DPReviewがパナソニック「LUMIX GH6」のイニシャルレビューを公開。動画撮影時のAFにはまだ課題が残されているものの、拡張性・機能性の面で非常に魅力的なカメラに仕上がっている模様。
DPReview:Panasonic Lumix DC-GH6 initial review
主な特徴
- 2500万画素 CMOSセンサー(パラレルリード方式)
- 内蔵ファンによる無制限の録画
- UHDまたはDCI 4K(10bit、4:2:2、最大60p)
- スローモーション UHDまたはDCI 4K(10bit 4:2:0) 最大120fps
- 5.7K フル画角 録画 最大60p
- 5.8K フルセンサー「オープンゲート」/アナモフィックキャプチャー 最大30p
- V-Log/V-Gamut撮影
- ProRes 422および422 HQを含む幅広い撮影フォーマットに対応
- CFexpress Type B×1、UHS-II SD×1
- 手ぶれ補正効果は最大7.5EV
- Dual IS2ではより長い焦点距離でも維持可能
- S1Hのチルトフリーアングルモニター
- フルサイズのHDMI Aソケット
- AF-Sで14コマ/秒(電子シャッターで75コマ秒)
- AF-Cで8コマ/秒
パナソニックLUMIX DC-GH6は、「3月中旬」に発売され、小売価格は2199ドルとなる。これは、2017年3月のGH5の売り出し価格と比較すると、200ドル上昇しているが、GH5Sの発売時と比較すると、200ドル安くなっている。
ファームウェアアップデート
- USBケーブル経由のSSD記録対応
- DCI 4KおよびFull HDに対応したProRes記録
- V2.1のHDMIインターフェース
- 4K 120p HDMIとライブビュー
- 4K/120 RAWストリームをHDMIで伝送
イメージセンサー
- 全く新しいセンサーを搭載。
- フォーサーズのセンサーサイズでは最高の解像度。
- 積層型CMOS技術が採用されていない可能性が高い。
- 絶対的な確証はないが、裏面照射型である可能性は極めて高いと考えている。
- しかし、このセンサーは高速で、読み出し速度のテストではローリングシャッターの心配はないとの結果が出ている。
- ローパスフィルターレスだが、ほとんどの映像が撮影時よりも低い解像度で出力される(例えば、5.7Kで撮影したものを4Kで出力する)ため、理にかなっている。
- ローリングシャッター
・5.8K:17.6ms
・5.7K:12.4ms
・DCI 4K:12.4ms
・DCI 4K 120p:6.8ms
・UHD 4K:13.3ms
・UHD 4K 120p:7.3ms- GH6のセンサーは「いつも使っていると思われている会社の製品ではない」と言われているが、デュアルアウトプットゲイン設計を採用している。
- これは、最近のカメラに増えてきている、切り替え可能なデュアルゲインセンサーとは異なり、Arri社や一部のキヤノンのシネマカメラに採用されているデザインに近い。
- センサーには2つの平行な出力回路があり、高ISO設定時には両方の回路からの出力が合成され、ハイライトとシャドーの両方のディテールが得られる。
- このシステムは、静止画モードでISO 800以上で自動的に使用されるが、動画モードでは「ダイナミックレンジブースト」と呼ばれるオプション機能で、ISO設定がベース設定よりも3段上の場合に作動する。
- ダイナミックレンジブーストは60pまでの動画に対応している。
- 従来のマイクロフォーサーズ機で採用していた「V-LogL」ではなく、「V-Log」と表現している。
コーデック
- 圧縮やコーデックの選択肢が広がった。
- 新たにApple ProRes 422 HQおよび422フォーマットでの撮影が可能。この2つのフォーマットはどちらも比較的大きなALL-Iフォーマットであるため、CFexpress Type Bカードスロットを搭載する必要があった。
- ProResの大きな利点は、データレートに大きな負荷をかけるものの、編集段階ではトランスコードの必要がなく、非常に簡単なことだ。
