISO感度全域で良好な解像性能です。

ISO6400から12800ではパフォーマンスの低下が目に付きます。ベストを尽くすのであればISO800付近まで、許容範囲はISO3200付近と言ったところ。

同じレンズで測定したところ(フルサイズとAPS-Cでは使用領域が異なるので厳密には同じ環境と言えませんが)、フルサイズの2400万画素センサーと同程度の解像性能を維持していることが分かります。高感度域でも健闘している模様。

感度別実写作例

非圧縮RAWをAdobe Lightroom Classic CCで現像。出力時はシャープネスを「0」、輝度ノイズやカラーノイズの低減機能はオフにしています。

やはりベストを尽くすのであればISO800まで。ISO1600からフラットな領域に僅かなノイズが浮き始め、ISO3200から6400にかけて増加します。シャープネスは悪くない状態を維持しているものの、ISO12800で最も画質が低下します。

全体的に見て、RAW出力時にカラーノイズを低減している模様。このため、全てのノイズリダクションをオフにしてもカラーノイズリダクションを適用したようなディテールのモヤモヤ感が残ります。さらに、細かいディテールに出力時のノイズリダクションで処理できなかったカラーノイズが残存。状況によっては偽色のような不自然な描写となるかもしれません。

カラーチャート

常用ISO感度全域で良好な彩度を維持しています。ノイズが気にならなければISO12800まで快適に利用できると思います。

グレーチャート

ISO160から6400まで良好な諧調を維持しているように見えます。ISO12800のみ、ノイズの影響で僅かにコントラストが低下している模様。やはりカラーノイズは全く目立ちません。フラットなシーンでは良好なカラーノイズ低減が期待できそうです。

ダイナミックレンジ

非圧縮RAW

ファイルサイズ

X-S10のRAW出力は「非圧縮」「ロスレス」「圧縮」の3種類に対応しており、最も画質劣化が少ないと思われるのがこの非圧縮RAW。ただしファイルサイズが非常に大きく、ストレージを圧迫しやすい点には注意が必要です。同一条件で撮影した作例で以下のようなファイルサイズ差となります。

  • 非圧縮RAW:54.8MB
  • ロスレスRAW:25.6MB
  • 圧縮RAW:19.0MB

ロスレスや圧縮の倍以上のファイルサイズとなるので、画質を考慮してもストレージへの負担が大きすぎます。後述しますが、ロスレスRAWのほうがバランスの良い出力形式だと思います。

画質について

非圧縮RAWのダイナミックレンジは非常に良好。ハイライトはフルサイズと比べて遜色なく、シャドウは若干狭いと感じるものの、-4EV程度の増感であれば耐えてくれそうな性能に見えます。

ハイライトは3EV以上の露出オーバーで色情報が抜けてしまうため、必要に応じて「DR200~400」を活用すると良いでしょう。もちろんシャドウの諧調は損なわれますが、ハイライトを重視する場合は積極的に活用すべし。

ロスレスRAW

読んで字のごとく。「ロスの無い圧縮RAW」です。別名、可逆圧縮とも呼ばれており、画質に影響なく圧縮率の高いRAW出力に対応しています。実際に非圧縮RAWと見比べても、ダイナミックレンジに影響が見られません。ストレージを節約しつつ、高画質を維持したいのであればロスレスRAWがおススメ。

欠点は非圧縮と比べて現像時の展開速度が遅いことですが、最近のパソコンであれば特にストレスは溜まらないはず。基本的にロスレスRAWで問題ないと思います。

参考:非圧縮RAWとロスレスRAWの比較

圧縮RAW

X-T30には無かったRAW形式がこれ。可逆圧縮と呼ばれる「ロスレスRAW」に対して、圧縮RAWは「非可逆圧縮」と呼ばれています。つまり部分的に情報を切り捨ててファイルサイズを小さくしています。ロスレスRAWに対して4/5程度のファイルサイズとなり、最もストレージを節約できる形式です。

画質への影響はシャドウ側のダイナミックレンジが少し狭まる程度です。撮影後にシャドウをガッツリ増感するのであれば、ロスレスRAWや非圧縮RAWがおススメ。基本的に撮って出しJPEGメインでRAWは保険程度の扱いなら圧縮RAWでも問題ないでしょう。

とは言え、ロスレスRAWとのファイルサイズ差は魅力的とは言えず、個人的にはロスレスRAWで良いかなと。

参考:非圧縮RAWと圧縮RAWの比較

ダイナミックレンジDR100/200/400

ダイナミックレンジ「DR100/200/400」とは…

撮影する画像のダイナミックレンジを変更できます。広いダイナミックレンジでの撮影は、明暗差の強い建物、コントラストの高い被写体(光と波、強い光と紅葉、青空での人物撮影など)、白い被写体(建物、動物、白い服でのポートレート撮影など)などのシーンに効果的です。選んだダイナミックレンジの広さで撮影します。

富士フイルム:X-Pro2説明書より抜粋

要はハイライトの諧調を維持するため「白飛びしないアンダーで撮影してRAW現像時に増感して適正露出に戻す」作業をカメラ側で処理してくれる便利な機能です。撮影時は適正露出で快適なライブビュー像を利用できるので非常に便利。

他社でRAWの適正露出に作用するのはキヤノンの「高輝度諧調優先モード」くらいのはず。「JPEG出力時のシャドウを持ち上げる機能」や「ハイライト重点測光」のような機能は他社も多く実装していますが、RAWに作用する機能は少ないのですよね。

「アンダーな露出を内部で増感処理」しているため、当然ながらシャドウ側のダイナミックレンジは狭くなり、ノイズが出やすくなる点には注意が必要です。

DR100~400(アンダー5EV)

前述した通り、通常のDR100と比べてDR200やDR400でノイズが増えていることが分かります。シャドウの諧調やディテールを多少犠牲にしていることは理解して使うのがおススメ。

