Panasonic 海外の評価

LUMIX GH6はファンを搭載しないとS1Hより大きくなる可能性があった

DPReviewがパナソニック「LUMIX GH6」のハンズオンを公開。カメラの操作性や機能などの紹介、そして豆知識など。ファンを搭載しないと、LUMIX S1Hよりも大きくなる可能性があったのだとか。

DPReview:Hands-on with the Panasonic GH6

はじめに

  • GHは動画機能に焦点を当てたマイクロフォーサーズカメラ。
  • 初代は2009年のGH1。
  • GH6で目指したのは、GH5とGH5Sの統合。
  • フレームレートや解像度に関係なく、どのモードでも時間制限なく記録できることを含むワークフローの効率性を目指した。
  • どんな作業でもカメラが中断なく作動する絶対的な信頼性を目指した。

ボディと操作系

  • 防塵防滴マグネシウム合金ボディだ。
  • 最も大きな変更点は、内蔵ファンである。
  • ファンを搭載しない場合、LUMIX S1Hよりもボディを大きくする必要がある。
  • ファンの搭載で放熱が容易になる。
  • プロセッサーとCFexpressカードスロットはファンと筐体で冷却。
  • センサーと手ブレ補正はグラファイトシートで三脚座の方に熱を誘導。
  • カードスロットは、UHS-II SD(V90)スロットとCFexpress Type Bスロットの2種類を搭載。
  • 800Mbps以上の動画モードではCFexpress Type Bが必要。
  • フルサイズのHDMI端子は、4K/60pまでの出力に対応。
  • 今後のファームウェアアップデートで、HDMI2.1規格と4K/120p出力に対応する予定。
  • 上面にマイクボタンを追加。オーディオ設定に直接アクセスでき、カスタム機能を割り当てることも可能。

ディスプレイ

  • EVFはGH5/GH5Sと同じ368万ドット、有効倍率0.76倍のOLEDパネルを搭載。
  • 注目すべきは背面モニターのデザイン変更だ。
  • 184万ドットのモニターは、LUMIX S1Hに搭載されたものと同じだ。チルトとバリアングルが一体となっている。
  • カメラボディ側面のポートを塞ぐことなく、簡単に側方へモニタを展開できる。

センサーと画像処理パイプライン

  • 新型2500万画素センサーは注目のアップグレードだ。
  • マイクロフォーサーズシステムで数年ぶりに解像度が向上した。
  • 積層型センサーではないが、センサー全体を17.6msで読み出すことが出来る。
  • 4K DCI領域は12.4msで読み出し可能だ。
  • ローパスフィルターレスである。
  • センサーはデュアル出力ゲイン設計だ。これは、近年見られる、特定のISOで2つのゲインレベルを切り替えることができる「デュアルゲイン」センサーとは全く異なる。
  • ゲインレベルを切り替えるのではなく、2つの並列出力回路を持ち、高ゲインのフレームと低ゲインのフレームを同時に撮影し、その結果を組み合わせることでより大きなダイナミックレンジを実現。
  • 更新されたヴィーナスエンジンは、他のモデルより2倍高速。さらに速度以外のアップグレードも含まれていると言われている。
  • 髪の毛などの斜め線をより忠実に表現し、写真のノイズリダクションを改善し、動画撮影時の高ISO値でのパターンノイズ、画質、色を改善しているとのこと。

手ブレ補正

  • 新開発の超高精度ジャイロセンサーを搭載。
  • O.I.S.を搭載していないレンズでも、CIPA規格で7.5段分まで手ブレを補正できる。
  • O.I.S.搭載でDual.I.S 2を利用できる場合、望遠域でも最大7.5段の手ブレを補正できるはずだ。これはGH5の5段、GH5 IIの6.5段から向上している。
  • DPReview TVでの最初のテストでは、その結果に感銘を受けた。