- よりオーソドックスなMOVモードは、効率の悪い(サイズの大きい)H.264コーデックを主に使用している。これは、4:2:2 H.265の解凍に対応するハードウェアレベルが限られているため、ほとんどのコンピュータに大きな負担がかかるからだ。
- H.264 4:2:2モードにはALL-IとLong GOPがあり、H.265はサイズと品質のバランスがとれたLong GOP 4:2:0ファイルに対応している。
- SDカードへの書き込みは、600Mbps以下のMOVモードに対応している。
- このカメラのProResモードは、当初5.7Kの撮影にしか対応していないが、2022年後半に予定されているファームウェアでDCI 4KとFullHDに対応する予定だ。
手持ちハイレゾ
- GH6の大きな進化のほとんどは、予想通り動画側だ。「6K/4Kフォト」や「フォーカス合成」など、従来のGHシリーズに搭載されていたマルチショットモードもない。
- しかし、1つだけ注目すべき静止画モードがある。もしパナソニックがより写真に特化したモデルを作ることになった場合、このモードは引き継がれる可能性が高い。
- 5000万画素または1億画素の画像を生成する8枚合成のハイレゾモードには、撮影中にカメラが多少動いても画像を揃えて合成する手持ちモードが追加された。
- 面白いのは、既存の動き補正処理を組み合わせることで、シーンの中で物が動いても、手持ちで1億画素の画像を撮影できるということだ。
ノイズリダクション
- GH6のノイズリダクションは、パナソニックが「2Dノイズリダクション」と呼んでいるものに更新されている。これは、カラーノイズを抑制し、従来のシステムでは高ISOで現れる粒状性を回避することを目的としている。
- 動画では、カメラがシーン内の動きを分析することで、実際の変化(動き)と一時的なノイズを区別することが可能だ。これを「3Dノイズリダクション」と呼んでいる。
オートフォーカス
- AFシステムは、フォーカスを動かして変化を分析し、シーンの深度マップを構築するDFDシステムを中心に構成されている。
- AIによる被写体認識機能も搭載しており、人物(胴体/頭/顔/瞳)、顔/瞳(顔と瞳のみ)、犬猫を認識する人物/動物の3種類から選択できる。これらは静止画モードと動画モードで別々に設定可能だ。
- 基本的にDFDは更新頻度が高いほど優れている。つまり、撮影と撮影の間に多くの計測を行うことができる静止画では有効だが、特にフレームレートの低い動画や長時間露光の動画では、ビデオフレーム間で再評価する時間がないため、あまり有効ではない。
その他の改善点
- 従来のGHでは撮影前にしか表示されなかったライブビューが、撮影中にも拡大表示されるようになった。
- また、「ディスプレイアシスト」を使ってログ映像を確認する際に、自分で作成したLUTを業界標準の「.CUBE」形式でアップロードできるようになった。
- これだけ多くの動画モードを搭載したカメラでありながら、動画モードをフィルタリングしたり、カスタムリストを作成したりして、素早くアクセスできるようになったことも評価できる。
ボディ・操作性
- GH6のボディは、GH5を少し深くしてS1Hと掛け合わせたような形だ。
- カメラをリグに装着してトッププレートのボタンが使えない場合でも、簡単にアクセスで可能な前面ボタンを搭載している。
- カメラの左肩にロックスイッチがあり、無効にしたいボタンの組み合わせを決めることができる。
- GHシリーズで初めてファンが搭載されている。4:2:2 10bit 4Kを最大60pで無制限に撮影することが可能だ。過酷な環境下を除いて基本的に無制限の記録が可能である。
- ファンは、主にプロセッサーの冷却とCFexpressカードから発せられる熱の放散に使用される。
- ファンは、手動で設定された速度で継続的に作動させることも、ボディを冷やすことを優先するモードと必要なときだけ作動させるモードの2つのオートモードで作動させることも可能だ。
- 184万ドットのフリーアングルモニターを採用。カメラの左側にあるポートに干渉しないようになっている。
- ファインダーには368万ドットのOLEDパネルを採用し、倍率は0.76倍(換算値)となっている。
