DPReviewが「Z f」のハンズオンを公開。センサーは従来の性能ですが、最新プロセッサで撮影機能やAF・連写が強化されていると評価。80年代前半の外観を採用しつつ、Z 6IIよりも先進的なカメラになっていると言及。
DPReview:Nikon Zf: hands-on with Nikon's modern/classic full frame mirrorless
Z fは、この価格帯で支持を得ている信頼性の高い2400万画素センサーを採用し、最新世代のプロセッサーと組み合わせている。Z 6IIよりも先進的なカメラでありながら、同じ価格を実現。
外観
- ニコンによると、デザインは1982年の一眼レフ「FM2」の外観を模倣したもので、ファインダー形状は確かにそれを反映している。
- しかし、ハンドグリップのわずかに突出した隆起は1980年の「F3 HP」から、カメラの左肩にある専用のPASMコントロールは1983年の「FA」の響きがある。つまり、全体的には、ニコンの80年代初期のデザイン言語と一致していると言うのが最も正しいだろう。
- 各パラメーターダイヤルに「A」ポジションではなくPASMコントロールがあるのは興味深いが、FAと一貫している。ISOダイヤルの下に小さなスイッチがあり、どの露出モードを選択したかを示す小さなタブが付いている。小さいので、不用意にモードを変更することはないだろう。
- 前面から突き出た大きな手の形をしたハンドグリップがない。手の形をした塊が標準的なデザインになるまでの何十年もの間、写真家たちは最小限のフロントグリップを持つカメラに喜んで手を巻き付けていたのだ。これは1980年代前半のスタイルのカメラであり、80年代前半と後半のデザインの寄せ集めではない。
- 80年代の美学に完全にコミットする準備ができていない場合は、SmallRigのサードパーティ製グリップが入手可能だ(一部の市場ではカメラに同梱されている)。
ビルド
- レトロな外観を支えるのは、Z fc(あるいは間違いなくDf)よりも上質な造りだ。
- Z fは心地よい密度と堅牢さを感じ、ダイヤルはすべて金属製だ。
- ISOダイヤルとシャッタースピードダイヤルにはトグルロックが付いており、設定調整中にダイヤルを跳ね上げたり、特定のコントロールを使用しない場合はダイヤルをロックすることができる。
- 重量は基本的にZ 6IIと同じで、重すぎることはないが、しっかりとした重量感がある。
- 外観はレトロスタイルだが、ボタンレイアウトはより現代的な兄弟機と一貫している。AFジョイスティックはない。
- ただし、Z 9とZ 8の3Dトラッキングがついに低価格機に搭載された。Z 6IIでは、ボタンを押してトラッキングを開始し、トラッキングボックスの開始点を移動するかどうかを考える必要があった。Z fでは基本的にAFエリアモードの一つであり、AFポイントと同じようにトラッキングボックスを配置することができる。
- 多くの撮影では、カメラを被写体に向け、追尾を開始し、構図を変えるだけで、ジョイスティックの必要性はなくなるかもしれない。ただし、AFポイントを事前に設定する必要がある種類の撮影をする場合は、やはりその不在に気づくかもしれない。
センサー
- 2400万画素のフルサイズセンサーは高速読み出しが可能で、画質も非常に良い。
- 良好なレベルのディテール、優れたダイナミックレンジを生み出し、低照度でも良好な性能を発揮するセンサー。
- 動画よりも静止画に少し向いているかもしれないが、2つの間で適切なバランス。
- Z f の撮影速度は様々な数値が提示されている。ニコン アメリカで確認したものでは、メカニカルシャッターを使用した際はRAWで最高11コマ/秒、JPEGで最高14コマ/秒となっている。
- プリ連写を含めて、電子シャッター(および12bit読み出しと思われる)を使用した最大30fpsモードもある。
- ローリングシャッターレートは約26.3msなので、電子シャッターでパンしたり、フレームを横切って素早く動く被写体を撮影したりすると、多少の歪みが生じることが予想される。
- センサーの全幅からの動画は最大4K 30pで、読み出しに約22msかかる。
- センサーのAPS-Cクロップ領域では最大60pの4Kが可能。これらの数値は、Z 6IIやパナソニックの2400万画素カメラと非常によく似ている。シグマのfpやソニーのα7 IIIも同様だ。
- このセンサーが登場してから長い時間が経過しているが、積層型CMOSの対価を払いたくないのでなければ、これよりかなり優れたセンサーはほとんど存在しない。
シャッターと手ぶれ補正
- Z fは従来型のセンサーを採用しているため、Z 8やZ 9とは異なりメカニカルシャッターを搭載している。最高1/8000秒で撮影でき、同調速度は1/200秒。