面白いことにDR200よりもDR400のほうが低ノイズです。おそらく、これはデュアルゲインISO回路がDR200とDR400の間で自動的に切り替わっているため。DR400は高感度側の回路に切り替わっており、DR200と比べて低ノイズになっているのだと思われます。

今回のテスト結果は全てベースISO感度で撮影している点には注意が必要です。「DR100=ISO160」「DR200=ISO320」「DR400=ISO640」となり、おそらくISO320とISO640の間でデュアルゲインISO回路が切り替わっているのではないかなと。このため、ISO640以上でDR200・DR400を使った場合、ノイズ差は縮まると思われます。

このことから、ベースISO感度で撮影する場合はDR200よりもDR400を使ったほうが効果的と言えるかもしれません。

DR100~400(オーバー5EV)

DR100が見事に白飛びしているのに対し、DR200やDR400はハイライトの諧調が粘っていることが分かります。今回のテスト結果ではDR200とDR400の間に差が見られませんが、より輝度差のあるシーンでは1段分の差が顕著となるかもしれません。

JPEG画質

フィルムシミュレーション

引用は富士フイルム公式「各フィルムシミュレーションの特長は?」を参照しています。

Provia

自然な色再現で幅広く活用できる標準的な階調と発色が特徴です。普段の撮影や見た目通りの自然な描写をお求めの際にご利用ください。

多くのカメラで初期設定となっているフイルムシミュレーション。VelviaやAstiaほど色鮮やかでは無いものの、諧調はそれなりにハード。特にシャドウがストンと落ちやすいで、気になる場合はトーンカーブでシャドウをマイナス補正しておくのが良さそう。

Velvia

メリハリのある階調と鮮やかな発色が特徴です。例えば、青空をより青く、夕焼けをより赤く、花の色をより鮮やかに表現したいときになどに最適です。

記憶色寄りのチューニングで、特に青色がProviaと大きく異なります。状況によってProviaの青とVelviaの青は使い分けるのが良さそう。諧調はProviaよりもハードとなるので、コントラスト差が強いシーンでは白飛びや黒潰れ、色飽和が発生しやすいと感じるかも。

Astia

 肌色の自然な階調と発色を持ち人物の撮影に適しています。また、霧や雨の中などしっとりとした風景の描写にもご利用いただけます。

彩度はVelvia寄りながら、諧調がグッとソフトになった仕上がり。このため、色鮮やかながら、飽和しにくく諧調豊かなフイルムシミュレーションと感じています。色鮮やかな春の季節に良く似合う印象。

ただし、シャドウはそこまで軟調ではなく、ヒストグラムを見る限りではプロビア並。あくまでもハイライト側の諧調のみソフトとなっているようです。

Classic Chrome

特定のフィルムではなく、グラフジャーナリズム全盛期の雑誌や、ドキュメントタッチの写真集に“印刷されたイメージ”を徹底的に見つめることから画質を設計しました。今までの絵づくりとは明らかに違う、僅かに渋みを含んだ色彩とシリアスな階調。単なる事実を写した画像ではなく、撮影者の視座や思いが込められた写真へ。新フィルムシミュレーション「クラシッククローム」が、写真表現の領域を拡げます。

従来のフイルムシミュレーションと比べると低彩度ながら、諧調はややハードでパンチは強い。青色が少しくすんだ色をしているのは、意図的にマゼンダを抜いているそうな。その割に使いやすく、汎用性の高さを感じます。個人的には特に黄色を写す時に、独特の雰囲気でハマることが多い。

PRO Neg.Hi

スタジオ撮影にも対応する、ポートレートに適した“プロ用カラー ネガフィルム”モードです。
メリハリ感のある階調でやや鮮やかな色彩。ポートレート撮影のほか、コマーシャルフォトや建築写真などにも最適です。

Proviaとよく似ているように感じますが、全体的に少し彩度を抑えつつ、肌色や赤色は少し健康的な色味となっている模様。諧調はそれなりにハードで、PRO Neg.Stdと比べるとコントラストが付きやすい。

PRO Neg.Std

スタジオ撮影にも対応する、ポートレートに適した“プロ用カラー ネガフィルム”モードです。
柔らかな階調でキメの細かい肌色の描写。スタジオポートレート向き。

色味はPRO Neg.Hiとそっくりですが、トーンがETERNAに次いでソフト(特にシャドウ)。紹介文にもあるように、ライティングで意図したコントラストを作り出す時に使いやすそう。

Classic Neg

スナップ撮影などで愛用されてきたカラーネガフィルムをもとに画質設計を行ったモードで、高いコントラストによる立体感溢れる表現を可能とします。

かなり独特な仕上がり。パステルカラーが全体的に弱い一方、原色系はそれなりにしっかりと色が乗る不思議。ハイライトではマゼンダが主張し、中間色やシャドウではそこまで被らない絶妙な匙加減。ハイキーな写真とローキーな写真で写り方がまるで違うのは面白い。

デジカメwatchの特集記事で「明度によって色の見え方が変わるような設計にしています。ですので、暗いトーンだとシアンに、明るいトーンだとマゼンタになるように調整」とのこと。

肌色はそれなりに健康的で、クラシカルながら人物を撮るのにも適している印象。鮮やかな赤色を主張したい時に面白い選択肢となるかも。

ETERNA

映画用撮影フィルム(ETERNA)を再現した動画撮影に適したフィルムシミュレーションです。落ち着いた発色と豊かなシャドウトーンが特徴です。

低彩度で最も諧調がソフトなフイルムシミュレーション。まさにシネマ用。

静止画で使うと非常に軟調となり、撮って出しのJPEGをそのまま使うのは厳しい。ただ、シャドウ・ハイライトの諧調が共に豊かで、色飽和もしにくい。富士フイルムのカラーサイエンスでレタッチしたい場合、JPEG出力のETERNAをAdobe Lightroomなどで編集すると面白い結果が得られる。

