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NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR レンズレビュー完全版

このページでは「NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR」のレビューを掲載しています。

NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VRのレビュー一覧

レンズの評価

ポイント 評価 コメント
価格 同クラスでは手ごろな価格
サイズ 機能的で小型
重量 機能的で軽量
操作性 必要十分だが完璧ではない
AF性能 良好な速度と精度
解像性能 広い範囲で良好
ボケ 滑らかで見栄えが良い
色収差 良好な補正状態
歪曲収差 レンズ補正適用のため未評価
コマ収差・非点収差 全体的に少し目立つ
周辺減光 ズーム両端で目立つ
逆光耐性 NIKKOR Zとしては平凡
満足度 エントリーしやすい大口径ズームレンズ

評価:

ポイント

小型軽量、手振れ補正搭載で機能的なエントリーしやすいF2.8大口径ズームレンズ。

いくつか妥協点があるので「ベスト」ではなく「ベター」なレンズですが、手頃な価格を考慮すると上手くまとまっています。APS-C Zマウントで他に選択肢はありませんが、Z50IIやZfcと組み合わせるなら「これで十分」と感じるレンズです。

Compact and lightweight, this functional F2.8 large-aperture zoom lens features image stabilization and is easy to get started with.
While it's not the “best” lens due to a few compromises, it's a well-rounded option considering its affordable price. There are no other choices for APS-C Z-mount cameras, but when paired with the Z50II or Zfc, it feels like “this is perfectly sufficient.”

まえがき

2025年10月に発売したニコンAPS-C Zカメラ用の新しい交換レンズ。同システム用として標準域をカバーする3本目のズームレンズです。そして、開放F値「F2.8」を利用できる初めての製品。

大口径ズームでは珍しい光学手振れ補正(VR)を搭載。ボディ内手振れ補正のないAPS-C Zカメラでも、手振れを抑えたスローシャッターが可能。レンズサイズはやや大きめながら、18-140mmと同程度。光学手振れ補正搭載の大口径ズームとしてはコンパクトな設計となっています。

主な仕様

レンズマウント Z
対応センサー APS-C
焦点距離 16-50mm
レンズ構成 11群12枚
開放絞り F2.8
最小絞り F22
絞り羽根 9枚
最短撮影距離 • 焦点距離16mm時:0.15m
• 焦点距離24mm時:0.18m
• 焦点距離35mm時:0.21m
• 焦点距離50mm時:0.25m
最大撮影倍率 0.24倍(焦点距離50mm)
フィルター径 67mm
手振れ補正 5.0段
テレコン -
コーティング SIC
サイズ 約74.5mm×88mm
重量 約330g
防塵防滴 防塵・防滴設計
AF STM
絞りリング -
その他のコントロール コントロールリング
付属品 • レンズキャップ67mm LC-67B(スプリング式)
• 裏ぶた LF-N1
• レンズフード HB-118

他社の大口径ズームと見比べてみると、シグマほどコンパクトではないものの、「16mm」「手振れ補正 VR」を考慮するとコンパクトなズームレンズと言えそうです。

価格のチェック

売り出し価格は103,950円。
ソニーや富士フイルムの競合製品と比べると、かなり安い。シグマやタムロンほど安くはないものの、カメラ純正品の大口径ズームとしては手頃な価格を実現しています。

とは言うものの、同じズーム域をカバーする「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」は良好な光学性能で遥かにコンパクト、低価格。開放F値が大きくて問題ないのであれば、16-50mm F3.5-6.3でも良いのかなと思います。

NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

NIKKOR Zらしい、黒と黄色を基調としたデザインの箱。2018年のZシステム始動時から変化はありません。フルサイズシステムと同じ。

レンズ本体のほかに、レンズフード、通常のつまみ式キャップ、説明書・保証書が付属。S-Lineのようなポーチはありません。

外観

外装は他のNIKKOR Z DXと同じくプラスチック製。ズームリングはゴム製カバーで覆われ、コントロールリングはプラスチック素材を使用。

鏡筒はマットな黒色で塗装され、傷や指紋が目立たない処理が施されています。表面は少しざらつきがあり、滑り止めの効果。プラスチック外装ながら、手に取った際の感触はとても良好。