- マニュアル露出モードでは、必要に応じて最大900秒(15分)の長時間露光を選択できる。
- ボディ内手振れ補正がアップデートされている。業界標準のテストによると、最大8段分の性能を発揮できるようになった。これは、Z 6IIに搭載されたものよりも高性能なカメラのプロセッサーのおかげでもある。
- 画像の中央を最も重要な補正ポイントとして想定するのではなく、選択したAFポイントに補正を集中させるモードも補正効果の向上に寄与している。
フル可動式スクリーン
- クラシックスタイルのカメラにとって、バリアングル可動式モニタの搭載は少し奇妙に見える。これは、SNSクリエイター向けに設計されたZ fcでは非常に理にかなっているが、スチル写真家向けと思われるカメラでは少し場違いな感じがする。
- Z fの場合、富士フイルム、パナソニック、ニコンの様々なモデルに採用されているような複合式のチルト構造が好ましい。
- ファインダーは、この価格帯で標準的な368万ドットの有機ELディスプレイを使用。光学系は0.8倍という素晴らしい倍率を実現しており、素晴らしい視界が得られる。
- 期待通り、アイセンサーで背面パネルとファインダーを切り替えることもできるし、80年代の体験をより納得のいくものにしたいなら、背面モニタを裏返しにしてファインダーだけを使うこともできる。
バッテリー(とカードスロット)
- ニコンが長年中価格帯のカメラに採用してきたEN-EL15バッテリーをベースにしている。
- 最新の「c」型は16Whで、USB充電に対応している。
(訳注:b型 1900mAh・c型 2280mAh)- 背面液晶を使用した場合、1充電あたりの撮影可能枚数は380枚と非常にリーズナブルだ(ファインダーを使用した場合は360枚)。
- 撮影を中断して画像を確認する頻度にもよるが、定格の2倍以上撮影できることも珍しくないことを念頭に置けば、1日中撮影するのに十分な数字。
- カードスロットをバッテリースロットの横に配置。2つのカードスロットがあり、1つはUHS-IIのSDカードスロット、もう1つはやや手間のかかるmicroSDスロットだ。
- 残念なことに、このmicroSDスロットは古くて遅いUHS-I規格にしか対応していないため、高速なカードを入れて内部ストレージのように扱うことはできない。むしろ、緊急時のオーバーフロー機能と考えた方がいいかもしれない。
ポート類
- このレベルのカメラに期待されるポートがある。3.5mmヘッドフォン端子、マイク端子、ビデオ出力用のmicro HDMI端子がある。
- USB-Cポートが1つある(Z 8のように通信用と給電用の2系統があると良かった)。これはUSB3.2 Gen 1 5Gbpsコネクタで期待通り(10Gbpsコネクタはまだ珍しい)。
ビデオ
- Z fはかなり使い慣れた動画機能を提供している。全幅 4K 30pとクロップ 4K 60pで、ニコンは適切な改良を加えてきた。
- 中価格帯のニコンとしては一歩前進で、Z fは内部収録で10bitの映像をキャプチャでき、内部収録でN-LogやHLG HDRキャプチャが可能。
- また、露出設定に役立つ波形モニタ(特にLog撮影時に便利)や、主要なビデオパラメーターを一目で確認できる専用設定表示も搭載されている。
- 動画撮影をする人にとって、バリアングルモニタが最も有益であることは間違いない。
エルゴノミクス
- 以前のDfと同様、専用のISO、シャッタースピード、露出補正ダイヤルを使用する必要はない。これはある程度便利だ。Zマウントレンズには一般的に専用の絞りリングがないため、少なくとも片方のコマンドダイヤルにその機能を持たせる必要がある。
- 残念なことに、古いAF(-D)レンズやAI(-S)レンズの絞りリングの位置を把握できるF-to-Zマウントアダプターがない。
- FTZアダプターにはフォーカス駆動用のモーターが無く、DタイプのAF-Sレンズでかなり説得力のある80年代初期(AF以前)の体験を得ることができ、特に害はない。
まとめ
短い試用期間だったが、Z fはDfやZ fcに期待していた多くを搭載していることが分かった。ニコン80年代初期の外観と現代のフルサイズカメラの操作性、性能、画質を融合させたカメラである。
もちろん、全ての人に訴求できるカメラではない。ニコンが「前世紀のエルゴノミクスを望まない人たち」のためにZ 6IIIを作っていることだろう。また、ニコンが絞りリング付きのレンズをリリースしたり、他のメーカーにそれを認めたり、1990年代以前のFマウントレンズをより良くサポートするアダプターを作ったりすると、より良くなるはずだ。
AFに関してはより掘り下げてチェックしなければならないが、ざっと使ってみてZ fがうまくいっていると思われる点が多く見つかった。