写真撮影機能

  • 動画中心の製品だが、静止画に関しても決して見劣りしない。
  • 注目すべきは、新機能の「手持ちハイレゾショット」モードだ。RAWとJPEGの両方で1億画素の写真を生成することができる。
  • パナソニックの処理アルゴリズムは、動きの検知に優れており、その部分だけ1回の撮影のデータを使用する。その結果、静止したシーン以外でも実用的な画質となる。
  • 残念ながら、6Kフォトモードや深度合成モードがない。

動画性能

  • オーバーサンプリングされたUHD/DCI 4K(4:2:2 10bit)、4K/120p(4:2:0 10bitカラー)が含まれている。
  • より高い解像度が必要な場合、5.7Kを最大60pまで、5.8Kフルセンサ(または「オープンゲート」)を最大30pまで対応している。
  • ハイフレームレート(HFR)は、オーディオを含めてFHD/240pまで可能だが、一部のレンズはファームウェアの更新が必要だ。
  • より高速なフレームレートが必要な場合、可変フレームレート(VFR)により、最大1080/300pで映像を取り込むことができる。
  • すべてのモードで10bitカラーに対応している。
  • 将来のファームウェアアップデートにより、HDMI経由でNinja V+レコーダーへの4K/120p出力に対応することを既に発表している。

ビデオコーデック

  • 3つのコーデックを選択でき、ほぼすべてのモードが10bitで利用可能だ。
  • H.264、H.265(HEVC)、Apple ProRes(ProRes 422およびProRes 422 HQを含む)。
  • 旧来のH.264は、4:2:2 10bitだが、H.265は4:2:0 10bitだ。
  • H.265で4:2:2 10bitの撮影ができないようなカメラではないが、ハードウェアアクセラレーションに対応するコンピューターがほとんど無いため、このような判断をしたのだという。
  • 最近のPCは4:2:0 10bitのファイルに対してハードウェアアクセラレーションを提供しており、映像品質とパフォーマンスのバランスがとれている。
  • Apple ProResは、GH6に追加された重要な機能だ。内部ProRes記録を提供する数少ないミラーレスカメラの1つである。
  • ProResは、編集や後処理で人気のある高品質な業界標準のAll-I編集コーデックなので、動画撮影者にとって大きな意味がある。ただし、ビットレートが高いため、CFexpressカードを何枚かバッグに忍ばせておくことを覚悟してほしい。

ビデオツール

  • 期待通り、動画撮影をサポートするツール群の充実している。
  • V-Log/V-Gamutガンマカーブを提供する最初のマイクロフォーサーズカメラとなった。
  • ダイナミックレンジ性能においてLUMIX S1Hと0.8stop以内に収まるとパナソニックは主張している。
  • 波形モニタとベクトルスコープを搭載。波形モニタはサイズを変更することができるようになった。
  • S1HやGH5 IIに搭載された輝度スポットメーターを搭載。
  • 新しいセーフティゾーン・モニターが搭載され、「ローワーサード」のグラフィックやテキストのためのスペースを確保しやすくなっている。
    訳注:ローワーサードとは動画の端などに出てくるテロップを指しています。「セーフティゾーン・モニター」とはテロップを考慮した構図作りをするためのフレーム枠みたいなもの)
  • その他の新機能として、.VLTファイルの代わりに業界標準の.CUBEファイルを使用してカメラにカスタムLUTをロードする機能、ビデオ三脚ベースプレート用のセンタリングピン、撮影中にパンチインフォーカスを実行する機能などがある。

オーディオ

  • パナソニックは優れた内蔵プリアンプとXLRアダプターDMW-XLR1のおかげで、オーディオの拡張に対応する最初のミラーレスカメラメーカーの1つだ。
  • GH6でさらにアップグレードした。
  • XLRアダプターを使用することで、4チャンネルのオーディオを収録可能だ。
  • カメラの3.5mmマイク端子で2チャンネルを取り込むことが可能で、外部マイクを使用した場合、96kHz 24bitの音声を収録することができる。
  • 4つのチャンネルを個別にモニターしながら録音することも可能だが、3.5mm端子から出力される2つのチャンネルのオーディオゲインを個別に調整することはできない。
  • 専用のオーディオボタン(マイクのマーク付き)があり、ボタン一つですぐにオーディオの設定に移動できる。