ETERNA Bleach Bypass

彩度は低く抑えられつつもコントラストのある仕上がりの絵は、フィルム時代から多くの写真家や映像作家に支持されていた”銀残し”のフィルム現像技法を忠実に再現。表現の選択肢を更に広げます。画質設定の「ハイライトトーン」と「シャドウトーン」をプラス側に、「カラー」をマイナス側に設定すると、銀を多く残したような風合いを再現できます。

全体的にETERNAよりも低彩度ながら、諧調はベルビア並にハードという癖の強い仕上がり。

シャドウはプロビアやアスティアと同程度ですが、ハイライトはフルスイングで白飛びさせる気マンマンのチューニングが施されているように見えます。

白飛びしているように見えるものの、ハイライトの色情報は豊富に残っています。思いのほか諧調を維持しており、JPEGのレタッチ耐性は高い。

Across

超微粒子で知られる白黒フィルム「ACROS」の名を冠したフィルムシミュレーション。より滑らかな階調、引き締まった黒、美しい質感再現が特徴。一般的な白黒モードとは一線を画する超高画質な黒白写真表現が可能です。

ハイライトとシャドウの着地点はモノクロと同等に見えますが、特にシャドウ側の深みが強くなっているように見えます。リニアなモノクロの諧調と比べると、少しパンチのある仕上がり。ハイライトも微妙に調整されているらしいですが、シャドウのチューニングあってこそのハイライトと言った印象があります。

Mono

モノクロ写真のモードです。通常のモノクロに加えて、コントラストを高める「イエロー(Ye)フィルター」「レッド(R)フィルター」、緑色を明るく・赤色を濃く表現する「グリーン(G)フィルター」を使ったように表現意図に合わせた画質調整が可能です。

Sepia

時間が経ち色あせた写真を再現したモードです。レトロ感やノスタルジックな雰囲気を演出したい場合に適しています。

アクロスやモノクロと比べると、全体的にシャドウ寄りのトーン。と言うかハイライトが少し抑え気味。

トーン

トーンカーブ

従来の「ハイライトトーン」「シャドウトーン」が統合され、一元的に管理することが可能となりました。個別の機能から設定を変更していた従来機と比べると素早い操作に対応しています。

しかし、Qメニューやボタンカスタマイズには対応しておらず、メインメニューから呼び出す必要があるのは非常に不便。ファームウェアアップデートでショートカットボタン・メニューに対応して欲しいところ。

設定できる数値は従来通り。どちらもプラス方向に4まで、マイナス方向に2まで設定可能です。

富士フイルムの初期設定はシャドウをストンと落とす傾向があるので、気になる場合はシャドウをマイナス方向で調整すると良いでしょう。特にProviaやVelviaで輝度差の大きいな風景シーンではマイナス方向の調整がおススメ。

正直なところプラス方向の調整はコントラストが強くなりすぎるので扱いが難しいと思います。ETERNAやPRO Neg.Stdなど、初期設定で少し軟調なフイルムシミュレーションでプラス方向に調整したいと感じる場面があるかも。

カラークロームエフェクト

マゼンダに作用し、色に深みを持たせる面白い機能です。記憶が正しければ、GFX 50Sで初導入され、今ではX-T30のようなミドルレンジのAPS-Cでも利用可能です。X-S10も当然のように利用できます。

実写を確認してみると、主に赤色やピンクに作用していることが分かります。ただし、よく見てみると他の色でも微妙に色が濃くなっている模様。青・緑・黄色も少しだけ色鮮やかになっていますね。

特に赤色や黄色が色飽和しやすい被写体に有効な機能のようです。もともと低彩度な被写体には効果が薄い印象。

カラークロームブルー

X-Pro3で導入されたカラークロームエフェクトのブルー版。実装しているカメラはまだ少なく、2020年に登場した最新モデルのみ実装。同じプロセッサーを搭載するX-T3やX-T30でも利用できません。

この機能を使えるカメラとしては、X-S10が最も手ごろな価格設定。

名前の通り、主に青色に深みが出る機能のようです。PLフィルターを使ったように色濃くなるので非常に分かりやすい。くすんだ青空などを見栄え良く、諧調豊かに撮りたい時は便利な機能と言えそうです。

カラークロームエフェクトと同様、他の色にも影響は少しありますが、違いは極僅か。

グレインエフェクト

グレインエフェクトは従来から存在する粒状感を追加する機能です。初導入はX-Pro2まで遡り、X-Pro3から「粒度」の設定項目が追加。

従来までのグレインエフェクトは、どちらかと言えば「粒度=小」のきめ細かい描写。

しかし、「粒度=大」は今までよりも粒子が大きく、よりフイルムライクなイメージに近づけているように見えます。

ノイズリダクション

富士フイルムの高感度ノイズリダクション機能は少し変わっていて、プラス方向に4、マイナス方向に4の設定が可能です。このため、「0」設定でノイズリダクションがオフとなっているわけでは無いので注意が必要です。

と言うか、ノイズリダクションをオフにする設定は存在せず、「0を起点として効果を強めるか、弱めるか」として作用するように見えます。

このため、「-4」設定でもRAWのようなノイズではなく、ある程度処理された粒状感となっています。

富士フイルムの高感度ノイズ処理は良好でISO6400~12800で「-4」設定でも特に大きな問題は見当たりません。常用ISO感度内であれば好みに合わせて好きな強度のノイズリダクションを使えば良さそう。

ISO25600を超えてくると、ノイズリダクションによるディテールの損失が大きい。特にプラス方向のノイズリダクションはディテールが溶けやすいので注意が必要です。

*ファイルサイズが大きいので注意(1枚4MBほど)

オートフォーカス

AFメニュー

メインメニューにはAF/MF専用のタブが用意されているので非常にアクセスしやすい構造となっています。機能性も十分良好で、特に過不足は感じません。

AFエリア

基本となるフォーカスエリアは3種類から選択可能。「シングル」「ゾーン」はそれぞれ6段階・3段階でサイズの変更が可能です。「ALL」はシングルからワイド(全域)までのサイズ調整を一括で操作できるモードです。AFモードをいちいち呼び出したくない場合は「ALL」で操作すると素早く変更可能。