装飾は最小限で、ニコンの社名やレンズ名、ブランド名の表示のみ。鏡筒下部にはCEマークや撮影範囲、使用するレンズフードの型番などがプリントされています。

ハンズオン

外装がプラスチック素材で高級感はありませんが、安っぽい質感でもありません。必要十分。

サイズ 約74.5mm×88mm
重量 約330g

APS-C用の標準大口径ズームレンズとしては小型軽量。特に「16mm」「光学手振れ補正」「防塵防滴」を兼ね備えつつ、全長88mm・重量330gの携帯性を実現しているのは凄い。

参考までに他社の似たような製品のスペックを掲載。シグマはより軽量ですが、前述した3点は全てありません。

  • ソニー E 16-55mm F2.8 G
    ・サイズ:73×100mm
    ・重量:494g
  • 富士フイルム XF16-55mmF2.8 R LM WR II
    ・サイズ:78.3×95mm
    ・重量:410g
  • シグマ 18-50mm F2.8 DC DN
    ・サイズ:65.4×74.5mm
    ・重量:290g

前玉・後玉

前面は67mmフィルターに対応するソケットとバヨネットタイプのレンズフードに対応。レンズ前面はフッ素コーティング処理されていないので、ダメージが想定される場合は保護フィルターかレンズフードを装着しておくと良いでしょう。

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金属製レンズマウントは4本のネジで本体に固定されています。マウント周囲には防塵防滴用のゴムリングがあります。レンズ最後尾周囲のプラスチックリングには「Made in China」の刻印あり。

フォーカス/コントロールリング

フォーカス操作やその他制御の操作に利用するコントロールリングを搭載。利用する機能はカメラ側のボタンカスタマイズで変更可能。

適度な抵抗感で滑らかに回転。リングの周囲がわずかに盛り上がっており、誤操作しにくいデザイン。ただし、操作する際にもリングを掴みにくくなっています。素手での操作は問題ありませんが、滑りやすい厚手のグローブを装着していると操作が難しいかもしれません。

フォーカス操作時の応答性はカメラ側で設定変更が可能。回転量に応じしたリニアレスポンスや、回転速度に応じたノンリニアレスポンス(感度の変更可能)に切り替えることができます。

ズームリング

ゴム製の大きなズームリングを搭載。16mmの広角端から50mmの望遠端まで、回転角が90度に満たないストロークで操作することができます。

リングはズーム全域で滑らかに回転し、適度な抵抗感で操作可能。動画撮影時のズームにも利用できそうなほど引っ掛かりのない操作感。

16mmで内筒が最も縮んだ状態で、50mmに向かって内筒が大きく伸びます。内筒はプラスチック製で、伸ばした際の目立つがたつきはありません。

フード

花形プラスチック製レンズフードが付属しています。サイズが大きく、逆さ付けした場合でも収納スペースを広くとってしまう点に注意。

装着例

Z50IIに装着。大口径標準ズームとしては大きすぎず重すぎず、常用可能なサイズに抑えられています。片手持ちで姿勢を簡単に保持することができ、カメラバッグへの収納も容易。ただし、レンズフード装着時は少し広めのスペースが必要となります。

AF・MF

フォーカススピード

Z50IIに装着してテスト。
フォーカスはステッピングモーター駆動を使用。静かで滑らかに動作します。望遠側で合焦速度が少し低下するものの、全体的に快適なAF速度を実現しているように見えます。カメラ側の性能を含めて、AF-Cの動作も快適。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。
画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。