オートフォーカス

  • まだDepth-from-Defocusing(DFD)システムを使用していると知ってがっかりするかもしれない。
  • これは、深度マップを構築しようとするコントラスト検出オートフォーカスの非常に高度な形式だが、時々、オートフォーカスのぐらつきやフラッターを引き起こす可能性がある。
  • AF計算の処理速度が3倍になったという新しいヴィーナスエンジンのおかげで、より高速で、より精度の高いAFを実現できるはずだ。
  • 顔・瞳、人、動物などのターゲットにはAI被写体認識を活用し、必要ないところにピントが移らないようにすることも可能だ。
  • DPReview TVでの初期テストでは、確かに従来よりも性能が向上しているように感じられる。
  • ただし、一般的なフレームレートである24pでは、AF演算のためのデータ更新頻度が低いため、まだ苦戦する可能性があることは知っておくべきだ。
  • 新たにフォーカスリミッターを搭載し、AF範囲に制限を設けることができる。初期テストではAF動作に顕著な改善が見られた。

電源

  • S5や最近のGH5 IIに搭載されているDMW-BLK22バッテリーを使用。
  • SDカード使用時でCIPA規格 360枚、CFexpress使用時で約10%少ない枚数の撮影が可能だ。
  • CIPA規格は一般的に実使用時の性能を過小評価するが、相対的な比較を行うには有効だ。
  • GH5の古いバッテリーと互換性はあるが、電圧の違いにより、一部の機能が動作しない場合がある。また、これらの古いバッテリーは、新しいバッテリーに比べてより多くの熱を発生させる。
  • USB PDに対応。付属のUSB-Cアダプターでカメラの給電も可能だが、給電と充電を同時に行うことはできない。ただし、9V、3Aの電力を供給できる充電器であれば可能だ。

ファームウェアの更新

  • アップデートで、DCI 4KとFHD(1080)のProResを含むいくつかの重要な機能を提供する予定だ。
  • USB-Cポートを使ってSSDに直接記録できるようになる。これはファイルサイズが大きい、ProRes撮影者にはありがたい機能である。
  • ライブビューで4K/120p HDMI出力が可能になり、HDMI経由でAtomos Ninja V+レコーダーに4K/120p RAW出力ができるようになる。

とのこと。
動画に焦点を当てたマイクロフォーサーズのフラッグシップモデルですね。4/3センサーとしては高解像な2500万画素の新型センサーを採用し、画像処理エンジンも新型に入れ変わっている模様。積層型CMOSセンサーではありませんが、17.6msの読み出し速度があれば、大部分の撮影では十分かもしれませんね(E-M1 Mark IIIが16.6msくらい)。

DPReviewでも言及している通り、ミラーレスでApple ProResを内部記録できるカメラは珍しく、ここ最近では他にニコンの「Z 9」くらいでしょうか?ビットレートが高いので注意が必要ですが、将来的にUSB-Cで直接SSDに書き込むことが出来るようになると利便性がグッと高まりそうですねえ(CFexpressは高価ですし…)。

以前からアキレス腱と言われているAFも改良が施されている模様。ただし、24pなどフレームレートが低い場合はコントラストAFのパフォーマンスが低下し、レンズ側は(性能を最大限活かすために)ファームウェアアップデートが必要となる場合があるので注意が必要。

注目はダイナミックレンジブーストを使ったダイナミックレンジの拡張。これに伴いV-Logも利用可能となっており、従来機と比べて柔軟性の高い編集が可能となる模様。ただし、ベースISO感度が高いのでNDフィルターが必要となる機会は増えると思います。

LUMIX GH6は空冷用のファンを搭載することで効果的に放熱しており、これが無ければLUMIX S1Hよりも大きなボディサイズになっていたというのは興味深い話ですね。そう言えば8K動画の長時間収録が可能となったニコン「Z 9」はグリップ一体型の大きなボディ。今のところ熱対策で空冷ファン以上の効果的な対策は無さそうです。

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