AFエリア移動

D-Padの無いX-S10でAFエリアを移動する場合、操作方法は「AFジョイスティック」もしくは「タッチパッドAF」「タッチAF」の3種類。他社のようなダイヤル操作によるエリア移動には対応していません。

AFエリアを中央に戻したい場合はフォーカスフレーム選択モード時に「DISP」ボタンを押すと中央に移動します。AFジョイスティック押し込みでフレーム中央に戻る機能が存在しないのは不思議でなりません。(押し込み機能は「拡大・縮小」「フォーカスフレーム選択」機能のみ)

フォーカスレバー押し込みボタンは初期設定で拡大縮小に対応。「フォーカスエリア選択」に切り替えることも出来ますが、レバー操作で「ダイレクト移動」に設定していない限り割り当てる必要はありません。

初期設定は「フォーカスリア選択」となっています。この場合、ジョイスティックを操作することで選択モードに自動的に切り替わりつつ、AFエリアの移動が可能です。この際にダイヤル操作でフォーカスエリアのサイズを切り替えることも出来るので便利。

「ダイレクト移動」に設定すると、「フォーカスエリア選択」モードに切り替わらずにフレームを移動できます。このため、ダイヤル操作でAFエリアのサイズが変わってしまう誤操作を防ぐことが可能です。その一方、サイズを変更したい場合は別にボタンカスタマイズへ設定するか、メインメニューから呼び出す必要があります。

Tips:タッチ機能を固定する

X-S10は背面モニタで「タッチAF」「タッチAFエリア移動」「タッチシャッター」に対応しています。現在の状態はモニター右上(下部写真の赤枠)に表示されています。これをタッチすることでメニューシステムに潜らずとも役割を変更することが可能。

ただ、意図せずにこのボタンに触れてしまい、いつの間にか「タッチシャッター」に切り替わってしまい、誤ってシャッターを切ってしまう人も多いはず。

この際は「画面のカスタマイズ」で「タッチパネルモード」の表示を消すことで役割を固定できます。機能を切り替えたい時は「フォーカス設定3ページ」のタッチパネルモードから変更可能です。

フォーカス速度・精度

AF-S

「ハイエンドモデルと同等の0.02秒の高速AFを実現」と言われています。確かにレスポンスは良好で、一般的な撮影で苦労することはほとんどありません。

低照度AFも良好で、F1.0レンズと組み合わせた際は-7.0EVまでの測距輝度範囲に対応している模様。実際に、F2.8のレンズで水族館のような暗いシーンでピントを簡単に合わせることが出来ました。

無限遠側で少しピントを外す癖も抑えられているように感じます。(ゼロではありませんでしたが…)

AF-C

X-Processor PRO時代と比べると遥かに良好。レスポンスが良く、追従性能もかなり良い。初動で背景にピントが抜けれなければ良好なヒット率を期待できるはず。ブラックアウトフリーの電子シャッター連写にも対応しているため、連写時の視認性も良好です。

問題はレンズ側。ステッピングモーターやリニアモーター駆動のレンズであれば問題無いものの、古い単焦点レンズで時代遅れなDCコアレスモーターを使ったモデルが多いのが痛い。単焦点レンズでスピードが求められるシーンは少ないものの、子供を追いかける際にDCコアレスモーターは力不足と感じる場合が多いです。

トラッキング

ワイドエリアのみ対応。使い勝手は他社とほぼ同じで、1点AFで任意のポイントを指定して追従を開始します。顔検出をオンにしている場合は顔検出を優先しつつ、検出が外れてもトラッキング機能で追従可能。

トラッキングAFは「従来機の2倍の性能」と言われているように、確かに粘り強く被写体を捕捉します。非常に頼もしい。ただし、ソニーのリアルタイムトラッキングと比べると粘り強さに限界があり、あまりに素早く被写体だと背景などに乗り移ってしまう場合があります。

AF-Cカスタマイズ

AF-Cの追従特性を3種類のパラメータで調整することが可能。

  • 被写体保持特性:俊敏ー粘るで5段階の調整に対応
  • 速度変化特性:等速ー変速で3段階の調整に対応
  • ゾーンエリア特性:中央ーオートー手前の3段階の調整に対応

全部で45通りのカスタマイズに対応しています。状況に合わせた最適なカスタマイズを導き出すのは難しいと思いますが、各特性を図付きで簡単に調整可能。迷ったら便利なプリセットが5種類から選ぶと良いでしょう。

検出機能

X-Processor PRO世代の顔検出はおまけ程度の機能性でしたが、X-Processor 4世代は改善に改善を重ね、かなり使いやすくなったように感じます。まず第一にレスポンス・表示速度が向上し、ユーザーエクスペリエンスが改善していること。さらに検出精度が向上して不得手なシチュエーションが少なくなっているように感じます。

顔検出はなかなか良好。前述したように、レスポンスが良好で状況を視認しやすいのがGood。さらに、トラッキングモードでは一度検出した瞳や顔を粘り強く捕捉し続けます。

気を付けたいのは「シングル」や「ゾーン」エリアモードの時の挙動。基本的に顔検出モードがオンの場合、エリアモードが「シングル」「ゾーン」でも検出範囲は「ワイド」となります。つまり、シングルやゾーンのAFエリア外で顔検出した場合は顔を優先してフォーカスします。ソニーやニコン最新機種のように、フォーカスエリア内に顔検出範囲を絞る機能はありません。

そして、顔検出が外れると、躊躇なく元のフォーカスエリアを追従し始めます。このため、顔検出が外れた瞬間にピントが大きくずれる可能性あり。「トラッキング」モードならば、検出が外れたとしても、粘り強く捕捉し続けることが可能。このため、顔検出でAF-Cを利用する場合は「ワイドエリア」の利用がおススメ。