今回は影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

16mm

ピント位置による画角の変化はほとんどありません。

24mm

16mmと同じく良好。

35mm

広角側と同じく、画角変化はほとんどありません。

50mm

50mmの望遠端でも大きな影響はなし。ズーム全域でほぼ皆無の状態を維持しています。動画撮影でも使いやすいレンズ。

精度

Z50IIと組み合わせて大きな問題はありませんでした。

MF

コントロールリングの応答性は良好で、感度や操作量はカメラ側で調整可能。MFで使いやすいシステムです。

撮影倍率

50mm時に0.24倍の撮影倍率を利用可能。35mm判換算で0.36倍程度のクローズアップが可能です。際立った数値ではないものの、少なくともソニーや富士フイルムの競合製品よりも良好です。

実際に撮影してみると、50mm以外でも同程度まで被写体をクローズアップすることができました。全体的に0.24倍程度の撮影倍率を備えているようです。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:Z8
  • 交換レンズ:NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

16mm

広角は定型チャートテストと相性が悪いものの、絞り開放から隅まで良好な結果が得られました。中央から周辺まで広い範囲で一貫性の高い結果となり、隅における画質低下は目立ちません。絞っても画質の変化が少なく、絞り開放から安心して使用することが出来ます。

ただし、実写作例を確認してみると、F2.8の周辺や隅はややソフトな描写。近距離でベストを尽くすのであればF4以降。

中央はより高解像なセンサーを使用することで伸びしろがあるように見えますが、カメラの2000万画素センサーがボトルネックとなっています。

中央

周辺

四隅

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 3016 2736 2282
F4.0 3370 3079 2389
F5.6 3161 2867 2716
F8.0 2959 3034 2667
F11 2790 2694 2560
F16 2507 2281 2201
F22 2086 1732 1614
実写確認

24mm

16mmと比べると周辺のパフォーマンスが低下。絞り開放で若干ソフトな部分もありますが、極端に荒れたりソフトになったりする部分はありません。フレーム中央は依然として良好。

中央

周辺

四隅

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 2882 2423 2280
F4.0 3181 2903 2595
F5.6 2861 2715 2853
F8.0 2755 3054 2705
F11 2563 2739 2846
F16 2509 2452 2253
F22 2195 2394 1877

35mm

引き続き一貫性の高いテスト結果。24mmよりも周辺のパフォーマンスが良好。実写サンプルを見ると隅に向かってコントラストが低下しているものの、F4まで絞れば全体的にシャープな結果が得られています。

中央

周辺

四隅

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 2767 2867 2421
F4.0 3073 2931 2672
F5.6 2997 2851 3146
F8.0 3255 2875 2978
F11 2511 2903 2480
F16 2337 2393 2478
F22 2078 1952 1946

50mm

他の焦点距離と比べると、絞り開放の性能がやや低め。実写作例を見る限り問題ありませんが、カメラ側の解像性能が向上すると不満を感じるポイントとなるかもしれません。

中央

周辺

四隅

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 2566 2653 2336
F4.0 2978 3157 2592
F5.6 2940 2867 2253
F8.0 3062 2557 2584
F11 2653 2846 2337
F16 2452 2394 2337
F22 1997 1964 1877

競合製品比較

同じズーム域をカバーする「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」と比較。
開放F値が大きなキットズームレンズですが、チャートテストでは優れた結果。F2.8ズームと同程度のパフォーマンスを発揮。大口径が必要なければ、キットズームからアップグレードする必要性は低め。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2025.10.31 小雨 無風
  • カメラ:Z50II
  • 三脚:SIRUI AM034
  • 雲台:アルカスイス Z1+
  • 露出:ISO 100 絞り優先AE
  • RAW:Adobe Lightroom Classic
    ・シャープネスオフ
    ・レンズ補正オフ
    ・ノイズ補正オフ

16mm

  • 中央:絞り開放からシャープでコントラストも良好。絞りによる画質改善は僅か。
  • 周辺:絞り開放ではコントラストがやや低下。F4で改善するが倍率色収差が残存。F5.6でピークの画質。
  • 隅:F2.8-4でややソフト、F5.6で画質のピーク。中央ほどシャープではないが極端な画質低下は無し。
中央

