DPReviewが正式発表されたばかりのパナソニック「LUMIX S5」のハンズオンを公開しています。比較的手ごろな売り出し価格ながら、AFシステムが改善され、動画機能も充実していると言及しています。ハイレゾモードで8秒まで利用できるようになったのが何気に嬉しいポイント。
低価格ながら優れた動画機能
DPReview:Hands-on with the Panasonic Lumix S5
- パナソニックLUMIX DC-S5は、同社のLマウントミラーレスカメラのフルフレームシリーズで、より安価な新モデルである。既存のモデルよりも小型・軽量で、静止画撮影と動画撮影の両方に対応している。
- S1と同じ24MP BSI CMOSセンサーをベースにしているが、その他の仕様は多くの点で異なっている。
- パナソニックは、既存のカメラ(少なくともファームウェアのアップデートが他のモデルに適用されるまで)よりもいくつかオートフォーカスの改善点について言及している。
- 同社は、このカメラを高く評価するユーザーとして、「ハイアマチュア」と「映像クリエイター」を挙げている。
- S5は、S1、S1R、S1Hよりも明らかに小さい。実際、同社のマイクロフォーサーズシステムの動画主力モデルであるLUMIX DC-GH5よりも僅かに小さい。そしてS1よりも約30%軽い。
- この小型化は、いくつかの設計変更によって可能となっている。小型バッテリーの採用、カメラ上部の液晶設定パネルがなくなったことが最も大きな変更点だ。
- ボディは相変わらずマグネシウム合金製で、大掛かりな耐候シールが施されているのが特徴である(パナソニックは大型モデルと同等の凍結耐性は主張していない)。
- S5では、シンプル化された部分として、カメラの表示パネルのスペックがある。S5は236万ドットのOLED電子ファインダーと、3.0型184万ドットの背面液晶ディスプレイを採用している。動画・静止画撮影に重点を置いているため、S1のように静止画撮影に適した3Wayチルトではなく、バリアングル式となっている。
- S5は、S1やS1Hと同じ24MPセンサーを採用しており、ローパスフィルターは搭載していない。
- 「自動デュアルネイティブISO」と説明しているデュアルゲインチップだが、これはS1、Nikon Z6、Sony α7 IIIと同様、高ISO感度モードでより高いゲインの読み出しモード(読み出しノイズが少ない)に切り替わることを意味している。S1Hとは異なり、切り替えポイント付近のISOで、どのゲインモードを使用するかを選択することはできない。
- S5は、S1と同様に5段補正の5軸ボディ内手ブレ補正機構を搭載しており、レンズ内手ブレ補正機構との連携により、「Dual.IS 2」対応レンズで6.5EVの補正を実現している。
- CAFで最大5コマ秒、SAFで7コマ秒の撮影が可能だ。
- 三脚に装着した場合、S5は手ぶれ補正システムを使用して、9600万画素のハイレゾ撮影が可能だ。S1と異なり、RAWファイル出力限定ではなく、JPEGを直接出力することが可能だ。
- ハイレゾモードはこれまでのパナソニックのカメラと同様、最大解像度を優先するモードと、撮影の合間に起こったブレを補正するモードがある。最新システムでは、1フレームあたり最大1秒だったシャッタースピードが8秒まで使用可能となっている。
- S5にはSDカードスロットが2つあり、1つはUHS-II、もう1つはより遅いUHS-Iタイプを採用している。
- マイクとヘッドフォンの両方の端子に対応している。マイク入力は、一般的なマイクレベルまたはラインレベルの入力に対応しており、必要に応じて外部マイクに電源を供給することも可能だ。
- 他のSシリーズカメラのようなフルサイズのHDMI A端子ではなく、「マイクロ」HDMI D端子に対応している。
- デュアルバンドWi-Fiも搭載されており、Wi-Fiネットワークへの5GHz接続やスマートフォンへの2.4GHz接続をより高速に行うことが可能だ。
- S5は安価なモデルであるにもかかわらず、印象的な動画仕様である。S1と同様、Super35(APS-C)クロップまたはドットバイドット(やや大きい1.56倍クロップ)で、4K UHD 30pまたは4K UHD 60pで撮影可能だ。