帽子をかぶった状態はキヤノンやソニーが苦手とするシーンですが、富士フイルムはニコンと同様に瞳を検出していることが分かります。ニコンほど素早く検出はできませんでしたが、これは予想よりも良い結果です。

眼鏡装着時は他社と同様苦戦しています。瞳を検出したとしても、眼鏡にピントが合っている可能性が高い。

Tips:ジョイスティック押し込みで顔検出を無効にできる

ジョイスティック押し込み機能の一つである「ダイレクト移動/顔セレクト」設定時は、顔検出時にフォーカスレバーを操作して複数の顔から任意の顔を選択できるほか、スティックを押し込むことで顔検出を無効にすることが出来ます

ライブビュー上ではグレーアウトした顔検出枠がそのまま表示されますが、従来通りのシングル・ゾーンエリアでのAFを利用することが可能です。これまで、強制的に上書きされてしまう顔検出とは少し異なるシステムとなっている模様。

検出距離

X-Processor PRO世代と比べると、顔を検出できる距離が遥かに長くなっています。

この顔のサイズで瞳検出に対応するため、全身ポートレートでも余裕で瞳AFを利用することが可能です。ただし、この撮影距離は「検出後に粘ってこのサイズ」となるため、検出開始時はもう少し顔をアップにしたほうが検出しやすいと思われます。

マニュアルフォーカス

マニュアルフォーカス時はライブビュー上にレンズのピント位置を表示することが可能です。当然、レンズ側が距離エンコーダーに対応している必要があります。サードパーティ製レンズアダプター経由のMFレンズやAFレンズでは利用できない可能性が高いです。ただし、VILTROXのようなネイティブXマウントレンズではピント距離表示の連動を確認。

さらに純正レンズでは絞り値と連動した被写界深度表示が可能となっています(青い部分)。これが非常に便利で、特に広角側でゾーンフォーカスを利用したい時に活用しています。この機能はVILTROXで機能しないことを確認しています。

MFアシスト機能

X-S10には4種類のMFアシストがあり、どれか一つを選んで利用することが出来ます。拡大表示以外の同時利用は出来ません。

スタンダード(拡大)

通常表示です(デジタルスプリットイメージ/デジタルマイクロプリズム/フォーカスピーキング機能を使用しません)。

オーソドックスな拡大機能です。X-S10は「2.5倍」「6.0倍」の2段階で表示可能。特に被写界深度が浅い場合や、マクロ撮影など繊細なフォーカス操作が必要な時に「6.0倍」では足りないと感じる場合が多いです。(他社では20倍表示に対応しているモデルもある)

正直なところ、ファインダーの倍率・解像度がイマイチなうえに拡大倍率が低いので個人的に使いやすさの評価は低い。

デジタルスプリットイメージ

画面中央部にスプリットイメージが表示されます。スプリットイメージの上部、中央部、下部に3本の分割線があるので、ピントを合わせたい被写体が分割線上に写るようにして、分割線上下での像のズレが無いようにフォーカスリングを回して、フォーカスを調整してください。

フィルム時代ではお馴染みのスプリットイメージです。フィルム一眼レフのスプリットイメージはフレーム中央の小さな円形でのみ確認可能でしたが、富士フイルムのデジタルスプリットイメージはフレーム中央の広いエリアで確認することが出来ます。

分割方向は水平のみ。このため、垂直方向の線があるとピントを合わせやすいものの、水平方向の線しかないとあまり役に立ちません。デジタルマイクロプリズムと異なり、カラー・モノクロどちらでも利用可能です。

スタンダードの拡大倍率が小さいので、素早くピントを合わせようと思ったらこちらの方が便利です。

デジタルマイクロプリズム

ピントがずれているときは像のボケが強調されて格子模様になり、ピントが合うと格子模様が消えて像が明確になります。

これもフィルム一眼レフではお馴染みのマイクロプリズム。正直に言うとピントの山に合わせづらいです。まだスプリットイメージのほうが簡単。ざっくりピントを合わせたい場合に使うのは一つの手。

フォーカスピーキング

コントラストの高い輪郭部分が強調されます。フォーカスリングを回して、撮影したい被写体が強調されるように調整してください。

ライブビューのMFアシストとしては各社お馴染みのピーキング機能。素早く、ざっくりとピントを合わせる時に便利ですが、コントラストが被写体を色づけするため、場合によって見づらくなります。特に被写界深度の深い広角レンズで使用すると、全体的にピーキングが反応してしまうこともしばしば。ピントの山は特につかみづらい印象あり。

メニューシステム

全てを解説しているときりが無いので「お!」と思ったポイントをピックアップ。

画質

  • 画質サイズ:従来通りアスペクト比は「3:2」「16:9」「1:1」の3種類。他社では縦位置で使いやすい「4:3」を導入するところもあるので、富士フイルムも早いところ「4:3」を実装して欲しいところ。
  • RAW記録方式:X-T30と異なり「圧縮RAW」に対応しています。ダイナミックレンジは狭くなりますが、ファイルサイズを抑えてストレージを節約することが可能。
  • フィルムシミュレーション:クラシックネガとETERNAブリーチバイパスに対応。X-T30やX-T3では実装していないため、2020年モデルの強みと言えるでしょう。
  • カラークロームブルー:カラークロームエフェクトのブルー版。やはり2020年モデルの強み。
  • ホワイトバランス:AWBに「白優先」「雰囲気優先」が追加されています。これも地味に2020年モデルの強みと言えそう。(X-T30やX-T3には無かったはず)
  • トーンカーブ:基本的に「ハイライトトーン」「シャドウトーン」と同じ機能ですが、一つに統合され使いやすくなっています。
  • 明瞭度:ハイライトとシャドウの諧調を維持しつつ、シャープネスとトーンの両方に作用する設定値です。ニコンの明瞭度設定と比べると効き目が穏やかな印象。
  • カスタム登録:従来機では画質の設定値を変更できる機能でしたが、ドライブや絞り、撮影モードなど、非常に幅広いカスタマイズが可能となっています。カスタム枠はモードダイヤルに対応した4つしかありませんが、素早い撮影モードの変更には効果的と言えるでしょう。
  • マウントアダプター設定:ボディ内手ぶれ補正の実装によって、電子接点の無いオールドレンズ用に焦点距離を入力する機能が追加されました。これにより、オールドレンズでも効果的な手ぶれ補正を利用てきるほか、レンズ名入力機能で写真の管理も簡単になります。

