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45mm F2.8 DG DN|Contemporaryはシグマらしくて、シグマらしくないレンズ

このページではシグマ製フルサイズミラーレス用交換レンズ「45mm F2.8 DG DN|Contemporary」の主観的なインプレッションを掲載しています。作例多めのフルレビューはコチラ

【外観】

Contemporaryシリーズとしては珍しく、レンズフードからレンズマウントまで金属製。特にレンズフードまで金属製のシグマレンズはこれが初めてでしょうか?Contemporaryの皮をかぶったArtシリーズ。

しかし、手に取ると思っていたより重くありません。コシナのフォクトレンダーやLAOWAなど中国製レンズのような塊感では無く、意外と軽い。

全体的に見た目はオールドレンズのようですが、実際に取って使ってみると現代的な感触のレンズです。フジフイルムのXF F2シリーズやパナソニックのLEICA DGシリーズに似ている印象。

α7 IIIと組み合わせた際の見た目は良好ですが、シグマが開発中のSIGMA fpと組み合わせるのが最適解かなと感じます。(後述)

【操作性】

フォーカリングは程よい抵抗感と滑らかさで動作します。幅の狭いフォーカスリングですが、大きな切りこみの入った滑り止めでしっかりとグリップすることが可能。

他のEマウントレンズと同様、フォーカスバイワイヤでヘリコイドのような操作感ではありませんが、絶妙な調整具合だと思います。

絞リングはF2.8からF22まで1/3ステップで動作。クリック毎の抵抗感はやや重く、誤操作の心配はありません。かなりしっかりとしたクリックの感触があります。クリックを省略することは出来ません。動画撮影機に適していそうなレンズだけに惜しい。

「A」ポジションは小絞り側に配置されており、使い勝手はソニー純正レンズと同様。最小絞り値とAポジションまでの間隔が大きいので多少ズレてもAポジションが維持されます。「A」と「F22」の切り替わるタイミングはちょうど中間地点。

どちらも使いやすい操作部材ですが、成熟したAFシステムを持つα7と組み合わせる限り、大部分の状況はカメラ側の制御で事足ります。より小型軽量で物理的な操作性が低くなるSIGMA fpなどで重宝することでしょう。

【描写】

解像性能

近距離では四隅がやや甘く、ピント面も球面収差の影響で少し滲むような描写。ただし、ピントの芯はハッキリと分かる解像感を維持しており、四隅でも大きな問題はありません。

ただし、最短撮影距離付近は非点収差の影響が強くなります。そもそも論として、接写では像面湾曲の影響がやや見られます。接写時にフレーム全域でシャープな描写を得ようと思ったらF8付近まで絞るべき。

1m~2mほど撮影距離を開けると球面収差の影響は少なくなり、ピント面がよりクリアな描写となります。遠景では絞り開放から四隅まで良好で、少なくとも2400万画素のα7 IIIでは欠点を感じませんでした。

全体的に絞り開放のコントラストはやや低いですが、解像性能は思っていたより良好。1段絞るとコントラストがグッと強まります。

ボケ

敢えて球面収差を残した後ボケ重視の味付け。

後ボケは滲みを伴うとても滑らかなボケですが、前ボケはやや硬い描写となります。特にピント面に近い前ボケ領域は場合によって騒がしくなるかもしれません。とは言っても、45mm F2.8のスペックで前ボケが騒がしくなるシーンは少ないかも。

滲みを伴うのはF2.8付近のみなので、独特な柔らかい描写を楽しみたいのであれば絞り開放を積極的に使いたいところ。

口径食の影響は小さく、F2.8で四隅の玉ボケが僅かに変形するのみ。絞り羽根は7枚と少ないですが、2~3絞っても円形を保っているように見えます。

開放F値は「F2.8」なので単焦点としては明るいレンズでありません。被写界深度をコントロールする自由度が少ないのはマイナス。しかし、後ボケがとても滑らかで、背景の輪郭を溶かしてくれるのでF値以上にボケが大きいと錯覚するかもしれません。

また、フルサイズで「F2.8」の被写界深度と球面収差の滲む描写を両立しているレンズは貴重。大抵は「F1.4~F1.8」のレンズであり、「F2.8」まで絞ってしまうと球面収差が収束してしまい滲むボケが得られないのです。さらに、程よく深い被写界深度なので、滲む後ボケを効果的に得ることが出来ると言うことも出来るでしょう(大口径レンズと比べて小ボケ領域が広いため)。