- 最も注目すべき点は、V-Log機能が含まれていることだ。30pまでのモードでは4:2:2、60pでは4:2:0 10Bitの撮影に対応している。また、HDRディスプレイに最適化されたハイブリッドログガンマ映像の撮影も可能だ。利用可能なコーデックとビットレートは、有償アップグレードをインストールしたLUMIX S1と基本的に同じだ。
- 50pまたは60pでの4K撮影時、または10ビットの4K映像を撮影した場合、最大30分間の撮影が可能だ。30p以下での撮影には制限はない。パナソニックによると、これは40℃環境でのテストに基づいており、極端な環境温度では最終的にカメラが録画を停止する可能性があるという。
- 大きな特徴としては、オートフォーカスが向上したことが挙げられる。最も大きな変化は、静止画の連写撮影時だ。パナソニックによると、被写体認識アルゴリズムを再構築し、AFシステムがより多くの空間認識計算を行えるようにする方法を開発したそうだ。これにより、連写時のハンチング(ファインダーのバタつき)が軽減されるという。
- 動画のオートフォーカスでは、カメラが正しい被写体にピントを合わせるという点で、頭部認識が追加され、認識アルゴリズムが高速化されたこともメリットとなっている。応答性と安定性の改善もあるが、その多くは主に読み出し速度が速いSuper35の映像に適用される。
- 改良されたフォーカスの安定性の一部は、フルサイズの24p動画(これはカメラの最も遅い読み出しモードを使用している)にも適用されるはずだが、必ずしも応答性が向上しているわけではない。
- S5はDMW-BLK22と呼ばれる新しいバッテリーを使用している。GH5に使われているものとサイズは似ているが、形状が少し違うので、古いバッテリーはS5では使えない(新しいバッテリーは古いカメラでも使えるが)。
- 新しい外部充電器は、新旧両方のバッテリーを充電することができるが、新しいBLK22バッテリーは、古いカメラに付属する充電器には対応していない。
- 15.8Whのバッテリーを搭載し、背面液晶を使用した場合は1回の充電で440枚、ファインダーを使用した場合は1回の充電で470枚の撮影が可能だ。
- USB Type-Cを介して、USB-PD対応の充電器やモバイルバッテリーを使用して充電または給電することができる。
全体的に、LUMIX S5はパナソニックSシリーズの興味深い新モデルだ。発売価格は、Nikon Z6やSony α7 IIIのようなカメラと競合する。しかしこれらは、発売から18ヶ月以上が経過し、希望小売価格から下がっていることを考えると、これらのカメラ(そしてより良いスペックのS1でさえも)と比べると、最初は高価に見えるのは必然である。
他のモデルも2020年末までにS5で改善されたオートフォーカスの恩恵を受けると言われている。現時点では優秀な静止画/動画のハイブリッドミラーレスと言えるだろう。そして、パナソニックは後日、LUMIX S5にDCI 4K, RAW動画出力とシャッター角コントロール(訳注:シャッタースピード調整方法の一つ)を追加する無料のアップデートを公開すると言及している。
とのこと。
LUMIX S1やS1Rと比べると、やや動画寄りであり、どちらかと言えばS1Hの下位モデルと言ったところですね。売り出し価格がLUMIX S1より安いにも関わらず、充実した動画機能は魅力的と言えるかもしれません。
その反面、ファインダー解像度が低かったり、センサー除塵機能が地味に変わっていたりする点には留意する必要がありそうです。とは言え、従来のLUMIX Sシリーズと比べると取っつきやすいモデルに仕上がっているように見えます。
これでコンパクトなレンズ群が充実すると人気が出そうなモデルですね。それまでには本体価格も値下がりしているはず。
レンズは既に登場している「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」の他、F1.8単焦点レンズ群が予定されているとのこと。サイズが統一され、これまでのLUMIX S PROレンズと比べると遥かに携帯性が高くなっているのは嬉しい。
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