X-T30やX-T3と同じプロセッサーを使用していますが、仕上がり機能はかなり強化されています。JPEG出力の機能性は今のところ富士フイルムで最もコストパフォーマンスが良好。臨機応変で素早いカメラ設定の変更が要求される撮影でも頼もしいカスタマイズ性を発揮してくれます。

AF/MF

  • フォーカスモード:AFモードとは別機能。X-S10にはAF/MFスイッチが無いため、電子制御で「AF-S/AF-C/MF」モードを操作します。物理操作になれていると煩雑に感じますが、ボタンカスタマイズやQメニューにこの機能を割り当てると素早い操作が可能です。

AFの基本性能は向上しているように感じますが、メニューを見る限りではシステムに大きな変化はありません。

撮影

  • インターバルタイマー露出平滑化:X-T3やT30の時には無かった機能。インターバル撮影中にカメラが自動で露出を調整することが出来ます。オフにすることも可能。
  • AEブラケッティング設定:AEブラケットの細かい調整が可能です。ステップやコマ数、順序などに対応。
  • シャッター方式:相変わらず電子先幕シャッターはありません。ボディ内手ぶれ補正の効果を最大化したいのであれば、電子シャッターの使用が理想的か?

フラッシュ

特にこれと言って変更点は見当たりません。

動画

基本的にX-T4と同じく、動画モード時はメニュー画面が動画専用メニューへ移行します。通常時は下部に掲載した簡易的な設定しかできません。そのぶん、X-T30と比べて階層が浅く、変更したい設定項目へのアクセスが容易となっています。

設定メニュー

従来通り、競合他社と比べて充実した設定機能を備えています。ファインダーとモニターをそれぞれ個別に輝度や色を調整でき、情報表示の回転やコントラスト調整などに対応。ここまで細かい情報表示の調整が可能なのは富士フイルムくらいのはず。

X-T30と比べて「F-Log ビューアシスト」機能が追加されているほか、クイックメニューの背景透過設定や静止画と動画のメニュー項目の分離が特徴的と言えるでしょう。動画撮影で使いやすくなっていると思います。

X-T30にあった「コマンドダイヤル設定」が無くなってしまったのは悩ましいところ。これにより、絞りやシャッタースピードの操作はフロントダイヤル固定となり、リアダイヤルは露出補正に機能が固定されています(Mモード時はリアがSS・フロントが絞りで固定)
正直に言うと、リアダイヤルでの絞り操作に慣れているので今後のファームウェアアップデートで変更機能を追加して欲しいところ。

カスタマイズ

ボタンカスタマイズ

カスタマイズ可能なコントロールポイントは物理ボタンが6カ所、タッチFnが4カ所、ダイヤルが1カ所あります。タッチFnは初期設定で使用不可となっているので注意が必要。この機能を開放することで、ショートカット機能を4つ追加できるのは大きい。

小型軽量なカメラですが、思っていたよりも自由にカスタマイズが可能。ただし、なぜかドライブ機能のみカメラ左上のゴミ箱ボタンで固定されています。

基本的に従来機と比べて大きな変化はありませんが、目新しい仕上がり機能などは追加されています。

Fnダイヤルもカスタマイズ可能ですが、今のところフィルムシミュレーションの選択しか存在せず、Mモード時に露出補正として使うかどうか選べるのみ。正直に言うと、ここはもう少し頑張ってほしかった。

最も注意すべきは従来機に存在した「カスタム選択」機能が無くなっていること。これまでは主に「画質のカスタマイズ機能」でしたが、X-S10ではカメラ設定の包括的なカスタマイズに対応しています。そして、カスタマイズはモードダイヤルと連動しているため、カスタム選択機能が無くなってしまったのだと思います。

従来機ユーザーの撮影体験を考えると、「モードダイヤルのカスタム枠」と「従来のカスタム枠」は分けるべきだったのかもしれませんが、今のところX-S10の仕様ではワンタッチで「画質のみ」を変更する機能がありません。

クイックメニュー

大きな改善点は背景が透過するようになったこと。従来のクイックメニューは背景がブラックアウトしてしまうので不便だったのですよね。(特に仕上がりを見ながら調整する場合)

ライブビューの状態でQボタンを長押しすると、直接クイックメニューのカスタマイズへ移行可能。クイックメニュー時にQボタンを長押しすると、カスタム登録/編集モードへ移行可能です。

機能的にこれと言って大きな変化はありませんが、静止画と動画のクイックメニューが分かれたのでカスタム枠に余裕が出来る人もいることでしょう。

クイックメニューの登録枠が多すぎると感じる人は、登録枠を減らすことも出来ます。枠数も静止画と動画で分けて設定可能となっているのは凄い。

ドライブメニュー

X-S10は専用のドライブダイヤルを持たないため、ドライブモードの変更はカメラ左上のドライブボタンを押して専用モードへ移行します。

ドライブ変更モード移行後はメニューから連写速度やブラケットなどの設定値を変更可能。他機種のドライブダイヤルと比べて、細かい調整まで素早く実行できるのは便利。個人的にはダイヤルよりもこちらの操作性のほうが好みです。

カスタム登録/編集

前述してきた通り、包括的なカメラ設定の変更が可能となっています。モードダイヤルを回すだけで風景撮影用・ポートレート用・動体撮影用などのセッティングへ瞬時に移行できるのは強みと言えるでしょう。物理操作がメインだった従来機と比べると素早い切替が可能。