- 上部には、ミラーレスの中では珍しく、カメラの音声設定に直接アクセスできるボタンを搭載。
- 3.5mmのマイク入力で2チャンネル/ステレオ入力が可能なほか、別売のアダプター「DMW-XLR1」を使用すれば、さらに2チャンネルの入力が可能だ。
- カメラ内蔵マイクは48kHz、24bitの音声を取り込むことができ、外部マイクも最大96kHzの音声を取り込むことができる。
- 4チャンネルの音声はすべてHDMIで出力される。
- ボタンレイアウトは、前世代のカメラとほぼ同じだが、前面にFnボタンが追加された。
- カメラ本体には13個のカスタマイズ可能なボタンがある。
- パナソニックS5と同じ「DMW-BLK22」を使用。CIPA規格の1回の充電で360枚の撮影が可能だが、CFexpressカードを使用した場合は約10%減少する。
- 9V、3Aの電圧を供給できるPD規格の電源があれば、USB-Cポート経由でカメラの電源供給と操作の両方が可能だ。
- なお、GH6には従来のGHと異なり、バッテリーグリップが無い。
動画
- 多様で豊富な動画撮影モードとサポート機能が搭載されている。
- S1Hに搭載されていた、フレームレート、解像度、コーデック、バリアブルフレームレートモードへの対応など、使用可能なモードを絞り込むツールがある。
- 「マイリスト」というオプションがあり、プロジェクトで使用する予定のモードを選択すると、そのモードのリストだけが表示される。
- 「録画画質(マイリスト)」をボタンに割り当てることで、好みの撮影モードに素早くアクセスできるようになっている。
- ハイスピード動画モードの大半は、標準の動画モードの中に「ハイフレームレート」モードとして用意されており、撮影時の速度でオートフォーカスや音声の取り込み、再生が可能だ。
- VFR(バリアブルフレームレート)モードで撮影する必要があるのは、300fpsのFullHDモードのみで、選択したスローレートで記録される。
- オートフォーカスは、最速のハイフレームレートモードを除くすべてのモードで使用可能だ。
- 200pおよび240pのFullHD撮影時のオートフォーカスは、パナソニックの自社製レンズ13本に限定されており、2022年3月のファームウェアアップデートでさらに3本のレンズが追加される。ほとんどのモードとほとんどのレンズで、追従AFが可能だ。
- フルセンサー領域は、Super35(APS-C)カメラの16:9の映像を4:3でクロップしたものに非常に近い。しかし、APS-Cサイズのカメラで、7.7Kの映像を撮影して、同等の解像感を得ることができるカメラは無い。
- 仮にそのようなカメラがあったとしても、フレーミングをより分かりやすくするための絞り込みプレビューや、レンズの横軸と縦軸の有効焦点距離が異なることに対応した手ブレ補正モードなどがあり、他には真似のできないレベルのサポートがなされている。
- ハイレゾモードの強化に伴い、GH6の1080モードも強化されている。GH6では、10bitモードで最大240p、可変フレームレートモード(AFなし、音声なし)を使用すると最大300pの1080撮影が可能だ。
- FullHDは、4Kとほぼ同等で、4:2:2 H.264のAll-IまたはLongGOP、4:2:0 H.265のLongGOPを選択できる。
- ファームウェアのアップデートにより、ProRes 422または422 HQ FullHDの撮影が可能になる。
- HDMIインターフェースがV2.1仕様に正式に引き上げられたことにより、将来のファームウェアアップデートでライブビュー時に4K 120pをHDMIで出力できるようになることが約束されている。
- HDMI規格では、4K映像は4096×2160ピクセルに制限されているため、カメラが5.7Kモードで動作しているときはこの解像度で出力される。アスペクト比4:3のモード(5.8K、4.4K)で撮影すると、2880×2160の映像として出力される。
- Atomos社製レコーダー向けに、HDMI規格外の4K 120 RAWストリームの出力も可能になる。
- ファームウェアのアップデートにより、外付けのSSDに直接映像を出力できるようになる予定だ。GH6は、USB 3.2 Gen2(10Gbps)インターフェースを搭載しており、ProRes 422 HQの条件を十分に満たしている。