周辺

四隅

24mm

  • 中央:16mmと同じくF2.8から非常に良好。絞ると僅かにコントラストが改善。
  • 周辺:中央とほぼ同じだが細部の描写が若干低下。F4まで絞ると改善。
  • 隅:周辺と同じ傾向。画質のピークはF5.6。極端な低下は無し。
中央

周辺

四隅

35mm

  • 中央:広角側と同じくF2.8から画質のピーク。
  • 周辺:中央とほぼ同じ。
  • 隅:中央とほぼ同じ。
中央

周辺

四隅

50mm

  • 中央:良好だが絞るとコントラストが少し改善。
  • 周辺:中央と同じく、絞るとコントラストが改善。
  • 隅:画質がやや低下するが、F4-5.6で改善。F5.6での画質は中央に近い。
中央

周辺

四隅

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

16mm

24mm

35mm

50mm

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

16mm

完璧ではありませんが、軽微な問題。大部分の場合は目立ちません。

24mm

16mmと比べると若干強めですが、軽微な問題に違いなし。

35mm

広角側よりもやや強め。実写で問題となることはありませんでした。

50mm

35mmと同等か少し弱いくらい。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

16mm

Lightroomでは強制的にプロファイル補正が適用され、問題は確認できません。修正後の画像は良好に見えます。

24mm

16mmと同じ。

35mm

広角側と同じく、問題ありません。

50mm

他の焦点距離と同じ。

コマ収差・非点収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

16mm

フレーム隅で点光源が少し変形しています。全体像からすると軽微な問題であり、F4まで絞るとほぼ解消します。

24mm

16mmと比べると影響が強め。全体像でも四隅をよく見ると目立ちます。F4-5.6でほぼ解消。

35mm

24mmと同じく、点光源の変形が目立ちます。F4でほぼ改善しますが、影響が残るのでF5.6-F8がベスト。

50mm

ズーム中間域ほどではないものの、16mmよりも強めの影響。非点収差が強いのか、F4でも収束しません。できればF5.6まで絞りたいところ。

球面収差

前後のボケ質に僅かな違いがあるものの、ズーム全域で良好な補正状態に見えます。

16mm

35mm

50mm

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

ニュートラル寄りの描写ですが、縁どりが弱く滑らかなボケ質。軸上色収差による色づきも少なく、悪目立ちしにくいボケです。

前ボケ

後ボケと比べると縁取りがやや硬め。複雑な前景で少し目障りと感じるかもしれませんが、50mm F2.8で問題を感じることは少ないはず。軽微な問題。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

16mm

口径食が強く現れますが、玉ボケは滑らかで綺麗。縁取りは目立たず、軸上色収差・倍率色収差の影響は軽微。口径食が気になる場合はF4まで絞ると軽減します。

24mm

16mmで問題となっていた口径食は目立ちません。玉ボケは滑らかで綺麗。

35mm

24mmと同程度。焦点距離が長いのでボケを大きくしやすい。

50mm

ズーム中間域よりも口径食の影響が強くなるものの、ボケを大きくしやすいので結果的に目立ちにくい。引き続きボケは滑らかで綺麗。ズームレンズとしては十分。キットレンズ「16-50mm F3.5-6.3」と比べて強みとなる部分。

ボケ実写

16mm

中央から広い範囲は滑らかな描写。フレーム端や隅は口径食や縁取りが少し強くなりますが許容範囲内。ただし、撮影距離が長くなると見苦しい場合があります。

人物撮影の場合、全身では背景をぼかすことが出来ません。少なくともバストアップ程度まで近寄って撮影する必要があります。

35mm

傾向は広角側と同じですが、ボケが大きいぶん見苦しさが緩和しています。ボケが必要なシーンで、ある程度のボケ量で撮影する限り、悪目立ちすることは少ないと思います。少なくとも「Z MC DX 35mm f/1.7」より滑らかな描写。