競合他社のカスタムモードと異なり、カスタムモード中に絞り優先・SS優先・マニュアルモードなどを変更できるのが凄い。これにより、いちいちP/A/S/Mモードから登録し直す必要が無いので、Cモードだけで撮影を完結させることも出来ます。

その一方で画質・仕上がりのみをカスタマイズして変更する機能が無くなりましたカスタムモードでカメラ設定を統一し、画質のみを切り替えることも可能ですが、現場に合わせたカメラ設定はリセットされてしまいます。

従来機と比べると大幅な仕様変更と言えるので気を付けたいところ。

連写・ドライブ

ドライブモード

X-S10のドライブモードはカメラ左上の「ドライブボタン」から変更します。それ以外の手段は用意されておらず、Qメニュー・メインメニューですら代わりとなる機能は存在しません。ボタンカスタマイズでも変更不可。ここまで柔軟性が無いのは、他のモデルは物理的に「ドライブダイヤル」が用意されているので、「ソフト的なドライブモード」の開発・改善に積極的ではないのだと思われます。

多少不便ではありますが、慣れれば特に問題はありません。とは言え、同じドライブ系の機能となる「プリ連写モード」「セルフタイマー」「インターバルタイマー」「シャッター方式」などにはアクセスできません。これらを一括で変更できると便利だと思うのです。

ドライブモード機能リスト
  • 1コマ撮影
  • CH高速連写
    ・30/20/10fps Crop
    ・20/10/8fps
  • CL低速連写
    ・5/4/3fps
  • ISOブラケティング
    ・±1/3、±2/3、±1
  • ホワイトバランスブラケティング
    ・±1/±2/±3
  • ブラケティング
    ・AE
    ・フイルムシミュレーション
    ・ダイナミックレンジ
    ・フォーカス
  • HDR
    ・AUTO
    ・HDR200/400/800/PLUS
  • パノラマ多重露光
    加算/加算平均/比較明合成/比較暗合成

今回のレビューで各種ブラケティングやパノラマ、HDR、多重露光は割愛します。基本的に従来機と比べて大きな変更点はありません。「HDR」はX-Pro3あたりから実装された3枚合成のHDR写真を生成する機能です。

シャッター方式

X-S10は最速1/4000秒までのメカニカルシャッターと、最速1/32000秒の電子シャッターを利用可能です。どちらのシャッター方式でも最長で15分の長秒露光に対応しているのは便利。残念ながら電子先幕シャッターには対応していないため、低速シャッターでカメラぶれを抑えたい場合は電子シャッターの使用がおススメです。

メカニカルシャッターと電子シャッターを自動で切り替える機能を備えていますが、低速シャッター時に反動を抑える電子シャッターに切り替える機能はありません。

AUTO ISO

AUTO ISOは従来通り3枠のカスタマイズに対応。それぞれ、下限ISO感度と上限ISO感度を設定できる他、低速シャッター限界も設定可能です。

低速シャッターは1/4秒~1/500秒の間で設定可能。下限はX-S10の手ぶれ補正能力を考慮すると妥当なところだと思います。個人的に上限は1/2000秒あたりまで使いたかったので、1/500秒は範囲が狭すぎると感じます。

低速シャッターのAUTO設定は基本的に1/(レンズの焦点距離)のシャッタースピードで設定されます。この設定値を遅くしたり、速くしたりすることは出来ません。

バッファ・バッファクリア

テスト環境

スマートフォンのストップウォッチ機能を使用。5秒スタートで10秒まで・15秒まで・20秒までの連続撮影を実施し、それぞれ5秒間・10秒間・15秒間で撮影出来た枚数をカウントします。

使用するSDカードはUSH-II V90を用意。X-S10はUHS-Iまでのため、過ぎた性能のSDカードではありますが…。

非圧縮RAW+JPEG F

非圧縮RAW使用時の連続撮影枚数は公式ウェブサイトの仕様表で「17枚~18枚」です。これは連写速度に関わらず、ほぼ一定。

連写速度\連写時間 5秒 10秒 15秒
8コマ秒 19 25 29
10コマ秒 19 25 29
20コマ秒 21 25 30

テスト結果は概ね仕様表通りで、どの連写速度でも5秒までにバッファが詰まり始めていることが分かります。8fpsの連写速度であればバッファが詰まるまでに2秒、20fpsであれば1秒もかからないでしょう。

どの連写速度でもSDカードへの書き込みがボトルネックとなっているらしく、8fpsでも20fpsでも15秒間の連続撮影で書き込める枚数に差がほとんど無いのは面白い結果ですね。コンスタントに連写したいのであれば、連写速度を欲張らずに8fpsの使用がおススメ。

参考:非圧縮RAW+JPEG F(20fps)のテスト作例GIF動画

やはり2秒ほど経過したところでバッファが目詰まりを起こしていることが分かります。

ロスレスRAW+JPEG F
連写速度\連写時間 5秒 10秒 15秒
8コマ秒 21 31 39
20コマ秒 23 33 41

ボトルネックがSDカードへの書き込みとなるため、ファイルサイズが比較的小さいロスレス圧縮RAWでは連続撮影枚数が改善される模様。ただし、それでも書き込み速度がボトルネックとなっているため、15秒間で連写できる撮影枚数は8fpsと20fpsで差はありません。

圧縮RAW+JPEG F
連写速度\連写時間 5秒 10秒 15秒
8コマ秒 24 33 46
20コマ秒 25 35 44

ロスレスRAWよりさらにファイルサイズが小さくなり、連続撮影枚数に改善が見られます。とは言え、顕著な改善効果は見られないため、個人的にはロスレスRAWがおススメ。

JPEG F
連写速度\連写時間 5秒 10秒 15秒
8コマ秒 41 83 124
20コマ秒 72 88 117
30コマ秒
(×1.25Crop)
103 115