ファーストインプレッション
- キヤノンのEOS R6やソニーのα7 IVのような大衆向けのカメラでも、10bitの4K映像を最大60pで撮影できるようになり、10bit映像の撮影が専門的なビデオカメラの範疇を超えた時代にGH6は登場した。
- キヤノンのEOS R5C、ソニーのFX3、パナソニックのS1Hなどは、比較的手頃な価格帯で冷却ファンの信頼性を実現しており、これまでGHシリーズが独占していた領域を侵食しつつある。
- しかし、GH6のスペックを見ると、前モデルのようにはいかないが、細かい部分では目を見張るものがある。DCI、UHD、FullHDのいずれかを、お好みのフレームレートで、一貫したオプションで撮影することが可能だ。
- 同様に、フレームレートを上げても細部の描写に大きな違いは見られず、映像をシームレスに切り換えて楽しむことができる。120pでもGH5と同等のディテールが得られている。
- しかし、GH6が最も輝くのは、幅広い撮影スタイルに対応できることだと思う。最大限の解像度で撮影して、トリミングやスケーリングは後から決めたいという方には、5.5インチのカメラがお勧めだ。
- アナモフィックレンズを使った撮影も可能だ。アナモフィックレンズでの撮影には、ネイティブ4:3での撮影や手ぶれ補正の対応など、他のミラーレスよりも包括的に対応している。
- 業界標準の映像を提供したり、編集段階での処理の負担を軽減したい場合、このカメラのほとんどの解像度モードには、ProRes 422(/HQ)オプションが用意されている。また、RAW出力にも対応している。
- 大きな赤いRECボタン、動画モードの「マイリスト」、専用のオーディオセットアップボタンなど、ハイブリッドミラーレスカメラで、動画撮影者(特に、カメラオペレーターや動画撮影者が1人の場合)のニーズを考慮して、これほど多くの努力が払われたカメラは見たことがない。
- DFDシステムを引き続き採用しているため、最新の位相差AFシステムが提供するシンプルさと信頼性に比べると不利である。はるかに良くなってはいるが、23.98や24pの撮影では、フォーカスの乱れや時にはドリフトが発生するリスクがある。
- もちろん写真機能も充実しており、動画に特化したモデルでは見落とされがちなマルチショットモードの有用性を、初の手持ちハイレゾモードで実現したことは大きな飛躍だ。
とのこと。
4K 60pが当たり前となり、長時間の録画撮影に対応するカメラも増えてきましたが、120pまで利用でき、画質の低下が見られないのは魅力的と言えそうです。動画モードでの拡張性はさらに高まり、便利な機能も多数追加されている模様。これで売り出し価格がGH5Sよりも安いのだから凄い。
主に動画機能を充実したハイエンドモデルですが、まさか静止画向けに「手持ちハイレゾ撮影」を実装するとは予想していませんでした。動き補正にも対応しているので、OM-1よりも扱いやすいハイレゾモードとなるかもしれませんね。DPReviewの作例を見る限りではかなり良さそうです。
特筆されていませんが、被写体検出はフォーカスエリアに関係なく利用することが出来るようになり、静止画での使い勝手も良くなっていると思います。検出速度や更新速度がどのように改善しているのか気になるところ。センサースキャンレートが向上しているので、ひょっとしたら静止画のAFでかなりの改善が見られるかもしれません。
2500万画素はパラレルリード方式と呼ばれる回路を採用した独自のセンサーとなっているようです。静止画の作例ではJPEGのノイズリダクションが強すぎて判断できませんでしたが、動画の作例などを見る限りでは高ISO感度でも良好な画質を実現しているように見えます。
ローリングシャッターはE-M1 Mark III並みに高速化していますが、積層型CMOSセンサーと比べるとやや遅めです。大部分の状況では問題なく撮影可能だと思いますが、高速回転したり、高速でパンニングするような場面でどのような影響があるのか気になるところ。
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