色収差

完璧ではありませんが、実写ではほぼ問題ない補正状態だと感じています。特に後ボケは滲みを伴う柔らかいボケで全く気になりません。

倍率色収差の影響を受けやすいフレーム四隅でハイコントラストな状況が生まれると色づきが目立つ場合があります。

コマ収差

いつものテストはまだですが、四隅でやや目に付くコマ収差が発生しているように見えます。

逆光耐性

完璧ではありませんが、良好なパフォーマンスだと感じます。

前玉が小さく、反射面が広いので保護フィルター装着時は注意したほうが良い感じ。

光条

F16~F22で綺麗な光条が発生します。ただし、シャープな光条では無く、拡散するタイプの描写となっています。

歪曲収差

標準レンズとしてはやや目立つ糸巻き型歪曲です。レンズ補正は積極的に使用したいところ。

周辺減光

小型レンズらしく周辺減光は絞り開放のF2.8で目立ちます。絞ることで改善しますが、F5.6までは減光が目に付き、F8以降も僅かに残存します。

色・コントラスト

α7 IIIとの組み合わせで色温度は適切に描写されます。暖色・寒色傾向はありません。

前述したように、絞り開放付近は球面収差の影響で僅かにコントラストが低下します。と言ってもオールドレンズのようにあからさまな低コントラストでは無く、絞って撮り比べると差が分かる程度の問題です。

【機能性】

AFスピードは電光石火とは言えないものの、滑らかで高速に動作します。大部分の被写体でストレスを感じないAFスピードとなるはず。

動作音は皆無でフォーカスブリージングが小さいので動画撮影にも適しています。デクリック機構を備えた絞りリングがあれば最高だったかもしれません。

光学手ぶれ補正は搭載されていませんが、ボディ内手ぶれ補正を搭載するα7シリーズやLUMIX Sシリーズなら問題無いでしょう。

【総評】

ポイント

  • 高級感のある鏡筒と操作性
  • しっかりとした光学性能をベースとして味付けされたボケ
  • 適度な被写界深度と滲む後ボケの組み合わせ
  • 信頼性・安定性のあるオートフォーカス
  • 小型軽量で簡易防塵防滴

シグマらしくて、シグマらしくない。

スペックだけを考えると、安く無ければ明るくも無いレンズですが、「これで良いのだ」と感じる人にはウケるレンズだと思います。安くて明るいレンズや、高くて超性能のレンズなどを使い回した挙句にたどり着く一つの選択肢。

単純明快な既存のContemporaryシリーズと比べると、趣味性の高い質感と描写。

最初からこのレンズを使っても良さを感じることが出来ないかも。様々なレンズを使った後に「これだ!」とピンとくるかもしれません。

尖ったレンズを数多く投入してきたシグマにしては角が取れている印象。フルサイズミラーレスやSIGMA fpなど新しいジャンルへ挑戦するシグマの試金石に相応しい一本と言えそうです。

Contemporaryシリーズに加えてしまうのは勿体無く、個人的に新シリーズとして銘打っても良かったのでは?と思う次第。同シリーズが「高い光学性能とコンパクトネス」をコンセプトとしているので、らしいと言えばらしいのですが…。

追記:APS-C領域で使うと滲む描写が強調され、レンズの味付けが分かりやすくなります。α6xxxやα7R系クロップモードで使うのはアリかもしれません。

やっぱり「fp」用?

同時に開発発表したフルサイズミラーレス「SIGMA fp」を想定したレンズでなのは間違いない。fpのボディあってこそ活きるレンズサイズ、操作性のように感じます。

「fp」=「フォルテッシモ・ピアニッシモ」と銘打ったのだから、同じ演奏記号「グラツィオーソ=優美・優雅」のような新シリーズにしたほうがしっくりくるレンズかも。

α7シリーズと組み合わせて使うなら、やっぱりF2~F2.4程度の被写界深度は欲しかったかなと。グリップサイズを考えても多少大きく出来たはず。F2.8だとAPS-Cやマイクロフォーサーズに似たような描写のレンズがあるので、敢えてフルサイズを使うメリットが薄れてしまっているのが残念。

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