人物撮影の場合、フレームに上半身を入れるくらいまで近寄ると、十分な量と質感のボケが得られます。

50mm

引きの撮影で少し騒がしくなるものの、35mmと同じ傾向。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

16mm

撮影距離に関わらず、F2.8でやや目立つ減光効果が発生します。レンズサイズを考慮すると予想よりも小さく、許容範囲内。カメラ補正で修正可能ですが、2段絞ると未補正でもほぼ解消します。

最短撮影距離

無限遠

24mm

16mmと比べると、F2.8の絞り開放から無視できる程度の周辺減光。

最短撮影距離

無限遠

35mm

24mmと同じく、無視できる程度の弱い効果。

最短撮影距離

無限遠

50mm

近距離では問題ないものの、遠距離では16mmと同程度の強い減光が発生します。許容範囲内ですが、気になる場合はカメラによる補正か1~2段絞って撮影すると良いでしょう。

最短撮影距離

無限遠

逆光耐性・光条

16mm

強い光源を正面から受けてもフレアを良く抑えています。ただし、ゴーストが複数発生し、絞ると悪化します。完璧ではないものの、キットレンズと比べると遥かに良好。

35mm

16mmと同じ傾向ですが、光源を隅に寄せるとゴーストを回避することができます。

50mm

35mmとよく似た傾向が続きます。中望遠の結果としては悪くない性能に見えます。

光条

F11付近よりシャープな光条が発生。回折の影響を考慮すると、バランスが取れるのはF11くらいまで、さらに絞ると強調された光条が発生するものの、解像性能には妥協が必要となります。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • このクラスでは小型軽量
  • このクラスでは手頃な価格
  • 光学手振れ補正を搭載
  • 防塵防滴仕様
  • 快適なAF性能
  • フォーカスブリージングが抑えられている
  • ズーム全域で一貫した撮影倍率
  • ズーム全域で広い範囲が良好な解像性能
  • 色収差の補正状態
  • 滑らかな後ボケ
  • 絞ると綺麗な光条

APS-C用のF2.8 標準大口径ズームレンズとしては小型軽量で手頃な価格の純正品。なおかつ、16mmをカバーして防塵防滴仕様と機能的。光学性能を抜きにしても買う価値のあるレンズに仕上がっています。

光学性能は「S-Line」のように分かりやすい高性能ではないものの、全体的にバランス良く、高水準。十分以上の解像性能を発揮し、ボケは滑らかで使いやすい。色収差も良く抑えられ、歪曲収差や周辺減光はカメラ側の補正で修正可能。

悪かったところ

ココに注意

  • スイッチ類がない
  • 独立したコントロールリングがない
  • 絞り開放付近でコマ収差が目立つ
  • ズーム両端で周辺減光が目立つ
  • (NIKKOR Zにしては)逆光時のゴーストが多い

外装のデザインや操作性にいくつか不満点はあるものの、サイズや価格設定を考慮すると許容範囲内。

コマ収差や周辺減光は「F2.8」を活かす上で厄介な問題ですが、致命的と言えるほどの影響良ではありません。やはり価格を考慮すると妥協できる範囲内なのかなと。

結論

小型軽量、手振れ補正搭載で機能的なエントリーしやすいF2.8大口径ズームレンズ。

いくつか妥協点があるので「ベスト」ではなく「ベター」なレンズですが、手頃な価格を考慮すると上手くまとまっています。APS-C Zマウントで他に選択肢はありませんが、Z50IIやZfcと組み合わせるなら「これで十分」と感じるレンズです。

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競合製品について

NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

直接競合するレンズではありませんが、焦点距離が丸被りのキットズームレンズ。解像性能だけで言えば、本レンズで十分良好な結果が得られます。絞って風景・旅行写真を撮りたいのなら役目を果たしてくれることでしょう。

ただし、F2.8(特に50mm F2.8)を活かした低照度撮影や大きなボケが中心であれば、F2.8ズームを検討する必要があります。

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購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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