JPEG出力のみの場合はバッファに余裕があるものの、100枚前後で詰まってしまう模様。やはりSD UHS-IIに対応していないのが痛い。

ローリングシャッター

「ローリングシャッター」とは電子シャッター使用時にセンサーが撮像する方式を指しています。理想はセンサー全体を一括で露光出来ると良いのですが、現在の仕様ではイメージセンサーの上から下まで段階的に読みだしていく方式「ローリングシャッター」を使用しています。

言葉で説明しても難しい、以下の動画で分かりやすく解説されています。

現在、コンシューマー向けのデジタルカメラでローリングシャッター方式を採用していないモデルは非常に少ないです。海外企業が「PIXII」のようなカメラでグローバルシャッターを採用していますが、国産ミラーレスでこの方式を採用しているカメラは存在しません。(キヤノンの業務用向けカムコーダーくらい)

もちろんX-S10もローリングシャッター方式を採用しています。USB扇風機を使い、1/8000秒の電子シャッターを使用して撮影した写真が以下の通り。

ご覧のように扇風機の羽根が不自然な描写となってしまっていますね。ローリングシャッター方式では、このように高速移動する被写体を撮影する際に問題が発生します。

では他のカメラではどのような影響があるのか?と言うのは以下の通り。羽根がコマ切れになっているほどローリングシャッターの幕速が遅く、悪影響が出いやすい性能ということが出来ます。

幕速が非常に速いと評価されているE-M1XやEOS R5が比較的良好であるのに対し、フルサイズのEOS RやAPS-CのEOS 90Dはローリングシャッターの影響が大きくなっています。より小さなセンサーでもLUMIX G9のように影響が強く発生してしまうカメラも存在します。

これらを踏まえてX-S10を見てみると、まずまず良好な幕速のローリングシャッターであることが分かります。もちろん完璧とは言えませんが、電子シャッターでも使えるシーンは比較的多いと見て問題ないでしょう。

20fps・30fpsの連写速度で使用する「×1.25クロップ」時は使用するセンサー領域が小さくなるぶん、結果的に実質的な幕速も向上しています。クロップ無しと同じ被写体サイズで撮影した場合はローリングシャッターの影響が小さくなり、撮影に耐えうる被写体の範囲が広くなります。

逆に言えば、クロップせずとも高速移動する被写体がフレーム上に小さく写るのであれば、ローリングシャッターの影響は小さくなります。

総合評価

肯定的見解

ココがポイント

  • ハイエンドモデルと同等のセンサー・プロセッサを搭載
  • APS-Cカメラとしては最新の2600万画素センサー
    ・良好な高感度ISO性能
    ・良好なダイナミックレンジ
    ・高速連写に対応
    ・ローリングシャッターの影響が小さい
  • マグネシウム合金のしっかりとした作り(上・前)
  • 前後のコマンドダイヤルが使いやすい
  • 豊富なカスタマイズは静止画と動画で切り分け可能
  • バリアングルモニタ
  • 内蔵フラッシュ搭載
  • 深くて握りやすいカメラグリップ
  • USB充電・USB-PD給電に対応
  • 最新のAFシステムとアルゴリズム
    ・良好な顔検出/瞳検出機能
  • 5軸6段分のボディ内手ぶれ補正
  • 圧縮RAWに対応
  • 新フイルムシミュレーション
    ・クラシックネガ
    ・ブリーチバイパス
  • カラークロームブルー・明瞭度・トーンカーブ
  • AWB 白優先・雰囲気優先
  • 最速30コマ秒の高速連写に対応
  • 電子シャッターで1/32000秒に対応

より高価な上位モデルと同等の画質・同等の仕上がり機能・同等のAF性能を備え、X-T4とよく似た性能のボディ内手ぶれ補正を搭載。さらに富士フイルムでは珍しい深いグリップと独特の使いやすい操作体系を備えた面白いカメラに仕上がっています。

物理ダイヤル操作がメインとなる従来機種からすると、かなりの異端児に見えますが、富士フイルムのエントリーモデルや他社からの乗り換えユーザーには馴染みやすい操作体系。

APS-Cミラーレスとしては「ほぼ全部盛り」のカメラにも関わらず、売り出し価格は10万円とちょっと。他社で言えば「α6400」「Z 50」と似た価格設定であり、X-S10のボディ内手ぶれ補正やAFジョイスティック、使いやすいグリップとコントロールレイアウトは強みと言えそうです。

批判的見解

ココに注意

  • 外部充電器なし
  • 富士フイルムとしては珍しい操作体系のカメラ
  • 防塵防滴仕様ではない
  • コマンドダイヤルのカスタマイズ不可
  • 平凡なファインダー
  • Wi-Fiは2.4GHzのみ対応
  • バッファが致命的に浅い
  • 電子先幕シャッターが無い

従来機からの乗り換えで注意したいのは、操作体系が大きく異なり、他機種と使い分けが難しいこと。モードダイヤルによる露出制御に加え、Qボタンの位置やコマンドダイヤル・AFジョイスティックの役割、モニタの可動方式などなど全てが大きく異なります。特に従来のクラシカルな操作性が好みな人はX-S10の外観と操作体系に拒絶反応が出るかもしれません。

外装の主な仕様はX-T30系と同じ。部分的にマグネシウム合金を使用していますが、防塵防滴仕様ではなく、悪天候での使用は避けるのがおススメ。ファインダーやモニターのパネル仕様もX-T20からほとんど変わりません。

高機能・高性能なカメラですが、唯一欠点と言えるのが連写時のバッファ。これが致命的に小さく、連続的な高速連写を続けるにはバッファ容量とバッファクリア速度が全く足りていません。連写メインの撮影であれば他の機種も要検討。とは言え、X-T4でも劇的な改善は期待できません。そろそろ富士フイルムも次世代メモリーカードを採用するタイミングと言えそうです。

まとめ

管理人
満足度は95点。
部分的に制限されているカスタマイズ性やメニューシステムには改善が必要であり、連写時のバッファに関しては予め理解し、妥協が必要です。とは言え目立つ欠点と言えばそれくらいであり、全体的にとても高水準にまとまったミラーレスカメラと思います。

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