とのこと。
外観こそZ fcとよく似ていますが、最新プロセッサの搭載やニコン初の最新機能の実装など、目新しいポイントが多いレトロデザインのミラーレスカメラ。Z fcは中身がほぼZ 50でしたが、Z fは既存カメラにはない構成(25MPセンサー + EXPEED 7)で、ニコン初となるピクセルシフト撮影機能や世界初となるフォーカスポイントVRなど、まさかZ fで初実装することになるとは思ってもみなかった機能がいくつか存在します。
基本的にはDPReviewのファーストインプレッションと同じ。ニコンや他社の「裏面照射型 2400万画素CMOSセンサー」搭載モデルといくつかの共通点が見られる模様。他のレビューサイトと同じく、レトロな外観ながら、中身は最新のミラーレスカメラであると感じたようです。あとはカメラに合うデザイン・操作性のレンズが増えると良いですねえ。
注意点として、ローリングシャッターなどは従来通りとなっているため、電子シャッターや動画撮影では影響があるかもしれません。とは言え、高ISO性能などは定評のあるセンサーなので、メカシャッターで静止画撮影する分には特に問題は無さそう。
最新プロセッサらしく、AFシステムはZ 8やZ 9を継承。積層型CMOSセンサーほどの高速処理は期待できないものの、被写体検出機能で簡単に被写体へフォーカスすることができそうです。また、3Dトラッキングにも対応しているので、AFジョイスティックの欠如を埋め合わせることはできそう。それでもAFジョイスティックが必要な場合、Z 6IIIの登場を待つしかありません。
ファインダーは0.8倍 369万ドットと、フルサイズZカメラでは一般的なスペックを採用。光学系まで同じかどうか不明ですが、少なくともZ 6のファインダー光学系と似たようなレンズ構成を採用しているようです。Z fcのようななんちゃって丸窓ではなく、Z 8などと共通の丸窓アイピースを採用しているのも嬉しいポイント(アクセサリを共通できる)。
背面モニタはこの価格帯として高解像な210万ドットパネルを採用。この機種からの新機能として、スライドやダブルタップで操作できるタッチFn機能を実装。使い勝手は今のところ不明ですが、サブセレクターのないZ fでは便利な機能となりそうです。
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主な仕様
- イメージセンサー
・タイプ:裏面照射型
・有効画素数:2450万画素
・除塵ユニット:フッ素コーティング / イメージセンサークリーニング
・手振れ補正:イメージセンサーシフト方式5軸補正 8段分 - フォーカスポイントVR
- プロセッサ:EXPEED 7
- RAW 高効率★ / 高効率 / ロスレス圧縮
- HEIF
- ピクセルシフト撮影 9600万画素
- Monochrome / Flat / Deeptone
- SD UHS- II / Micro SD UHS-I カードスロット
- ISO 100~64000
- AFシステム:ハイブリッドAF
・測距点:273点
・測距輝度範囲:-10~19EV F1.2 レンズ
・被写体認識:人物(目、顔、頭部、上半身)、犬、猫、鳥、車、バイク、自転車、列車、飛行機
・その他:3Dトラッキング
・カスタムワイドエリア - 被写体検出によるMFアシスト(電子接点ありのレンズ)
- ドライブ性能:
・メカニカルシャッター:1/8000~900秒
・電子シャッター:あり
・フラッシュ同調速度:X=1/200秒
・撮影速度:約14コマ/秒 / 約30コマ/秒
・撮影枚数: - ファインダー:0.5型 Quad-VGA OLED 約369万ドット 約0.8倍
- モニター:バリアングル式8cm/3.2型TFT液晶モニター 約210万ドット
・タッチFn対応 - 動画:
・4K:60p/50p/30p/25p/24p
・FHD:120p/100p/60p/50p/30p/25p/24p
・出力:MOV、MP4
・N-Log
・撮影中赤枠表示
・電子IS:対応
・連続撮影時間:125分 - インターフェース:
・USB:Type-C端子(SuperSpeed USB)
・ヘッドホン:φ3.5mm
・マイク:φ3.5mm
・HDMI:Type D
・シンクロ:
・Wi-Fi:IEEE802.11b/g/n/a/ac
・Bluetooth:Ver.5.0 - バッテリー
・タイプ:EN-EL15c
・撮影可能枚数:約410コマ
・充電方法: - サイズ:約144×103×49mm
- 重量:約710g
- 防塵防滴:Z 8と同等
- ボディ材質:マグネシウム合金(前・上)
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